パトリック・ジュースキント(Patrick Suskind、1949-)。
ドイツのアムバッハ生まれの小説家、ファンタジー作家、劇作家、脚本家。ズュースキントの表記もある。
1985年に発表された長編『香水――ある人殺しの物語』は大ヒット作となり、日本語を含む23カ国語に翻訳された。
映画『悦楽晩餐会――または誰と寝るかという重要な問題』(監督:ヘルムート・ディトール、1996)の脚本も担当している。
ほかに『コントラバス』、『鳩』、『ゾマーさんのこと』などが翻訳出版されている。
●代表作『香水―ある人殺しの物語』の紹介文
舞台は18世紀のフランス。町は汚穢(おわい)にまみれ、至るところに悪臭が立ちこめていた。そこに、まったく体臭のない男がいた。男にないのは体臭だけでない。恐ろしく鋭い嗅覚と、においへの異様なまでの執着以外に、男には何もなかった。
物語は至高の香りを求めて、めくるめくにおいの饗宴が繰り広げられる。ドアノブのにおい、石のにおい、花の香り、動物のにおい、果ては目立たない人のにおいに至るまで、ありとあらゆるにおいが立ちこめる。登場人物も、究極のにおいの美少女以外は、主人公も含めて恐ろしくグロテスクである。まさしく魑魅魍魎(ちみもうりょう)。裏道、闇、疫病、屠殺、汚濁…にもかかわらず、なぜ本書からは恐ろしく魅惑的な香りが立ちのぼってくるのだろうか。
パリには複雑で洗練された味わいがベースにあるように、生ハムやチーズのすえたようなにおいが鼻を突いても、この町で、人を引きつけてやまない魅力がグロテスクなのかもしれない。ストーリーも舞台も登場人物も、実に巧妙に展開している。一度手にとるとテンポよく、一気に読んでしまう。読者は主人公とともに限りなく奥深い嗅覚の世界をさまよい、陶酔させられることだろう。
映画「パフューム ある人殺しの物語
(Perfume The Story of a Murderer)」
監督:トム・ティクヴァ により、映画化。
ドイツは9月14日より公開。
「Das Parfum」公式HP
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予告編
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