明日香野のわらび餅
いつからだろうか
俺は物心ついた頃から、明日香野のわらび餅を食べ、育った
貧乏なころも
裕福だったころも
俺はこれを食べつづけた
学校から帰ってきて
かぁさんがおやつに出してくれた
バイトの帰りにスーパーで買って一人でくってた
いつの頃も一緒
透き通って丸い
みずみずしい
俺はこれからも食べつづけるだろう
俺は一生忘れないだろう
俺のように
このわらび餅で育った奴もいるだろう
そんな俺達には
これを後世に伝えるべきだ
つねに
どの時代でも誰かが覚えているように
あの味をわすれないように
俺達は決して忘れない
例えこのわらび餅がなくなろうと
再び我等は瓦礫の中から立ち上がるだろう
困ったときには