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2012年05月02日14:30

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「わが母の記」 樹木希林、一世一代の名演

文豪・井上靖の自伝的小説を映画化、主人公の作家(役所広司)と母(樹木希林)と娘(宮崎あおい)、そして彼らをとりまく大家族それぞれのふれあいが話の主軸。主役級も脇を固める俳優たちも、セリフのやりとりがとても自然、しかもそれは昭和30年代の上流社会のものなので、掛け合う言葉の数々をやたら意識してしまう作品でした。

なんといっても素晴らしいのが樹木希林。認知症にさいなまれる母親役、その“まだらボケ”ぶりがとても自然で、彼女一世一代の名演といっても過言ではなく、ひょっとしたら彼女はのちのち北林谷栄や原ひさ子と並ぶ“日本の名おばあちゃん役女優”として名を残すのではないか、そして今回の作品がその先駆けとして語られるのではないかと思いました。

舞台となった伊豆半島周辺の美しい自然描写もさることながら、注目したいのはセレブというありきたりな言葉で形容するのがとても陳腐に思える昭和30年代の上流社会の生活ぶり。スクリーン全体をややセピア色にしてあるせいか、登場人物たちのファッションもとてもシックで上質なものばかり、ああ、あの頃の日本人はまだ節度があったんだなあと改めて気づかされました。

先週観たばかりのイラン映画「別離」でも認知症が扱われていたし、先日の同世代男性の集まりでも親の介護問題に話は流れていきました。ウチの両親は元気なことこのうえなく、これはとても幸せなことだけど、やがて来たる日にわが身が少し引き締まったこの「わが母の記」だったので、その効果のほどはさておいてとりあえずはこれを観ろと母親に伝えたところです。
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