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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】スティグリッツ「アメリカ経済のルールを変えよう」 後半

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コミュ内全体

はじめに ーー 今こそ、「新しい世界経済」へ大転換する時
・経済についての既存の知識は間違っていた

序章   ーー 不平等な経済システムをくつがえす
・改革のターゲットは経済ルール

・・・

おわりに ーー アメリカ型グローバリズムをゆるすな 

アメリカのほとんどの人々は、人口のほんの一部を占める人たちが
どうやって過去数十年であれほどケタはずれの富を築いたのかについて
思いめぐらすより、ますます難しくなる家計のやりくりに心をくだいている。
本書は、そのふたつの傾向に密接なつながりがあるという考えを示すーー
どちらも、アメリカ経済の機能のしかたを決めるルールと法律と政策を
変更した結果だからだ。

アメリカ経済はもはや、大多数の人々のためには機能していない。
大量の経済データを見れば、その傾向がわかる。
人口のほんのひと握りが経済的利益の最大の分け前をふところに入れる一方、
残りの大半は、中流層の生活に必須とされるものを確保しようと努めながら、
伸び悩む賃金と増していく経済的困難に直面している。

しかも、アメリカの不平等の拡大は、たいていの人が経済、政治、一般社会
で認識しているより、あるいはひんぱんに引用される統計が示すより、
ずっと悪化しているのである。
・・・

たいていの労働者の時間あたり賃金は、1980年以降、インフレ調整後で
年間平均0・1%しか上がっていない。
2003年から2013年までのあいだに、平均家計所得はじつのところ
7%減少した。
・・・

従来の経済理論によれば、効率的な経済においては、労働者は生産に
どのくらい貢献したかにもとづいて報酬を支払われなくてはならない。
しかし、過去一世代の労働者に支払われた報酬は、生産性に
大きくおくれをとっている。
歴史的にこのふたつの指標は、並んで成長してきた。

しかし1973年から2013年の40年間で、労働生産性と報酬のあいだ
の関係は壊れはじめた。
労働生産性、つまり労働一時間あたりの平均生産高は、161%増えたにも
かかわらず、労働者に支払われる報酬ーー賃金と賃金以外の他の手当もふくむーー
は、インフレ調整後で19%しか上がらなかったのだ。
・・・

もし生産力が高まったにもかかわらず所得増加が一般の労働者のふところへ
入らなかったのなら、それはどこへ行ったのだろう?
・・・

この期間、経済的に最も成功した人々の富を増やしたのは、
資本所得だけではない。
上位1%(おもに会社役員と金融セクターの専門家)の労働所得
ーーつまり給与ーーも急増した。
・・・

この30年における不平等の拡大は、アメリカを高所得国のなかでも
最も不平等な国にした。
・・・

最高所得がケタはずれに上がる一方で、人口の大多数が経済的逼迫にさらされて
いるという事実に政治的な関心が集まるのは、ねたみを意味しているわけではない。
最上層の傾向が、残りすべての所得分布の傾向に密接にかかわっているからだ。
不平等の拡大は、経済的な地位向上の機会をそこなう。
・・・

不平等が拡大するにつれ、世代間の移動性は停滞し、その影響はますます
深刻になっている。
よくあるはしごの喩(たと)えをつかうなら、のぼるチャンスはずっと存在
しているとしても、横木と横木の間隔がしだいに広がってのぼるのがひどく
難しくなり、”出生のめぐり合わせ”の重要性を広げているのだ。
・・・

アメリカは長いあいだ、無一文から大金持ちになる物語をたたえてきたが、
そういう話が現実になる見込みは大きく減少してしまった。
不平等が拡大するにつれ、政治制度はますます企業の利益に荒らされるようになり、
真の機会均等をさしだすべき公共政策はいよいよ実施が難しくなっている。

・テクノロジーとグローバル化が犯人なのか?
・・・

先に述べたように多くの専門家は、不平等が
対処すべき重大な問題であることに同意している。
だが、彼らは従来の経済論にならって、不平等拡大は経済のルールには
ほとんど関係なく、グローバル化の高まりと高性能化が進むテクノロジー
にずっと大きく関係していると論じる。
こういう筋書きは、テクノロジーについては説得力がなく、
グローバル化については不充分だ。

テクノロジーとグローバル化の筋書きが、失業と賃金低迷の説明として
せいぜい一部でしかないことには、三つ理由がある。

第一は、すでに述べたとおり、世界じゅうの他の国々も、テクノロジーと
国際貿易について同様の世界的な変化と向き合っているが、アメリカで
見られるほどの不平等拡大を経験している国はほかにない。
諸外国の多くは、もっと共有可能な繁栄を生み出す形で経済を発展させ、
それに応じた経済成長の実績をあげている。
テクノロジーとグローバル化にさらされているのは同じなので、
論理に従えば、アメリカだけ不平等の水準が極端に高い理由として
別の変数が必要となる。

第二に、テクノロジーとグローバル化の筋書きはもともと、
賃金の唯一の決定要因として、労働の供給と需要をあげている。
不平等における変化を、単に需要供給曲線が変動した結果であり、要するに
テクノロジーとグローバル化における変化で説明できるものと解釈するのだ。

しかし、制度も同じくらい重要だ。
過去数十年で経済理論に生じた重要な進歩のひとつは、2010年に
ピーター・ダイアモンド、デール・モーテンセン、クリストファー・ピサリデス
にノーベル賞をもたらした”サーチ理論”だ。
それは、人がどのような過程で職を見つけて受け入れるかをモデル化した
膨大な研究から成る。
サーチ理論は、供給と需要が市場賃金を全面的に決めるのではないと論じる。
むしろ、労働の供給と需要は、賃金に限度を設ける。
そして、いくつもの要素によって、賃金がその限度内のどこに落ち着くか
が決まるのだ。
交渉力、労働市場制度(労働組合の強さをふくむ)、社会慣習。
つまり、サーチ理論によれば、テクノロジーとグローバル化を不平等拡大の最も
有力な要因とする説明でさえ、ルールが重要であることを認めなければならない。

第三に、テクノロジーとグローバル化は、天から恵みが降ってくるかのように
無作為に起こるものではない。
テクノロジーとグローバル化自体も、ルールによって形づくられる。
それぞれを順番に見ていこう。

・テクノロジーと賃金格差

多くの経済学者が論じるところでは、職場でのコンピューター使用など
テクノロジーの変化によって、異なるレベルの技能をもつ労働者に対する
雇用者の需要が変わり、結果としてアメリカの所得分布最下層と最上層の
賃金にへだたりが生じ、不平等が拡大しているのだという。
これは一般的な考え方だが、テクノロジーと技能で現在の不平等のパターン
を説明できるという議論は、正当化するのが難しくなっている。

一般的になったとはいえ、テクノロジーによる説明には早くから問題の兆候があった。
・・・

つい最近の研究では、技能格差の議論は過去には正しかったかもしれないが、
もはやかなり妥当性が失われていることが示された。
・・・

生産性の伸びが歴史的なほど鈍化したままであることからしても、
テクノロジーの大きな波が、経済の大半で行なわれる通常の業務
を乱しているわけではない。
・・・

テクノロジーの進歩は雇用者に、労働者を監視し、より細かく作業を指定し、
勤務予定を組む新しい強力な手段をあたえ、企業内の所得分布を変えるかもしれない。
テクノロジーは、競争相手のいない未開拓の市場でのイノベーションによって
機会をつくり、最上層の所得増加に貢献するかもしれない。
また、テクノロジーは、ネットワーク効果を利用した事業の機会をつくり、
企業に市場支配力をあたえ、高いレントを引き出すことを可能にするかもしれない。

企業が将来、労働補完あるいは労働代替のテクノロジーを導入するかどうかは、
テクノロジーにかんする法律だけでなく、テクノロジーからの利益をどう分配するか
を決める経済のルールにもよる。
さらにいえば、政府が炭素税を課すことを選択すれば、有能な研究者のもっと
多くが、労力を省くよりも地球を救うことに目を向けるようになるだろう。

・グローバル化でバラまかれる不平等

過去数十年でアメリカ経済における国際貿易の規模、範囲、性質は変化し、
それにともなって企業と労働者にも変化が生じた。
しかし、このグローバル化の高まりは、ルールによって決められ、進められてもいる。
それはアメリカが定めたルール、国際的な場で定めるさいアメリカが重要な
役割を果たしてきたルールであり、それらは、グローバル化がどう働くかに
大きな影響をおよぼしてきた。

地球規模での経済のつながりが、効率性ーー貿易がなければもてなかったものを
手に入れ、経済的利益のために特殊化されたものを生み出すことーーと、
イノベーション、そして一般の福祉の増加にとってとほうもなく大きな機会を
もたらすことは間違いない。
しかし、とりわけアメリカの労働市場が低迷している状況では、グローバル化に
大きなコストがかかっていることも確かだ。
ダロン・アシモグルと共著者たちによれば、中国との単独の貿易競争によって、
控えめに見積もっても240万人分のアメリカの仕事が、
1999年から2011年のあいだに国外に移動したという。

デヴィッド・オーターと共著者の同様の研究では、1990年代と2000年代
に失われた製造業の仕事の25%は、中国製品の輸入浸透で説明がつき、
それらの仕事は別の仕事に取って代わるよりずっと急速に失われたことがわかった。
これは、賃金の損失、長期にわたる失業、失業保険や身体障害保険向けの公的予算
への圧迫増大、早期退職、医療費などに大きな影響をおよぼした。
別の研究者によると、輸入競争に最も多くさらされたアメリカの産業が、
労働所得のシェアを最も大幅に落とした。

注意してほしいのは、貿易自由化が一般の福祉の向上につながると示唆した
経済理論においても、最良の状況でさえ、積極的な政府の政策がなければ、
アメリカ国内の不平等拡大につながるだろうといわれていたことだ。
非熟練労働者の賃金が、海外のあり余る非熟練労働との間接的な競争によって
下がったように、、、。

要するに、アメリカの非熟練労働者は、さまざまな商品やサービスについて、
新興市場や発展途上国の非熟練労働者と競争せざるをえなくなり、その結果、
賃金が押し下げられるのだ。
アメリカは多くの貿易相手国に比べてかなり熟練労働者が多いものの、
現在も労働力の62%以上は大学の学位を取得していない。
つまり、貿易によってアメリカ人の大半の暮らし向きが悪くなる可能性がある。
一般的な理論では、受益者が損失者の埋め合わせをするかもしれないと
論じられたが、必ずそうなるとは決していわれなかった。
他国はグローバル化のリスクに気づいて相殺に向けた行動をとったが、
アメリカはそうしなかった。

これらのコストに加え、グローバル化は、地理的な領域と複数の企業にわたる
生産系統の再構築と細分化から、企業が大きなレントを稼ぐ機会もつくり出した。
これは、金融市場からの圧力に動機づけられてもいる。
グローバル化は、賃金格差から生じる人件費の差だけでなく、規制基準と課税
のちがいから生じるコストの差を利用することを企業にゆるしている。

これは、自由貿易協定の時代には、特に重要となる。
現実には、管理貿易協定だ。
こういう協定は、貿易についてはあまり関心を払わず、企業が海外で投資や
取引を行なうさいの規制環境に多大な関心を払う。
海外に進出するアメリカ企業にしっかりした保証をあたえることーー
たとえば、現地政府の規制で利益を失った企業が、現地の民主主義的な制度
ではなく、秘密めいた国際的な”投資家と国家間の紛争解決制度”をつかって
告訴できるようにするーーは、国際貿易をさらに魅力的なものにした。
グローバル化が、貿易より経済のルールの書き換えに関心を払っていることを
示す重要な例は、貿易協定が、世界の製薬市場におけるジェネリック医薬品
の競争力を弱め、世界規模で薬価を押し上げる一助となったことだ。

知的財産権についても、あきらかに同じことがいえる。
イノベーションを奨励するアメリカのシステムの一環だ。
下手に設計された知的財産権の管理体制は、独占力を増して価格を上げたり、
一部に法外な高値をつけたりすることをゆるすだけでなく、
イノベーションを妨げる可能性さえある。
研究とイノベーションを生み出す最も重要な資源は、予備的・補完的知識だ。
研究者と学会は、アメリカの知的財産権の管理体制が不均衡になっていることに深刻な
懸念を表明しているが、アメリカは貿易協定でこの制度を他の国々にも輸出している。

つまり、グローバル化も、抽象的で外生的な力の集まりにかかわっているだけでなく、
わたしたちの経済生活で増大する世界的な連結性の影響を制御するルールにも
かかわっている。
そして、国際的なルールを定めるのに、アメリカほど
重要な役割を果たす国はほかにない。

貿易のルールを適切なものにしたいなら、自国で所得や富や政治的影響力の不平等
を急速に拡大してきた一部の経済ルールは輸出するべきではない。
アメリカにとって最も重要なのは、過度にきびしい知的財産権をつくることでもなけ
れば、公の意思形成に異議を申し立てる新しい権利を投資家にあたえることでもない。
すでに貿易で成功している人たちに、さらに有利に働くような保護を
拡充すべきではないのである。

(終)

===

第1部 世界を危機に陥れた経済学の間違い

第1章 ”自由な市場”が何を引き起こしたか
・70年代以降ルールは変えられていった
・・・
・市場の自由と競争を確保するために、なぜルールが必要なのか
・・・

第2章 最富裕層にのみ奉仕する経済
・・・
・跳ね上がった役員報酬
・・・
・富裕層に対する減税
・・・
・完全雇用という使命の優先順位を下げた結果

第3章 なぜ賃金は低いままなのか
・労働者の声の抑圧
・労働者の権利を犠牲にして企業は影響力を増大した
・労働組合の衰退が賃金をおびやかす
・・・

第2部 地に堕ちた資本主義をこう変える

第4部 最上層をいかに制御するか
・特権の網を引きちぎる
・・・
・知的財産権のバランスを取り戻す
・貿易協定のバランスを取り戻す
・・・
・よりきびしい罰則のあるルールを施行する
・・・
・税制を改革する
・企業の海外所得に課税する
・・・

第5部 中間層を成長させる
・・・
・公共投資を復活させる
・・・
・政府の影響力を行使する
・・・
・最低賃金を引き上げる
・・・
・公的融資を増やし、学資ローンを再構築する
・医療を手ごろな価格にし、あらゆる人に提供する
・・・
・平等と繁栄が両立する経済

コメント(4)

今回の、米中貿易戦争で、中国が勝てば、アメリカも少しは、体制、経済のルールを見直す頃になるのでは???(単なる期待だが)
>>[1]

そうあってほしいものですね。本当に。
この著者は、米国内での再分配機構の確立にのみ執心していて、グローバル化と技術力の極端な向上による高効率化という悪い面について無視しているように思える。
再分配による特に福祉政策への配慮というのは、今の国際ルールでは完全に無視されることなるはずだ。

例えば、日本国内の企業は人を一人雇うと、ほぼ賃金と同じくらいの社会保険料を負担すると言われている。国民基礎年金の掛け金や国民健康保険の掛け金etc.etc.だ。こういう日本の環境の中で、もしも、ある企業だけがそれらを払わなくてよいとしたのならば、その企業だけ人件費が1/2になり、余力が出来て同業他社をどんどん抑え込んで独り勝ちできるはずだ。もちろん、日本国内においてはそのようなおかしなことは行われていない。

ところが、今のグローバル化のルールにおいては、そういうことが可能なのだ。

例えば、どこか後進国に工場を持っていき、そこで安い賃金で現地の人たちを雇ったとしよう。そこまでは、生活程度の差などもあるから、先進国の労働者たちから見ても仕方のないことだ。ところが、そういう国では各種の社会保障が発達していない。つまり、その分の人件費が丸々かけられていないのだ。

そういうことを治すためには、WTOやGATTなどのルール作りにおいて、「各国の社会保障費の割合に応じて関税を許可する」などとする必要がある。

もちろん、そういうルールは、社会保障をほとんど行っていないアメリカなどにおいては大反対をされるだろう。だから、実現の可能性は非常に低いのだが、一番の問題点について誰も言及しないことこそが一番の問題であると思う。
日本は、高度成長時代に、企業と労働組合、そして国家財政が一体となって、構築した、天引き方式による、企業・労働者半分相応負担の福祉政策が、成功し、他国に比してすばらしい、高福祉社会を実現していると思います。
でも、低成長の、失われた20−30年において、負担を軽くしたい企業が、非正規社員、派遣労働を増やす形で、実質賃金を抑え(これで、企業の福祉負担も減る)結局、この30年間、生産性向上に見合う、労働賃金への反映は、ない、という結果になっています。
さらに、今年の4月からの、移民(実際はそう呼びませんが)政策により、さらに、これが加速されると想い居ます。
そして、福祉目的税と称する、消費税の値上げです。逆進性から、ますます貧困層の貧困度があがります。
日本の伝統体質から言えば、福祉は、賃金を上げて、あるいは、高所得の給与・配当収入などから、まかなうべきだと思うのです。

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