そんな夜に窓をあけた午前4時すぎの夜空は青いブルーをしてて
鼻をくすぐる冷たい風が左下から右がわにかけて洗濯物をゆらしてる。
懐かしい匂いがするんだ、
この匂いがしはじめるとメロゥのことを思い出す
あの日眠らせた羊のこと
あ。そうだ、
その羊のはなしをしよう。
こんな夜空の日にとても似合うから
こないだのことのようなそんなおはなし
ある日ね、僕は着慣れたカーキのジャケットで駅にきた。
握りしめた切符が冷たいしまだ空は紺色で改札口にだって誰もいないそんな夜明けまえでさ、たまらず僕は待合室に入ったんだ。
ふたつあるうちのひとつだけストーブが焚かれてて、少し影のうすい誰かもその待合室の四角くかこまれた木製だかなんだかの椅子に座ってた。
僕は斜めに見るように座ってポケットにしのばせた飴玉をふたつころころ遊ばせながら午前7時すぎの特急列車を待っているところ
そういえばその駅までのとちゅうひどく眠そうな羊に出くわしたんだ。
寒いのがやけに辛そうに見えて僕は羊を撫でて眠らせてあげた、僕はその羊に"メロゥ"という名をつけたんだ何気なくね、メロゥはなんだかずっと前から僕のこと知ってるみたいでよく懐いてくれた。
だからってわけじゃないかもしれないけどね眠らせてくれたお礼にってメロゥは飴玉をくれたんだ、いやそんな気がしただけなんだけどさそれをポケットに入れて僕はまた歩きはじめた。列車に間に合わなくなっちゃうからねそれに、急ぐのなんて苦手なんだよ。
振りかえると羊がなだらかにくゆる坂道のとなりですやすやと埋もれて眠ってる、見慣れたはずの景色がこういうときやけにそつなく見えてさ
そういう気持ちをどんなふうにすればいいだろうって通るたびに思うんだ。
しんとする待合室に午前7時すぎの列車のベルがやっと届いた。
吐き出す白い息はすぐに消えて僕はメロゥのことを思い出した、
待合室にいた影のうすい誰かもいつの間にかいなくなってて、僕は切符にハンコをつけてもらってから一番ホームでもう一度夜空を見上げたよ
そんなおはなし、
今でもあの日あの場所で眠らせたメロゥは
きっと居てくれてる
そう信じて、メロゥのことを思い出しながら、
いまベランダから夜空をみているよ
僕がちゃんと起こしにいくから
そこに居てね忘れないでね
さびしくったって泣かないでメロゥ、