本来在るべき、人間と自然の係わり方。
野生は野生のままに。
自然は自然のままに。
1872年、アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園が、世界初の国立公園として誕生。以後、「風景、自然、史跡、および野生動物を保存すること」を目的とし、世界の自然保護をアメリカが引っぱってきた。
しかし、失敗もあった。
1910年代になると、そのイエローストーンの入園者は飛躍的に伸び、1916年に国立公園局が設立、1956年に制定された10年整備計画により、道路や宿泊施設が整備された。(それでも人間によって影響されたのは1%に過ぎないとされる)
1960年代、国立公園局は入場者を増やそうと考え、客寄せのためにグリズリーやブラックベアの餌付けを行った。味をしめたクマが頻繁に道路に姿を現わし、人間にエサをねだるようになった。イエローストーンは、誰もが簡単に巨大なクマに出会える場所として有名になった。
そして悲劇は起こった。クマに近づき過ぎてケガをする観光客が続出し、公園当局は餌付けを中止。急に食料を絶たれたクマは次々に餓死し、あるものはエサを求めてキャンプ場を襲い、ついには死者も出た。ビレッジのそばに現われて射殺されたクマも多い。こうしてわずか数年で講演のクマの数は激減した。
世界で最初の国立公園の苦い経験は「野生生物は野生のままに Keep the Wildlife Wild」という教訓を残した。
一方で、日本では1931年に国立公園法を制定。1957年に新たに自然公園法が制定された。これにより、自然環境の保護と快適で適正な利用が推進されている。
しかし、“自然公園”の名のもと、“野生動物”への“人間による餌付け”を売りにしているところも多く、イエローストーンの教訓は、残念ながら半世紀経った今も、この日本には定着していない。
〜野生は野生のままに〜
ペットや動物園を非難・否定しているのではない。
保護をして、動植物を育てる方が良いこともあるだろう。
ただ、自然公園だ。自然であるからには、自然に、野生にしておくべきだと考える。
人間による餌付けが行われる「自然公園」とは、矛盾極まりない自然界への侮辱だ。