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橋本 忍コミュの日本沈没

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http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B2%88%E6%B2%A1%E3%80%81%E6%A9%8B%E6%9C%AC%E5%BF%8D&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
作家・小松左京が9年間の月日をかけて書き上げ、オイルショック(石油危機)、ノストラダムス・ブーム(世紀末ブーム)、超能力ブームの最中の1973年に発表、小松左京の代表作となると共に日本にSF(サイエンス・フィクション)を浸透させる切っ掛けにもなったベストセラーSF小説『日本沈没』の映画化。(第27回日本推理作家協会賞受賞。第五回星雲賞長編部門賞受賞。)
 科学考証に原作者の小松左京他、各分野の専門家を集め、架空の物語ではなく実際に起こりえる現実として日本という美しい島の最期を描いています。


 小松左京作『日本沈没』は刊行後に徐々に売り上げを伸ばし、まず連続ラジオ小説化されてさらに人気に火がつき、原作が刊行された段階で直ちに映画化権を取得していた東宝が僅か4ヶ月で撮影完了し、その年の年末に正月映画として公開(1973年)。そしてその映画の大ヒットに伴いテレビドラマ化(小野寺:村野武範、阿部玲子:由美かおる)、劇画化され、日本中に一大"日本沈没ブーム"を巻き起こして空前の大ベストセラー小説となりました。
 『日本沈没』の原作のテーマは「日本人が故郷を失って流浪の民になったら」というところから始まっており、そこから日本列島の沈没をいうアイディアに繋がっていったようです。そうした部分は映画にもしっかりと反映されており、日本民族の政治的、思想的な部分まで踏み込んだ奥深い要素まで含んでいます。
 また、小説『日本沈没』発表後から構想のあった、元々小松左京が考えていたテーマである「難民になった日本人のその後」に加え「地球の寒冷化」を重要なテーマにおいた第二部『日本漂流(仮題)』は長らく執筆されていませんでしたが、2006年のリメイク作品制作(設定の変更により本来の深いテーマ性は薄れ、リメイクというより日本列島の沈没という題材だけが共通の別作品と言っても良い内容になっています)に合わせて小松左京、谷甲州共著で『日本沈没 第二部』として刊行されました。

 怪獣、宇宙人などが登場しない特撮映画『日本沈没』での最大の見せ場である都市壊滅シーン(建物の倒壊、炎上、そしてその他の大規模災害など)の主役は精巧に作られたミニチュアとそれまでの歴史の中で積み重ねられてきた特撮技術。しっかりとした科学考証に加え、リアリティーのある特撮映像によって観客の臨場感はより高められ、映画『日本沈没』のヒットに多大な貢献をしており、この映画のヒットにより低迷していた特撮映画が復権。東宝は続いて『ノストラダムスの大予言』(昭和49年・1974)、『東京湾炎上』(昭和50年・1975)、『地震列島』(昭和55年・1980)などの映画を次々と制作、特撮パニック映画大作を営業戦略上のメインにおいた路線を敷くことになります。


[日本沈没 - ストーリー]
 小笠原諸島の無人島が突如として海に沈んだ。田所博士(小林桂樹)は調査のため深海潜水艇"わだつみ"で深海へ潜るが、日本海溝深くで異常な乱泥流を目撃する。田所博士は日本列島の殆どの部分が沈没することを予測し、山本総理(丹波哲郎)が召集した議会で異常を訴える。
 その後次々に日本列島を災害が襲い、東京大地震により関東は壊滅。政府は変人扱いしていた田所博士の予測を重く受け止め日本民族の日本列島からの脱出作戦"D計画"を発令する。しかし、田所博士の予測より沈没の時期が早まり、まず四国が沈没を始める。日本民族の長い流浪の旅の始まりだった。。。。

製作=東宝映画=東宝映像 配給=東宝
1973.12.29 
3,935m 140分 カラー シネマスコープ
--------------------------------------------------------------------------------
製作 ................  田中友幸 田中収
監督 ................  森谷司郎
特撮監督 ................  中野昭慶
監督助手 ................  橋本幸治
脚本 ................  橋本忍
原作 ................  小松左京
撮影 ................  村井博 木村大作
音楽 ................  佐藤勝
美術 ................  村木与四郎
録音 ................  伴利也
整音 ................  東宝効果集団
照明 ................  佐藤幸次郎
編集 ................  池田美千子
スチール ................  石月美徳
現像 ................  東洋現像所
協力 ................  日本海洋産業株式会社
製作担当者 ................  森知貴秀
−特殊技術−
撮影 ................  富岡義教
美術 ................  井上泰幸
照明 ................  森本正邦
光学撮影 ................  宮西武史
合成 ................  三瓶一信
操演 ................  松本光司
助監督 ................  田淵吉男
特殊効果 ................  渡辺忠昭
スチール ................  田中一清
製作担当者 ................  篠田啓助
−特別スタッフ−
地球物理学(東大教授) ................  竹内均
耐震工学(東大教授) ................  大崎順彦
海洋学(東大教授) ................  奈須紀幸
火山学(気象研究所地震研究部長) ................  諏訪彰
作家 ................  小松左京
 
配役    
田所博士 ................  小林桂樹
小野寺俊夫 ................  藤岡弘
阿部玲子 ................  いしだあゆみ
幸長助教授 ................  滝田裕介
中田 ................  二谷英明
邦枝 ................  中丸忠雄
片岡 ................  村井国夫
結城 ................  夏八木勲
山本総理 ................  丹波哲郎
外務大臣 ................  伊東光一
通産大臣 ................  松下達雄
建設大臣 ................  河村弘二
運輸大臣 ................  山本武
防衛庁長官 ................  森幹太
科学技術庁長官 ................  鈴木瑞穂
総理府長官 ................  垂水悟郎
官房長長官 ................  細川俊夫
三村秘書官 ................  加藤和夫
野崎特使 ................  中村伸郎
渡老人 ................  島田正吾
花江 ................  角ゆり子
海洋学者 ................  梶哲也
調査団員A ................  稲垣昭三
調査団員B ................  内田稔
調査団員C ................  大木史朗
気象庁技官 ................  吉永慶
巽丸船長 ................  宮島誠
航海士 ................  大杉雄二
吉村運行部長 ................  神山繁
山城教授 ................  高橋昌也
大泉教授 ................  近藤準
竹内教授 ................  竹内均
科学技術庁技官 ................  石井宏明
総理府係官 ................  今井和雄
防衛庁統幕議長 ................  早川雄三
D1本部委員 ................  中條静夫
D1公安係 ................  名古屋章
総理夫人 ................  斉藤美和
小野寺の兄 ................  新田昌玄
老人 ................  大久保正信
オーストラリア首相 ................  アンドリュー・ヒューズ
オーストラリア高官 ................  ロジャー・ウッド
TV司会者 ................  大類正照
国連委員 ................  中村哲
  地井武男 森下哲夫 和田文夫 斉藤英雄 中田勉 鈴木治夫 田中志幸 永島岳 津田光男 磐木吉二郎 中島光之助 熊谷卓三 小松英三郎 門脇三郎 草間璋夫 大西康雅 服部妙子 林由香 川口節子 小林伊津子 高橋久美江 鳥居功靖 小野辺敦 バン・ヘンリー チャールズ・シームス

コメント(4)

「日本沈没」

1973年・日本(東宝)
◇スタッフ◇
○監督:森谷司郎○脚本:橋本忍○特技監督:中野昭慶○原作:小松左京
◇主な出演◇
藤岡弘(小野寺俊夫)、いしだあゆみ(阿部玲子)、小林桂樹(田所博士)、丹波哲郎(山本総理)、島田正吾(渡老人)、角ゆり子(花江)、滝田裕介(幸長助教授)、二谷英明(中田)、夏八木勲(結城)ほか


 秋葉原のDVD売り場をあさっているうちにフッと買う気になってしまった本作。以前にもレンタルビデオで見たことはあったのだが、特に思いいれがある映画というわけでもない。ただなんとなく「怪獣以外の東宝特撮で一本買うか」という気が起きて、気がついたら本作を手に取っていたということになる。第二候補はもちろん「さよならジュピター」だったりしたのだが(笑)。こっちも小松左京原作ですね、そういえば。
 一本の映画としての出来はともかく日本の特撮映画史上外せない作品であるのは間違いない。なんせ日本列島をまるごと、ホントに沈没させちゃったんですから(笑)。怪獣も宇宙人も一切登場せず、科学考証に一応裏づけされたハードSFであると同時にリアルな社会派シミュレーショ映画でもある。それでいて怪獣映画以上に豪快な都市破壊スペクタクルなど特撮シーンの見せ場がかなりの割合を占めている。特撮にかけた費用と気合はゴジラシリーズ以上に感じられる作品には違いない。

 小松左京の原作は未読なのだけど、とにかく発表当時大大ベストセラーになってしまい、その直後に東宝が驚くべきスピードで映画化、なんと原作発表の年の年末に公開するという強行軍をやってのけ、結果的にそれで大当たりの大ヒットとなったそうで。その辺の事情はDVDのオーディー・コメンタリー(小松左京・中野昭慶・橋本幸治各氏)で語られていて、なかなかに興味深かった。
 以前この映画を初めて鑑賞した時は特に感じなかったのだけど、今回改めてDVDでこの映画を鑑賞して強く感じたのが、この映画製作・公開時の「時代の空気」だった。なんで今回の鑑賞で初めて感じたのかといえば、やはりその間に得られた70年代初頭のさまざまな社会現象が知識として得られていたからだ。僕自身はこの世にあったのだけど当然そんな状況を理解できるはずもないお年頃でしたから(笑)、当時がどんな時代だったのかというのは割と最近になってからいろいろと知ったのだ。
 この映画に感じられる70年代初頭の時代の空気―それは、なんとなーく重く漂う「不安感」だ。60年代の高度経済成長にかげりがさし始め、水俣病に代表される公害病が社会問題となり、多くの日本人が成長の行き詰まりと将来への不安を感じ始めていた。ゴジラが「子供の味方化」していたこの時期に製作された「ゴジラ対へドラ」(1971)がシリーズ中特異な「暗さ」にあふれているのにもその空気が現れているし、なんといっても「日本沈没」発表と同じ年の1973年には五島勉の「ノストラダムスの大予言」がこれまた空前の大ベストセラーとなっちゃってるのである(こちらも東宝が翌1974年に映画化。スタッフ・キャストもかなりかぶってるが、いろいろと問題ありの映画のため現在も封印状態)。そしてこの年は第四次中東戦争による「石油危機」が起こって不安感に追い討ちをかけている。まぁ、とにかくそういう時代だったわけだ。それらを踏まえて本作を改めて鑑賞したら、そうした時代の不安感が濃厚に出た映画となっていることがよく分かる。

 冒頭、いわゆる「大陸移動説」が模型のアニメーションで示され、日本の全体像が映り、ドドーンという効果音と共に「日本沈没」 の赤文字タイトル。ここからしておもーい不安感を煽り立ててくれる。そしてスタッフ、キャストの紹介と共に新幹線や通勤ラッシュ、ねぶたや竿灯などの各地の祭り、海水浴場や歩行者天国など「平和な日本の情景」が次々と映されていく。これらがこのあと失われていくことになるわけで、なかなか効果的なオープニングだ。今回はたと気がついたが、こうした「日本の情景」を映画中に織り込む手法は「八甲田山」「砂の器」 など橋本忍脚本には目に付くような。とくに「八甲田山」のそれと感じが似ているような…と思っていたら、その「八甲田山」の撮影を担当した木村大作氏が、この「日本沈没」でこれら「日本の情景」シーンを撮っていたらしいんですね。さらに言えば「八甲田山」と「日本沈没」は監督もおんなじですけどね。

 未読の原作小説だがその本の厚さ(上下巻)だけは目撃したことがある。あれを2時間20分枠に収めてしまっているのだから、当然ストーリーはかなりのすっ飛ばし状態だ。映画のオープニングが終わると早速、田所博士(小林桂樹)と小野寺(藤岡弘)が初対面して海底に潜り、日本海溝の異変を目撃するわけだが、このあたりですでに1シーンか2シーンカットしたとしか思えない物語の省略がある。夏八木勲が演じている小野寺の同僚の結城なんて登場シーンを相当に切られてしまったのか、映画のあちこちにチラッとしか登場しないくせに重要人物扱いという妙な具合になっちゃっている(しばらく出てこず唐突に再登場した途端、小野寺に殴りかかるシーンには唖然とする)。さらに主役である小野寺とヒロインの玲子(いしだあゆみ)の出会いと恋に落ちるのもあまりにも唐突…というか急展開すぎちゃって(初対面の直後に海岸で水着で抱きあってると天城山が大爆発…)。これはカットのせいではなさそうだが(笑)。大阪の雑踏の中で唐突に再会するところとか、国外脱出を前にして富士山爆発で生き別れになるところとか、名脚本家・橋本忍にしてはえらくやっつけ仕事という印象がぬぐえない(笑)。
 総じて言えば主人公であるはずの小野寺周辺の話はどうでもいい気がする。この頃からやたらに濃い顔(笑)の藤岡弘は存在感は確かにあるんだけど、いち潜水艇操縦士が日本沈没という大変動の中でやれることなんざ限られてるわけで、劇中でもほとんど傍観者でしかない。このあたり、東宝特撮怪獣映画の人間ドラマ部分の主人公が伝統的に陥りがちなパターンに見事にハマっている、という気もする。

 この映画で「主役」の座にあるのは、まず「災厄の予言者」になってしまうマッドサイエンティスト風の田所博士、そして国そのものが「消失」するというまさに空前絶後の「国難」に当たる事になってしまった山本総理(丹波哲郎)だろう。特にこの映画では丹波哲郎の山本総理がいちばん観客の感情移入を招くのではなかろうか。ちょっとヒゲを生やしたあたりとか、この総理大臣、当時の田中角栄を意識している気がするのだが、どうなんでしょう。
 そしてこの作品の「影の主役」ともいうべき存在が、箱根に隠れ住む「渡」なる百歳の老人(島田正吾)。この老人、山本総理を総理の地位につけただけでなく、どうやら明治以来日本の政界の影にあって裏から日本を動かしてきた人物らしい。こうした設定キャラクターは山本薩夫監督の「不毛地帯」だったか「華麗なる一族」だったかにも言及のみながら登場していたし、他にも似たような設定の人物がフィクション中に出て来る例はすくなくない。当HPの「史劇的伝言板」でもこの件が話題になり、どうもこのオカルトチックな「都市伝説」の元ネタは昭和初期まで沼津にあって政界に影響力を持った元勲・西園寺公望らしいという話も出たっけ。
 それはともかくこの渡老人は田所博士の「直感とイマジネーション」による地殻変動説を受け入れ、私財を投じて極秘のうちに調査機関を設置、田所博士の調査に協力することになる。この時に田所博士が「大陸移動説を提唱したウェゲナーは学界に受け入れられず世間に笑い者にされて寂しく死んだ。だが現在その説を疑う者はない」 という主旨のことを言うのだが、これ、ちょっと気になるんですよね。この大陸移動説の話は学者連中に相手にされないトンデモ説を唱える方々がしばしば引き合いに出す話なもので…一応この脚本でもチラッとは言ってるけど、大陸移動発生のメカニズムが説明できなかったために学界から認めてもらえなかったのであって、とくに相手にされなかったわけでもなく発表じたいは公の学術会議の場で行われたものだったと聞いている。

 ともあれ日本沈没がなんと「8ヵ月後」と判明し、日本政府は国民を海外に脱出させるべく大作戦を開始する事になる。しかしなんといっても1億人の人間が脱出するという大事業。移住される側も迷惑なことこの上ない話なのは当然で、劇中でも何百万人もの受け入れを求められたオーストラリア首相が渋るシーンなんかがある。最終的には日本政府の尽力と人道的見地からの国連や各国の支援があり3分の1ぐらいは海外に脱出して命を永らえることになるのだが…。この辺は国際政治シミュレーションものとしての面白さがある。
 小松左京の原作は実際にはこのあと、祖国を失った日本民族がどうなっていくのかを描くという構想があったらしい。結局それは書かれずじまいで映画も脱出の時点で終わっているのだが、皇室を脱出させる件について妙に詳しく描くあたりなど、「日本人とは何か」を描こうとしたんじゃなかろうかと思わせる場面はいくつかある。渡老人が僧侶や哲学者などに「日本民族の将来」についてまとめさせ、その中で「何もせんほうがええ」という意見も出てきたりするところも映画の見せ場の一つだ。

 見せ場、といえばそこは東宝特撮映画、今や死滅しかけているミニチュア都市破壊の特撮シーンがスペクタクルの見せ場となっている。とくに前半のクライマックスである東京大震災のシークエンスは「怪獣によるものではない都市破壊」として今見てもかなりの迫力。高速道路やビルの壊れ方なんかは専門家の監修も受けたというだけあって、その後の阪神大震災時の光景を予見していたところもある。ただ中野昭慶特技監督のお得意、というか「クセ」である、オーバーな爆発表現(建物に火が回ると確実にドカーンと爆発を起こし、しかもそれがドドドドドと連鎖していく)に失笑を覚えてしまう向きも少なくないだろう。
 だがこうした特撮カットと本編部分の被災者たちの惨状をうまく組み合わせることによって「震災」の凄まじさを表現することには結構成功していると思う。そうした惨状の描写にもこの時代特有の悲壮感、暗さがつきまとっているように感じるんだよね。崩壊したビルの窓ガラスの破片が顔に刺さって血まみれになったり、自動車が衝突・炎上して火だるまになったり、「火さえ出さなければ!」と言ってるうちに高波に飲み込まれてしまう人々の描写は、今見ると「リアル」というよりはホラー映画的見せ物感を覚えてしまう。

 特撮の見せ場は破壊シーンだけではない。僕なんかはむしろ冒頭の海底航行シーンのリアルさに魅せられてしまった。どういう風に撮ったものかはわからないが、いかにも海底を進んでいるという感じのミニチュア潜水艇と、日本海溝の底の「乱泥流」の描写は、実際にこんな風に見えるものかどうかは別として少なくとも映像的には実にリアルで美しい。

 やたらと飛び飛びのストーリー、ペシミスティックではあるけどどこか安っぽい見せ物的スペクタクルなど、ツッコミどころの多い映画ではあるが、原作も売れまくった当時の気分を反映して映画ファン以外の層も劇場に足を運ばせ、大ヒットだったのは事実らしい。僕自身もツッコミを入れつつ、なぜか繰り返し見たくなる不思議な魔力を持つ映画ではある。
 (2005/3/19)
日本沈没
監督 森谷司郎
製作 昭和48年(1973年)

(詳しくはキネ旬データベースで)


思い入れが強すぎて文章を書くのをためらってしまう映画というのが何本かある。
この「日本沈没」はそんな1本だ。

小笠原諸島の小さな無人島が一晩で沈んだ。調査に向った田所博士(小林桂樹)、幸長助教授
(滝田裕介)、潜水艇の操縦手・小野寺俊夫(藤岡弘)は日本海溝の大異変を目の辺りにする。
その異変の情報は山本総理(丹波哲郎)、そして日本の黒幕でもある渡老人(島田正吾)の
耳にも入った。
そして内閣調査室主導で「D計画」が始まり、田所博士を中心として日本海溝を中心とした
地殻変動の調査が行われる。その調査の結果は「日本列島は海の底に沈む」という驚くべき
内容だった。田所博士からその報告が調査船で行われていたとき、東京は大地震に見舞われていた・・・・



昭和48年、この年小松左京のSF小説「日本沈没」は大ベストセラーで、それをSF特撮映画
の伝統を持つ東宝が映画化するのは至極当然のことだった。
そして空前の大ヒット。
ポスターからしてド迫力だ。
イラスト化された「日本沈没」の4つ文字がポスターの中心にで〜〜〜んと構え、
吹き出た赤い溶岩はまるで血しぶきのよう。
そして「1億の民をのせ、ああ日本が沈む」という詠嘆調の宣伝文。
もうここで一気に気分は盛り上がる!

映画館は連日長蛇の列だったという伝説を持つが、私もその伝説を経験している。
封切られたのは12月29日。初日ではなかったが、それでも封切られてから間をおかずに
見に行ったと思う。朝の8時半からの上映の回で見たが、(私は座れたが)完全な満員で
通路にも人があふれていた。


そして映画は・・・・
と書き出すと実はキリがない。
オープニングの大陸移動をしていく地球、日本列島の形成、数々のお祭り、プロ野球、輸出される車、
新幹線、などなど日本の繁栄を示すモンタージュのタイトルバック、静寂の日本海溝、田所博士の興奮、
山本総理の予感、とドラマは迫力ある映像(特撮だけでなく、俳優陣の演技、音響効果も含めて)
ぐいぐいと引っ張られていく。

役者陣では特に記憶に残るのは小林桂樹と丹波哲郎。
「日本列島沈没」という誰もが信じない事態を(D計画の一員の邦枝(中丸忠雄)でさえ「僕には
信じられない。ないと思う」と言わせてしまう)迫力の興奮で説得させてしまう小林桂樹。
そして丹波哲郎。
閣僚の反対を押し切って日本民族移動計画を実行する。
「内閣総理大臣、非常対策本部長の山本です!門を開けて避難民を宮城に入れてください!」
「キミィ!東京の人口は!」「日本人は平均的に賢くなりすぎた。誰かとんでもない大ばか者が
いてだよ、東京は地震でえらいことになる、そうキチガイみたいに騒ぎ立ててさ、ジャーナリズムを
輪をかけて騒いでいたとしたら・・・金にもならんが、選挙の票にもならんけどさ、しぶしぶどの政党も
なんらかの重点対策を。そのなんらかができていればだよ、少なくとも360万もの人が死なずに
済んだんだ」「それとこれとは問題の本質が違うよ!いいか、太平洋か大西洋に人口10万の島が
あってさ、それがある日突然沈んでいまうとしたら。日本だって5千人や1万人は引き受けるだろう。
問題は数だよ!1億1千万、1億1千万という数だよ!!」「『なにもせんほうがええ』?」
「D計画の基本を作った3人の学者は偉いと思います。『なにもせんほうがええ』、そこまで
考えたからこそ1から第3案が出来たんです」
丹波哲郎の語りの真骨頂だ。

そして東京大地震を中心とする破壊のスペクタクル。
落ちる歩道橋、崩れる高速道路、石油ストーブによる火災、津波で折れ曲がる勝鬨橋、消化弾で消化に
あたる自衛隊、赤坂駅付近で地下鉄出口を出てきた乗客を襲うガラスの破片、燃え上がる車、
「助けてくれよ!」と叫んでも誰も助けない、宮城に押しかける群集、それを防ごうとする機動隊。
これらのシーンは一番の見せ場であり、小学生だった私には最高に怖い映像だった。

しかし映画は後半になるにしたがって加速度的に進行し「あれ?もう沈んじゃったの?」と思われる
ぐらいに唐突に近い形で「自衛隊に対し、救出作戦の終了を命じました」という山本総理の
指令がD計画メンバーに伝えられる。
何度みてもこの映画、まるで途中で予算を使い切ったから終わったかのような後半の駆け足が
感じられる。
DVDの音声解説などを聞くと最初は3時間の上映時間があったようだ。
それもシナリオの段階で切ったのではなく、一応の編集まで行って3時間あったそうだ。
劇場でのタイムテーブル編成の都合上、上映時間の短縮が求められたそうだ。
「タイムテーブルの編成のため」という理由もわからぬではないのだが、実に惜しい。
東宝はリメイクを機にぜひDVDでの完全版の復活を望みたいところだ。

まだまだ書き足りないのだが、いくら書いても書き足らないし、また他の多くの人が書いている
ので省こう。
ここでこういう意見を聞いたことがない意見を一つ。
脚本は橋本忍。
実はこの映画、橋本忍にとっては「日本のいちばん長い日」の続編的意味合いもあったのではないか?

東京大震災で「門を開けて避難民を宮城に入れてください!」のシーン。
これ、天皇制批判がこめられていたのではないだろうか?
総理は天皇を守ることより、一般市民を守ることを優先した。
「日本のいちばん長い日」の青年将校たちは何よりも天皇制を守ろうとした。
国民の生命財産を守ることより、「国体」を守ることに執念を燃やした。
「国」を守ることはなにより天皇を守ることだった。
国土さえ無くなる状況になったら、天皇より守らなければならないものがあるのではないか?
畑中少佐がもし「日本沈没」という状況に遭遇していたらそれでも「国体の護持」を第一に
考えたであろうか?

橋本忍はここでこっそりとここで畑中少佐たちに反論したのではないか?
橋本忍は「日本のいちばん長い日」の青年将校たちに「本当に大切なものは天皇制ではなく、国民だ」
と反論したかったのではないか?
そういった橋本忍の本心があればこそ、原作にはないこのシーンが書き加えられた気がする。

長い間気づかなかったが、昨年部分的にDVDで見直していたときにこのことにはたと気が付いた。
極私的な意見だが、自分の中では非常に納得してしまった。

「日本沈没」は偉大な映画だ。
そこに登場するここでは書ききれなかった数々の名優(東京地震の大久保正信まで含めて)、数々の名シーン
名カットを忘れることはできない。

私のとっては「日本沈没」は生涯忘れられない映画の1本だ。
 ハリウッド映画「大地震」は極限状態における人間ドラマがテーマ。本作品もその路線であったと思うのだが「日本が沈む」という状況のインパクトが強すぎてしまい、群像劇に終始したと言う感じ。企画が当ればこんだけ儲かります、という事実をまざまざと見せつけた昭和の超大作。

 地球物理学・(東大教授)竹内均、耐震工学・(東大教授)大崎順彦、海洋学・(東大教授)奈須紀幸、火山学・(気象研究所地震研究部長)諏訪彰。役職は当時のものですが竹内教授は本編にも堂々と出演し、あの強烈なべっ甲メガネで一躍その顔かたちが知られるようになりました。

 平和と繁栄の絶頂にいる日本。その足元である日本海溝を調査していた地球物理学者の田所博士・小林桂樹、幸長助教授・滝田祐介、そして深海艇の操舵士、小野寺・藤岡弘は大規模な乱泥流(地すべり)を目撃し、日本列島が沈没する危機に瀕していることを知ってしまいます。

 山本総理・丹波哲郎と謎の100歳、渡老人・島田正吾からの極秘裏の指示により、内閣調査室から邦枝・中丸忠雄、情報科学専門の学者である中田・二谷英明、その助手の片岡・村井国夫らが田所の研究所を訪問し、巨大なプロジェクトチームへの参加を依頼してきます。

 小野寺は上司の吉村・神山繁の紹介で伊豆に住む令嬢、阿部玲子・いしだあゆみと運命的な出会いを果たします。

 日本海溝の調査が本格化してきた最中、東京に大地震が発生します。

 これ、ものすごいブームになったんですね。当時の興行配収の新記録だかなんだかで二番館、三番館まで入れて丸々1年くらい公開してたと思います。おまけに、地球規模のボヘミアンになった日本人のその後を描く「続・日本沈没」はスピードポスターまで作られていましたが、今と違って海外ロケがとてつもないコスト高の時代ですから、これは当然、実現しませんでした。

 前半のクライマックスはこの東京大地震による首都壊滅です。高層ビルからはガラスのシャワー、顔に刺さって大流血。下町の路地に追い詰められた被災者が翌日には墨のようになって焼死。海抜ゼロメートル地帯は津波に見舞われて全滅。高速道路はバタバタと落下し交通網は遮断され、自衛隊のヘリコプターは消火弾不足で役立たず。

 阪神淡路大震災、奥尻島津波被害、三宅島火山を経験した平成の観客にはこの映画の科学的考証に脱帽せざるを得ないでしょう。もちろん、昭和の火薬馬鹿・中野特撮監督による空爆されたんだかなんだかよくわからない災害現場のビジュアルのことではありませんよ、念のため。

 いしだあゆみが脱ぐ!という宣伝文句に踊らされた、邪な輩もいたようですが、単なるビキニ姿でした。原作と相違するところは若い二人(藤岡弘といしだあゆみ)よりも政府の高官たちの活躍にポイントが移っているところですね。青春映画の森谷司郎ですが、ここでは師匠の黒澤明のセンで行ったようです。

 「問題は君、1億という人間の数だよ!」こんな壮絶な大芝居をまことに素直にヌーボーと演じられるのは丹波哲郎くらいなもんで、こんな人が首相やってっから日本が沈むんだよなー、とか言わないように。この後、大作映画には日本のジョージ・ケネディ(そこにいるだけで頼りになりそうな気がする、っていう役どころ)と呼ばれるほどに(そうでしょうか?)定番出演するようになります。

 いざ沈むとなったら世界中から(ただし韓国と北朝鮮は除く、たぶんとばっちりで相当被害が出るからそれどころじゃない、っていうことなんだろうと推察しますが)助けに来てくれるんですが、今の日本ならどうでしょう?

 災害スペクタクル映画として歴史に名を残した映画ですが、そういう意味では、この映画、奢れる日本人に警鐘を鳴らす啓蒙映画でもあるわけです。反体制派の橋本忍らしく、政府お抱えのエリート学者めがけて「御用学者!」と罵るところは、薬害問題の惨憺たるありさまを見ている現代の観客にとっては、まことに同感できる台詞でした。

(1996年08月23日)
BS NHK-BSプレミアム【プレミアム シネマ】
「日本沈没」1973年/東宝/カラー/140分
監督:森谷司郎 原作:小松左京 脚本:橋本忍 撮影:村井博、木村大作 音楽:佐藤勝 特技監督:中野昭慶
出演:小林桂樹、丹波哲郎、藤岡弘、、いしだあゆみ、中丸忠雄、夏八木勲、神山繁、滝田裕介、村井国夫、島田正吾、二谷英明
8/10(月)13:00

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