数ある大阪の街道の中で、遣隋使も派遣された住吉の港に創祀され又建立された住吉大社・四天王寺を中心とする大阪南部の街道は歴史上非常に大きな文化的および経済的役割を果たしている。
しかし現状は、大阪南部から和歌山県に向かっては、ごく一部の地域を除いては、日本の現代史の中で、時間が静止した状態のように見える。
ここに大阪を出入りする街道を『なみはや街道』と総称し、その地に生きて歴史を刻んだ方々の情熱を、これから私たちが創る、新しい歴史の礎として、現代の生活空間を変える原動力に、学習させていただこうという思いで《なみはや街道平成絵巻》事業を実行させていただきます。
初年度は大阪から堺へ延びる路面電車<阪堺電車>沿いの『なみはや街道』すなわち西成区恵美須町駅から堺市浜寺駅前駅までの阪堺電気軌道阪堺線は「紀州街道」、阿倍野区天王寺から我孫子道および住吉公園行きの上町線は「熊野街道」を走行しており、又大阪および堺からは河内長野へ向けて下高野街道、西高野街道が続いており、その沿線の歴史資産と伝統技術産業を生かして、南大阪の再生の原動力いや牽引力の第一歩として事業を始めます。
?人の往来は、大阪市内から堺・河内長野への方向と、和歌山・大阪南部から北へ、とりわけ関西国際空港からすなわち海外からこの地に訪れた方々にも、《なみはや街道平成絵巻》を楽しんでいただくことが、重要であると考えます。
?阪堺電車で地上のひと駅ひと駅の、商店街、名所旧跡、伝統の味と技を楽しみ、随所に点在するオープンカフェで一服しながら、市民とのふれあいの小旅行を味わっていただく。
?そのためにも、この「街道」の出発点ともいえる天王寺・阿倍野地区は仏教伝来の地「四天王寺」や「安部野晴明神社」「住吉大社」さらには堺から河内長野に存在する世界遺産級の、すごい歴史的資産をもっと有効に観光資源として活用する必要があります。
?同時にまた近隣の商店街を含めた周辺地域、対象地域への表示・案内・誘導がまったく行われていないという現状があります。
?歴史と伝統のメンタルシティー天王寺・阿倍野地区に対して堺は鉄砲や刃物といった当時最先端のまさに技能による伝統の町であり、河内長野には楠正成を筆頭に権力におもねず忠を大事にした生き様のシンボル都市というこの三つの地域は、「心」と「技能」と「志」いう人間が向上してゆくためにもっとも必要な3つの対局の要素が裏づけされる町であるといえます。
?ちなみに天王寺駅周辺で言えば、年間を通じて他の地域から訪れる高齢者の数は日本一でありますが、そのうちの90%が参拝のみで帰ってゆき、宿泊はおろか、回遊する人もいませんし回遊のための施設も仕組みもありません。
「なみはや街道平成絵巻」の目的は、この南大阪地域全体の発展への息吹を持続性のあるものにするための「魂」部分の注入(ソフトウェアの開発)にあります。千年以上もの間持続している「寺院」や「神社」は単に宗教的な意味だけでなく生活・暮らしと歴史と文化という人間の根源的な生命力の源泉とも言えるものがあります。ソフトのインストール、気づき・復活は地域住民の行うものです。そこでJR天王寺駅周辺から地上数百メートルに上りたつ巨大なビルが繁栄と発展の中心線になるとしたら四天王寺〜住吉大社〜浜寺公園を結ぶ路面電車(阪堺線)さらには河内長野まで続く高野街道という地面を底辺にしたひとつの巨大な三角形(なみはやトライアングル)が出来上がります。それはあたかも日本一の高層ビル(科学と技術の進歩)を日本一の寺院と神社(人と人の心のつながり)が見えないロープで支えているという構図にも見て取れます。
様々な開発事業を、周辺商業者は商圏拡大のチャンスと捉え、住民はこころと暮らしの豊かさを享受できると考え、産業を含めた事業者は大きなビジネスチャンスと捕らえることによって、そしてまた全員が、地球環境にやさしい結果を創り得るチャンスが与えられた捉え、持続性のあるものに参加者それぞれが自身のアイデアで拡大してゆく事業であります。
したがってコンソーシアムの参加者も多岐に渡り、宗・民・産・官・学・医・商・農・工・漁のそれぞれすべてがWIN―WINの関係を継続し、持続させることが本来の目的となります。最先端技術の駆使は人と人とをつなぐ「心」を加えることによってのみサステナブルな(持続可能な)発展を可能にできることを実証することが目的です。
そのための観光資源として、まず「教育」を、すなわち何千年という歴史ある住吉大社、四天王寺を始めとする数々の「心の建造物」を貴重な資源とさせていただきます。
「健康」を第二に取り上げます。この地域に長期滞在するほどに「健康」が実現し、「健康」でいるためのノウハウが苦痛なく(つまり楽しく)享受できる街づくりを現実のものにする日本で始めての試みといえます。そして「健康」という漠然としたものに「見える化」を行い、数値モデルを設定し、予定と目標を設定し「科学的根拠にもとづいた「健康」を地域産業として育成し発展させるためのビジネスモデルを確立する。
第三には「伝統」です。もともと古代には半島であった上町台地ですがその故もあって大阪のルーツとも言えるわけです。伝統の食や衣・住とそれを継承してきた伝統美、伝統芸、伝統の技術それらを「なみはや街道」という名でくくり、「心」のよりどころとして、あるものは復活させ、あるものは発展させ、あるものはお互いに融合させながらビジネスとして現代によみがえさせる事業を展開させてゆきます。
第四は「環境」です。環境への取り組みを地域全体で取り組み、いわば地域全体を「環境」というテーマでデザインし、社会貢献しながら地域環境を整え、しかもその事業自体のビジネスモデルを確立する。
第五は「コミュニティ」です。再開発は建物を建てて終わりではありません。そこから始まるわけです。人と人とのつながりを可能にするシステム作りとその輪の広がりがあって初めて「成功」が勝ち取れるわけです。この地域でのコミュニティーのキーワードは「老人」と「子供」です。
どなたの参加も可能です。
企業・団体ばかりでなく、個人の方の参加もお待ちしています。