男は誰しも若いころは年上の女性に憧れるものです。
この小説の主人公、山口ツトムは年上の未亡人、佐伯 伽耶と出会い彼女からレッスンを受ける。
車、ファッション、ゴルフ、セックス、マナー、そして人生の死のことまでも彼女は教えていく
佐伯 伽耶の生徒という関係は、複雑で衝撃的な恋愛小説である。
山口ツトムは佐伯 伽耶にとって、愛人でもなければ友達関係でもない。ましてや恋人でもない。
山口ツトムは佐伯 伽耶のレッスンによって男として成長を遂げていく。
また、教える側の彼女も若い男によって年を重ねていく悲しさを忘れていく。
彼女は、形あるものはできあがっていく過程ではなく、崩れ落ちていく時が文化なのだといった。
そして二人が最後にたどりついたところがフィレンツェ。
二人の素敵な人物に加えフィレンツェという芸術家たちの愛した土地。そしてこの作品が持つ独特な雰囲気の3つの素晴らしい調和があるからこそ魅力的に感じるのだろう。
男なら誰しも佐伯 伽耶という女性にめぐり逢いたいと思う。だろうし、女性なら佐伯 伽耶のような大きな世界観をもつ女になりたいと思うのではないか。
『レッスン』という本は静かな感動を与えてくれます。
困ったときには