<第138回直木賞受賞作品>
狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂
消費されて終わる恋ではなく、人生を搦めとり、心を縛り支配し、死ぬまで離れないと誓える相手がいる不幸と幸福。
優雅で惨めで色気のある淳悟は腐野花(くさりのはな)の養父。物語はアルバムを逆から捲るように、二人の過去へと遡る。震災孤児となった十歳の花を若い淳悟が引き取った。空洞を抱え愛に飢えた親子には、善悪の境も暗い紋別の水平線の彼方。そこで少女を大人に変化させる事件が起き……。黒い冬の海と親子の禁忌を、圧倒する恐さ美しさ、痛みで描ききる著者の真骨頂。
桜庭一樹
<受賞> 1971年7月26日生まれ。鳥取県出身。99年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』と改題)で第1回ファミ通えんため大賞(現・エンターブレインえんため大賞)佳作に入選し、作家となる。
〈作品〉『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』2004年富士見書房刊。『少女には向かない職業』05年東京創元社刊。『少女七竈と七人の可愛そうな大人』06年角川書店刊。『赤朽葉家の伝説』06年東京創元社刊=第60回日本推理作家協会賞受賞=第137回直木賞候補。『青年のための読書クラブ』07年新潮社刊。
冒頭3行で、読むのがもったいなく思えました。
あ、淳悟が、豊川悦史に思えてしょうがないのは私だけでしょうか。。
困ったときには