首里の織物は、約500年にわたり琉球王府時代の首都・首里を中心とする地域で育まれ、 伝えられてきた伝統的な染織技法である。中国や東南アジア諸国等の影響をうけながらも、 独自の発達をとげた。その高度な技術による優れた意匠の織物は、主に貴族・士族の衣服と して着用されたが、その織手は、ほとんどが士族の妻やその娘たちであり、彼女たちの誇り ある手仕事の一つであったといわれている。現在、首里の織物は7種類(首里花織、道屯織 (両緯鍛織)、花倉織、諸取切、手縞、煮綛芭蕉布、花織手巾)の技法が伝えられている。素材 は布が中心で、ほかに苧麻、糸芭蕉が使われる。染色には琉球藍を主体とした植物染料が用 いられ、製織は地機及び高機の、投げ杼の手織によって行われる。
首里の織物は、一つの地域に伝承される染色技法としては、その多様性と洗練度において 他に類例を見ない特徴をもつものである。
首里の織物は、歴史上、芸術上価値が高く、かつ、地域的特色を顕著に示す代表的な染色 技法である。
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