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書物の歴史コミュのマーブル紙、歴史と文献解題

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コミュ内全体

<<歴史>>
 マーブル染めの歴史については、貴田庄著「マーブル染」(芳賀書店、2001)が詳しい。
 貴田氏は製本作家であり、製本の歴史についても著作がある。(「西洋の書物工房から」芳賀書店、後に朝日選書)
 彼は、10世紀の中国の文献により、クライスターパピアに近いものと、墨流しに近いものがあったとして、マーブル紙の中国起源を認めている。ただし文献のみで、実物は残っていない。
 一方、日本の墨流しでは12世紀の実物が残っている。
 トルコ、ペルシアでは、トラガントゴムを溶液としたマーブル紙作りが行われており、それがヨーロッパに伝わったとされる。いったんトルコのマーブルは廃れたが、復活して実作されている。主に細密画の背景や枠、カリグラフィーの地模様に使われているようだ。なお、トルコ語でエブルは雲の意味とのことだ。
 私見では、水の上に染料を浮かべて、風で変化をつけて和紙に写し取る墨流しと、糊の上に染料、顔料を浮かべて、櫛などで意図的な模様を作るマーブル紙とは差が大きい。
 日本には、明治以降、帳簿の小口マーブルとして入ってきたと思える。これは帳簿の改ざん防止のためである。不規則な模様は、ページを抜き取って差し替える事が難しい。
 ヨーロッパではフランス、イタリアで良く作られ、手製本では、見返しとして使われる他に、コーネル装の表紙に貼る紙として用いられた。もちろん色合いは美しいが、あくまでも、革の節約のためである。書物の普及に伴い、総革製本は高くつき、肝腎の背と痛みやすい平の角だけに革を用いたものである。両袖装、額縁装なども同様の理由である。しかし、工芸的手製本を革だけで作るという時代には、多彩な表現を求めて、あえて額縁装に染め紙を使うこともあった。現代では、革だけのルールが消滅し、なんでも有りだが。 19世紀の製本ではマーブル紙が流行し、見返しにマーブル紙を使い、小口三方にマーブル染めを施した例もある。(私的には趣味ではありません。)

<<日本での紹介>>
 マーブル紙の実作者として、マーブル紙を日本に本格的に紹介したのは、三浦永年氏だろうか? パートナーのティニ・ミウラ氏の手製本にもマーブル紙が使われている。
 「婦人百科」(日本放送出版協会)1991年8月号所載の「マーブルペーパーのブックカバー」では、三浦氏は溶液に洗濯糊を使っている。油絵具を灯油で薄めて使う。この方法では、紙全体に絵の具が乗らないので、色紙に写し取ると効果がある。(かつて、朝日カルチャーセンターで三浦氏のマーブル紙講座を受講したが、この方法であった。三浦氏はマーブル紙用という毛先の長い筆を見せてくれた。)
 三浦氏には、「魅惑のマーブル・ペーパー」(アトリエ・ミウラ刊、1988)という有名な著書もあるが、今手元にない。
 三浦氏の指導による「月刊たくさんのふしぎ」(神沢利子文、福音館書店、1990年2月号)でも、洗濯糊(ここではPVAを推奨)と油絵の具、灯油を使う方法を紹介している。
 これに続き前述の貴田氏の「母と子のマーブリング」(美術出版社、母と子の技法シリーズ、1992)がある。ここでは溶液にトラガントないしカラジーンモスを使う事が明記されている。
 最初に挙げた「マーブル染」でも貴田氏は、溶液にカラジーンモス(カラジーナン、あるいはカラギーナンとして食品添加物に使用、例えばコーヒークリームとして使われているものに入っている、糊料である)を使っている。
 牛胆液を絵の具を広げるために使うことも紹介している。オックスガルなどの名称で、油絵具の補助材料として画材店で入手可能である。
 絵具は、顔料、水彩、油彩、アクリルとなんでも良いとしつつ、ここでは費用の点で不透明水彩を推奨している。透明水彩では発色が悪いと言う。
 定着のために、紙にはあらかじめ明礬水を塗る、和紙のにじみ止めに使うドーサ引きと同じ事である。しかし、紙が酸性紙となるので、注意が必要である。日本画家の間でも、「ドーサは控えめに」と言われていた。
 「母と子」シリーズとしたのは、出版社の意向と思うが、必要なカラジーナンなどは外国から取り寄せると言うのが、1992年の事だから容易ではなかったと思える。

<<マーブル作り教室>>
 現在、日本でマーブル染めを習うには、トルコマーブルの教室があるようだ。(詳しい方ご教授を)
 さらに、教えることが可能な教室は、大阪と東京にあると思われるが、両方とも、ウエブサイトではうたっていない。かなり手間が掛かるためと思われる。

 以前に、ルリユール工房(池袋西武コミュニティカレッジ)の特別講座で、マーブル紙作りがあったときは、こんにゃく糊を溶液に使っていた。
 これは、日本で受け継がれてきた、帳簿の小口装飾のマーブルの応用に違いない。安藤帳簿の安藤正一さんの教えを受けたはずである(これは以前にテレビ番組にもなったのでここに書いても良いでしょう)
 洗濯糊などは、翌日でも使えそうだが、こんにゃく糊は、おそらく翌日には腐ってしまう。製本工房リーブルなどでも販売しているが、そこそこ高価な物である。ただし糊として使用する場合でも200倍に薄める、つまり1gで200ccの糊にする。マーブルの場合はこれより濃いかもしれない。

トラガント
 歴史を見るとトラガントゴムが初期に使用されたとある。トラガントは、日本薬局方にあるので、原則、薬局で取り寄せ可能。しかし高価なものです。薬品の成分が微量では服用できないため、増量剤として使われている。このため食用として精製されているため高価なのかも。

カラギーナンまたはカラジーナン
 トラガントが高価ないし入手が難しく、アイスランドに生息する海藻カラジーンモスを使って糊にしたと言われている。日本で言う布海苔のようなものに近い。先述のように食品添加物なので、通販で購入できる。なんとAmazonでも。濃さは試行錯誤するしかないが数グラムで1リットルの糊ができるくらいか。

洗濯糊
 三浦氏の著作のように、安価で入手できる。CMC、PVAのどちらでも可能なようだ。

<<マーブル紙の購入>>
 竹尾見本帖本店では、少なくともイギリスのコッカレルのマーブル紙が購入できる。おそらくこの模様には、この染料ないし顔料をこの位置にこの順番で垂らし、この櫛をこのように使ってという事が、職人的に決められていると思うが、型番により、ほぼ同じ模様が出来ている。これは実作してみれば、とても困難な事だとすぐ分かる。ただし、わずかな気泡が出来てしまう可能性があるので、一枚一枚見せてもらって選ぶ事が大切だ。

 スールミュール、代々木の額縁屋だが、マーブル紙も扱っている。かつては三浦永年氏の作品もあったが、今はどうか。
http://www.sur-murs.com/?mode=cate&cbid=74668&csid=0

 イギリスになるが、製本用の革を扱う店で、マーブル紙も扱っている。イギリス、イタリア、トルコ、スペインとあるのが、興味深い。
http://www.hewitonline.com/Marble_Papers_s/47.htm

<<その他の情報>>

 京都 田中直染料店、布にマーブル模様が写し取れる材料を販売、スペースがあれば、大きな枠も作れる部品も売っている。
https://www.tanaka-nao.co.jp/c060

 墨流し体験 福井県越前市で指導している方は昨年の情報で91歳だったので、体験したい人は急ぐべし。もしかしてこの方かも知れないが、百貨店の物産展で実演しているのを見た事がある。両手に墨、松ヤニ、朱の筆を持ち鮮やかな手つきでした。水に浮かせるため、うっかり筆を付けすぎてしまうと色が沈んでしまう。
http://lohas-echizen.org/program/program_article.php?eid=00007

製本工房リーブルのマーブル紙のページ
http://riiburu.com/%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E7%B4%99%E5%88%B6%E4%BD%9C%EF%BC%8F%E8%B2%A9%E5%A3%B2/

製本工房リーブルの通販代行のサイトもできているが、マーブル紙の購入は、やはり来店して、眼で確かめないと。
https://www.minagarahon.com/

今回、ネットで見つけたサイトだが、見ていくと、カラジーナンも売っていて、クリックするとAmazonに!
https://ohsobeautifulpaper.com/2016/03/how-to-make-marbled-paper/

<<手製本に使うには>>
 見返しや表紙の平(ひら)に使う事になると、同じ調子の紙が2枚必要になる、前後でまったく違っても本はできるが、伝統的な方法なので、前後同じ雰囲気の紙が望ましい。
 しかし、初心者の技量では同じ調子の紙を2枚作るのは、極めて困難になる。プロでもそうだが、見返しのマーブル紙を作るには、縦目の縦長の紙に一回で写し取る事が必要になる。A5版の本では、見返しはA4横目以上、2枚を縦に並べて、A3以上、B3位の溶液の槽が必要になる。

<<日本にもあった本格的マーブルキット>>
 以前、画材のBonnyがマーブルキットを出していて、糊料、おそらく明礬、絵具のセットであった。絵具はリキテックスで良いというのも魅力だった。
 この糊料は企業秘密で公開していなかったが、おそらくカラギーナンと思う。私の師匠は、このセットを使い、プロフェッショナルと言える作品を作っていた。さらに、メーカーの指定より、糊を2倍濃くすると仕上がりが良いという事まで見つけていた。

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