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商事法務コミュの商法を斬る?―企業価値とは何か

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昨今のM&A等で買収者が「企業価値」を高められるか、もしイエスなら保有株式の希釈化である新株予約権・株式分割等を発動せずに邪魔をしませんという、本音は別として建前上は、そういったルールを立てようとしていますので、企業価値等について考えてみるのもいいのではと思います。私の考えは以下です。(今回は長くなって恐縮です)

【企業価値―私の定義】
・「企業の存在根拠は社会への貢献であり、価値とは現在の貢献度・大きさである」と定義したいと思います。定性的には、その会社が社会・顧客に有用なものを提供する、これに対して顧客が価値を認めてお金を払う、従い事業として成り立っているということであり、貢献度が大きい会社ほど企業価値が高いと言う事です。また、定量的に言えば、その会社の生み出す「付加価値額」です。従って、計算式の一例は以下です。
付加価値=人件費+賃借料+ロイヤルティ+租税公課+減価償却費+営業利益
営業利益ではなく経常利益を使用したり、実質の金融費用等を加える場合もあり、計算式は統一されていません。尚、この価値額と企業売買価格とは別に考える必要があります(EBITDAのmultiple類似の考え方になるでしょう)

・収益・利益のみが価値の基礎とは考えません。また欧米のビジネススクールのCorporate Financeの一般的考え方で、最近日本でも随分紹介されているDCF(discounted cash flow)法でもありませんね。将来ではなく「現在の」貢献度です。現在社会に貢献しないと意味がないですね。5年後に貢献しますと言っても無意味です。

・株式時価総額は株式市場で評価された、その会社の値段の一つと言えなくもないですが、株価には収益力以外の多くの要素が混入していると思います。(後述)

【企業価値―経産省レポート】
・経産省企業価値研究会(神田秀樹座長)レポートでは、「会社が生み出す将来収益の合計(を割引率を用いて現在価値にした金額)のことであり、株主に帰属する株主価値とステークホルダーなどに帰属する価値に分配される。」としています。ここで収益が何を言っているのかよくわかりませんが、DCF法の発想です。続けて、企業価値は株価に反映されるが、市場は完全ではないので株価は企業価値と乖離が生じて、企業価値を上回ったり、下回ったりすると言っています。即ち、株価=企業価値+/-乖離としています。

【企業価値は誰が作るか】
・その会社の役職員が努力し・汗を流して製品を開発・販売、サービスを提供して収益を得ます。業績を伸ばします。即ちその会社の役職員しか価値は作れません。株主ではありません。株主がその会社の株式を保有しても、その事から価値は生まれません。株主の会社の役職員と、その会社の役職員が、力を合わせて相互補完・相乗効果のあるビジネスを行って始めて双方の付加価値が増えることにより、企業価値を増進することになります。従い、企業価値向上の受益者は、役職員がまず一番最初に取るべきですね。付加価値の中の人件費を増やす。更にストックオプション等で報いるべきですね。そして次に、買収者等の株主がもし協力して事業が拡大し、株価が向上すれば、その向上の果実を株主は株価・配当等でも享受出来ます。無資格者は、何もしない株主・投資家ですね。ただ乗り組です。

【株価は何によって形成されるか】
・経産省レポートでは、「株価=企業価値+/-乖離」で、企業価値は将来収益に基づくと言っています。この点についても私の意見は違います。私は、株価は以下の3つの要素を反映して形成されると考えています。

1)その会社の実力・現在の収益力・今後の収益見通し・将来性等。但し、将来性と言って半年からmax.3年ぐらいです。会社の実力には保有株の含み益やカルチャー等も含みます。勿論収益力が一番重要なファクターとは思いますが。

2)客観的な状況(外部環境・景気動向等)―これには2つの面があります、世界レベルで考える必要があります。
(1)金融市場・資本市場・株式市場の状況―金利、世界的金余り、資金の流れ、債券マーケットとの関係等
(2)その会社の製品の競争やその業種・業界の状況―将来性あるハイリスクIT業界の場合と半分規制の電力(輸入)業界や、その会社の有力商品の成長サイクル等

3)主観的な状況と判断―自民党圧勝で買い資金が流入等。あるいはその会社のイメージ・ムードやさらに投資家本人の主観的判断や期待の部分。同じ株価でも、まだはもうなり、もうはまだなりとか、投資家間の噂・風評ですね。(相場操縦では無い、根拠のハッキリしないマーケット情報等)

○DCF法では、企業価値算出の際に5-10年間の事業計画(Projection)をたてFCF(Free Cash Flow)を割引率で現在価値にして、かつそれに割引率で現在価値にしたTerminal Value(TV)を加えます。一方、株価は、まあせいぜい半年-3年ぐらい先までの収益力・将来性を織り込みますが、5-10年先迄の収益は折り込みませんね。現在の株価が2010年-15年迄の収益予想を取り込んで形成されているているなんてどうして言えるのですか?。5-10年先は世の中が変わっていますね。半年-3年先ぐらいまでの収益しか織り込まない株価=企業価値(5-10年間のFCF+TV)+/-乖離と経産省レポートは言っています。こんな算式がどうして成り立つのですか。私には不思議でなりません。

○株価は、例えば、かつての古河電工やソフトバンクのように米国光ファイバー子会社やYahooの莫大な株式含み益を折り込み高騰したケースもあります。また、経産省レポートの将来収益の合計という考え方では、同一の収益なら業種が違っても同じ企業価値だということになります。実際の株価が同じになっていますか?そんなことないですね。株価=企業価値(将来収益の合計)+/-乖離論では、株価形成の説明には全くなっていませんね。株価は収益力だけで決まるものではありませんね。

【DCF法について】
・DCF法のTVの算出では、考え方の矛盾するフローの収益では無い事業計画最終年度のBSの純資産を割引率で割り引き現在価値に持ってきたり、またはフローの収益を使うときは現実にはあり得ない一定のFCF・成長率(0成長でもOK)が永久に続く等と仮定します。事業計画の年数、TVの設定の仕方、割引率、成長率等の数字がくせ者で、これらの前提の置き方次第で、「当事者の判断で」自由に数字が作れる算出方法です。企業価値算出では、事実に基づきかつある程度の客観性が必要だと思うのですが。

・また事業計画を作成するときには、通常は右肩上がりの計画を作成します。5-10年も右肩上がりで成長する企業がどれだけありますか。20-30社に1社ぐらい?ですかね。この意味からも非現実的です。

・5-10年の事業計画を立てている会社が世の中にどれだけありますか(例外:資源開発案件・会社)?10年後純利益1000億円等とぶち上げている会社はあるかもしれませんが、これは具体的な事業計画ではありませんね。なぜ企業価値を計算するときだけ、種々の前提をおいて5-10年先までの「将来の」数字を作り上げ、これが会社の「今の価値」だ等と言うのでしょうか。

○どうなるかわからない5−10年間の”将来”収益を作成者の判断で作り上げ、大半の企業で実現しない右肩上がりの、事実に基づかない仮想計算モデルを作成して、”現在”の企業価値を算出する、客観性の無い「数字遊び」のDCF法に、私は違和感を覚えます。

皆さんはどの様にお考えでしょうか。いろんな考え方があって良いのではと思いますが。

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