敵も味方も、けものや鳥、魚、貝の類も、皆、浄土にいけますように…
900年前、奥州藤原氏清ひら公の平和への願いが込められた「中尊寺落慶供養願文」。
多くの方々に伝えていきたいという思いからこのコミュニティを立ち上げさせていただきました。
『中尊寺落慶供養願文』
右一音のおよぶ所千界を限らず。
抜苦与楽、あまねく皆平等なり。
官軍夷虜の死事、古来幾多なり。
毛羽鱗介の屠を受くるもの、過現無量なり。精魂は皆他方の界に去り、朽骨は猶此土の塵と為る。
鐘声の地を動かす毎に、冤霊をして浄刹に導かしめん
現代語訳
鐘の音はひびき渡ること限りなく、たちまち皆平等に苦しみを去り、安楽を与える。
官軍や蝦夷の人々が戦乱に死没することは古来幾多あっただろうか。
いや、この地にあっては人だけではなく、けものや鳥、魚、貝の類いも、昔から計り知れないほど犠牲になっている。
霊魂はあの世に去ったが、骨は朽ちて此の世の塵となって残る。
鐘の音が大地を動かす毎に、罪なく犠牲になった霊が浄土に導かれますように。
大矢邦宣著「奥州藤原氏五代」より