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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 人類が生き続けるために。土壌微生物の重要性を踏まえた農業革命の提案

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【色平哲郎氏のご紹介】
人類が生き続けるために。土壌微生物の重要性を踏まえた農業革命の提案
―デイビッド・モントゴメリー
『土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話』
【書評】 中村 桂子  10/29(月) 6:00配信 ALL REVIEWS

◆答えは「私たちの足元」にある

人工知能、仮想現実、ロボットなど新技術での未来が描かれている中でなんとも泥臭い
話と見られそうだが、人類が生き続けるために不可欠なのはこちらではないかと思うの
である。因(ちな)みにここで扱うのは「泥」ではなく生きている「土」である。

地質学者である著者は、『土の文明史』で、現代文明は土壌侵食や肥沃(ひよく)度の
低下を引き起こし滅びに向っていることを示した。その後、『土と内臓』で土壌微生物
と植物の根の関係が腸内細菌と腸の関係に似ていることを明らかにし、微生物の重要性
を指摘した。三作目の本書では、これらを踏まえた農業革命を提案する。

最初の小見出し「人類最悪の発明―犂(すき)」にギョッとする。文明の始まりは農業
革命であり、それを支えたのが犂だと教えられてきたのにと。しかし、耕された地面か
らは表土が失なわれ、肥沃さが消えると言われればその通りだ。最近は犂に加えて、農
薬・肥料・抗生物質など化学製品による農業の効率化が進み、世界中の人々を養えるよ
うになったとされている。しかしこれらにも、土中微生物の力を抑えるという問題があ
る。

そこで著者は、世界中で行われている新しい農業への挑戦現場を訪ね、そこで知った事
実と科学的知見から環境保全型農業の三原則を引き出す。

(1)土壌の攪乱(かくらん)を最小限にする。
(2)被覆作物を栽培するか作物残渣(ざんさ)を残して土壌が常に(、、)覆われて
いるようにする。
(3)多様な作物を輪作する。

基本は土壌生物に害の少ない農法であり、(1)は犂を使わない、つまり不耕起を原則
とする。長い間、畑仕事と言えば耕す姿をイメージしてきたので、本当にそれで七〇億
を超える人を支えられるのだろうかという問いが生れて当然だろう。

大丈夫。世界各地での事例をあげて著者は保証する。不耕起農法は、今急に提案された
ものではない。米国では、一九三五年、ルーズベルト大統領の下でそのための土壌保全
法と土壌保全局とが生れ、今や全耕地の三分の一は不耕起になっているというのである
。このような地道な活動には、信念の人が不可欠であり、本書ではそのような人々が紹
介される。

一例を述べよう。パンジャブ(インド)の小さな農場で育ったラルは、留学した米オハ
イオ州立大学での研究で先にあげた三原則の有効性を実証した。その後ナイジェリアの
国際熱帯農業研究所で研究を続け、「しなくて済むなら森を切るな。もし切るなら、必
ず地面が植物やマルチで覆われているようにせよ」と指導し成果をあげる。その後も四
大陸、一四カ国で土壌や気候が違っても地面の被覆とマルチが重要という答えを出す。
長い間の熱意の継続に頭が下がる。

他の例に触れる余裕がないが、世界各地での実践には教えられるものがある。しかし、
このように土地を徐々に改良することは、国、企業、援助機関には好まれない。テクノ
ロジー崇拝の進歩物語に合わないからだ。更に、作物保険がある。慣行農家なら不作の
年でもリスクを避けられるのだ。実は環境保全型はリスクが少ないのだが、農家は保険
を選択する。

ここにあげた農法で大切なのは土の中の有機物であり、微生物のはたらきだ。今、それ
に加えて牛が刈り株や草を食べてふんをすることで畑地の有機物を循環させる方法も行
われている。この農法を採用する人たちは、農薬・化学肥料を敵視はしない。必要な時
に必要なだけ使い、土の豊かさと経費削減に努める。農家の収入をあげ、環境の保全を
しながら世界の食糧を生産する。著者は「私たちの足元」に答えはある、やるだけだと
語る。

[書き手] 中村 桂子
1936年東京生れ。JT生命誌研究館館長。生命誌という新しい知を提唱。
東京大学理学部、同大学院生物化学博士課程修了。

(毎日新聞 2018年10月21日掲載)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181029-00002662-allreview-life.view-000

コメント(2)

アメリカのような、広大な土地での不耕起農業は、可能なんだろうか?
日本なら、やれそうな気がしますが。。。
>>[1]

ええ、そう思います。
安藤昌益は「直耕」の思想や「自然」など、農業における不耕起農業を
思想からときあかした箇所があります。
刑務所から出てからの金芝河には「飯は天」の思想展開があります。
農業政策・現状は、その社会の状態を示していると感じました。

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