2009年の第一回目に続き、この夏、堂島リバーフォーラムでは「堂島リバービエンナーレ2011」を開催いたします。アートをさまざまな分野とつなげることで、新たなアートの地平を浮かび上がらせていきます。
第一回目では、南條史生氏(森美術館館長)をアート・ディレクターに迎え「リフレクション:アートに見る世界の今」という展示を行いました。グローバル社会の中で、金融危機や地域紛争、貧困問題など、社会の諸相を提起する、世界各国からのアート作品が並び注目を集めました。
第二回目の今回は、飯田高誉氏(青森県立美術館チーフ・キュレーター)をアーティスティック・ディレクターに迎え 「ECOSOPHIA(エコソフィア)」と題した展示を行います。3月の大震災を厳しく受け止め、これからの地球のあり方を、建築とアートというテーマのもとに自然環境、社会環境、人間の心理の3方向から考察する場となります。
「ECOSOPHIA」にはエコの哲学を実践する惑星、という意味がこめられており、地圏、水圏、気圏という領域で未来に向けての地球のヴィジョン、新たな自然観、世界像を指し示す空間を会場全体で見せていきます。
堂島リバーフォーラム プロデューサー 古久保ひかり
日本人はもとより自然との対峙ではなく、共生を目指していました。経済的効率や画一的なスタンダードの追求が過多になりがちな、グローバル化が進みつつある現代こそ、建築とアートに新たな審美的価値創造という大きな役割が課せられていることでしょう。
本ビエンナーレでは、今は亡きフランスの哲学者フェリックス・ガタリの提唱した「エコゾフィーの実践」を建築家とアーティストの役割において想定していきます。エコゾフィーとは、環境の生態に止まらず、心や社会の生態を組み合わせた考察という意味の造語で、環境の危機に対する真の答えは、事象を地球規模でとらえ、有形無形の財の目標を再設定し、これまでの規範を越えた文化的な活動を行うという考え方です。この文化的活動は目に見える諸力の関係だけでなく、感性、知性、欲望の領域にも関わりを持つことになるでしょう。
建築家/アーティストと社会を繋ぐことによる、環境と社会の諸関係、人間的主観性という三つのエコロジー的領域への第一歩を、本ビエンナーレで表現して参りたいと思います。
アーティスティック・ディレクター 飯田高誉
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