メンフィスのストリートで、しがない「ぽん引き=“ハッスル”」として日々の生計を立てているDジェイ(テレンス・ハワード)には、かつては大きな夢があった―言葉を自在に操れるという天賦の才能に恵まれていた彼は、プロのラッパーとしてデビューすることをずっと夢に思い描いていたのだ。だが、そんな夢もどこへ消えてしまったのか、現在のDジェイは、わがままばかり言っている売春婦たちを抱え、無力感が支配するメンフィスの裏通りで、希望のない毎日を送っていた。
そんなDジェイのもとに、思いがけないチャンスが回り巡ってくる。同じ街の出身でありながら、今ではプラチナ・セールスを誇る人気ラッパーのスキニー・ブラック(クリス・“ルダクリス”・ブリッジス)が、メンフィスのクラブで凱旋公演を行なうという噂を、クラブ・オーナーのアーネル(アイザック・ヘイズ)から聞き出したのだ。もし彼にデモ・テープを渡して、そのサウンドを気に入ってもらえれば、はるか昔にあきらめてしまっていたプロ・デビューの道が切り開けるかもしれない!
最高のデモ・テープを作り上げるべく、Dジェイは、即席でサウンド・チームを結成する―その中心となるのは、Dジェイの旧友で、妻の反対を押し切ってまで、このプロジェクトへの参加を望んだサウンド・エンジニアのキー(アンソニー・アンダーソン)と、そのキーの知り合いで、白人でありながら、最新のヒップホップ・サウンドに精通しているビートマスターのシェルビー(DJクオールズ)だ。Dジェイの熱意に心動かされ、これまでは自分の体を売ることでしかお金を稼いだことのなかったシャグ(タラジ・P・ヘンソン)やノラ(タリン・マニング)も、いつしか3人といっしょになって、レコーディング作業にくわわっていく。
だが、これまで本格的なレコーディングなど経験したことのない彼らの前には、数々のトラブルが待ち受けていた。幾度も弱気になりながら、ストリートでの自堕落な生活を抜け出し、人生のラスト・チャンスをものにするために、力を合わせて奮闘していくDジェイとその仲間たち―彼の夢と希望を乗せたビート&フロウは、果たして……?
困ったときには