中国語通訳者および中国語通訳を目指して勉強している人の交流の場です。主に通訳訓練の方法等を話し合います。当面は通訳訓練になるような問題を提出しますのでチャレンジしてみてください。問題はどんどん出しますが、定期的に参考訳等をごらんいただいたら更新します。私の編集したものもありますが、ニュース等から借用してきたものを一部教材として使用していますので、著作権等の問題がありますので、ご自分で勉強される以外は、他への無断転用はしないで下さい。皆様のご協力をお願いいたします。
中国語の簡体字が文字化けする場合、Internet Explorer バージョン6を使われている方は、マイクロソフトのホームページからバージョン7をダウンロードしてください。「Windows XP SP2 向け Windows Internet Explorer 7」です。
中国語通訳についての講義レジメ By まさ
私の現在行っている通訳養成講座の基本的な枠組みと考え方を以下に紹介いたします。
逐步提高自己在“瞬间美学”上的造诣
通訳とは
通訳とは、書記言語ではない2つ以上の異なる言語を使うことができる人が、ある言語から異なる言語(例・中国語から日本語)へ変換すること、またそれをする人。通訳をする人は、通訳者、通訳士などとも呼ばれる。書記言語の場合は通訳ではなく、翻訳という。
通訳の形式
逐次通訳、同時通訳、ウイスパリング通訳など。テレビの2カ国語放送では時差通訳という特殊な形式も用いられるが、これは時間的余裕があるため、職業的観点からむしろ翻訳業に近いといえる。
通訳のプロセス
通訳は起点言語(原語)を音韻的に認知・受容し、さらに語彙と文法による表層構造の理解( 記号の解読 decode )および世界知識、背景知識、場の知識によって内包や外延をふくむ発言内容の深層構造の理解( comprehension )に達し、その理解にもとづいて目標原語( 訳出語 )へ転換( 再記号化 encode )し、最終的な音韻表現として表出するものである。
・定訳が存在する場合はそれで置き換える。
・受信者に理解されにくい概念は補足説明を行う。
・同様、類似の連想を喚起する訳語を当てる。
・文体や詩の形式のスタイルを真似る。
・音声や文字自体に意味がある場合、変換しないで対象言語の表現内容そのものを使う。
・新しい表現と概念を想像する。
・説明的な表現を一語で表す。
・受容不可能な語句、メッセージに関わらない語句は削除する。
・伝達する概念(テクスト)の構成の変更、情報提示順序の整理
・同時通訳の場合は、一般に情報単位ごとに訳出する。一文の後半が確定できない状況で訳出を開始する。発言の冒頭では後続の情報が未知である。ゆえに発言全体の意義や意図を事前に把握することで訳出の精度は上がる。
・発言は常に訳出されることを前提となる。翻訳との相違点は、話して、聞き手、通訳者が同じ場所にいて、それぞれの反応を見ることができ、コミュニケーションの当事者である意識が生まれやすい。参与者の反応による調整が可能である。
通訳には時間的な制約があり、説明や解説には制限がある。発言テクスト全体が事前に提示されない場合が多い。
・目標言語で伝達されるのは起点言語の意味と意義のうち伝達が必要な部分である。
通訳の仕事
会議通訳 … 知的能力、分析力、集中力、適応性等の要求は最も高い。
医療通訳、手話通訳、外国語通訳、司法通訳、通訳ガイド、企業内通訳、放送通訳など。
通訳の資格
日本では純粋の国家通訳資格はないが、国土交通省管轄の「通訳案内士試験」による国家資格「通訳案内士の資格」がある。外国ではオーストラリアでNAATI(国家翻訳・通訳認定局)の国家資格がある。
通訳の適性
・聞きやすい発声、発音で明確に話せる。
・耳で聞いた発言を頭の中で整理できる。
・重要な点とそうでない点を瞬時に判別できる。
・調査力、情報収集力がある。
・協調性がある。・サービス精神に富んでいる。
・臨機応変に対応できる。・食わず嫌いをしない。
通訳者は三者間でのコミュニケーションの橋渡しを行う
・かならず発信者、通訳者、受信者が存在する。
(1)発信者には伝えたい概念があり、言葉による表現、表情、身振りで表現が行われる。
(2)通訳者はそれを見て聞いて、正しく理解し、概念を得る。伝えたい概念を、明確に訳出する。
(3)受信者は通訳者の訳出(身振り手振りも含む)した言葉から、概念を受け取る。この過程をへて、発言者の伝えたい概念と受信者の受け取った概念が一致していることが必要である。
・三者が共有する知識が何かということが大きく訳語に影響してくる。
・訳語の理解と訳語を導き出す各種の知識
言語知識
社会的な知識
現場とその背景の知識
専門知識
・解釈と理解、言い換え
我不准备多讲。(演説の途中で)→ なんと訳しますか?
真っ赤なかみの大きな口をしたヤマンバ。→ なんと訳しますか?紙?髪の毛?解釈がなん通りもできます。
通訳者の感じる心理的な事柄
・「常に言葉を途切れさせては(絶句)いけない」、「聞き手の理解はすべて自分自身にかかってくる」
・逐次通訳では聞き手の注目を浴びている。
・発言者が聞き取れない方言しか話せない場合。
通訳者に要求される言語能力
・クライアントや聴衆からクレームのつかない話し方とは、音韻面での聞きやすさ、語彙の選択と語法の運用が正しいことである。音韻面とは、発声、発音、アクセント、速度、声の大きさ、声の高さなどが適切であるかどうかである。このうち、発音の悪さ(特に外国語)は致命的な欠点として評価されやすい。次にスムーズさ、つまり処理速度が遅い場合は評価が悪くなる。
・日本のクライアントは、自分の話す日本語を十分理解してくれるのは同国人であるとの認識から、どちらかというと日本人通訳者を好むことが多い。
・バイリンガルや帰国子女は2言語の基礎的な能力では優れている場合が多い。しかし通訳は言語能力のみでやれるわけではない。外国で教育を受けた帰国子女は知識面での不足が問題になりやすい。また家庭内で使用する言語が外国語であると、通訳訓練の努力を惜しんでしまいやすいという問題がある。
・ジョークの通訳 「ショーペンフエルと婦人の会話」の例:・・・・・
だじゃれのたぐいは通訳しても伝わらない場合が多い。内容のみが伝達され、音韻的な面白さは捨てられてしまう。内容が面白ければジョークも訳出できる場合が多い。
通訳者の条件
●翻訳では文章の3要素として、内容、形式、風格をあげている。
内容:伝達すべき原文の情報
形式:語彙、文法、修辞で構成される原文の組み合わせ方(内容に対応した語)
風格:スタイル、特徴、格調
●清朝末期の啓蒙思想家、翻訳家である厳復( 1853〜1921 )は英国の生物学者ハックスリ( 英国生物学家赫胥黎Hèxūlí )の『進化論と倫理学』を1898年《天演論》と題して翻訳出版し、その中で翻訳の規範として“信、达、雅”をあげている。“信”とは“忠实于原文”、“達”は“文字通顺”、“雅”は“文字优美”のことを指している (偽りのないこと・意を尽くしていること・表現の優雅であること)。(“信、达、雅”を“准确、通顺、贴切”と解釈する説もあり、日本語訳すれば「正確に、筋道立てて、言葉遣いを適切に」の意となる。) “忠実”とは内容、風格の面を言っており、“文字通顺”(文章の筋道がよく通っている)は形式面でのことを言っており、“雅”は文章が優美であることを言っている。当時で言う優美は教養豊かな文語文なのである。また翻訳におけるこの優美の実質は何かについて議論があるようであるが、まとまった結論は出されていない。
●“信、達、雅”を口語通訳にあてはめて考えると、「正確に、流暢に、美しく(格調高く)」ということになる。
正確さと流暢さは微妙な関係にある。日中訳を例にとって見れば、より正確に訳そうとすると流暢さ(母語を聞く者にとっての自然さ)が損なわれやすく直訳的になりやすい。直訳すれば日本的なまわりくどさが訳出され、文法的には正しいとしても、中国語の言語習慣に合致しない言い方で構成された訳語となり聞きづらくなる。しかし訳語が原文に忠実でないとしたら、流暢な通訳ができても意味がなくなる。だからといって硬い直訳で、目標言語の言語習慣に合っていない訳でもこまるのである。その意味では、正確さと流暢さの兼備、統一が通訳者としての第一の努力目標であり、“美しさ”の追求は通訳者にとってのさらに高度な目標といえる。(50%:30%:20%と考えておく)
●職業としての通訳の仕事を考えると精神面でも技術面でも各種の要素が通訳者に求められる。例えば知的能力(語学力、幅広い知識など)、分析力、集中力、経験、適応性など。通訳者になるためには少なくとも以下のような4つの条件が必要であると言える。通訳技能を身に付けたいと志す者が、本当に通訳訓練に取り組もうとする場合、具体的にどんな内容を、どれだけ(量)、どのように学習、訓練したらよいのかということが明確にされなければならない。以下に示したような問題に具体的に答えることで、合理的な学習内容と学習量及び学習の方法がより明確になり効果的な勉強が可能となる。
1、良好的外语基础是做好口译工作的先决条件(速読とシャドウイングで瞬時に反応できる短文を蓄積)しっかりした外国語の基礎力とは具体的にどのようなレベル、知識、実力を指しているのか?会話能力、ヒアリング能力、理解力、単語力、構文力、朗読の能力、シャドウイング能力、要約能力、速読の能力、リピート能力、作文能力、読解能力、説明能力、発音、知識、筆記能力
2、较高的母语水平是做好口译工作的根本条件(多読と日本語の速読、シャドウイング訓練)通訳に必要な能力に関しての母国語のレベルの測り方は?日本語の滑舌訓練は?理解力は?要約能力、リピート能力、筆記の技術、記憶の技術、単語、知識の量
3、广博的知识积累是做好口译工作的重要条件(多読と説明できる正確な知識の蓄積)通訳の実践以外でどのようにして幅広い知識を蓄積するのか?どのようなジャンルがあるのか?どの順番でどう学んでゆくのか?どのくらいの知識量がひつようなのか?
4、口译理论和技巧是做好口译工作的必要条件(シャドウイング訓練を主体とした能力の向上)通訳理論とは?なにを学ばなければならないのか?通訳技術とは?その具体的な訓練方法?
リラックスして集中する能力。*知的能力、分析力、集中力、適応力、経験を一部しかカバーしていないが、当面の学習内容の指針と考えてよい。教学の順序と内容 シャドウイング訓練を主体として次の順序で各教材を学習していく
教学の順序:句子(文)→ 对话(会話)→ 段落(段落)→ 谈话(論述)
教学の内容:言語、知識、通訳技術
●言語、知識、技法を考慮して教学方法を組み立てる必要がある。
●言語、知識は通訳の内容に関してであり、技法は内容の構成の仕方である。技法は通訳メソッドを応用して訓練する。
【言語面と知識面】
●日中両言語に対応できるデータベースを作り上げる。音声の専門家の録音を使用する。日中両文を収録する。
目標:短文10000
短文会話5000組
単語20000
●核心词句(core vocabulary and phrase)
(1)用語、イデオム、常用フレーズ…頻繁に使われる概念的用語、接続語、常用語(言語的な側面)
(2)固有名詞、専門用語、外来語、文化(擬声語・擬態語、ことわざ)に関する用語(知識的な側面)
式辞挨拶
説明文
速読教材
●新聞報道、時事的な話題
●现实知识(real world knowledge)現実的な知識(固有名詞、 専門用語などの特定の語彙)を含む。
●同時に通訳メソッドを応用した教学を平行して行う。
【通訳の原則と通訳メソッド】
通訳の原則(口译原则)
(1)自分の立場、意見を主張しない。発言者の言葉を一人称で訳す。
(2)年代、度量衡、貨幣単位は訳す側の国の習慣に則る。
(3)訳出時間は原文の長さを超過しない。重点を把握して訳す。
(4)伝達する情報はわかりやすく訳す。不完全、不明確な言い方で訳さない。
(5)明確に正確に訳す。あいまいさ、抜け落ちをさ け、勝手な追加をしない。
(6)発言者の格調、スタイルを損なわないように訳 す。
(7)守秘の義務を守る。
通訳メソッド10(十项口译技巧)
(1)速読訓練 (快速朗读)*音読、クイック・リーディング
(2)シャドウイング(影子練習、跟述―shadowing)
(3)同時訳(同声伝译) *ブースでヘッドホンで発言を聞きマイクに向かってや訳出する。*テクニカルな内容、数字が頻出する発言は短めに訳し、情緒的な内容、ストーリーのある内容は長めに訳出する。
(4)サイトラ―視訳 Sight Translation 文章見ながら口頭で解り易く訳す練習*原文の文字面にとらわれないことが肝要。書き言葉を話し言葉に転換する。
(5)ウイスパリング―耳訳 耳元でささやく通訳方法 レセプション・パーティーでの挨拶の通訳、講演会、見学、インタビュー時の一言語に使われる。周囲の雑音がじゃまになりがち、要点を訳すほうが聞き手の負担にならない。
(6)要約練習―5W1H ( 缩减练习:“六何”何人、何事、何时、何地、何物、如何)*サマライズ(聴取した内容を要約して再現する)120秒ほどのまとまった内容 メモはしないで頭でまとめ1分間で要約する。要約メモは可。
(7)筆記の技術―段落の順序、ロジック、接続詞、強弱、口調変化(笔记技巧)
(8)リピート(复述)
*リプロダクション(内容を再現する)自分の言い方で内容を再現する。
(9)逐次訳(交替伝译)
(10)論述の分析処理―文、段落の接続処理の練習、文章構成上の共通点の発見、後半部の予測(语篇―discourse分析、连贯练习−句间连接)
(11)パラフレーズ(別の表現に言い換える)受動→
能動、上位概念→下位概念、具体的→抽象的、詳細に→概念的に、辞書的説明→文学的説明、動詞中心→名詞中心、目標言語の訳出を念頭に構文を変える。
(12)スラッシュ・リーディング(分析しながら読む)
(13)ダイアグラム分析(文章を図式化する)
処理方法(策略)
(1) 通訳の準備
(2) 適切な加訳、適切な省略
(3) 逆転訳など
●スピード(語速)、リズム(語調)、ニュアンス(語感)を養う。聞く人を感動させる速読、語調、評価される通訳。
即座に反応できる短文を5000にする。自宅ではシャドウイング訓練を中心に学習する。シャドウイング訓練は必ず録音して後で聞いてみる。自宅で訓練し教室で検証する。教室では会話練習はしない。基本的に日本語で授業を行う。
教師は学生に学習方法と教材を提供し、学生の学習状況を見守り適時必要なアドバイスを行う。学生は各自の状況に応じて教室で訓練を行うか検証を行う。3ヶ月1期10回の授業で、1年4期40回を1サイクルとして、基礎教材と応用教材を使い通訳技術の訓練を行う。毎回の授業の初めに1分間の速読を各自が発表する。授業構成は、?速読、?テープを使った基礎訓練、?応用練習(随時)。
【通訳メソッドによる主な訓練方法】
(1)速読訓練(速述)
目標:1分間250文字〜300文字をスムーズに朗読でき
るようにする。
目的:中国語のスピード、リズム、ニュアンスを身に付
ける。語速を速くし、同時訳に対応できるようにする。模範の音声をシャドウイングすることで、聞く耳を育て、中国語が脳内に響くようにする。
教材:「速読教材NO1」、「速読教材NO2」
(2)シャドウイング (影子練習、跟述―shadowing)
目標:「短文会話800」を原話者よりも速く言えるよう
にする。
目的:即座に反応できる短文、短文会話の数を増や。
教材:短文、会話、挨拶文、新聞報道
(3)同時訳(同声伝译)
目標:「短文会話800」、「難訳語500」の同時訳がスーズにできるようにする。
目的:より長い文章の同時訳に徐々に対応できるよう
する。
教材:導入教材は「短文会話800」、そのほか「難訳語5000」、「17のパターン」、「あいさつ文」
(4)サイトラ―文章見ながら口頭で解り易く訳す練習(視訳)
教材:速読教材やプリントで随時学習
(5)ウイスパリング―(耳訳)耳元でささやく通訳方法
教材:速読教材やプリントで随時学習
(6)要約練習―5W1H ( 概括练习:“六何”何人、何事、何时、何地、何物、如何)
教材:速読教材やプリントで随時学習
(7)筆記の技術―段落の順序、ロジック、接続詞、強弱、口調変化(笔记技巧)
教材:通訳原稿などで随時練習
(8)リピート(复述)*教室では基本的にリピート練習はやりません。(時間がかかるので)
(9)逐次訳(交替传译)*式辞挨拶の練習以外は、基本的に教室ではやりません。(時間がかかるので)
(10)論述の分析処理―文、段落の接続処理の練習、文章構成上の共通点の発見、後半部の予測(语篇―discourse分析、连贯练习−句间连接)*(現在教材の準備がありません)
(11)ショック療法による学習
目標:「訳せなかった」という印象深い体験を教室です
る。その場で語彙・表現をいくつか覚える。
目的:日常の会話ではふれない語彙にふれ、訳語に関心
を持つ習慣を養う。
教材:「難訳語」、「短文会話」、プリントを使い時々
学習
参考インデェックスの頁
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獨協大学における通訳関連講義の内容紹介
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ISSの通訳コースの授業計画概要の紹介
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日本通訳学会のホームページで通訳翻訳ジャーナル連載記事を紹介
通訳訓練教材・対訳教材が参考となる。
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フリー百科辞典『ウイキペディア(Wikipedia)』のー翻訳―より
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フリー百科辞典『ウイキペディア(Wikipedia)』のー通訳―より