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知覧からの手紙

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詳細 2018年4月10日 11:52更新

太平洋戦争末期である1945年「女物のマフラーを巻いたまま敵鑑に突っ込んでいった特攻隊員がいる」


挙式を間近に控えていた穴沢利夫少尉は知覧から飛び立ち23歳で還らぬ人となった。

結婚式の直前に出撃命令を受け、飛び立つ直前に婚約者であった、伊達智恵子さんに遺書を綴る。

自分のことは忘れて力強く生きるよう諭す一方で、
「智恵子、会いたい、話したい、無性に」と結んでいた


それから戦後六十二年。

残された婚約者の伊達智恵子さんが今もなお彼を想いながら語り尽くされた話をフリーライターの水口文乃さんが余計な手を加えず代筆されたノンフィクション。



*********

・第一章 出会い
―図書館から戦場へ―

・第二章 覚悟
―マフラーになりたい―

・第三章 婚約
―たった一晩の子守唄―

・第四章 特攻
―あなたを辿る旅―



まえがき

中略

寂しいご婦人なのだろうか。
そんな私の予想は裏切られ実際の彼女は、
明るく力強く生きていた。


――しかし
私が目にしたものは資料という無機質なものではなく、人の心を打つ「作品」であった。

「死」が前提にありながらも利夫さんの書く言葉に愚痴めいたものは見つからない。
ただ智恵子さんへの”思いやり”と国家に危急が迫り来るときに青年として”なにをすべきなのか?”という熱い思いが綴られている。
その隙間にさらりと挟まれている利夫さんの若者としての本音が、智恵子さんの話と共に私の心を打った。


彼が自分だけに残してくれたものを公にすることに対して、ずいぶん悩んだという智恵子さんだが、
彼女の考えを変えたのはこんな”思い”からだった。


「最近は戦争が美談とされることもあるし特攻隊が勇ましいと憧れを持つ人もいる。(中略)
間違った事実が伝わらないよう、今話しておかなければと思ったのです。長く生かされていることになんらかの使命が課せられているとしたらそれは”語り部の役割”なのかもしれない」と…。


*********


恋人 智恵子さんへの遺書


二人で力を合わせて努めてきたが、
終に身を結ばず終わった。


希望を持ちながらも心の一隅で
あんなにも恐れていた”時期を失する”ということが
実現して了ったのである。


去月10月楽しみの日を胸に描きながら
池袋の駅で別れたが、帰隊直後、
わが隊を直接取り巻く状況は急転した。
発信は当分禁止された。
転々処を変えつつ多忙の毎日を送った。


そして今、晴れの出撃の日を迎えたのである。


便りを書きたい。
書くことはうんとある。


然しそのどれもが
今迄のあなたの厚情に御礼を言う
以外の何物でもないことを知る。
あなたのご両親様、兄様、姉様、妹様、弟様、
みんないい人でした。
至らぬ自分にかけて下さった御親切、
全く月並の御礼では済みきれぬけれど
「ありがとうございました」と
最後の純一なる心底から言っておきます。


今は徒に長い交際のあとを辿りたくない。
問題は今後にあるのだから。
常に正しい判断をあなたの頭脳は与えて、
進ませてくれること、信ずる。

ただしそれとは別個に、
婚約をしてあった男性として、
散ってゆく男性として、
女性であるあなたに少し言って往きたい。



あなたの幸せを希う願う以外に何物もない。
徒に過去の小義に拘る勿れ。
あなたは過去に生きるのではない。
勇気を持って過去を忘れ、
将来に新活面を見出す事。
あなたは今後の一時々々の現実の中に生きるのだ。
穴沢は現実の世界にはもう存在しない。


極めて抽象的に流れたかもしれぬが、
将来生起する具体的な場面場面に活かしてくれる様、
自分勝手な一方的な言葉ではないつもりである。


当地は既に桜も散り果てた。

今更何を云うかと自分でも考えるが、
ちょっぴり慾を言ってみたい。




1.読みたい本


「万葉」「句集」「道程」「一点鐘」「故郷」


2.観たい画


ラファエロ「聖母子像」
芳崖「悲母観音」


3.智恵子


会いたい、話したい、無性に。



今後は明るく朗らかに。


自分も負けず朗らかに笑って往く。


昭和20年4月12日


智恵子様


         利夫


*********


これは穴沢少尉が出撃前に婚約者である智恵子さんに綴られた遺書だそうです。


ご覧になられた方も多いと思いますが、以前「戦場のなでしこ隊」というドラマの中でも紹介されました。


TVを通じて智恵子さんが穴沢さんの姪にお会いされ63年ぶりに穴沢さんの軍服と対面される場面で、
顔を埋めて泣かれた姿にはとても涙なしでは観れなかった方も多いのではないでしょうか。


戦争中の若者は学徒動員で国の為に命を差し出さなければならなかった。命は尊いと教えられ平和な現代に生かされている自分には到底理解できないことです。

国の為に命を捧げることが当たり前だと考えられていた時代だったそうですから、現代の日本とはあまりに価値観が違いますよね。



私の祖父も戦争経験者です。
第二次世界大戦で満州の関東軍に出征されました。
そして先祖の方は日中戦争(昭和13年)で中国大陸(多分上海の近く)に出征し、上陸してまもなく銃撃戦で戦死されたと聞かされています。

日本は日清、日露、日中戦争とそれに引き継いで太平洋戦争と明治以降沢山戦争をしました。

自分なりに歴史をきちっと学んでおかなければ現代の事も理解できないのではないか?と私は思います。


平和な時代に生まれてこれたからこそ今、自分たちが在るのは、穴沢さんを初め国の為、愛する者たちの為に多くの人達が命をかけて戦ってくれたからなんですね。。。


*穴沢少尉と智恵子さんをご存知の方
*「群青」「惜別の歌」に心打たれた方
*知覧からの手紙を読んでこれぞ純愛だ!と感銘をうけた方
*ご身内を特攻隊で亡くされた方
*知覧に行かれたことがある方
*この本をきっかけに平和な現代の日本に生まれ生かされていることに改めて深く考えさせられた方
*これから読んでみようかなと思った方

愛する人を大切にしよう、しなければ、いや、しています!!と感じた方も☆






トピックは自由に立ててくださいね^^


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その他、穴沢少尉のことが書かれている書籍

「祖国よ!―特攻に散った穴沢少尉の恋―」
福島泰樹著 幻戯書房

「靖国のこえに耳を澄ませて―戦没学徒十七人の肖像―」
打越和子著 明成社

「今日われ生きてあり」
神坂次郎著 新潮文庫

「若き特攻隊員と太平洋戦争―その手記と群像―」

「特攻基地・知覧始末記」佐藤早苗著 光人社


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キーワード

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