江戸の郊外、巣鴨・染井でオオシマザクラとエドヒガン系のコマツオトメの交配品種「染井吉野(ソメイヨシノ)」が誕生してから約200年。
現在、私たちが目にすることのできる立派なソメイヨシノは、昭和天皇の即位や戦後の復興のシンボルなどとして植樹されたものが多く、その樹齢は50年以上経っています。
一般にソメイヨシノの寿命は60年と言われていることから、近年、日本中のソメイヨシノが一斉に見られなくなるのではないかという極論まで出てきています。極論はともかく、いまがソメイヨシノにとってひとつの時代の節目にさしかかっていることだけは間違いありません。
花見と称して単なる馬鹿騒ぎをするのではなく、桜の樹の下で宴を催す時もソメイヨシノの根を傷めないか気遣い、またソメイヨシノの寿命を縮める花見よりも少し距離を置いて離れたところからソメイヨシノや他の桜を眺める、愛でる、見守ることを第一義に考える方のコミュニティです。
サクラ(桜、櫻)はバラ科サクラ属の植物の内、ウメ、モモ、アンズなどを除いた総称。古来より日本人には梅と共に親しまれ、春には白色や淡紅色、濃紅色の花を咲かせる。また種類によっては冬に咲く桜もある。果実(サクランボ)は食用とし、花や葉も塩漬けなどにして饅頭などさまざまな食品に利用される。
サクラには園芸品種が多く、特に江戸末期に開発されたソメイヨシノ(染井吉野)は明治以降、日本全国に広まりサクラの代名詞となった。自然種としてはヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンなど10種ほどが認められており、日本国内では固有種・交配種を含め600種以上のサクラが自生している。
◎ソメイヨシノ
和名 ソメイヨシノ
学名 Prunus x yedoensis Matsumura
分類 被子植物門 双子葉植物綱 バラ亜綱 バラ目 バラ科 サクラ属
名前の由来
江戸の染井村(現在:東京都豊島区駒込)にいた造園師や植木職人たちによって育成され「吉野桜」として売り出されていた。藤野寄命の調査によりヤマザクラとは異なる種の桜であることがわかり、1900年(明治33年)日本園芸雑誌において「染井吉野」と命名された。
特徴
ソメイヨシノは数百年の古木になることもあるエドヒガンやヤマザクラに比べてはるかに寿命が短く、一般には60年と言われている。短命の原因ははっきりしていないが「ソメイヨシノは成長が早い分、老化も早い」という説がある。また排気ガスなどで傷みやすい場所や公園といった根元を踏み荒らされやすい場所に植樹されているということも、寿命を縮める原因ではないかとも考えられている。