世界でもっとも有名なパーティー・ソングと言っても過言ではないでしょう。
ところでみなさん、アバは好きですか?
ただのポップ・グループだと言ってしまえばそれまでかもしれないですが、僕はけっこう好きなんです。実際、おもしろい立ち位置にいる人たちだと思います。
彼らは定期的にリバイバル・ヒットを飛ばしてますが、単純に楽曲の良さというより、どちらかと言うとサウンドのディティールが再評価されるという点で。マドンナが“ギミー!ギミー!ギミー!”のあの有名なリフをサンプリングしたのは記憶に新しいところ。
そのへんがカーペンターズなどに見られる、一連のノスタルジーに寄り掛かったリバイバルとは異なるところでしょう。
アバは70年代に隆盛を極めたディスコ・ムーヴメントにうまいこと乗っかって登場したグループでした。突然ディスコを取り入れ出した他の人たち同様、彼らもまたゲイ文化から発祥したアンダーグラウンドなディスコを、分かりやすくポップに漂白したものに過ぎませんでした。そういうコマーシャルなところが、いまいち評論家の支持を得られなかった理由だと思います。
しかしブームとしてのディスコは、シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノなど、よりコアなダンス・ミュージックに吸収される形で、たちまち終焉を迎えてしまう。にもかかわらず、表面的なディスコをなぞっていただけのアバが未だ人気を得ているというのは、なんだか皮肉なようでおもしろいですね。
代表曲“ダンシング・クイーン”を聴けば、その理由もなんとなく分かったような気がします。
彼らはスウェーデンのバンドだからか、アメリカのルーツ・ミュージックからの影響が乏しく、サウンドが奇妙にシンプルなんですよね。まったく土や緑が匂ってこないというか。まさにスウェーデンの澄み切った青空を連想させるような濁りのないサウンド。
この曲の、あの印象的なエレクトリック・ピアノのフレーズにしたって、ディスコ・ビートのフィルインにしたって、歌とセットで覚えている人も少なくないんじゃないでしょうか。僕もよくセットで口ずさんでます。
そして、そんなアバの控えめなディスコ・サウンドは、どことなく「夜」のイメージを植え付けることにも成功した。
現在も“ダンシング・グイーン”は、ダンスフロアで踊り咲くすべてのガールズのための、最高のパーティー・ソングたりえている。
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