名古屋建築会議(NAC:Nagoya Architectural Conference)は、
中部国際空港の開港や愛知万博などを目前に控えた2002年の冬に、
大プロジェクトの話題だけが先行しながらも、
閉塞的な名古屋の建築状況に疑問を抱いた数人の呼びかけがきっかけとなり、
名古屋で活動する若手の建築家、批評家、研究者、教員、行政職員、
アーティスト、学生等が、名古屋に関して自由に語り合えて、
集まれる「場」として始められた。
そこで共有されているのは
「ポテンシャルを発揮しきれていない名古屋の現状を把握し、
それに対してアクションを起こすこと。」や
「建築・町並み・街づくりを通じて名古屋を面白くする(活性化する)こと。」
といった意識であり、
地域の人々に対し、さらには全国へ向けて、
名古屋という都市に関する情報や提案を発信し、
名古屋の建築や都市景観への意識を高め、
議論の契機となるような活動を目指している。
これまでの活動は、リサーチ型と提案型に二分する事が出来る。
リサーチ型の活動は、「大名古屋論」と称し、
あいまいな名古屋の都市像をフィールドワークによって明らかにして行く試みを、
「ダンボールハウス」「パラサイトアーキてくちゃ」
「ヴォイド・シティ」「アングラ・シティ」など、
名古屋の都市を構成するものをテーマとして取り上げて、
雑誌「10+1」(INAX出版)31−34、36号で連載した。
一方の提案型の活動では「大名古屋論」のテーマに対して
「パラサイト」という方法で作品を制作する展覧会
「大名古屋展」を、愛知芸術文化センターを会場とし、2003年冬に開催した。
また、都市の中に遍在するポテンシャルを生かし切れていない場所に着目し、
そこに依頼されてもいないのに「勝手に」提案をしてしまう
「勝手にプロジェクト」と称した活動もある。
一般市民や土地の持ち主・管理者、行政などにプレゼンテーションすることで、
現在の都市のあり方を考える契機とし、
「円頓寺商店街活性化プロジェクト」、
「どんぐりひろばプロジェクト」
などが現在進行中である。
2004年からは、横のつながりが極めて少ない名古屋圏の大学や学生に
刺激を与えようという趣旨から、
ゲスト審査員を招いての東海地区の卒業設計合同展覧会・講評会を主催している。
その他、名古屋を活性化するために、コンペ、講演会、シンポジウム、
展覧会、雑誌掲載など様々な活動を展開中である。