ひとりで夜を過ごすときには、あまり怖い映画みたいなものは見ないほうがいい。
でも、そういう夜にかぎって、なぜか山村貞子がずるずる這い出してくるような映画をみていたりするから不思議。
なにがいやかといって、そのあと風呂に入って髪を洗うのがいちばんいやだ。
シャンプーしている間はいやでも目を閉じる。
すると、ほら、背後に誰かの気配。いや、気のせいだって、ホントお前はこわがりなんだから、はっはは、とゆとりを装って自分に言い聞かせるのだけれど、「絶対、自分のほかに誰かバスルームにいるってば」という感覚は消えないのであります。そういう感覚を覚えながら目を瞑ってシャンプーするのは、ホント怖い。恐怖映画を見た後の醍醐味はこれにつきるのではなかろうか。(笑)
しかし、どうもそういう感覚は、もしかすると科学的に裏付けられるものかもしれない。ニューヨークタイムズのサイエンス・セクションにそんな内容の記事があった。
Out-of-Body Experience? Your Brain Is to Blame
By SANDRA BLAKESLEE
最近の研究によれば、脳の「角回(angular gyrus )」と呼ばれる部分に弱い電流を流すと、誰かが自分の背後にいて自分の動きを妨げようとしているという感覚が生じたり、別の被験者の例では、一種の幽体離脱のように自分がふわりと天井に浮き上がって自分の体を見下ろしているという感覚が生まれることがわかっているそうであります。
もともとは癲癇手術の前に、いったい脳のどの部分がその患者の発作を引き起こしているかをピンポイントで探るために何十本も電極を刺して、どんな感じがするかをヒアリングしたのがこの研究のとっかかりだそうで。
こういう霊感体験(ghostly experiences )どうも、わたしたちが自分の体の身体感覚の情報をきちんと統合できないところから生じている可能性があるというのですね。
わたしたちの身体感覚、つまり自分の躰がリアルタイムで、どういう空間を占めていて、どういう位置関係にあるかなんてのは、視覚、聴覚などのほかに、たとえば皮膚の感覚器官が受ける圧迫、痛み、熱、冷たさなどの感覚情報や、関節や腱や骨格からの情報として脳に集められる。聴覚器官は平衡感覚を司り、心臓や肝臓や消化器のセンサーは感情の状態を示している、ト。
そして、背後に誰かがいるという気持ちの悪い感覚は、自分自身の躰をあなたの脳がちょっとずれて二重に感じている結果である、ということらしい。もちろん、こういう感覚は病理学的な症例としても報告されているわけですが、かならずしも脳の器質的な疾患とかいうレベルではなくとも、たとえば登山家やヨットの単独航海者ではよく知られたことであるというのですね。なるほどね、たしかにヨットの単独航海者なんてのは、シャンプーするときの感覚からなんとなくわかるような気もするなあ。
え、あなた、これからお風呂ですか?それは、それは。(笑)
夜夜夜夜・・・・後ろに・・・・・怖い怖い怖い・・・
困ったときには