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2012年05月17日11:53

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たましいと宗教(2)  大地母神の没落

 雷鳥いわく「原始、女性は太陽であった」は少し違って、大地母神であった、つまり万物の母であった。いやいや、太陽と大地では少しでなく全く違っていた。すでに、太陽に祭り上げられ実権を奪われていたに違いない。
 多分、雷鳥にとって母神のイメージは封建時代の家に閉じ込められた母を想起させたので、アマテラスの太陽を選んだのだろう。
 生きていくうえで一番大事なものは食べ物であり、ものを考え始めた石器時代の人類にとって、食べ物となる鳥や獣を増やすものは雌と分かっていた。これは人間の女が子を産むことから容易に類推できる。さらに理路を延長すれば、けもののえさとなる草木、果物、穀物を生み出す大地も、実に女性に、つまり、女神様に違いない。となれば、万物を生み出すのは大地となる。
 大地母神をたたえよ、エジプトのイシス、ギリシャのガイア、日本ではイザナミが第一に崇拝すべき主神となる。
 しかし、少数の血族集団から国家規模に発展してくる(人口が増えるので)と、集団同士の戦争となり、戦士となる男が王となる。ここで、主神も交替させなければならない。王権を安定させるためには王と主神を一体のものとして権威づけなければならないからである。
 王様なんかなくても(大地母神さまのおかげで)豊作になる、それで十分などと、古代中国のように「鼓腹撃壌」腹鼓たたいて踊っていられては困るのである。
 で、イシスには夫のオシリスをあてがって・・・しかし弟に殺されたのでイシスが遺体を探して復活させようとしたが、(万物の母イシスの力も衰えていて・・・そういうことにした)冥界の王としてしか復活できなかった。まあ、生きるのは一時、後は皆冥界へ行くので、そこに君臨するオシリス様のお世話になる方が長いのだった。
 ギリシャでは、ガイアの孫になるらしいのだがゼウスが父クロノスに殺されると言って反逆を起こし、巨神族を奴隷にする。たとえば、アトラスは天を支える柱にされてしまう。大地母神たちはゼウスの妻・姉(ヘラ)、妹(豊饒の神デメテル)、娘(アフロデティ・ビーナス、アルテミス・ダイアナ、アテナ・ミネルヴァ)という位置づけとなる。
 ここで問題はデメテルである。大地母神に一番近いキャラクターであるが、娘ペルセポネーが冥府の王でゼウスの兄弟ハデスに略奪され妻にされる。怒ったデメテルは大地を枯らしてしまった。困ったゼウスが調停して、冥府に住むのは冬の間だけということで和解させた。
 ここでは、エジプトのイシスはデメテルとペルセポネーに分離して、ペルセポネーがハデス(オシリス)に付きそうこととされる。
 イザナミについてはよく知られているが、イザナギとともに万物を産んだ後、火の神を産んだことで死に、今度は冥界で人を殺すキャラクターになる。つまりは、イシスからオシリスへとキャラクターが変えられ、しかも、崇拝の対象でなく恐るべき死神へと没落させられる。(ただし、この点はあらためて再考したい。もともと、生死は一体、大地母神のもとに帰って、また生まれ変わるのだから)
 かわって、太陽神アマテラスなのだが、大地母神の役割は豊受大神(伊勢神宮の外宮)が担うこととなる。アマテラスの食事係という格下であることに注目するべきである。また、アマテラスは主神といっても強力ではなく、八百万の神々なしには何もできないことも意味がある。
 ということで、万物の母・大地母神の没落は、すべての民族で達成された・・・と思うのだが。
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