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マセラティ MC12

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詳細 2017年4月21日 11:41更新

【概要】
マセラティはエンツォ・フェラーリをベースとしたマシンをFIA GT選手権に導入する予定だったが、諸事情でキャンセルし、代わりにエンツォの構成部を流用したレースカーを開発することにした。当初レースカーの名前は「MCC(Maserati Corse Competizione)」で、のちに「MC12」と改められ、2004年(マセラティ創立90周年に当たる)のジュネーブショーで発表された。

シャーシはカーボンモノコックを基本とし、ノーメックスハニカム構造を採用している。また、安全のためにロールケージを備えている。サスペンションはダブルウィッシュボーン式を採用し、フロントのみ車高などをボタンで調整できる。ブレーキはブレンボ製でドリルドディスクに前6/後4ピストンキャリパーを装備。また、ボタンにより「スポーツ(通常モード)」と「レース(TCSをオフにした状態)」の2つのモードを選択できる。

ボディはフランク・ステファンソンの設計によるもので、全長5,143mm、全幅2,096mm、全高1,205mmと、エンツォよりサイズが拡大されている。ボディはカーボン製で、着脱可能なルーフを備えている。ウイングは固定式で、角度の調節は出来ない。重量配分は前41%:後59%である。ボディカラーは「Bianco Fuji」と呼ばれる、マセラティブルーとホワイトのツートンカラーのみしか存在しない。このボディカラーのネーミングは、日本の富士山に由来している。

エンジンは、エンツォ用のエンジンをベースとした6.0L V12 DOHCエンジンを搭載。最高出力は632PS/7,500rpm、トルクは66.5kg・m/5,500rpmを発生し、0-100km/h加速3.8秒、0-400m11.3秒、最高時速330km/hという高い性能を発揮する。ミッションは「カンビオコルサ」と呼ばれる6速セミATで、ギアチェンジの時間はわずか0.15秒と言われている。ハンドル横のパドルシフトで操作を行う。

ホモロゲーションモデルであるにもかかわらずインテリアは豪華で、マセラティブルーに染められたレザー、アルミ・カーボン素材で構成され、シートはスパルコ製のセミバケットシートを採用している。センターコンソールにはイグニッションボタンと、マセラティではお馴染みの楕円形のアナログ時計に加え、車名・シャーシナンバー・オーナー名がローマ字で刻印されているプレートがついている。なお、エアコンは装備されているが、カーステレオはない。

MC12は1台約1億円といわれ、2004年に30台(うち5台は販売用ではない)、2005年に25台が生産された。なお、日本においては保安基準に適合しない(ルームミラーが無い・巨大過ぎるリアスポイラーなど)ため、ナンバー登録して公道走行はできない。

【MC12ベルシオネコルセ】
2006年のFIA GT選手権のドライバー・チーム優勝を記念して、2006年12月のボローニャモーターショーで発表された、MC12の限定モデル。

755PSまで強化された6.0L V12とカンビオコルサを採用し、最高時速は323km/h、0-200m/h加速は6.4秒というポテンシャルを発揮する。ボディカラーは「ブルービクトリー」のみだが、顧客の要望にも応じるという。

MC12ベルシオコルセは限定12台、1台100万ユーロ(約1億5300万円)で発売されたが、ヨーロッパの安全基準や排ガス規制を満たしていないことから、公道を走ることは出来ない。なお日本ではKRH社長の青山光司氏が1台所有しており、富士スピードウェイでプロドライバーが走らせると1分30秒を切るタイムでラップするとのことである。

【レース活動】

FIA GT選手権で走行中のMC12(ヴィタフォンレーシング)
【FIA GT選手権】
2004年、MC12のレースカー「MC12 GT1」3台がFIA GT選手権のGT1クラスに出走、イモラ・サーキットでのレースがデビュー戦となり、2位と3位でフィニッシュ。次のオッシャースレーベンでのレースは、Andrea Bertolini/ミカ・サロ組が初の1位を獲得。最終戦ジューハイでは、MC12が1位を獲得し、総合7位でその年のレースを終えた。

2005年、FT1クラスでヴィタフォンレーシングがチームタイトルを、JMBレーシングが総合2位を獲得。ドライバーズランキングでもヴィタフォンレーシングチームのミハエル・バーテルス/ティーモ・シェイダーが2位になっている。

2006年、MC12で参加したチームはヴィタフォンレーシング(ミハエル・バーテルス/A・ベルトリーニ)のみだったが、ドライバーズカテゴリでシーズンタイトルを獲得し、チームも総合優勝を果たした。


【SUPER GT】
2006年シーズンにチーム郷が、マセラティ社の協力のもと「STILE CORSE」(スティーレ・コルセ)と言うチーム名で、まったく新しい体制でSUPER GTのGT500クラスにMC12で参戦する予定だった。多くのファンの期待を集めていたが、マシン開発が間に合わなかったなどの理由で参戦を見合わせた。

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