「エル・システマ」とは音楽教育を通じて貧困層の子供たちの健全な成長を図るためのオーケストラ教育システムです。元政治家で経済学者のホセ・アントニオ・アブレオ等の提唱により1975年ユースオーケストラシステム財団(FESNOJIV)が創設されました。
エル・システマ生徒の中には元ストリートチルドレンで麻薬の密売や強盗を経験した者もいますが、こうした者を更生させたり、放課後に子どもたちを音楽に従事させることで犯罪から守る役割を果たしています。実際2歳から50歳までのメンバー25万人から犯罪者がまったく生まれていないこと、逆に犯罪少年をオーケストラに受け入れて厚生させているという報告があり、ベネズエラの首都カラカスでは殺人による死者が都市規模が東京の1/3なのに実に東京の88倍ということを考えると、この34年の間に社会に非常に大きく素晴らしい影響をもたらしたと言えるでしょう。
FESNOJIVは現在ベネズエラに200もの青少年オーケストラを運営しており年間予算は35億円という大規模な物です。またそれは政権が変わっても維持され続け、国家予算が主なる財源ですが独立性も維持しています。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラはその中から選抜されたメンバーで組織されたオーケストラで、来日も果たし大変話題になりました。オーケストラのメンバーは中高生から20代後半の青少年で構成されています。オーケストラ名は南米北部をスペインからの独立に導いた英雄シモン・ボリバルから名付けられました。
FESNOJIVの活動ぶりは早くから欧米に伝わり、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者や楽員の耳に入り、メンバーが無料指導したり、クラウディオ・アバドやサイモン・ラトルといった歴代首席指揮者が実際に客演で指揮もするほどになっています。
オーケストラのメンバーと同様の教育を受けた新進気鋭の指揮者グスターボ・ドゥダメルが、1999年に17歳で音楽監督に就任。バンベルク交響楽団の国際指揮者コンクールに優勝もし、近年ヨーロッパの各種コンサート(2007年BBCプロムス、2008年ザルツブルク音楽祭など)に招かれ、大きな話題となっています。
レコーディングは、ドイツのグラモフォン・レーベルと専属契約を結んだドゥダメルの指揮で、ベートーヴェンの交響曲第5番・7番とマーラーの交響曲第5番があります。
このコミュではエル・システマを評価し、日本の地域社会や、子どもたち、また社会教育にどのように生かして行けるのかなどを意見交換して行ければと考えています。
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