殺人罪の終身刑で米国・カリフルニァ州・ソルダッドの刑務所に20年間服役中の、郷隼人氏
彼は罪を悔いながら短歌を詠みつづけ、朝日歌壇へ投稿してきた。気が狂わずにここまでこれたのは短歌のお蔭である。全篇をつらぬく望郷の想いと悔悟、明日への希望が錯綜して、読む者の胸を激しく打つ。
【その特異な存在と短歌により、2002年9月8日には朝日新聞「天声人語」でも紹介された。
――米国の刑務所から朝日歌壇に投稿し続ける男性がいる。たぶん筆名だろう、郷隼人という。
毎週彼の作品を心待ちにしている人も多い…―――
思いがけない郷ファンもいて、小泉内閣のメールマガジンに、当時の森山真弓法相が彼のことを書いている。
「獄中生活の出来事に望郷の思いを込めて、巧みに短歌を詠む日本人らしい感性にひかれます」
自死を考えていた女子大生が、彼の短歌から生きる勇気をもらい、死を思いとどまったという。
そして今では、彼と女子大生は互いに励ましあう心のペンパルである。
「太平洋を隔てて、6千マイルも離れたアメリカの地の、しかもプリズンで服役中の身である僕が、
独房の中で作った短歌が新聞に載り、偶然に読んだ全く未知の読者の生命を救ったと
いうのだ」<ローンサム・隼人>より
一つ一つ、彼の詩をご紹介していきたいと思います。