映画『イノセント・ボーイズ(原題:THE DANGEROUS LIVES OF ALTAR BOYS)』 のコミュニティです。
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解説:フランシス・ドイルは厳格なカトリック系ジュニアスクールに通う14歳の少年。親友ティム、ウェイド、ジョーイと共に、この保守的な学校でエネルギーを持て余していた。フランシスは最近付き合い始めたばかりのマージーに夢中になっていた。また、自分たち4人のヒーローが、校長のシスター・アサンプタを悪のボスに見立ててやっつける内容のコミックを描いて楽しんでいた。しかし、そのコミックが校長に見つかり、停学処分になってしまう。フランシスら4人は、学校に仕返しをするため、あるイタズラを実行するのだったが…。(allcinema ONLINE)
「イノセントボーイズ」尼ゴジラと戦うカトリック系中学校の少年たちの危険な生活
大人への階段を上る少年たちの物語。邦題の響きから、甘くノスタルジックなものを想像するかもしれない。が、この作品は『スタンド・バイ・ミー』タイプの映画ではない。原作は、31歳で夭逝したクリス・ファーマンの自伝的小説「放課後のギャング団」。初監督のP・ケアは普遍的な少年期のある「現実」を、ストイックな姿勢で映し出してみせる。 主人公は、'70年代のカトリック系学校に通う14歳の少年2人。彼らの敵は、厳格で威圧的、独裁者のような「尼ゴジラ」ことシスター・アサンプタ(製作もしているJ・フォスター)。親友同士のフランシス(E・ハーシュ)とティム(K・カルキン)は、フラストレーションになんとか対抗しようとあがいている。大人びたティムはシスターによれば「冒涜的で、危険な」ウィリアム・ブレイクを敬愛。フランシスは玄人はだしのヒーロー・コミックに不満のはけ口を見つけている。フランシスは同級生の少女(J・マローン)に恋するが、彼女の秘密は彼にさらなる混乱をもたらすことに。そしてティムは刺激を求め、仲間を巻き込んで危険ないたずらを実行しようとする。
ここにいるのは典型的な『大人は判ってくれない』世代。シスターは(少々書き込み不足だが)、実は悪人ではなく、少年たちにとっては行きたい道を「通せんぼ」する大人そのものだ。少年の内面を、ナレーションで語らせないのがいい。フランシスが描く、ダークでグロテスクなコミックのアニメーション(『スポーン』のトッド・マクファーレンが担当)で表現しており、これが実に効いているのだ。この映画の潔いところは、少年たちに共感はさせても美化しない点。彼らは背伸びしていても未熟であり、その未熟さが、苦さにつながっている。(若林ゆり)
(PREMIERE)