ヒュー・トレイシーは50年代にアフリカ各地でフィールドレコーディングを行った。記録目的だけでなく音楽への愛情を感じさせる音楽的に充実した内容であること、さまざまな地域の音楽が録られていること、録音のクオリティが極めて高いこと などの点から、彼の遺した仕事は不滅の価値を持っている。
50年代後半は60年のアフリカの年に向けて、アフリカ各国が近代化の波に翻弄された時期。この時期を境に大きく変貌した音楽も多いことだろう。また、その一方で、40年代後半にテープ録音が実用化され、旅先でも高音質な録音をすることが可能となった。そう考えると、50年代というのは、アフリカ民族音楽の劇的な変化と録音技術の急速な進歩とがクロスする、絶妙のタイミングであったといえる。
現在、彼のたくさんの作品を国内盤で容易に手に入れることができる。この機に、ヒュー・トレイシーについてや、どの録音が良かったなどの話はもちろん、広くアフリカ音楽一般についてお話・情報交換しましょう。