村上春樹『ノルウェイの森』下巻より
「君が大好きだよ、ミドリ」
「どのくらい好き?」
「春の熊くらい好きだよ」
「春の野原を君が一人で歩いているとね、向こうからビロードみたいな毛なみの目のくりっとした可愛い子熊がやってくるんだ。そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と子熊で抱きあってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ。そういうのって素敵だろ?」
「すごく素敵」
「それくらい君のことが好きだ」
このくだりが好きな人の為のコミュ二ティです。