みどころ
「水曜スペシャル」の第一弾は、聴覚障害のある夫婦とその一人息子が前向きに明るく暮らす姿に密着した家族のヒューマンドキュメンタリーを放送する。
TBSでは1992年から97年にかけて聴覚障害のある夫婦、高島良宏さん、久美子さんがトライアスロンに挑戦するドキュメンタリー『風の歌が聴きたい』を放送した。この番組は温かい感動を呼び、同名のタイトルで大林宣彦監督の映画にもなり、多くの人が家族の存在を知ることとなった。
あれから11年。再び高島ファミリーにカメラが密着取材することになった。夫婦は共に46歳、息子の怜音(れお)君も14歳。聞くことと話すことができない父母が愛情を持って育てた子どもはどのように成長したのだろうか…。
過去の取材テープと最新映像を織り交ぜながら家族の16年間を振り返る。
ナレーションを担当するのは高岡早紀。二児の親でもある高岡が母親の目線で優しく語りかける。全国には27万6000人の聴覚障害者がいるという。音のない夫婦の世界をより深く理解してもらうために演出として放送中無音状態を作り、視聴者にも夫婦の感覚を体験していただく。
▼内容
聴覚障害のある高島良宏さんと久美子さんは、福島と函館のろう学校にいる時に文通で知り合った。今のようにパソコンが一般には普及していない時代、お互いの声を聞くことができない二人は手紙で愛を語り合い、共に23歳で結婚する。
1992年、二人はトライアスロンに出会う。過酷な競技に挑戦しながら得られる充実感。生きることの喜びを体感するのに、障害のあるなしは関係ないと気付いていく。
1994年には久美子さんが出産。夫婦は永遠の憧れである「音」の字を名に入れて子どもを怜音(れお)と命名した。わが子の泣き声さえ聞くことができない夫婦の試行錯誤の育児が始まった。言葉を教えられない夫婦は子どもを保育園に通わせる。子どもは自然に言葉と手話を使うようになり、コミニュケーション力を身に付ける。
そして2008年。今回の番組取材のため、スタッフは再び高島家を訪れた。だがそこには、障害を乗り越えて子育てに向かっていた仲のよい家族の姿はなかった。思春期の微妙なすれ違いが家族を離れ離れにしていたのだ。
家族は互いを見つめるため、トライアスロンが行なわれる宮古島に向かう。かつて父母が懸命に挑戦した競技を始めて目の当たりにする息子。選手たちに声援を送りながら家族はそこに何を感じるのだろうか…。
困ったときには