- 詳細 2024年3月5日 00:01更新
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■虚空蔵菩薩
虚空蔵菩薩（こくぞうぼさつ、こくうぞうぼさつ）は、十三仏の最後の仏様で、智慧と福徳の仏様。八十億の菩薩の中で最も上主をなすと言われ、宇宙の総てのものを含蔵し、無量の福徳・智慧を具え、常に衆生に与えて諸願を成就させる菩薩。三十三回忌の本尊であり、丑年と寅年生まれの人の守り本尊でもある。サンスクリット＝梵名ではAkasagarbha（アーカーシャグルバ）という。
「虚空蔵」は文字通り「虚空を蔵する」の意で、広大な宇宙のような無限の智慧と慈悲が無限に内蔵されていて、衆生の願いをかなえるために蔵から自在に取り出して救済をする。胎蔵曼荼羅の虚空蔵院の主尊であり、密教でも重視される。悩める全ての人々を救済する力を備えた偉大な菩薩であり、その不思議な力により窮地に陥った者を救う菩薩である。
記憶をつかさどる菩薩でもあり空暗記・そらんじる、などの言葉は虚空蔵菩薩の「空」から来ている。同じ智の仏である文殊菩薩は実際の事柄に対応する判断力、参謀としての知恵であり、学問の知恵や記憶力は虚空蔵菩薩にあるとされる。
また虚空蔵菩薩が「空・空間」、地蔵菩薩が「地・大地」として対で作られることもある。
四国八十八箇所では焼山寺、太龍寺、最御崎寺の３カ寺の本尊。
■姿
満月を描いた蓮華座上に半迦し、五智宝冠（冠に５仏）を頭に頂き、印相・持物に付いては胎蔵界曼荼羅の場合と求聞持法とでは多少異なる。曼荼羅の場合は右手に火炎のついた剣をもち、左手には宝珠（全ての願いをかなえる如意宝珠）または宝珠をのせた蓮華をもつ。求聞持法の場合は、右手は与願印を示し左手は曼荼羅と同型をとる。
■五大虚空蔵菩薩
金剛峯寺や神護寺など五大虚空蔵菩薩像を安置しているが、五大虚空蔵菩薩とは、虚空蔵菩薩のみ５体を群像として表わしたものである。虚空蔵菩薩の五つの智恵を５体の菩薩像で表わしたもので、五智如来の変化身（へんげしん）とも言う。五大虚空蔵菩薩の名称、方位、身色は次のとおりである。
１．法界虚空蔵（中央、白色）
大日如来の代理菩薩として智慧・解脱を担当する
２．金剛虚空蔵（東方、黄色）
福徳(最勝）を担当
３．宝光虚空蔵（南方、青色）
光り輝く虚空蔵菩薩で能満(願いをかなえる）を担当
４．蓮華虚空蔵（西方、赤色）
施願（施し）を担当
５．業用（ごうよう）虚空蔵（北方、黒紫色）
無垢(清浄）を担当
■虚空蔵菩薩 求聞持法（ぐもんじほう）
虚空蔵菩薩は、奈良時代に既に盛んに修された「求聞持法の本尊で、この菩薩の真言「のうぼうあきゃしゃきゃらばやおんありきゃまりぼりそわか」を１００万回繰り返し、法の如く誦すれば「一切の教法を暗誦し得る」とされる。弘法大師空海も四国室戸岬（御厨人窟）で修行し、その成就の暁には、輝く明星が眼前に飛来し、口に入ったという体験談が自著に記されている。虚空蔵菩薩求聞持法は、弘法大師空海の一生を決定し密教が完成した大きな要因だった。高野山の奥（多摩川の支流の始めのところ）に虚空蔵菩薩求聞持法を修する求聞持堂があるという。
■ご真言
のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん あり きゃまりぼり そわか
おんばざら あらたんのう おんたらく そわか
■種字
タラーク
■うなぎ
うなぎは虚空蔵菩薩の使いといわれ、虚空蔵菩薩信仰のある地域では食べないとの話もある。
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