履き潰した靴。
何度も読んだ本。
アンパンマンの天敵。
カビなんて不潔。だけれども、一方でこんな意見もあっていいんじゃないか。
「カビも立派な装飾品」って。
あれは五月雨が降りしきる夜だったと思う。深夜の交通整理の仕事を終え、帰宅した僕はひどい疲労感と虚脱感に襲われていた。下宿のドアを開け、ボロボロのスニーカを脱いだ、その時だ。緑色の点々が散在していることに気がついた。
「なんだろうこれは」よく見ると、それはカビだった。上手くは言えない。何故かその時、僕は少しホッとした。疲労感と虚脱感が生まれる、その証、つまり「自分の生きた証」をそれに重ね合わせたのだ。
このコミュニティーに小難しいことは無用。
思い出の品に生えたカビに親しみを感じてしまう。
そんなあなたを心よりお待ちしております・・・。