Madonnaデビュー20周年目、通算10作目のスタジオ・アルバム(I'm Breathlessをスタジオ・オリジナル・アルバムとしてカウントの場合)という華々しいイメージ、タイミングで発売された本作。
しかしその内容は非常に内省的でダーク。(アルバムの中にメジャー・コードの曲が1曲もないって・・・?暗〜。)もっと派手でチャラチャラしたとっつき易いポップアルバムを期待していた多くのリスナーは肩透かしを喰らったような気分になったらしく、早い段階から「これは駄作」と囁き始める・・・。更にはアルバムの宣伝の為に大切なファースト・シングルであるタイトル曲のビデオがイラク戦争勃発とのタイミングと相成ってまんまとお蔵入りし、当たり障りの無い部分のみで再編集されたしょぼいバージョンが放送されるという悲しい運びとなった。と同時に、アメリカ国内で「マドンナ=英国に魂を売った非国民」的扱い(?!)を受けてしまい、その結果、後に続いた本作からのシングルカット曲がとことん米国ラジオ局で総好かんを食らって全くプレイしてもらえない状態に・・・。結果としてセールス的に全くパっとせず、世間的にMadonna史上最も大コケした作品として定着してしまった感のある1枚となってしまいました。しかし、果たしてその内容はそんなに悪いのでしょうか?
いいえ!これは彼女の作品のマスターピース候補の1枚に挙げても全く問題ない素晴らしい内容の作品です!
Drowned World Tourから自分でもギターが弾けるようになった彼女が(非常に初歩的なレベルでしか弾けないそうですが)プロデューサーMirwais Ahmadzaiと再び組み、アコースティック・ギターを主軸に、極力無駄な音を排除した圧倒的な音的統一感の元でMadonna色のフォーク・アルバムを完成させたのです。
20年間ショウビズ界のトップを突っ走ってきた彼女がお金や名誉・名声によって手に入る煌びやかな生活に対して投げかける疑問の数々。自身が家庭を持ったことでようやく分かった父親の気持ち(「Oh Father」を書いた頃は理解出来なかった親としての苦労等)。愛する夫や子供達への思い。
こういった内容の楽曲群の中にシングルとして既に発売されていた007の主題歌「Die Another Day」を収録したのはあまりにもセールスを気にしすぎた安直な策で、作品の統一感を乱す結果にならないかい?と初めは思った。しかし、アルバムの流れの中で聴いていくうちに「今後もスーパースターであり続ける私の決意」を高らかに歌っているかのように聴こえてくるではないでしょうか!
デビュー当初を彷彿とさせる例のベイビーヴォイスで歌う部分があったり、最近の地声(?)風な重み、深みのある歌い方をしていたりと、発声法の面から見ても、これは彼女のキャリアの総復習的な作品ではないでしょうか?つまりこの作品は音楽家としての彼女が「音楽」というフォーマットで綴った自叙伝なのです!!
とか思う方っていませんか?
どうしても、こんなに素晴らしい作品なのにそっぽを向かれているような感じがして歯がゆいのです。
このアルバムの素晴らしさが分かる方、是非ご参加を!
American Lifeは素晴らしいアルバムなんだってば!!!
MADONNA / American Life
1. American Life
2. Hollywood
3. I'm So Stupid
4. Love Profusion
5. Nobody Knows Me
6. Nothing Fails
7. Intervention
8. X-Static Process
9. Mother And Father
10. Die Another Day
11. Easy Ride
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