シミュレーション客船　希望号

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詳細 2010年3月3日 19:34更新: 　「希望とは」
　希望とは必ず良くなる。
　夢は叶う
　奇跡だって起こる
　そう信じること。　　　
　　　　　　　　　　葉　祥明

その船は、港の沖のブイに繋留しながら静かに出港の時を待っている。
新世界へ旅する人々を乗せる栄誉に、彼女は喜びを感じながら。
船名は『希望号』・・すこし色あせた白い優雅な船体を朝靄に包まれて。

今は静かな船内だが、やがて出航の時がくれば多くの乗員、乗客の笑い声や食事を準備するレストランの食器の、触れあう音で賑わうことであろう。

彼女は、戦前の華やかりし頃の太平洋航路に竣航する予定であったが、戦争の為に設計が一時中止され、やがて戦後の船舶建造ラッシュの波に乗り、設計を大幅に変更し完成したのである。船名は人類の永遠の平和と、世界の戦後復興への願いがこめられ『希望号』と名づけられた。

完成当時は、総トン数７万８千トン、乗員・乗客３２７４名、巡行速度３１ノットを誇り、英国キュナード社のクイーンメリー号、クイーンエリザベス号に次ぐ世界第３位、世界最高速の大型豪華客船であった。

処女航海で、当時の太平洋コースレコードを記録し、船内装飾にはイギリスの古典様式を取り入れ、気品と風格を漂わせ堂々とした希望号の姿は『太平洋の女王』と呼ばれ、世界中のファンに愛された。その後、５３年間で太平洋航路８７回、大西洋航路６５回、世界一周航路１８回の経歴を誇る大ベテランである。

しかし、さしもの彼女も今回の航海を終えると、永きにわたる勤めから引退する予定である。引退航海は永年に渡り、多くの人々に笑顔と思い出、出会いを与え、全力で刻を駆け抜けて来た、彼女にふさわしい特別プランが予定されている。

　　　　　希望号　引退記念航海世界一周の旅とは

　　　　　　　船旅には無上の喜びがある。
すべてを忘れて、自分のしたい事をできる毎日が始まる。
　　　

　　　　　　　　　希望号船旅の目的

１・・船旅を通してこれからの「自分スタイル」を発見したい人々の為に。

希望号の歴史と共に人々は１９４５年以後、新たなる時代を駆け抜けてきた。
『エコノミック・アニマル』『企業戦士』『猛烈社員』『２４時間、戦えますか？』・・・
男達はその全てを家族の為、自らの夢の為に全力で働き、女達はその両手で家族を支え、自らの誇りの為に全力で生きてきた。
笑い、涙、出会い、別れ、哀しみ、怒り・・・いろいろな事があった。
時代を駆け抜けてきた人々の人生は、晴れがましく堂々と、自信に満ちており、いま『新たなる旅立ち』の時をむかえている。
そして今、同じ時代の波を越えてきた希望号と共に出航の時が来た。

２・・病院や施設・自宅で治療や療養を受けている人々の為に。

病院や療養・介護施設、自宅で療養されている人々も思いで作りや、想いで巡りに旅立てる様に、最新の医療設備が備わっており、家族や付き添いの方々も一緒に乗り組み、快適な世界一周の航海を楽しむことができるのである。
大改装された希望号には最新の医療看護設備、代替・補完医療設備、ホスピス・緩和ケア設備、研究機能等が備わり、医療関係者・看護士、ボランティアスタッフ、患者とその家族や友人達が乗り組み、治療や看護の指導を受けながら、それぞれの夢や人生の目的を家族、友人、船上で知り合った人、寄港地で出会った人々や全ての乗員・乗客と共有し語り会い、新しき人生を模索する航海に旅立つプランである。

３・・老若男女　新しき世界へ旅だちを望む全ての人々へ
海から教わる地球の素晴らしさを、体験してください。
その時貴方は、新しい地球と新世界へ旅立つ自分に出会うでしょう。

海外の思い出・・単身赴任した都市，新婚旅行で訪れた観光地、バックパック一つで旅した国々、家族で楽しく時を過ごした浜辺、記念日に旅した想い出の地、パックツアーでワイワイ楽しんだ旅、未だ訪れていない土地への憧れ、名も知らぬ小さな港町・・・海外を訪れた人、未だ訪れた事のない人、それぞれの想い出や夢が、希望号に乗り込んだ人々達と共に蘇り、叶いそして新しい世界への旅が始まる。　　　　

船内設備として、日常生活機能は全て備わっており、一般的な家庭生活・社会生活は全く不自由なく過ごせるのである。

乗船する人々には、希望の船室が与えられ、船室は全てオーシャン・ビュー、バルコニー付きで快適な船旅を過ごすことができる。

１１あるカフェやバー、パブは２４時間オープンしており、ルームサービスもオーダーすることが可能である。９か所あるレストラン、ビュッフェでは世界の料理を楽しむ事ができる。

他にも、船内には美術館、映画館、劇場、カジノ、スパ、ジム、カルチャー教室、ショッピングアーケード、学校や郵便局、体育館、放送スタジオ、プールなどの施設が街中と同じように再現されている。

この航海する巨大な街で、熱いモーニングコーヒーや、芳醇な味わいのワインを楽しみながら、茜色に染まる朝焼けや夕焼けを眺め、並走するイルカ、トビウオ達と過ごすデッキでのひととき。

時を忘れて、家族や友人・知人と思い出話に花を咲かせるリビング。

星空を眺めながら、静かにもの思いに耽る、総ガラス張りのスペシャルルーム。

今日のそれぞれの出来事を話し合い、笑いがあふれる船室。

船窓から見る雨の通りすぎた後の、蒼く光る水平線と眩しいほどの太陽の饗宴。

ひとり、バーボンにシガーをくゆらせながら人生を考え見つめなおし、新たなる旅立ちへ想いを馳せる書斎。

お友達とアフタヌーンティーを楽しみながら、緩やかな時を過ごす貴女だけの空間・・・・

思い出と共に、かけがいのない家族、友人達との語らい、そして船上に集う見知らぬ人々に出逢うために！

素晴らしき人生への旅に出航しましょう！