Annette Lemieux(アネット・レミュー)
現代美術の作家達が操るトリニタリアン(三位一体論)的三つの技法ー絵画、彫刻、写真ーの境界を消滅させようと苦闘するユニテリアン(一神論者)で、また、事例の順列・組み合わせに没頭するケージ派の置換主義者でもある。種々のメディアを統合して、イメージ、風景、事件に係わる映画的連続体を造ってしまうのである。これらの要素はアジテーションとプロパガンダの攻撃的感覚、映画記録(゛写真的回想″)、アニメーションの断片(ダダイズム的作品)、重々しさと真面目さ(写真目録;黒の使用)、文学の象徴的偶像化(忘却、無名、それに忘却された無名、を示すスカルプチャアとしての実物の本を使って)、アンティークな舞台装飾(鋳造物、時代の家具、古い写真の連続使用)をそれぞれ結びつけるものである。
レミューは写真に憑かれている作家であり、献身的なモラリストでもある。さらに教訓話の語り手、教育者、カモフラージュされたフェミニスト、醒めたミニマリスト、思索するノスタルジスト、アメリカの弁明者であり、また、かの、偉大なニューイングランドの詩人・作家・政治家・神学者たちの(あまり正統的でない)一員として、理性的なリベラリストでもある。
人間は誰しも半分だけが自分自身で、あと半分はその表現にすぎないことを、アネット・レミューの作品は証明している。
困ったときには