0歳〜7歳の子どもは「神のうち」と言われ、大切に育てないと、神さまに持って行かれますよといわれる子育ての智恵が日本にはありました。シュタイナーの子育ての目安の中にも、0歳〜7歳を身体づくりの時期として大切ないのちの基礎づくりの時としています。
産業革命前の時代の子ども達は、貧しい家計を助けて、炭抗の地下道を這いずりまわっていました。日本でも丁稚奉公や、子守り、あるいは遊郭に売られるという悲しい状況が戦前まで農村には続いていました。現代の日本は“物”が豊かになり、人工の8割強が戦後生まれとなり、社会の機構の上層部に若年の30代〜40代が目立つ様になりました。金銭的な余裕が出てきたからか、あるいは時代の変化のサイクルの40年目が過ぎたからでしょうか、行きつく所から変化が見られる状況が目につく様になりました。
特に14歳までの子ども達の「こころ」に異状が目立ち、「神の子」の時代を生きる乳幼児の世代には、舌が動かない、手指が動かない、目、鼻の異状を訴える子どもが多くなり、遂に、アトピー体質の子どもが2〜3人に1人の割合となってしまいました。GNP世界第二位と言われた繁栄は明治、大正生まれの母親達の丈夫な身体と強い意志力が、平均5〜6人の子どもを産み育てることによりその偉業を成し遂げたと言えるでしょう。家庭の安定から民族の安定までの礎であるヒトづくりは、女の役割であることが知らされます。
特に戦後、途切れてしまった「子育て文化」と「長老文化」の復活と、新しい科学により裏づけられた様々な知識も、これらの智恵に加えて、よりわかりやすい宇宙観、人間観が再構築される必要性を感じています。マクロビオティックの実践哲学の中にはこれらのニーズを満足させてくれるとてもシンプルな法則があります。そしてあらゆる分野に指標を示す役割を持っていると言えます。
産業学のはじめの部分である、三つ子の魂の育つまでを母親と生活する時代とすれば、4歳以降、概念の育つ時から父親とも出会う時として、双方の感受性をひきつぐ大切な出会いとする新しい子育て文化を創りあげていきたいものです。
植物の双葉の芽が、あの大きな樹木に育つ過程を見ると、ヒトのいのちも双葉の時代である乳幼児期をやさしく母の愛で育み、少年期からたくましい父親の波動で育て鍛える方法が理にかなっている様に思います。唯、玄米を食べてさえいれば、子どもは育つという表現の裏に、沢山の子育てに必要な要素が含まれているといえるでしょう。
各国、各地に伝わる子育ての智恵も参考にしながら、21世紀を生き残るヒトづくりを少しずつ模索していこうと思います。
困ったときには