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FCYCLEコミュの北海道Tour18 2018/8/9〜18

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コミュ内全体

 今年も行って参ります。ただ爽やかで涼しい空気があれば。しかしそれが近年一番難しいことだったりもします。あと台風13号がブキミな感じになってきました。

8/9(木)釧路空港→開陽
8/10(金)民宿地平線の根釧台地202km
8/11(土)開陽→札友内
8/12(日)札友内→生田原
8/13(月)生田原→仁宇布
8/14(火)仁宇布→浜鬼志別
8/15(水)浜鬼志別→中川
8/16(木)中川→仁宇布
8/17(金)仁宇布→大村
8/18(土)大村→幾寅→大村

■■■2018/8/4
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔

コメント(77)

北海道Tour18#4 2018/8/12(日)札友内→生田原-1

札友内→ウランコシ→津別峠展望台→上里→津別→開成→東相内→留辺蘂→生田原 128km
ルートラボ>https://yahoo.jp/RMQtEz


 4時に起き、すぐさま天気予報をチェック。昨日と変わらず終日曇りのままだ。曇りではあっても降水確率0 %。全く問題無く久しぶりの津別峠に向かうことができる。
 5時過ぎに荷物を抱えて宿を出る。鱒やを囲む森は昨夜の雨で静かにしっとり濡れていた。空気が多少霧っぽく雲もまだかなり低いものの、微風の中に雨が上がり始める予感がある。そのうち、空気がすっと乾き始めることだろう。

 5:30、鱒や発。
 開けた畑の中、路面は早くも乾き始めているものの、まだ雲がかなり低い。ついさっきまで山沿いの農道へ脚を向けてみてもいいかもなどと思っていたものの、薄暗い上に森の端や高い茂みから熊が出そうな気がして、今日も穏当に国道243を釧路川河岸の山裾へ。
 この辺りの国道243は、登り下りのせいでも風のせいでもなく、どういうわけか毎度脚が軽いというか、妙に走りやすい道である。或いはこれが、国道の路盤の良さというものかもしれない。

 屈斜路からは国道に並行する農道へ。狭い農道へ入った途端、急に気分と、そして身体までほどけてゆくような開放感が感じられた。車がいてすぐ隣を高速で走っているということは、自分で把握している以上に自分の身体を硬くしているものなのだと改めて思う。
 屈斜路湖岸の畑の中、森の外れを山裾の道は抜けてゆく。山裾だけあり、屈斜路湖の湖面が時々畑の向こうに眺められ、車のいない道をのんびりてれてれ流すのが楽しい道だ。しかし、途中犬を放し飼い気味にしている農家があり、犬が何匹もわんわん吠えながら勢いよく飛び出して、かみつきそうな勢いで100mほど追いかけてきた。怖ろしい。しかしこれは、熊対策なのかもしれない。もしそうなら、この道には熊が出るのだ。そしてこれ位やらないと、熊を追い払えないのかもしれない。次回はこの道経由も考え直さねば、と思わされた出来事だった。私の自転車ツーリングも毎年変わり映えが無いようでいて、周囲の変化に世知辛く影響されやすいものである。

 等と思いながら6:40、ウランコシから道道588へ。いよいよお馴染み、というか2014年以来3年振りの津別峠だ。3年振りか、と改めて自分で驚いてしまう。時の経つのは早いものだ。
 まだ6時台、しかも曇り。暑くないので、森に突入するまでの取付区間で明らかに身体が楽だ。森の中に入ってからのつづら折れも、比較的落ちついて登ってゆける。まあしかし、やはり津別峠の斜度はなかなか厳しい。特に今回は望遠ズーム2kgを始めとしたカメラ関係の6kg弱が効いているのか、後ろに引っ張られるような重量感がある。大丈夫、と思いながらギヤをインナーセカンドロー(そんな言葉があるのか?)に落とし、急カーブでは斜度が緩い外側を回ってゆく。ゆっくり進めば何の問題も無い。そして、一定斜度だと思っていた屈斜路湖側区間の、実は頻繁な斜度の変化が細かく感じられるぐらいに気持ちの余裕がある。3年振りで不安だったが、今日は行ける。

 今回民宿地平線で購入したものを追加し、前後2つ体制となった私の熊鈴の音以外に、薄暗い森の中はしーんと静まりかえっている。いや、静かというより空気がしっとりひんやり、何だか重い。目立った音はせずとも、何だか獣の汗のような、妙にリアリティがある臭いがする。これが、熊の甘い香りではない汗っぽい獣臭という奴か。そう考えると更に、辺りの雰囲気がブキミだ。こんな朝のこんな細道にも、時々物好きな車やバイクが通り過ぎて、ほっとさせてくれる。
 標高400mぐらいから、森の中に明らかに風が吹き始めた。涼しくても登りで結構汗をかいているので、風が有り難い。そして450mぐらいから周囲の森が開け始めた。木が少なくなったのではなく、単純に山肌がより急になっているのだ。こういう現象は、標高の数字で覚えている通りである。
 500m〜600m台では一旦斜度が緩くなる印象があったが、今回はあまり劇的に斜度が緩くなるという印象は無い。というより、300〜400m台と全く変わらず、線形の都合なのか細かい斜度の変化はあれど、むしろ全体的に淡々と、斜度は安定していることがよく理解できた。まあこの方が、GPSトラックによるプロフィールマップの通りではある。
北海道Tour18#4 2018/8/12(日)札友内→生田原-2

 600m手前には、昨年から津別峠の通行を阻んでいた因縁の崩落箇所があった。谷筋のかなり大規模な地滑りが、大きいスイッチバックのような線形の道道588を、2ヶ所で串刺しにしていたように見受けられた。崩落箇所の道路はもう完全に復旧されていたものの、谷の森はまるごと剥ぎ取られるように無くなっていて、法面補強が絶賛施工中。崩落の跡は未だに鮮明なのだった。実際に災害が起こった時は、今私が見ているようなものではなかったのだろう。

360°画像 北海道川上郡弟子屈町ウランコシ 道道588
https://theta360.com/s/gW2Tq5HbQwqo2I2MgVmCFxedQ

 気温が低いので、今日は全体的に調子がいい。急に斜度が上がって毎回難儀していた峠手前100m強の区間で、記憶より斜度が下がっているというか、ここまでとあまり変わらない感覚のまま連続して淡々と登れた。まあ全体的にはペースはやはりかなり遅い。

 8:10、津別峠着。標高756m。

360°画像 北海道川上郡弟子屈町ウランコシ 道道588 津別峠
https://theta360.com/s/bnJvz9LDDOALvGZR3i3Ad0IaK

 特に立ち止まること無くギヤをインナーローに入れ、もうそのまま展望台までのふるさと林道区間へ脚を進めてしまう。

360°画像 北海道網走郡津別町上里 道道588・林道上里線分岐
https://theta360.com/s/ovqHb0BReT8t0hmZdRB2oMOQe

 さすがは林道、道道区間より斜度がぐっと上がって軽く10%以上、もはや時速5km/h台。しかし風景は屈斜路湖側とは一変、堂々と風格有る木々の向こうに、津別側の山々が見渡せるようになっていた。風も明らかに、更に涼しくなっている。
 尾根を巻いて道の向きが変わり、稜線まで森の中を直登。下ってくる車に乗じて脚を停めて汗を拭く。ゆっくり登れば越えられない峠は無いのだ、という実感が嬉しい。津別峠、やはりいい峠である。

 8:40、津別峠展望台着。
 3年振りの展望台は、果たして東側がほぼ雲の中。屈斜路湖も知床山脈も真っ白な雲の向こうにある筈なのだが、いかんせん何がどこだか全くわからない。近年は雲海で売り出している津別峠展望台、雲のお陰で有名になったのだから、これが有るべき姿と言うべきなのかもしれない。

360°画像 北海道川上郡弟子屈町ウランコシ 津別峠展望台
https://theta360.com/s/eVcKAPkko6np19GkMDZSqdaVg

 西の津別側は全く雲がなく、やや霞み気味ではあるもののまあまあ眺めは悪くない。一昨年秋、望遠ズームを買ったときに既に、ここ津別峠展望台で使ってみたいと思っていた。他にも開陽台をはじめイメージしていた場所はあって、片っ端から潰し中である。そんな場所のひとつだった津別峠に、この重い望遠ズームを問題無く持って来れたことが大変有り難い。多少の雲に惑わされること無く、見える範囲で存分に心置きなく使わせていただくことにする。
 車でやってきた夫婦や家族連れが時々やってきて入れ替わり、その間展望台でのノルマは一通り済ませることができたような気になった。折角展望台に来たので、久しぶりに建物の中で少し居眠りしてみたくなるものの、まだ全く眠くない。昨日走っていないからだろうと思う。まあ、少しセイコーマートのクロワッサンでも食べるとするか。

360°画像 北海道川上郡弟子屈町ウランコシ 津別峠展望台
https://theta360.com/s/iVImzdzuyM1bIZYP6FCC47Ga4

 50分ぐらいいて、そろそろ退散しようと思って再び展望台に登ると、何とやっと雲が少し晴れ始めていて、山々の背中ぐらいは見え始めてきた。神様の足留めか、と少し可笑しくなったが、やはりここは見えるものを後悔することが無いように見ておかねば。

360°画像 北海道川上郡弟子屈町ウランコシ 津別峠展望台
https://theta360.com/s/lGBZk6dHEVm7cXvdHDG8ljCaK

 再び雲が屈斜路湖側の下界を覆い尽くしたところで展望台を降りることにした。9:50、津別峠発。
北海道Tour18#4 2018/8/12(日)札友内→生田原-3

 林道上里線から津別峠で再び道道588へ。山腹のトラバースから斜面の急降下へ、津別方面へ下る間、2段階ぐらいに分けてぐっと気温が上がった。
 上里の森から牧草地、そして次第に谷間が拡がって畑の中へと道道533は下ってゆく。津別峠が3年振りだから、この道を自転車で通るのも3年振り。という理由だけでなく、のんびり楽しい田舎道である。
 上里、美都、豊永へ下り基調でどんどん進むとともに、気温はどんどん上がっていった。もう全然涼しくない。根釧台地の寒さが別世界のようだ。いや、峠の向こうが別世界なのもこの道毎度の事だし天気予報の通りでもあるから全く不思議じゃなくて当たり前のことではある。

 10:55、津別着。
 2年前鱒やの橘さんに連れてきていただいた西洋軒を、是非とも再訪したいと思っていた。今はお昼前、タイミングとしては申し分無い。
 通りの1本裏手、狙い定めた記憶通りの場所に、西洋軒は簡単に見つかった。私が入ったのは11時の開店とほぼ同時だったようで、塩チャーシュー麺を注文してトイレで用を足して出てきたら、その僅か2〜3分の間に店内は一杯になっていてびっくり。更に私が食べ始める頃には、お客さんが外で待つほどの事態となっていた。地元の人間でもないのに、かなり絶妙なタイミングで西洋軒に再訪できたことになる。絶品の塩チャーシュー麺を食べることができたことも含め、津別峠の神様のプレゼントかもしれない。

 11:20、食べ終わって外に出ると、空が急に晴れ始めていて、今までにも増して暑さを感じ始めた。というよりかなり暑い。
 次は携帯食と野菜やビタミン、ヨーグルトなどを食べるためにセイコーマートへ。お昼時のためか、セイコーマートもかなり混んでいた。2014年に初めて出会ったツーリング少年の店員さんはまだバイトしているだろうか、再会できたらと思っていたが、それっぽい店員さんはいなかった。最後に会ったのがもう2年前なので、もうバイト先は変わったかもしれないし、そもそもあの時高校生なら、就職するにしても進学するにしても、もう津別を離れていてもおかしくない。
 外へ出てパック野菜を食べるうち、というより西洋軒を出た段階から、急に眠くなっていた。町立のビジターセンターへ行き、アイスコーヒーを注文して席で少し居眠りすることにした。
 気が付くと15分が経っていて、頭も大分すっきりした。暑さか、或いは昨日夜更かししたせいかもしれない。

 津別に長居してしまった。12:05、津別発。
 今日は津別峠が通れた代わりに、チミケップ湖方面は道道494が通行止めになっている。Web道路情報によるとチミケップ湖手前の鹿鳴の滝辺りに通行止印が付いていて、「落石の危険」とのこと。確かにその辺に断崖に面した場所があった。その場所なら、何も通行止めの時じゃなくても落石ぐらいはよく転がっている。そのまま行ってみたらするする通れるかもしれないとは思う。しかし、通行止めになっていて車が通らないと、何だか熊が出そうな気もする。
 天気予報は再び曇り基調に変わりつつある。雨は降らないと思うが、津別でこれだとチミケップ湖は多分厚めの曇りだろう。過去何度もこういうパターンを経験していて、さすがに私もそれぐらいの学習能力はある。時間はあるものの、今日はチミケップ湖の北、最上の谷間から開成峠を越えて北見へ向かう、道道27へ向かうことにした。
北海道Tour18#4 2018/8/12(日)札友内→生田原-4

 比較的狭めの、かと言って急に山々が迫ってくる訳でもない、のんびりと北見地方の田舎らしい緩めの谷間が開成峠まで14km。津別から北見へ直接向かう道とは言え、交通量は時々遅い車を先頭にして何台かやって来る程度。毛嫌いするほどではない。天気は次第に晴れ基調に向かっているような気もする程度に終始晴れたり曇ったり。暑いなと思い始めると、良い具合に雲が日差しを隠してくれていた。
 標高差はたかだか140m。峠という名前が付いていなければ、峠じゃないんだろうと納得できる程度の丘越えだ。それでも斜度は少しづつ、開成峠へ向かって段階的に上がってゆく。開成峠の手前では、チミケップ湖への道道682の分岐が見えた。ここからダート含みで9.7km走ればチミケップ湖である。片道1時間強、滞在時間も含めて往復で3時間見ておくとのんびりできるだろう。そこまで時間は掛からないかもしれないが、今13時前だからやはり戻って来て16時、いやもう少し早くて15時半。そこから生田原へ向かって、今日の宿には18時半着。何とかなる。
 まあでも、山間は曇りかもしれない。そこまで必死になって行くような状況ではないだろうな。と思ってしまうほど、ここ数年チミケップ湖では曇りが続いているのであった。

 峠まで最後の登りは直登に近い線形で、流石に汗が噴き出してきた。13:10、開成峠着。
 峠からは一気に快調なペースで谷間の畑を下ってゆく。特に北見側では交通量が多く埃っぽい印象があったこの道道27、しかしながら、実際に通ってみると津別側と同じく嫌うような道じゃない。むしろ今日はだんだん晴れてきていて、北見盆地の谷筋っぽい穏やかな雰囲気の畑が好ましくすらある。
 と思ううちに、前方に北見市街が見えてきた。え、下りだとこんなに近かったのか、と地形図を見直すと、やはり意外な程近い。13:25、開成橋着。まさか開成峠から北見市街の南端まで15分で着くとは思っていなかった。そういえば、この道を自転車で通るのも10年振りである。とはいえ、2年前にはタク輪で、チミケップ湖から開成峠経由で北見へ僅か40分で着けていることも思い出した。逆方向、登り&向かい風でこの道を通って予想外に時間が掛かった時のトラウマが強いのかもしれない。しかしそういう印象は強いものの、それがいつなのかははっきりと思い出すことができない。
 こんなに北見が近いのなら、やはりさっきはチミケップ湖に行った方が良かったかもしれない、等と思ったりもした。まあでもやはり山間は曇りかもしれないし、津別側の通行止めを含めて、今回も縁が無かった、と思うことにしよう。

 製材工場の脇から、町外れの畑の中を抜け、訓子府川縁の自転車道を経由して国道35へ。なんだかんだと道を乗り換える間に時間が掛かり、更に国道35沿いのセイコーマートで小休止。
 14:10、東相内発。天気は再び曇り基調に変わりつつあった。しかし、北見盆地はさすがにかなり暑い。更にこの道毎度の強向かい風で脚が重い。そして幹線道路のため、大型車がすぐ脇を高速で、大音響とともに通り過ぎてゆく。相内から先はやや交通量も減るものの、北見から続いていた片側2車線の道幅が相内の先で1車線となり、結局車の密度としてはあまり変わらないのだった。
 例え道幅が広くても、自分の身体と一体感のある空間が自分の周囲2〜30cmぐらいだけ。その外側はもう車が高速で走りすぎてゆく路上空間なのである。何となくそんなことを身体が感じていて、緊張するとともに自然に思考も内向きになる。こんな道でももう30年近く前、凄い強追い風に飛ばされるように、確か北見から留辺蘂まで20kmを40分で走れてしまったことを思い出し、その頃はまだ賑やかだった留辺蘂YHの事なども思い出しながら、前方に少しづつ近づいてくる留辺蘂手前の小山を眺めて脚を回す。

 留辺蘂手前の陸橋を渡って再び踏切を渡り、石北本線を挟んで国道と反対側の旧市街へ。何なら最初からこちらに道があればいいのにと、少し恨めしい。まあ、国道の登って下って位でストレスを感じていては商売上がったりではある。15:05、留辺蘂セイコーマート着。
 ここまでで汗がかなり出ていて、店内の冷房が快適で仕方無い。明らかに気温が高い。気温10℃台の道東ではこういうことは無かった。しかし干上がるように暑くて熱中症の不安がある、という程ではないので、多分20℃台後半の後半ぐらいなのかもしれない。これしきであつくて仕方無いとは、つくづく自分が気温に弱いと思う。

 どうせHotchef無しのセイコーマートは生田原にもある。それでもわざわざ地図など見直してみて多少休憩し、15:25、留辺蘂セイコーマート発。
北海道Tour18#4 2018/8/12(日)札友内→生田原-5

 旧市街を抜け、国道35を少しだけ経由して国道242へ。金華峠への谷間に入り込むと、すぐに交通量ががくっと減ったのみならず明らかに気温が下がり、ここまで何だかぼうっとし始めていた頭が、急にすきっとした。この道毎度の、有り難い現象だ。改めて、北見盆地は気温が高いんだなと思わされた。何とか北見の一番暑い地帯からは逃げ切れた、とも思った。こういうことがあるから以前北見・安国間の経路として使っていた国道333より、国道242は好感度が高い。
 金華峠への登りでは、再び次第に空が晴れてきた。でももうあまり暑くない。そして金華峠は気温22℃。やっぱりこれぐらいじゃないとね。気温26〜7度以上でてきめんにダメになってしまう自分が情けなくはある。いや、登りなので汗はかいているが、気温が低いのでやはり快適だ。

 金華峠の向こうは、今日の終点生田原を越えて安国辺りまで続く、登り返しのほとんど無い緩下り。脚をあまり真面目に動かさず、経済運転で30km/h台が楽に出せてしまう。北見盆地で何だかへこたれそうだったのが嘘みたいに快調だ。
 清里の地名を見かけるようになって更にしばらく下ると、前方の山の間隔が拡がった。生田原の谷間である。まともに1日走って宿に着けたという連泊ツーリングならではの良い気分を、出発から4日目にして初めて味わえていた。ここまで長かった。

 16:35、生田原着。セイコーマートに寄って明日の朝の朝食を調達しておく。Hotchefの無い店なので、今日はPBカップ麺主体のチョイスだ。
 16:50、ホテルノースキング着。

 明日の天気は午前中晴れ、午後は曇り。終着は仁宇布ファームイントント、道自体は何度も通っているものの、生田原・仁宇布の発着点組み合わせは初めてとなる。
 標高500m弱の上原峠を避けてショートカットの金八トンネル経由としても、狐沢橋・西立牛トンネル・札久留峠・瀬戸牛峠・天北峠・幌内越峠・美深松山峠と、標高差100〜300m台ではあるものの、峠が8つもある。過去実績による区間所要時間の積み上げ計算によれば、淡々とこなせれば全く問題無いはずだ。ただ、ダントツに山深い美深松山峠越えが最後に立ちはだかっていて、ここは可能な限り17時台以降には通りたくない。そのためには下川発のタイムリミットは過去実績から言って15時前。できれば14時過ぎには出発しておきたい。早め出発の早め進行にせねば。

■■■2019/1/14
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔
北海道Tour18#5 2018/8/13(火) 生田原→仁宇布-1

生田原→遠軽→丸瀬布→鴻之舞→立牛→濁川→札久留→瀬戸牛→西興部→下川 127km
ルートラボ>https://yahoo.jp/XbrSt1

 夜が明けて、空が明るくなってきた。雲は空一杯に拡がっているものの、今回の道東みたいな重たさは無く、比較的高く薄く、雲の中が明るい。生田原駅の向こうの山は青みがかった影の中、しっとり落ちついた朝特有の色だ。夜に少し雨が降ったようで、外の路面は乾ききる前ぐらいにしっとりしていた。
 ここまで雨に悩まされたが、やっとこの景色に会えた。こういう風景に出会うために、ツーリングに来ているのだよな、という気になってくる。今日は終着の仁宇布まで、予定通りに走れるだろう。経路自体は毎度のパタンではあるものの、生田原発仁宇布着のパターンは今回が初めてだ。毎年同じようなコースと日程を続けた結果、起点終点が同じなら途中の通過時刻だけ守っていれば確実に走りきれるのだが、それ以外のパターンに対する自分の感覚にはあまり自信が持てなくなってしまっている。ましてや今日のコースは、オホーツク内陸の小峠連発コース。しかも、最後の美深松山峠が一番大きいのに一番(というよりダントツで)山深くて熊の危険が危ない。このためなるべく、というより極力、早い時刻に美深松山峠を通過したい、というのが今日のコースの大きな制限事項である。
 大丈夫、計算上は毎度のペースなら充分明るい内に仁宇布に着けることになっている。まずは着々と出発準備を進めねば。

 5:45、生田原温泉ホテルノースキング発。
 ただでさえ少ない国道242の交通量は、早朝のためか更に一段と少ない。道端の畑には、熊出没の看板すら見かける。さすがに道に漂う雰囲気が国道っぽいのは如何ともし難いものの、そのこと自体はツーリングの気分を損ねること無く、充分に落ちつけている。
 安国で国道333と合流すると、路上の交通量は意外に増えた。国道333は田舎道だった昔と違い、東峠・ルクシ峠等山間トンネルばんばん系の北見・遠軽間メインルート、交通量も多いだろう。去年石北本線の特急大雪から眺めた、旭川紋別自動車道の賑わいを思い出す。
 6時過ぎ、豊里の遠軽への分岐に、既知のセブンイレブンが登場。ここで少し休憩しておく。せっかく早朝から行動できているというのに、朝っぱらからレジにお客さんが列を作るほど多く、更にお客さんの買い物がことごとく多くて、結局会計に15分も掛かったのは誤算だった。国道333がいかにのんびりしていようとも、こういうところはいかにも国道沿いのコンビニであり、国道ツーリングの常識というものを思い出させてくれる。
 セブンイレブンから出ると、晴れていた空が曇り始めていることに気が付いた。まあ、これぐらいが適度に陽が隠れて、サイクリングにはちょうど良いだろうという気はする。

 6:30、豊里セブンイレブン発。
 豊里で国道242が遠軽へと分岐し、こちらは国道333単独区間となった道を西へ向かう。湧別川の谷間は平地と呼べるような拡がり、その反対の親しみやすい居心地良さも無い。目立って斜度を上げてゆくわけでもなく、畑も里も森も断続はしても延々と続くわけでもない。いかにもJRの本線と国道が通る、ややフォーマルな表情の大味な谷間であり、1日の行程中、間違い無く印象の薄い風景が続く。
 道の交通量は豊里でがくんと減り、更に野上、瀬戸瀬と段階的に減っていった。生田原から安国の国道242と同じく、国道ながら間違い無く静かな落ちついた道と言っていい。ただし、その表情は国道なりに多少埃っぽい。そしてツーリング実用上全く問題無いとは解っていても、どうしても、そういう埃っぽさには身体の落ち着きが悪いような先入観が、私にはある。
 瀬戸瀬からは旭川紋別自動車道が並行し始め、山間に2本の道が淡々と続く状態となった。まだ朝早いためか、あちらも交通量はほとんど無い。あまり車が通らなくてひっそりしているので、道として本当に供用されているのかどうか疑わしく思い始めた頃、やっと大型車が大きな音をさせて通り過ぎてゆく、それぐらいの交通量だ。そしてこの谷間を行く全ての大型車があちらを走っているわけではないようで、こちらの国道333にも時々大型車はやって来た。
北海道Tour18#5 2018/8/13(火) 生田原→仁宇布-2

 次の分岐は瀬戸瀬の先、ぐらいに思っていたが、位置としてほぼ丸瀬布の手前なのだった。丸瀬布と言えば、2002年に訪れて以降それっきりの湯の山峠の、丸瀬布への長い長い下りと、同じく丸瀬布から登った丸立峠を思い出す。両方ともダート峠にやや長い峠区間が印象深く、その後現在まで16年間舗装されることは無く通行止めが続いている。
 道道305へ分岐すると、交通用はほぼ皆無になった。国道に比べるとやはり車がたまにしかやってこないし、車が通った後の空気というか、周囲の音が再び蘇って身体の周りを充たしてゆく、そんな時間感覚が国道の落ち着きの悪い路上とは全く違う。身体も気持ちも落ち着けるような気分が嬉しく、少し立ち止まって一息入れてみたりするものの、地図替え以外にあまりネタも無いし、まだ峠らしい峠は一つも越えていない。先へ進まねば。
 7:30、丸瀬布発。次は金八トンネルだ。かなり狭い谷底の狭い空間を150m程登り、おもむろにトンネルを抜けて紋別の山奥に抜ける、今日のコースでは峠カウントの一発目だ。
 丸瀬布側の谷間はかなり狭い。トンネルの手前まで、終始森の山肌が茂みっぽい谷底に迫り、道の他に小川がちょろちょろ流れているだけ。北海道でこれほど狭く、空間と風景の変化に乏しい谷間はすぐに思い出せない。まあ、熊が出そうなこと以外には、取り立てて印象的という訳でもない。
 今のところまた谷底の道は山影の中だが、空は雲が薄くなって再び明るくなり始めていた。前方にトンネルが見えてきたのとほぼ同時に、茂みに埋もれて廃道化した旧道の分岐が右側に登場。思えば長らくダート旧道の金八峠は通行止めであり、遠軽・滝上間の未済経路として金八峠を意識していながら、結局通ったことは無かった。ダートの距離と登り総量から、前記の湯の山峠・丸立峠に比べて通行止め難度が高いという気がしていたのだ。トンネルが開通してこの道は名実ともに丸瀬布と紋別を最短で直結する道に変身し、その最高地点のトンネルが嬉しいことに難所だった「金八峠」の名前を継いでくれた。しかしもともと丸瀬布・紋別間の交通量そのものが少ないためか、これだけ最短ルートができても、道道305の交通量はかなり少ない。金八トンネルが無かった頃は、この丸瀬布側舗装区間は今より更にさぞかし鬱蒼とした谷間だっただろう。

 8:00、金八トンネル通過。トンネルの向こうは紋別市である。「紋別」という地名には、旧名寄本線時代からオホーツク沿岸の主要都市であるというイメージがあるため、海岸から離れたこの内陸の山中で紋別の文字を眺めると、何だかオホーツク沿岸に来ているのだ、と改めて思わされる。実際にはオホーツク岸の紋別市街まで、約40kmもある。
 丸瀬布側の登り同様、紋別側もだらっとした、直線基調の下りが続く。谷間に平地は無いものの山が迫っているわけではなく、谷間全体にせせこましさはあまり感じられない。谷間が広いせいか、金八トンネルの紋別側に出てから、日差しが顕著に路面と周囲を照らし始めていた。
 しかし多少下って谷間が拡がるとか、そういう実際の地形とは無関係に谷間は山深い。鬱蒼としていた雰囲気が道を覆うようだった丸瀬布側と比べても、がらっと段違いな気がするぐらいに、山深いのである。谷間空間が開けている分、深い茂みと森が谷間を埋め尽くしていて、道以外に人の営みが全く無いからだ。
 道東の、あの山深かった津別峠の麓辺りとも異なる表情の山深さだ。大雑把に言えば道東と道北の違い、もう少し細かく言えばオホーツク沿岸東部と北部のような違いがあるような気がする。そして、その境が遠軽辺りにあるような気がする。まさにここはオホーツク内陸まっただ中、と思わせられる。
 鴻之舞の文字を道端に見かけ始め、廃墟が道端の木立の向こうに伺えるようになったところで、8:15、道道137分岐通過。次は180mぐらいの狐沢橋越えだ。私的幹線道路(実態は交通量ほぼ皆無のツーリング専用道路)のわかりやすい登り返し地点は、今日の行程進行上の目安のひとつであり、ここで8時過ぎということはなかなか快調な進行であると言えた。
北海道Tour18#5 2018/8/13(火) 生田原→仁宇布-3

 新道らしい整った線形の道を谷底から山腹へ。斜度7〜8%位の淡々とした登りがしばらく続くものの、昨日津別峠から展望台への10%超200mを登っている者としては何も怖いものは無い。いや、谷底には沢が並行していて、鬱蒼とした背の高い茂みが続いている。ヒグマ確率はこちらの方が遙かに高そうで、それは怖い。実際、過去には鴻之舞でヒグマの大きな足跡を見かけている。
 尾根の凹みを通ってもう稜線近くだと思っていると、意外にそれからが長いようにも思える。登るにつれて茂みの谷底は山肌となり、道の片側は開け始めるため、ヒグマの恐れは少なくなるような気がする。ヒグマは急斜面がニガテ(らしい)からだ。しかし、そんなことは気休めかもしれない。
 時々雲の間から日差しがかっと照りつけ、周囲期の気温が一気に上がるものの、まだ空に雲は多く、うっすらでも日が翳ると森からの涼しい風が空気を覚ましてくれていた。やっと北海道の夏っぽいツーリングができている。

 8:45、狐沢橋着。狐沢橋は切り立った稜線近くのがけを飛び越える橋であり、道道137の鴻之舞から立牛への最高地点が、狐沢橋の立牛側となっている。
 道道137の、というより鴻之舞・立牛間の旧ルートに相当するウチャンナイ林道・上古丹4号沢林道の最高地点には白樺峠と名前が付いていたが、白樺峠より130mも高い位置にあるこちらには名前が無い。白樺峠を含む旧ルートを通ったのは2000年。その時もいつも空が翳ることが多いこの紋別の山間で、過去の訪問中1、2を争うような晴れだった。その後何回もこの区間を訪れているが、今日は初訪問時2000年以来の晴天である。
 狐沢橋から見下ろす、もりもり生い茂り視界の彼方へ続いてゆく大森林が、青い空の下明るい日差しに明るく照らされている。暑かったその日や、その後の雨天や通行止めを思い出しながら、こういう日も来るのだと思った。

北海道紋別市鴻之舞 道道137 狐沢橋
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 中立牛への下りは意外に長い。谷底には早めに降り、その後の狭く長い谷底には鬱蒼と森が生い茂り、熊が潜んでいそうで怖い。緩い下りに任せて、谷底をどんどん下ってしまう。
 下りきって放り出された山間には、あまり広くないものの纏まった平地が拡がっている。何だか久しぶり見たような気がする民家には、廃屋もやや目立つ。畑や牧草地自体は比較的整っていて、ここまでの野生の迫力漂う大森林とは打って変わった、静かな表情の人里だ。丸瀬布から24kmの無人地帯が終わったのとともに、遠軽まで続いた北見地方から、いよいよ道北の最南部に到達したという気になってきた。

北海道紋別市中立牛 道道137
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 立牛の交差点まで、更に緩い下りが続く。のんびりと下りに身を任せていると、流石紋別の山間、風が涼しい。空にはますます雲が少なく、青空の部分が多い。日差しが当たるこの谷間を眺められるのも、近年はあまり記憶に無い。日差しの中では気温が途端に上がり、あまり照りつけられてもこの谷間には自販機が無いのに、などと思ってしまうほど日差しは鋭いものの、暑くなってきたと思う辺りで日差しは良い具合に雲に隠れてくれ、のんびりと流すには都合が良い。

 9:25、立牛発。次は濁川、滝上への西立牛トンネルだ。本日3つめ、180mの登り開始である。
 道道137は農家や廃屋、畑の間から山裾の森へ。やはり熊が潜んでいそうに鬱蒼とした森の谷間を折り返し、山腹へ、法面の芝生を眺めて山服の森をトンネル入口へ登ってゆく。毎回翌年には必ず風景を忘れる、あまり印象的ではない風景が続く。斜度は本日標準の7%前後。登り総量は多くないものの、北海道の峠としては中の小か小の大、というポジションではないかと思う。
 9:50、札牛トンネル通過。山間を滝上の谷間へひと下り。谷底で1本道と合流し、畑が拡がる谷間をしばらく下る。立牛側の印象の浅い森と茂みとは対照的に、そう広くはないが静かでのんびりした人里の雰囲気が優しく印象深い。突如狭くなった谷間の渓谷をくるっと回り込んで、更に広い平地へ出た。10:15、濁川着。
北海道Tour18#5 2018/8/13(火) 生田原→仁宇布-4

 「濁川」「滝上」の二つの町は、僅か数100m程度の渓谷を挟んで相対している。ほとんど一続きの町と言っていいぐらいなのだが、やはり二つの町の間には短いながらも渓谷があり、渓谷を挟んだ町にはそれぞれ別の地名が付いている。そして上手の滝上の方が、町として栄えている。かつては国鉄渚滑線の終点であり、現在も紋別、更に旭川からのバスの終着となっている。セイコーマートや宿もある。
 私の行程の区切りとしても、渚滑川とサクルー川の二つの谷の分岐点であり、国道273と道道61の分岐点でもある滝上の方が何かと把握しやすい。今日も行程進行の目安として、滝上、西興部、下川の到着希望時刻を考えていた。生田原6時前発で滝上10時半前着、タイムリミットとして美深松山峠が17時台とすると、下川は15時には出発しておきたい。ならば西興部は12時半〜13時、ということになる。この目論見に対して、今のところのんびりながらまあ順当に、というよりやや快調に進めている。西興部まで2時間見込むとして、西興部着は12時半。
 一方、西興部から下川へは、確か2時間半ぐらい見込んだ方がいい、という記憶がある。すると、下川で15時半か。これだと美深松山峠は17時台後半、仁宇布着は18時〜18時半ぐらいになってしまうかもしれない。仁宇布が夜になってしまう訳じゃないが、ちょっとぎりぎりでもある。もう前倒しにしておきたい。まだあまりうだうだする余裕は無い。
 しかし、そういう各区間積み上げによる想定到着時刻より、この区間毎回の実績値だけで言えば、いつものあまり無理をしないのんびりペースで、仁宇布着は17時頃のはずなのである。
 まあ、こういう時には何を考えても解決しないので、粛々と進むしか無いのである。あと9時間後には19時になっていて、ファームイントントで夕食を食べている。そのためにできることをするしかないのだ。
 今はとにかく、一息付いたら出発せねば。
 10:20、滝上着。珍しくセイコーマートではなく、道道61沿いの町中に建つスーパー中川で休憩。まだ腹は減っていないし、フロントバッグにクロワッサンはあるし、どうせ西興部にセイコーマートはあるし、何となく滝上の町中で少しでも先に進んでおく方がいいように思えたのだ。
 それにしても、陽が出るとじりじりと日差しが熱い。汗を拭いて早朝以来の日焼け止めをべたべた塗っていると、買い物に来たおばあさんが「暑いねえ」と声を掛けてくれた。

 10:45、滝上発。町外れを抜け、サクルー原野から札久留の台地に乗り上げると畑が拡がった。正面には上紋峠を含む、道北南部中央の山地が立ちはだかっている。珍しく今日は上紋峠日和ではある。かつては滝上14時台発で下川着19時前に着いたこともあったから、今から上紋峠に向かったら、下川に15時に着けるかもしれない。行って行けないことは無いかもしれない。等と妄想するぐらいに、谷間と前方の山の眺めが堂々と見応えがある。まあ、今日はまだ先が長いので、当初コース通り札久留峠経由としよう。
 札久留で道道137の分岐を曲がると、一直線の谷間正面に、もう札久留峠が見えていた。峠とは言え登りたかだか130m、朝や夕方は熊が怖ろしいものの、もう真っ昼間の時間帯。それよりも、開けた頭上から時々照りつける日差しが暑くて仕方無い。

 11:10、札久留峠峠通過。標高305m。峠自体標高は低い。そして峠8つのうちまだ4つめだ。藻別側は、少ない標高を峠下までで70mも下ってしまった後、次の分岐である標高130mの瀬戸牛まで12km、ほぼ一方的な緩下りが続く。道としてはその先も、オホーツク海岸まで23km、最後まで淡々とだらだらと延々と下りが続くのである。典型的な、道北南北横断系峠毎度の地形だ。

 札久留峠からずっと下りが続いて身体がすっかり落ちついたためか、たかだか標高差80mの瀬戸牛峠では、再び面白いほど一気に汗が吹き出てきた。滝上で油断して補給しなかったボトルの水も飲み過ぎ気味で、もう残り少なくなっているものの、所詮は標高差80m。12:05、瀬戸牛峠着。
北海道Tour18#5 2018/8/13(火) 生田原→仁宇布-5

 毎回、峠の少し向こうで見下ろせる西興部の町の眺めは楽しみなのだが、下り途中の道端懐的展望台風のスペースでは、斜面下側から背を延ばした木々が、いつの間にか眺めを遮るぐらいに生い茂っていた。思えばここ何回か興部からバスでやってきてここは通らなかったり、雨の中あまり景色を眺める余裕が無い訪問が続いていたな、と思い出す。いずれ木が伸び放題になって眺めは完全に遮られるか、或いはまた役場かどこかが見るに見かねて枝が刈り取られるのかもしれない。そうやって年月が経ってゆくのだ。

北海道紋別郡西興部村字西興部 道道137
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 12:10、西興部セイコーマート着。出発以来6時間経過として、あと6時間。175kmのコース中の97kmだから、行程的にはなかなか順調である。というより、思っていたより残りの距離が少ないんじゃないか。ツーリング中の目論見で、都合の良いことはあまり無いはずなのだが。とにかく下川のタイムリミット15時発に向け、引き続き気を抜かずに脚を進め続けなければならない。確か西興部から下川までは、50kmは無いが、40kmは確実にあったはず。

 12:30、西興部発。国道239で下川へ。
 町外れで登場した標識には、下川まで28kmとあった。なんだ、下川まで40kmどころか、30km無いのである。我ながら自分の記憶は相当にいい加減だなと思ったものの、まあ、実際が記憶より短い方で良かった。後で調べ直すと、前回の2012年には、確かに2時間半かかっていた。

 再び日が照りつけ始めていて、上興部までの緩登り区間ではかなり暑さが感じられた。雲に陽が隠れてくれるのが有り難くて仕方が無い程だった。
 しかし天北峠を越えると、空気はやや涼しくなった。空が曇り始めたせいもあるかもしれない。何だか今までの晴れ基調と違って空一杯に拡がった雲がやや厚く色が濃い。この後下川から先の山間で、雨にならないといいのだが。
 峠から一下りで一の橋、更に下り基調で二の橋へ。山間から平地に出て下るに連れ、再び空は明るくなり始めた。さっきまで下川着15時ぎりぎり一杯を覚悟していたのに、現状の行程はかなり好調だ。これなら美深松山峠を17時過ぎ頃には通過し、18時までに仁宇布ファームイントントに着けそうだ。今日やっと、最後まで余裕を持って行けそうな気になってきた。なかなか気分が良い。

 14:05、下川着。何と下川に14時に着けてしまった。でもそもそも、これなら毎回のコース所要時刻通りである。積み上げ計算で少し余裕を見込みすぎたかもしれない。毎年同じコースを通っているとコース検討能力が減退してしまい、同じコースでも分割地点を変えた途端にこういう状況である。
 下川から終点仁宇布まで約50km。完全に無人地帯の行程となる。そこで今日の宿ファームイントントに電話しておくことにした。この先の様子を確認しておきたいというより、どちらかと言えば順調に進んで17〜18時には着けそうだという報告のつもりだった。

 ところが、女将さんのお話は、大変思いがけず今後の見通しを覆すものだった。
「こちらは土砂降りで、けっこ〜う降ってますよ。天気予報も朝は晴れだったのがいきなり雨に変わってます。」
「わかりました。とにかくそちらまで確実に行ける方法を考えます。」
と答えてまずは天気予報をチェック。確かに終日晴れと曇りだった天気予報は、下川町、美深町、江差町のどこも15時の桝から後が雨、しかもけっこうしっかり降りそうな予報に変わっていた。
 この先確実に雨、とみる方が適切っぽい。雨に降られただけで死にゃあしないとは思う人はいることだろう。私の知っているけっこうなベテランツーリストでもそうだ。しかし、低温、体温の下降、不安定な路面に見通しの悪さ、薄暗くなって現れる動物(特に熊)、落雷。平地でも嫌なのに、あの山深い山間で土砂降りに降られたらどうなるか。
 しかし今から仁宇布へ輪行するのに、名寄→美深の宗谷本線は頼れないし仁宇布までバスは無い。解決策はただ一つ、タク輪である。とすぐに思ってしまう程、出発から4度のタクシー・バス・乗用車輪行を経て、私の心のハードルは下がっていたのであった。
北海道Tour18#5 2018/8/13(火) 生田原→仁宇布-6

 何はともあれ下川でタクシーをなんとか捕まえねば。名寄辺りのタクシー営業所があるかもしれない、と思って向かったバスターミナルへの途中、そのものズバリ「下川ハイヤー」の営業所を発見することができた。何と下川にはタクシー会社があるのだった!そして更に幸運だったことに、ちょうど空いていた介護タクシーの3号車に、自転車を解体せずに載せてもらうことができたのだった。
 まあ、下川ではずっとサンルダム工事中だったので、タクシー会社位あっても不思議ではない。とは言え、女将さんとの電話が終わってからここまで10分強。まるで仕込んでいたかのようにスムーズな展開だったのは、運命だったのかも知れない。

 14:30、下川発。下川ではまだ空は明るかったものの、道道60の谷間に入るとすぐに雲が低くなった。ソバ畑の終端からダム新道へ登るのは毎度の通り。しかし何と、工事中だったサンルダムが既に完成していた。
 いや、ずっと2018年完成予定ということは知っていた。2003年に初めて付け替え道路が工事中であることを旧道から発見して以来、ずっといつかは完成するんだろうなと思っていたサンルダム。そのサンルダムとの初対面である。しかも、それが毎度の自転車ツーリングではなく、何と乗用車の中から眺めているのである。そして何年もいつかは感慨とともに完成したサンルダムを眺めるのだろうと思っていた割には、完成して水を湛えたサンルダムとダム外周道路は、まるでずっとそこにあったかのように力強く落ちついて静かな、普通に巨大な土木建造物なのであった。完成するまでの年月が生んだ感慨に浸るより、やはりこれから完成したサンルダムを眺める機会を大切にすべきなのかもしれない。

 サンルダムの新道区間から幌内越峠まで雨は降らなかったものの、辺りはいつ日が暮れるのかというぐらいに薄暗く、1時間以内ぐらい前には雨がけっこう降っていたぐらいに路面の生乾き状態が続いた。
 上幌内から美深松山峠への登りに入った途端に道の濡れ具合が増し、美深松山峠から仁宇布ではもう完全に黒々ぬらぬら路面だった。雨も、とりあえず水滴が空中に舞い続けていた。降っているのか止んでいるのかわからないぐらいの状態が続いたものの、終始いつ本格的に雨が再び降り降り始めても不思議ではなかった。そして実際に、松山湿原入口から先では小雨が降り始め、仁宇布の交差点が見え始める最後の白樺直線区間で本格的に雨が降り始めた。何となくここまで、車が通っている間は雨が降っていない区間は多かったものの、やはり一番山深い美深松山峠区間でこの状態。自転車で走っていたら、どんなに不安だったことか。

 15:30、早々とファームイントント着。
 到着段階で一旦弱まっていた仁宇布の雨は、その後風呂から上がると、牧草地の遠景や山が見えないぐらいの土砂降りに変わっていた。サンルダムから続いた空の暗さだと、むしろこの降り方が自然である。やはりタク輪にしてよかったと、心から思った。
 などと、こんなに早い時間から牧草地を見渡す食堂でビールを楽しめている。かなり緩い旅だが、まあいいではないか。何も好き好んで過酷な環境に身を置く必要は無いのだし、何よりも今年も仁宇布に来れているからこそ、この時間が持てているのだ。

 明日の天気予報は、中頓別町、中川町、幌延町、浜頓別町が12時まで曇りで15時以降雨、猿払村は終日曇り。こういう状況だと、できれば15時には猿払村に入っていたい。そして猿払村に15時に着いているために、知駒峠を始めとした内陸の奥に深入りする訳には行かない。
 結局、明日も仁宇布→歌登→中頓別→浜鬼志別の最短経路だ。確か計画時には130kmぐらいだったはずだ。それなら、道道120での熊の出没を避けるためにも5時台に出発する必要は無い。全130kmなら、7時に出発しても安心だろう。
 女将さんは、それでも朝食を5:30に作って下さるとのこと。こちらもお言葉に甘えることにした。旅の朝はとにかく早い方が何かと良いのだ。

■■■2019/1/26
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔
北海道Tour18#6 2018/8/14(水) 仁宇布→浜鬼志別-1

仁宇布→歌登→中頓別→浅茅野→芦野→浜鬼志別 133km
ルートラボ>https://yahoo.jp/sl97P5

 4時に起きて窓を開けてみると、雨が上がって空の一部が晴れ始めているではないか。いいぞ。今日は希望が持てる、かもしれない。
 いそいそうきうきと5時に積み荷を開始し、5:30に朝食へ。朝食中、遂に青空が見え始めた。いかにも道北らしい伸びやかな空、堂々と静かに拡がる畑や山々の眺めが感動的だ。ファームイントントの食堂から青空の仁宇布を眺めるのも、何だか久しぶりだ。
 朝食を終えてまだ6時前。6時台の道道120は熊が怖い。それにどうせ今日の終着は浜鬼志別。天気予報の15時、つまり13時半〜16時半、内陸部と浜頓別町は雨予報なので、知駒峠へ行くとその後が雨に降られそうだ。このため知駒峠には行かずに、なるべく早い時間に浜頓別町を通過できる短縮行程のつもりなので、朝に多少うだうだするのは予定通りの行動なのだ。
 とりあえず7時台まで。と思って宿で待機する間、あっという間に雲が拡がったのみならず、牧草地に霧まで漂い始めた。霧の中は全体的に明るく、まあ昨日みたいな雨にはならないだろう、とは思える位ではあるのだが。

 7:15、ファームイントント発。仁宇布の交差点に下る間に霧は消えたものの、空には相変わらず雲が拡がっていた。霧が無い分、雲の薄暗さとかなかなか消えてくれなさそうな雰囲気もよくわかるようになってしまっている。まあ、こんなもんかもしれない。さっき仁宇布で青空に出会うことができただけでも、仁宇布に来た価値があったというものだ。それにまだ、帰りにもう一度仁宇布には寄ることになっている。
北海道中川郡美深町仁宇布 道道120
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 自分で自分に語りつつ、仁宇布の盆地から西尾峠への谷間に入ると、それまで高かった雲が低くなり始めた。空も更に暗くなり、もはや薄暗いとしか言えない。というより、これなら天気予報通り。ごく普通に雲が濃い日の7時台として、適切な曇りである。まあ、こんなもんかもしれない。

北海道中川郡美深町 道道120 西尾峠
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 8:00、西尾峠通過。峠を越えて上徳志別側へ下るとともに、空中に水滴を感じ始めるようになった。路面もところどころでしっとり濡れたり乾いたり。雲は雨が降るような低さには無く、そういう暗さでもない。一見心配は無さそうではあるものの、ここはオホーツク内陸山中。いつ、急に雲が濃くなって大雨が降り始めても不思議じゃない。実際には雨に変わってない状態がしばらく続いていて、安心できているというだけの崖っぷちなのかもしれない。
 それに脚を停めると、8時台とは言えまだ周囲の山々には押しつぶされそうなの圧迫感が感じられる。まずは少しは天気は好転しそうな歌登まで下らねば。
 フーレップ川の谷をどんどん下り、天の川トンネルを過ぎて織姫橋休憩所辺りまで、雨が降る雰囲気は全く無かったものの、路面は乾いたり、濡れ跡が現れたりしていた。
 大曲の下り辺りで、突然というか満を持したように急に水滴の密度が上がり、辺りの路面も目立って濡れ始めた。これはもう雨と認めざるを得ない。上徳志別の盆地入口で、雨はしとしとからちょっと強いぐらいに密度を増し、空も何だか目に見えて暗くなってきた。盆地までおりてきてこれか。ちょっと雨宿りしてやり過ごすべきかもしれない。

 8:50、上徳志別着。元小学校のキャンプ場前に庇のある集会所を発見できたので、軒下で雨宿りさせていただく。庇下は狭くやや蜘蛛の巣っぽいものの、雨から逃れて雨具を着るには全く問題無く、個人住宅の玄関先や納屋をいきなり無断突入してお借りするより随分気が楽だ。
北海道Tour18#6 2018/8/14(水) 仁宇布→浜鬼志別-2

 西尾峠から20km、ほとんど下りに任せて進んできたので気付かなかったが、停まってみると意外にも弱い追い風が絶えず吹いているようだ。風のせいで雨が吹き込み、小さい軒下の雨避け有効面積が更に狭くなっているのに、庇下空間の脇は周囲の茂みと一体化するように大きな蜘蛛の巣が竪に張られているので、あまり雨粒シフトで軒下の端に寄る訳にはいかない。そうこうするうち、ゴマフアブがお出まししていた。さすがは山間の牧草地まっただ中だ。気温が低いので彼奴らの動きは鈍くなっており、わざと靴下の上に止まらせて、ムシペールを直撃してやったりする。人の血を吸うならず、凄まじい痒みと腫れを残しやがって。しかし彼らは悪気がありそうな面構えにも拘わらず、悪気でやっているわけではなく、そういう進化をしてしまっているのだ。自分の報復行為は純粋に憎しみと悪気である。こういう行為により、おれもあの世で罰せられ、ゴマフアブに転生する日が来るかもしれない。
 ずーっと途切れずに続いているはずの、風やら雨やら虫の声が聞こえてくる。時々車も通り過ぎてゆく。ちょっとクロワッサンを食べてみる。もうひとつ。クロワッサンが賞味期限を越えているせいか、バターの匂いが多少きつくなり始めている。おれもちょっと疲れているかもしれない。そのちょっとした疲れのせいか、体内は妙に落ちついている。走っているのとまた違う、自分の周りの空間や風景が停まっている感覚、時間の感覚がいい。
 雨がなかなか弱くならないので、いい加減しびれを切らし、9:20、上徳志別発。歌登の盆地では雨は上がるはずだ。しかし、上徳志別とは8の字型盆地の南北関係にある、その北側の志美宇丹で、早くも雨が綺麗に上がってしまった。のみならず、道道120で数少ない自販機ポイントのバス停で雨具を脱いでいると、急に蒸し暑さが感じられ始めた。気温が上がり始めている。道北も北部まっただ中だというのに、20℃は越えているかもしれない。ひょっとして、これから急に天気が好転するかもしれない。

 とは思ったものの、結局その後空が晴れることは無かった。志美宇丹峠を下った歌登の盆地北端の辺毛内でも、道は乾いているものの雲は全体的に濃いのであった。
 9:55、歌登着。とにかくセイコーマートへ。
 しっかり朝食は食べたので簡単に、それでもいろいろ食べたり飲んだりする。道北ももうまっただ中、ここまで来れたという感覚が嬉しい。空を見上げてみると、内陸方面の空は、明らかに重い色で、その辺の山のすぐ上まで下がってきているように見える。今、ここ歌登では、なんとか保っているだけなのかもしれない。しかしどこへ行っても、こんな感じなのかもしれない。
 歌登からは再び道道120で、標高230mの兵知安峠を越えて中頓別へ向かうのが、今日は都合が良い。その先まで含めて、一番静かな道で最短経路を経由できるからだ。それに私的道北縦貫道道の基幹をなす道道120、折角仁宇布から歌登まで下ってきたのだ。ここは更に中頓別まで辿りたい、という気持ち上の理由もある。
 他の選択肢はどうか。道道12・小頓別・国道275の内陸側経路は、やや大回りだしここ2〜3年何度か使っている。道道12・枝幸・国道238の海岸沿い経路は、大分長い間使っていないし久しぶりならそう悪い選択でもないと思うものの、やはりやや大回りだし、好き嫌いで言えば道道120兵知安峠の方が断然好きだ。
 必要性と空模様を勘案してみたつもりだが、結局は好き嫌いなのかもしれない。今日はこれ以上天気は悪くならないでほしい、というやや一方的なお願いを込めて、今日は兵知安峠へ向かうことに決定した。
 その間、何だかこちらをずっとちらちら眺めているライダーに気付いていた。だって、話しかけたくて仕方無い雰囲気を全身で発散しているのである。新手のスタンド使いなら失格だ。そしてやっぱりそのうち、人が物を食べている真っ最中に話しかけてきて、聞きもしないのにオホーツク海沿岸の道の状況を話し始めた。行かねーよそんな方と思いつつ、適当にあしらっておく。私は旅人には意外と冷たい男である。地元のお婆さんお爺さん子供達は大好きなのだが。
北海道Tour18#6 2018/8/14(水) 仁宇布→浜鬼志別-3

 10:15、歌登発。町の西側で道道120へ。谷間の牧草地から茂みのような森へ次第に高度を上げ、谷のどん詰まり手前で一気に高度を上げ始める、典型的道北最北部の峠である。兵知安峠の標高は230m。丘のような高さだが、峠手前で斜度ががつんと上がる。また歌登・中頓別間は30kmとやや距離があり、毎回通過にはそれなりに時間がかかる。更に峠周辺、特に中頓別側の山間には、意外な程の山深さが漂う。中頓別側に比べると穏当な歌登側でも、谷間両側の山が低いため「切り立った谷」というより「浅い谷」という印象が勝つものの、道の周囲を覆う森や茂みは山深くブキミだ。対岸の川岸にいつヒグマが現れても不思議じゃない気がしてならない。
 11:00、兵知安峠通過。今日のように雲が低く空が暗いと、中頓別側はまた一段と山深い。相変わらず山は低いのに、歌登側とは段違いに谷の狭さが迫ってくる。ずっと標高が高い、美深松山峠や西尾峠の上徳志別側より山深いのではないか、と思わせられる。キタキツネなども路上に現れ、折しも空がますます暗くなって水滴などぱらつき始めると、何だか壮大に化かされているのではないかという気になってくる。とにかく、早く通り抜けてしまいたい。谷間から放り出されるように兵知安の牧草地に出て、ほっとした。相変わらず雲が低く薄暗いものの、空間が一気に拡がる、静かな開放感が毎度感動的である。
 兵知安で道道647が合流し、中頓別まで更に9km。この間緩い下りではあるものの、なかなか辿り着かなくて毎回馬鹿にならない、道道120の最後の区間だ。

 12:05、中頓別セイコーマート着。歌登から2時間かかっていない。仁宇布から歌登までは時間が掛かったし、上徳志別では疲れていると思っていたが、意外に普通ペースではないか。
 時間はすっかりお昼。昼食的な物資をセイコーマートの軒下で食べながら国道275を眺めていると、山方面から降りてくるオートバイは全て完全雨具装備である。兵知安峠が雨じゃなくて助かった。国道275は道北の名峰敏音知の裾を通っているため、雨が降りやすいのかもしれない。
 こういう状況だと、今日はもうこの後知駒峠などという選択肢は全く無く、終着鬼志別へ直行ということになる。オホーツク沿岸部で国道238経由とかじゃなくてずっと裏道経由だとしても、まあ直行と言っていい。ならばあと60kmぐらい。普通にずっと地道に脚を動かして浜鬼志別まで3時間。天気予報は浜頓別で15時枠が雨、猿払村はずっと曇りだったから、余裕で回避できるだろう。
 時間に余裕があると思うと、何となく急に眠くなってきた。やはり疲れているのかもしれない。セイコーマートの軒先からぼうっと眺めていた国道275の反対側に、何と都合良く屋根付きのバス停小屋があるではないか。
 早速小屋へ行って時刻表を見ると、次のバスまで2時間。これならバスのお客さんにも迷惑は掛からないだろうと思い、この際自転車を中へ入れさせていただく。扉を閉めれば、昼寝にこれ以上の場所は無い。
 結局12:30〜12:50まで昼寝20分。どんなだったか忘れてしまったぐらいの軽い夢から覚めると、そこはすっきり爽やかな現実世界だった。13:00、中頓別発。

 しばし国道275を浜頓別方面へ。強向かい風から横風、強追い風まで何でもありの風に、良くも悪くも影響されることが多いこの道、今日は僅かに向かい風だ。寿で9600と国産戦闘機を横目に眺め、旧天北線をオーバークロスしていた陸橋でがくんとペースが下がる。やっぱり多少疲れているかもしれない。もう鉄道は無いのだから、オーバークロス陸橋なんて撤去して平坦にしてほしいのだが、もう長いことこの無意味橋はそのままだ。ここを自転車や徒歩で通過する人の数を勘案すると、解体費用を掛けるほど橋を無くすことに意味は無いのかもしれない。そして道内各地にこういう陸橋は多い。昨日通った二の橋でも、名寄本線を越えていた橋がそのまま残っている。
北海道Tour18#6 2018/8/14(水) 仁宇布→浜鬼志別-4

 下頓別で国道275を離れ、既知の裏道で常盤へ。牧草地の中に続く細道農道では、やはり車が少ないことそれだけで、自分の周囲の空間が牧草地、そして雲の低い空へ続いてゆくのを感じる。これが国道275だと、いくら交通量が少なくても所詮幹線国道、自分の外側30cm以遠は警戒すべき車のエリアであることが感じられる。意識しなくても、やはり身体が緊張する交通量なのだと思う。
 のんびりした農道に油断したのか、舗装路面上にたまたま一つだけ転がっていた小石を踏んでしまった。ごりっという感触があり、案の上500mぐらい走ってタイヤがずりっと来始めた。スネークバイトのいつものパターンだ。おとなしく自転車をひっくり返してパンク修理とする。これでまた15〜20分ロスだ。
 しかし所詮、今日は浜鬼志別終着でもう中頓別まで来ている。焦る気はしない。上徳志別での雨宿りの時のように、再び風景が停まって、自分の周りに静かに落ちついた空間が充ち、走っているときの風景との一体感より濃密に、自分が風景に溶け込み始める、そんな気になってくる。何も狙い定めた絶景ポイントじゃなくてもいい。ごく普通の田舎道こそ、こういう感覚を普通に味わえるのがいい。鉄道を撮っていた高校性の頃、線路脇から線路が見える田舎道で列車を待つ時、こういう感覚を何となく意識し始めていたことを、最近思い出し始めている。その時間と感覚が好きで、鉄道写真そのものからどんどん離れていったのだっけ。
 チューブを替えてタイヤをチェックしながらこんなことを考えていたら、もうのんびりするしかない。結局14:00までのんびりした後、再び出発。
 20分足らずの間に、雲はどんどん低くなり始めているではないか。そう言えば、散々のんびりした結果、天気予報で雨マークだった、浜頓別15時の場所と時間帯に、もう入っているではないか。ということは、いつ雨が降り始めてもおかしくないのだった。まあ、今日はもう緩めに行こうぜ。

 前回声を掛けていただいた牧場農家を横目に眺め、農道で常盤へ。オホーツク沿岸まで、去年通った経路の逆走である。国道をと浜頓別を経由しない、内陸の静かな道道による最短経路。天気が冴えない今日は特に、これが最善の経路だろう。
 段丘を一登り、牧草地が拡がる台地に乗り上げて丘を一越えし、しばし迷走のように農道を辿る。14:30、ポン仁達内着。クランクで道道84を経由、次は浅茅野への道道710へ。
北海道枝幸郡浜頓別町ポン仁達内 道道84・道道710分岐
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 牧草地と牧場とその間の森が、緩やかな丘にとともに広々と続いてゆく。道はそういう地形を無視して一直線に谷や丘を横断したり、俄然地形沿いに谷筋や丘の頂部に沿って曲がったりして続いてゆく。時々、右側の霧と薄暗さで霞み気味の牧草地の向こう、クッチャロ湖の湖面が液体金属のようになんだか非現実的に、意外な近くに光って現れていた。左側の内陸側には低山が続いているはずだったが、低い雲で山裾の森から上は地形のボリュームが全く伺えない。雨が一気に落ちてこないというだけの、ますます低く濃い雲の下、拡がる低地の緑は灰色の空と路面とともにほぼモノトーンであり、わずかな他の色を押しつぶしている。
 こういう天気だと気温は低い。風もあまり強くない。何も今日みたいな天気が珍しい訳ではない。もともとこういう天気の日ばかりなので畑の作物が育たないから、道北オホーツク沿岸部は酪農が盛んになったのだ(という話をどこかで読んだ)。今日の天気は冴えなくても、過去の訪問時には晴れて爽やかな日もあった。雨っぽく風が強かったりする年もあり、まあそういうのを含めて北海道の旅なのである。まあしかし、こう薄暗いと風景に鮮やかさが全く無く、少々気が滅入ることも確かなことではある。

 クッチャロ湖岸の低地から海岸内陸部の丘に乗り上げ、15:00、飛行場前着。相変わらず雲は低い。元国鉄天北線の北オホーツク自転車道の、いかにも元踏切っぽい道道交叉部の車止めに、丸い通行止めの標識が張り付けられていた。車止めの少し先には熊の顔が描かれた通行止め看板も立っていた。両側を鬱蒼とした密林に挟まれて一直線に続いてゆく、舗装自転車道の霞んだ彼方が、野生動物達の縄張りに戻りつつあることを想像してしまう。私も10年ぐらい前までは、この道を好んで通っていたのだ。静かで時々拡がるクッチャロ湖の眺めが大変素敵で心に残るいい道なのだが、確かに当時から、かなり高い確率で熊が出そうではあった。そのうち実際に浜頓別周辺で熊目撃情報が出始めてから、この道は通らなくなってしまったのだった。
北海道Tour18#6 2018/8/14(水) 仁宇布→浜鬼志別-5

 15:15、浅茅野通過。道端に珍しく自販機を発見したので、少し表敬訪問しておく。缶コーヒーをぐいっと呷ると、電線のカラスが頭上でカア、カアと2回鳴いた。何だか意味ありげな鳴き方にぴんと来て、自転車を少し動かしたら、案の上カラスが電線から糞を垂れやがった。奴ら、他の生き物の頭の上に糞を落とすとろくなことにならないということを知っていて、警告したのかもしれない。等と思わせられる、湿原と森の中の薄暗く人気の無い集落における、人間と野生動物の行きずりの出来事だった。事程左様に、ここでは野生動物が人間の営み近くで息づいているのかもしれない。
 浜鬼志別までの北上経路は毎度のエサヌカ線ではなく、久しぶりに元天北線跡の道道1089を通ってみた。以前通ったのは確か2012年。今日と同じように薄暗い霧の日で、仁宇布から道の駅さるふつへソフトを食べに来て、折り返して浜頓別へ向かったのだった。その時には浜頓別への南下がひたすら蛇足だったような気がして「ホテルさるふつで泊まれば良かった」などと思っていた。仁宇布からオホーツク沿岸へ出てホテルさるふつで泊まるという今日のコースに、その時の経験が活きているとも言える。
 さっき通行止めだった北オホーツク自転車道と同じく元天北線の道道1089。道そのものは普通の今時道道風にぱりっとした表情で幅も広いのだが、道を取り囲む森や茂みは鬱蒼と沈黙していて、空も相変わらず低く暗い。道が浅茅野の集落から200mも離れると、もう熊が出そうにワイルドな雰囲気が路上にまで漂い、その圧迫感に押しつぶされそうに怖い。熊鈴前後2個を念力でパワーアップしつつ、とぼとぼと進んでゆく。
 16:00、芦野通過。この先もう浜鬼志別まで集落は無い。丘の間にちらっと見える、芦野開拓(という地名)方面には凄い農場が見えた。一方、道沿いの集落には芦野市街という名前が付いているものの、かなり閑散としている。恐らく原野で牧草地を拓いた開拓者が、努力の末成功し、大農場を築いたのだろう等と想像する。
 こちらは相変わらず道道1089を進んでゆく。鬼志別までもう約10km。海岸沿いから次第に内陸へ、丘陵を微妙なアップダウンとともに進んでゆく緩いカーブと緩い勾配が、いかにも鉄道そのものであり、走りやすい。しかし開けてはいる道幅の頭上は、雲が低くて辺りは薄暗い。両側には相変わらず森、茂みが、やや不気味な雰囲気とともに続いている。
 風景も相変わらず、いや、ますます緑のモノクロームである。もしかしたら、晴れていると印象が一変する道なのかもしれない。ひょっとしておれは、野生動物を始めとした生き物たちに見物されながら、しずしずと1本道を進んでいるのではないか。押しつぶされそうな不気味さに耐えていると、途中で猿払村境界を越えた。何とか天気予報の雨からは逃げ切れた、と思った。
 芦野から4kmの間およそ分岐というものが無かった道に、やっと現れた右側への農道分岐が、浜鬼志別方面への分岐である。森と茂みから逃げるように農道へ曲がると、やっと浜鬼志別へ続く牧草地が、一気に拡がった。遠くにはもうホテル猿払が見える。あそこまで直線で道が通っているといいのだが、残念ながらそういう道は無く、四角形の1辺と3辺の関係で浜鬼志別経由の大回りをしなければならない。いや、いずれにしろ今日は浜鬼志別へ立ち寄り、明日の朝食をセイコーマートで仕入れておく必要があるのだ。

 16:20、浜鬼志別着。セイコーマートで明日の朝食を補給しておく。今日は8/14、お盆の前日である。漁協のホタテ売店も漁も休みだろう。ホテル直行が適切だ。
 オホーツク海岸の国道238のもの凄い向かい風だ。そして寒い。空はますます暗くなっていた。一刻も早く宿に着きたい気分である。
 16:45、ホテルさるふつ着。意外に売店の物品が充実しているのをすっかり忘れていた。わざわざセイコーマートに寄らなくても、最低限の物資は確保できたかもしれないが、まあセイコーマートが在るに越したことは無い。
 風呂に入ってほっとしてから、18時に夕食。定食をたいらげた後、単品ホタテラーメンをプラスしておく。

 明日の天気予報は雨後曇りの後、15時以降サロベツ方面で雨となる。部分的には降られるとしても、極端な山中にさえ向かわなければ、今日と同じく全体としてはまあまあ走れるだろうと思われた。ただ、朝の宗谷丘陵、昼過ぎの有明方面はやや微妙かもしれない。まずは行ってみて、手前で身の処し方を考えよう。最短距離で中川へ向かえば、大した距離ではないのだ。

■■■2019/2/10
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川-1

浜鬼志別→宗谷岬→川尻→沼川→本流→幌延→雄信内→歌内→中川
ルートラボ>https://yahoo.jp/EJUCaX 140km

 外がやっと明るくなった頃、少しだけ部屋の窓を開けてみた。浜鬼志別早朝毎度の例に漏れず、かなり肌寒い空気が風とともに入ってきた。そして外へ手を出すと、雨が少しぱらついているのが感じられた。

 5時過ぎ、ロビーで荷積みを開始。風も国道の音も全く聞こえない。ただ薄暗く色彩感に乏しいホテル前の駐車場と国道238と分厚い雲が見えるだけだ。これから外に出て、中川まで1日走るのだと思う。でもどんなに寒くても、最悪レインジャケットとフリースを重ね着すれば、気温一桁台後半ぐらいは耐えられるだろう。いくら何でも8月なんだから。
 今日の天気予報は、コースの大半で朝のうち雨、9時以降概ね曇り。終着の中川とサロベツ原野方面では、15時の桝以降雨になっている。今日の行程は150〜160km台。朝の宗谷丘陵やお昼頃有明辺りの丘陵で多少寄り道しても、15時以降はもうサロベツ原野方面の平地に降りているだろう。その頃に雨が降り始めたとしても、平地で1時間半ぐらい脚を回していれば、お風呂とふかふかベッドがある中川の宿に着くことができる筈。それに、実際には天気の進行が遅れて18時まで持つかもしれない。
 今ここ浜鬼志別での現実としては、内陸方面の雲はかなり厚く低いように伺える。15km先の東浦に、早くもその内陸方面、宗谷丘陵の道道1077と889への分岐がある。分岐で空の状況をみて、訪問を諦めるなら潔く諦るべきだろうな。

北海道宗谷郡猿払村浜鬼志別 ホテルさるふつ
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 5:50、ホテルさるふつ発。国道238の路上に出ると、やはり寒い。

北海道宗谷郡猿払村浜鬼志別 国道238 ホテルさるふつ前
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 国道238は浜鬼志別南側の台地から浜鬼志別市街まで下り、そこからしばらくオホーツクの海岸際に続いてゆく。市街北側の漁協のホタテ工場を過ぎると、廻りに漁港や漁村は途絶え、視界には建物はほとんど無くなった。
 陸地側は高さ20〜40m程度の台地の縁、森ではなくやや高めの茂みか崖になっている。海側は道の外がすぐ波打際になっていて、水平線の上は厚く薄暗い雲、下は寒々と不透明な暗い色の海が拡がっていて、遠くの海面は鈍く白く光っている。その明るさと遠くの明るさへ続く開放感が、頭上の雲の重さで滅入りがちな気持ちを和らげてくれていた。
 道端には時々番屋みたいな倉庫みたいな小さな建物が現れ、過ぎてゆく。また次の番屋を遠くに見付け、次第に近づいてまた通り過ぎてゆく。単調な風景がしばらく続いていると、とぼとぼと北上する自分の空撮画像を想像したりする。これで空が青くて朝陽が出たら、どういう色彩の景色になるのだろうと思う。想像を遙かに超えた感動に震えることができるのだろう、とも思う。
 とりあえず、どこまで行っても雲が低く厚くて、薄暗くて風は強いものの、雨にはなっていない。今のところは快調な進行ではある。

北海道宗谷郡猿払村知来別 国道238
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 もともとだいぶ南の浜頓別辺りで既に交通量が減っている国道238は、浜鬼志別から北では更に車が減る。浅茅野や芦野辺りのように時々大型車が高速で通過するものの、これぐらいの交通量なら、国道とは言えツーリングの経路として普通に許容できる。そもそも、浜鬼志別から東浦まで他に道が無い。
 海岸部ならではのかなりの強風が、昨日に引き続き相変わらず吹いている。進行方向に対して追い風方向で、脚をくるくるっと回して一気に30km/hにもっていくと、そのまま楽々巡航できてしまう程だ。軽い脚の感覚に、つい昨日の向かい風の苦しさも思い出してしまう。もしこれで進行方向が逆方向だったらとか、こちらの都合と風向きは基本的に無関係だとか、確率的には概ね半々だからまたいつか必ず向かい風に見舞われるとか、どうしてもあまり単純に追い風を有り難がる気分にはなれない。多分空が暗いせいだ。気分はどうあれ、好条件が続いている内に脚を進めとかねば。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川-2

 東浦の手前、道道1077への分岐では、海岸からすぐ内陸側の雲がどす黒くかなり低いのが見えた。内陸方面からやって来た車の車体は明らかに濡れていて、オートバイなどは上下雨具完全装備だ。海岸から少し内陸へ向かうと、この低い雲の中で雨が降っているのだろう。こういう天気だと、早朝6時台に無人の宗谷丘陵まっただ中の道道889へ向かう気はしない。今日は少なくとも宗谷岬までは国道238継続だ。宗谷岬でまた宗谷丘陵へ立ち寄るか決めよう。

 6:50、東浦着。ややまとまった港町ではあるものの、自販機が無いのでそのまま通過してしまう。確か東浦には自販機が無いぞと思ってはいたので、知来別で自販機コーヒー済みだ。
 東浦までまで波打ち際に北上してきた国道238は、東浦の北から内陸の台地へ80m程度乗り上げる。海沿いの断崖が険しすぎるためかもしれない。その登りの直登が、東浦の漁村手前からとてもよく見通せて、初めて見たときには愕然としたものだ。見えている範囲の登りは、実は地図で見るとたったの40m。斜度も7%ということを、私は過去の訪問からわかってはいる。しかし今日も、登り総量はわかっているのに、心が折れそうになる気になった。
 斜度7%は道北基準ではやや急な方と言え、登り下りの少ない国道238中、群を抜いている登りであることには間違い無い。しかし実際に登り始めると、まあ所詮は80m。当然の如く意外にすぐ登れてしまう。

 海岸の断崖から内陸は、すぐに宗谷丘陵の樹海の端である。さすがに北海道最北端、密に生い茂る静かな、あまり植林っぽくない針葉樹森だ。何かそこかしこに熊が潜んでいそうな、いや、茂みからこちらを観察しているような雰囲気が、路上にまで漂っている。空がかなり薄暗いのも、そんな雰囲気を盛り上げている。空気中に水滴も漂い始めた。天気が雨に向かっているというより、道が少し内陸に入って少し標高が上がったためと思われる。やはり今日は宗谷丘陵の内陸方面には向かわなくて正解だったかもしれない。
 こんな暗くて不気味な場所は早く通過してしまいたいが、登りなのであまり速度も上がらない。何事も起こらないようそろそろと、そして粛々と通過してゆく。
 ピークを越えてもしばし森の中。海岸際に下りきる最後の30mぐらいで、やっと道は森の中から突如放り出されるように笹原の中へ。

北海道稚内市大岬地内 国道238 目梨泊橋→泊内橋
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 オホーツク海と空が道の周囲に拡がり、内陸側だけが宗谷丘陵の端部となって、周囲180°の開放感とともに海岸まで一直線の下りとなる。宗谷岬よりも余程視覚的インパクトが大きい。
 丘の笹原の彼方には、風力発電の風車が並んでいる。日本最大級の風力発電所、「宗谷岬ウインドファーム」だ。内陸の道道1077と889が開通したこともあって、訪問が2008年以来10年振りになってしまった道道238のこの区間。国道だからと言ってあまり毛嫌いするような道ではないと思った。道道1077と889に行けるのなら、それに越したことは無いかもしれないとも言えるが、今日は今日の落としどころ、楽しみ方をすればいいのだ。道が今日の自分に自信をくれた気になれた、国道238の私的最大ハイライトだった。

 下りきるとあとは宗谷岬まで岸壁の波打ち際を2〜3km。衝立のような岸壁の向こうに突如民家が現れたかと思ったら、その向こうから唐突に漁村が始まった。宗谷岬手前の漁村、大岬に到着したのだった。
 大岬では宗谷丘陵への登りが分岐する。つまり、東浦の手前以来の、今日宗谷丘陵へ向かうかどうかの判断ポイントなのだ。まずは知来別以来コーヒーを飲んでいないので、とりあえず分岐を横目に通過し、少し先で缶コーヒーを飲んでから落ちついて少し考えてみた。
 辺りには水滴、いや、もう少し雨っぽい粒がぱらつき始めている。今横目に眺めた宗谷丘陵への登りをのぞき込んでみても、少し上はガスの中なのだった。それは霧っぽい霞じゃなく、明らかに灰色の、暗くとろんと不穏で間近な雲である。今宗谷丘陵に行っても、単なる霧雨の中の10%登りであり、標高100mも登ればその霧雨は少なくとも小雨以上に変わってしまうことが確信できた。それなら、このまま追い風継続の海岸沿い行程でいいじゃないか。
 ここで少し思いついた。まあ、とりあえず宗谷岬に行ってみるか。結局おれは宗谷岬に立ち寄るのか。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川-3


 7:40、宗谷岬着。岬のモニュメントで写真を撮る人が、今日も朝っぱらから一杯だ。私は、混雑度を勘案してまあ道端だけでいいや。ラーメンを食ういいチャンスではあるものの、まだ腹は減っていない。宗谷岬には過去何度か来てるし、あまり狙い定めた訪問でもないしね。

北海道稚内市宗谷岬
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 引き続き国道238を先へ進む。宗谷岬で進行方向が180°近く変わるにも拘わらず、オホーツク海側から風向きは180°変わり、結局追い風は替わらなかったのが大変有り難い。突端の岬によくみられる現象である。

北海道稚内市珊内 国道238
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 清浜の宗谷丘陵への分岐でも、やはり断崖のちょっと上はもう霧の中だった。そのまま通過してしまう。ああ、今年は遂に宗谷丘陵の内部に行けなかったな。しかしその後も時々空を見上げてみると、やはり内陸側に切り立つ崖の40〜50m上が、もう完全に灰色の雲に隠れている。これだとあの中はまず確実に雨だろう、と諦めは付いた。
 上磯で「セイコーマートかみいそ」へ。昔は確か「そうや」店が道内最北のセイコーマートだったはず。いつの間にかこちらが宗谷岬から南下して最初に現れるセイコーマートになっている。こちらだと、稚内市街のセイコーマートに、もう少し北の店があるかもしれない。などと考えながらクロワッサンを仕入れておき、缶コーヒー以外にあまりネタは無いのに、店先で少し休憩したりする。宗谷丘陵に寄らず山間も経由せず、今日も昨日同様かなり余裕のある行程になりそうだ。

北海道稚内市上磯 セイコーマートかみいそ前
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 9:00、川尻着。コースはここで宗谷湾沿いの国道238から、内陸へ南下する道道1077へ分岐する。この分岐は、道北の私的最重要幹線ツーリングコース「道北縦断道道」シリーズの、一応最北端ということになっている。ここから南下し始めるということは、コース全体の南下フェイズに移った、すなわち旅が後半に入ったということだ。思えば今日で旅も7日目。そういう兆しがあって然るべきだろう。
 内陸に入り込むと、平地では少しは空気が澄んでいて、谷の拡がりを囲む山の裾までは見通すことができた。しかし、裾からすぐ上が厚く暗い雲の中であることに変わりは無い。
 下増幌では道道1077が東へと直角に向きを変え、そのまま南下する道は農道となって道道1077から分岐した。道道1077は、オホーツク海岸の東浦で国道238から分岐した道である。宗谷湾から南下する南北方向の道と宗谷丘陵の南端の東西方向の道が、一続きの道として道道1077に指定されているのだ。宗谷丘陵越えの区間は長らく未開通だったためか、近年までここ下増幌での農道分岐は、山中で行き止まりとなる太い道がいきなり一直線の細い農道に突き当たり、交差点からその道が道幅は変えずに名前だけ道道1077となって宗谷湾へ北上してゆく形となっていた。
 今回、宗谷湾から既に道道1077は拡幅されていた。道としては南北に一続きだった農道も拡幅されたのかと思っていたら、一連の道道1077だけが拡幅されていて、直角部分はやや緩やかな1/4円を描く道道1077から細道が分岐するようになっていた。道はこういう風にして、次第に姿を変えてゆくのだろう、と思った。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川-4


 下増幌から増幌へ向かう途中で、辺りが目に見えて薄暗くなってきた。やはり標高の低い平地であっても、海岸部から内陸部に進むとこういうことになるのだ。

北海道稚内市増幌 道道1199
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 増幌では谷間の真ん中に通る道道121ではなく、東側の丘裾を通る道道1199へ。道道1199は道道121に比べると途中丘越えはあるものの、こちらの方が車が少なく静かだ。とはいえ実は道道121も車が多いというほど通りゃあしない。沼川の手前では丘越えがあるし、基本的に谷の真ん中の道なのだが比較的のんびりした風景の中を通っている。特に何か決定的に通りたくない理由があるような道ではない。つまり、どっちを通ってもいいんだが、道道121で3〜4年前やや風が強かった印象があり、そしてさっき宗谷丘陵に行っていないので時間があることが、道道1199へ向かってみようと思う理由となっていた。
北海道稚内市上声問 道道121
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 空は一面雲、山は見えず薄暗いが雨でもない。こういう日には絶景ポイント的な場所で、景色の良さがわかりにくい。そのため、専ら道が通っている地形だけをイメージしながら道を辿ることになる。
 というわけで、何度か通っている既知の地形を、改めて地形を想像、復習しながら沼川を目指す。

 丘陵を下って開けた谷間の先、また登り返す丘の裾、牧草地の草原の中の森に所々屋根が見える。沼川だ。単に屋根が見えるというよりも、だだっ広い草原や森や丘陵を眺めた後では、何だか楽しそうな場所であるように見える。あれが人の営みというものなのだろう。
 10:05、沼川着。
 もう10時、とは言え川尻からまだ1時間。6時前の浜鬼志別出発から4時間強、68km。徒然なるままに脚を動かす内に、ここまでのんびりではあったものの、順当っちゃ順当な時間が経過して距離が過ぎている。まあ、沼川と言えばまずはA-COOP、やや肌寒い軒先でカップ麺で休憩を食べるとする。
 相変わらず空は薄暗い。こんなに寒いここだって、晴れれば暑くて仕方無い日も過去にはあったな。去年もそうだった。と、暑さをまず思い出してみる。そう言えば去年はここに立ち寄った後、道道138で小石峠を越え、浜鬼志別へ向かったんだよな。このまま小石峠を越えれば、2時間で浜鬼志別、ホテルさるふつに戻っちゃう。そうしたら、もう中川へ向かう気はしないだろう。中川の宿もキャンセルする必要がある。朝はホテルさるふつにいたというのに、時間が経つということは面倒なものだ、等とも思う。そういうことをしに旅に来ているのに、何だかそういうことが面倒に思えていて、でも結局予定通り中川へ向かうんだろうな。無駄な逡巡は全て自分だけの時間であり、わざわざ休暇を取って北海道までやって来て、面倒臭がっている。旅という物はもともと大変贅沢で無駄なものなのだ。などと考えると、折角の道北で余り天気が良くなくても、もっと言えば走れなくても、「大変贅沢」ということで納得できるのかもしれない。
 沼川に話を戻すと、そんな風に自分の行程を省みる気分になる、今日のコース上の要所である。そして沼川が要所である必要条件は、道が交叉していることよりA-COOPが存在していることが大きい。次の要所はセイコーマートがある幌延だ。幌延までは商店は1軒も無かったはず。自販機はあったかもしれないが、あまりあてにはできない。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川-5


 10:30、沼川発。
 有明までは一昨年通って気に入った農免農道を経由する。沼川までと同じく本来この谷間の主要道である道道121も、牧草地の丘を登ったり下ったりして開放的な風景が道北内陸の丘陵らしく好ましいものの、道の線形が大きいためか車が農免農道よりは多く、高速を出す傾向があるように思う。また、農免農道だと道幅が狭く防風フェンスも少ない。落ちついてきょろきょろしながらのんびり進む私の走り方、気分には合っているような気がしている。
 有明で一旦道道121に合流、少し先から豊富町営育成牧場へ向かう農免農道に入りかけ、少しだけ進んで止めた。少し先の丘の裾が霞んでいる。行く手の頭上も目に見えて暗い。
 ここまで雨に降られずに内陸の内側を進めていたものの、一方でここまで南下しても天気が良くなったわけじゃない。今日はずっと、どこもこんな感じで、夕方の雨に移行するのかもしれない。少なくとも一昨年、去年のような、青空と緑の丘が拡がる絶景は全く期待できないだろう。丘陵を辿る道自体もダイナミックな空間の変化が楽しめるとは思う。とはいえ、さすがに3年連続で訪れるような気象条件じゃないかもしれない。

北海道天塩郡豊富町有明 道道121
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北海道天塩郡豊富町有明 道道121
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 などと思いながら、どんどん薄暗くなる空の下、丘陵の谷を黙々と登って下り、12:20本流着。クランクで道道84を経由、道道121の幌延への最後の区間へ。
 北進の台地へは登り返しとなる。幌延への最後の登りだと思ってややどきどきしていたものの、実際に登ってみれば驚く程あっけない。そして、1997年の訪問時に片倉Silkのフレームが折れてしまい、その場でツーリング終了となってしまった場所も、以前はかなり意識できていたのに、今回は気が付いたら通過後だった。その内道が拡幅などされると道の面影が無くなり、どこでフレームが折れたかすら忘れてしまう日が来るのかもしれない。
 などと思いながら通り過ぎる台地上空は更に暗く、深層地層研究所の手前辺りから遂に行く手が霞み始めた、と思うと同時に雨粒のようなものがもう絶えず空中に舞い始め、路面が一気にしっとりと色が濃くなってしまった。雨具を着る程でも無いものの、何だか肌寒い。去年や昨年だとこの辺りはやや暑く、登りで陽が差し始めると汗だらだらだったのだ。さっき沼川でもそんなことを考えていたな。寒暖の差の激しい場所である。
 ところが道道121がピークを過ぎて幌延への下り始める辺りから、空の低い部分に溜まっていた雲は、嘘のようにすっと高くなった。未だ青空は見えず日差しが差すような気配も全く無いものの、全体的には明らかに有明〜本流の丘陵部より辺りが明るくなっている。幌延はサロベツ原野の北側縁であり、幌延に近づいていることで天気がサロベツ原野の天気に移行しつつあるのだ、と思った。道北も最北部、陸地の幅が狭くても、オホーツク海側と日本海側では天気がこれだけ違うのだ。そして、これで安心してセイコーマートで落ちつく気になれた。

 13:05、幌延着。宗谷本線を渡り、町南部のセイコーマートへ。
 もうお昼過ぎ。沼川でのお10時からここまで無補給で引っ張っている。予定通りの行動ではあるものの、やはり腹は減っている。そんな貧脚親父ツーリストを、店内で豚丼が待ちうけてくれていた。これだからセイコーマートは好きなのだ。豚丼以外にもサラダ、オレンジジュース、いつもの面々で腹を充たすとする。
 まだ13時台なのに中川まではもう30kmちょっと。内陸側はどうせ雨だし、日本海側へ遠回りしたくなるような天気じゃない。ど晴天には去年出会えているのだから、今この天気で無理をする必要は無いのだ。こういう余裕があるときに限って、のんびり休んでも思ったほど時間は掛からず、13:35、幌延発。
北海道Tour18#7 2018/8/15(木) 浜鬼志別→中川-6


 まずは雄信内へ。セイコーマートから店の前の道道256へ出ると、空中に雨がぱらぱらっと来てすぐ消えた。気が付くと、空は急に暗くなり始めているように見えた。えっ、と思って立ち止まれるような軒下を探し、とりあえず町外れのスポーツ公園辺りにあずまやを発見。その間、いつの間にか雨はしっかり降り始めていた。よく考えてみたら、15時の桝に雨の記号があって隣の桝は12時だから、その境は13時半である。ということは、驚く程ぴったりの、もの凄い予報精度なのであった。
 仕方無い。今日はこうなるはずだったのだ。と思って雨具を着る間に、雨は更に勢いを増し、完全に本降りに変わった。

 南幌延、雄信内、道道256では雨以外に向かい風も吹き始め、ぐっとペースが落ちた。まあこれも今朝想定したとおり、黙々と脚を動かしさえすれば、2時間もしないうちにホテルの部屋で寝っ転がれて、温泉でゆっくりできるのだ。もう坂らしい坂は無い。雨であっても牧草地は広々と伸びやかだし、元天塩川の痕跡らしき三日月池はこの辺りの特徴だし、大きくのんびり構えて淡々と、楽しい気分で進めばいいのである。

北海道天塩郡天塩町雄信内 国道40・道道256
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 幌延から雄信内まで天塩川の西岸に国道40が、東岸には宗谷本線と道道256が続いていた。それが雄信内から歌内まで、東岸は狭くなって川岸から宗谷本線を挟んですぐ山裾となり、東岸を通る道は途絶えてしまう。このため、雄信内・歌内間だけは国道40を少し経由する必要があるのだ。迂回区間は、国道、道道256、町道みたいな裏道を全部含めて約11km。
 国道40は交通量はそれほど多くないものの、やはり大型車が時々高速で通り過ぎ、気流とともに水分を散らしてゆく。水たまりの直撃が無くても、そして感じられる水の粒が消えても、汚い水なのかどうなのか解らないほどの水しぶきではあって細かい水滴が漂っていると思うと、あまり精神衛生上よろしくはない。雨も強くなってきた。
 周囲をよく見れば、牧草地の防風林が国道40を、一直線の彼方までずっと囲んでいる。やや轍が大きいのも、北海道らしい道の証しなのかもしれない。などとひたすら自分に問いかけるのも、天気があまり冴えないからだろう。この区間の天塩川東岸に静かな道があれば、水しぶき、高速大型車、轍に悩まされずに済むのに、とつくづく思う。

 雄信内トンネルを抜けるともうあと少し。私的幹線道の農道への分岐は唐突に現れる。打って変わって巾4m未満の道が天塩河岸の牧草地の中をカーブなど描き、天塩大橋へ。大変牧歌的な道である。毎度泥水で増水しそうに迫力満点の天塩川を渡り、歌内から道道541で再び宗谷本線沿いを中川へ。
 東岸の平地は狭く、道は時々山裾の森に続くようになった。空が暗いせいで、森の中から路上に熊が出そうな気になってくる。まだ15時だというのに。

 森を出てから天塩河岸の平地に町外れの民家が現れるまで少し距離がある。中川という町は、この辺りが中川郡というだけあり、さすがに広い町だと思う。
 15:35、中川着。セイコーマートで物資を買い込み、更に忘れ物を地元スーパーで仕入れ、万全の籠城(といっても今夜1泊だけだが)体制を整えておく。
 15:50、中川ポンピラアクアリズイング着。

 明日の予報は中川町と美深町で朝から終日2〜4mmの雨だ。平野ならいざ知らず、あの山奥の道道120でこれだけしっかり降られると、正直何が有るかわからない。もうこれだけで、明日1日の運休決定である。仁宇布とはそういう山奥なのだ、とつくづく思う。でもまあ、平野の雨でも運休しちゃうかな、おれは。
 とすると明日は天塩中川12:34の名寄行に乗れば、美深に13:53に着け、ファームイントントには14:40過ぎに着くことができる。朝から温泉に入れるぞ。何だかウキウキで、美深のデマンドバスを予約しておく。流石に今からホテルの朝食は間に合わない。いいのだ、豚丼、カップ麺等々、セイコーマート珠玉のメンバーが手元に揃っている。

■■■2019/2/21
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■■■高地 大輔
北海道Tour18#8 2018/8/16(木) 中川→仁宇布


 ホテルの部屋では外の雨音は全く聞こえないが、迷うこと無く5時まで朝寝し、起床してからまずは温泉へ。のんびりゆっくり朝食と荷造り等毎朝のノルマを終え、もう一度温泉に入ってやっと8時。行程を諦めて腹さえ括れば大変豊かな良い気分である。
 8時だろうが何だろうが窓の外は雨、かなりどんよりと薄暗い。TVニュースによると、旭川では既に今日までの雨で8月の平均降水量を超えたとのこと。西日本の豪雨や全国的な猛暑を考えると、涼しいだけまだましとも言える。

 中川駅まで1kmちょっとぐらいではあるものの、雨の中自転車で移動するなら荷積みは必要だ。晴れなら、サイドバッグは担いでしまうという手があるんだが。等と思いながら9時半に1階ロビーに降り、宿裏手の軒下に停めておいた自転車をポーチまで移動し、荷積みを開始。荷積みする間、外がとても寒い。2号車よ、一晩外で済まなかったね。
 10:15、ポンピラアクアリズイング出発。町中のスーパーに寄って行動食を仕入れ、天塩中川駅へ。2014年に現在の駅舎に替わったという木造駅舎の待合室に自転車を入れさせていただき、輪行作業を開始。途中旭川行きから乗客が降り、散り散りにどこかへ消えていった。
 自転車を畳んで荷造りしてしまえば、こちらは12:34の名寄行きまでやることが無い。じっとしていても、ツーリング中なのですぐ腹が減る。こういう時にスーパーが近い駅は、カップ麺やスナック菓子などすぐに仕入れることができて大変有り難い。

 12:34、天塩中川発。雨の中をやってきた、名寄行き各駅停車のキハ54。ステンレスの地肌がぎらっと金属的ながら、無口で頼もしい奴だ。その車内も、今日は雨天で無口な旅行者達の溜まり場だった。いや、彼ら旅行者は、いつも無口かもしれない。

 13:53、美深着。
 輪行で美深に着いたら雨が降ってないいつもと違い、今日は美深に着いても大雨が降っていた。全輪行の選択は正解だった、と確信できる。
 待ち時間は17分と意外に少ない。14:10、デマンドバス第3便で美深発。
 デマンドバスには珍しく仁宇布まで同乗のお客さんがいた。しかもお客さんは保育園児で、仁宇布トロッコ乗り場でお母さんが働いているお子さんらしかった。可愛らしい男の子は、出発前に運転手さんと少し話した後、すぐに寝てしまった。そしてデマンドバスがトロッコ乗り場に着くと、頭をだらんと垂らすほど熟睡した状態で、お母さんが抱き上げていったのが大変微笑ましかった。

 仁宇布も大雨である。14:40、ファームイントント着。
 到着後、早々に風呂に入ってしまい、15時半前には食堂で、雨の薄暗い牧草地を眺めながらビールをいただく。更に大雨の道道120の志美宇丹、上徳志別、大曲〜天の川トンネル〜フーレップ川の谷、そして西尾峠など想像する。そして、「しかし、自転車には走らないという選択があるのだ」等とつぶやいてみる。いや、そういう選択があるのは私だけかもしれない。
 明日の天気も、下川と士別と愛別で終日雨。12-18時までは降水確率60%以上に達している。美瑛では12時〜18時まで降水確率30%なので、美瑛駅から宿まで走るという選択は有り得るかもしれない。でもまあとにかく、もうこの時点で仁宇布から美瑛まで全輪行決定なのである。早々に7:40のデマンドバス第1便を予約してしまう。出発が7:40でいいなら、ファームイントントの朝食も6時半でいい。

 等と考えたり諦めたり段取りして安心しつつ、サッポロクラシック大瓶を1本、更にもう1本。食堂の外、仁宇布の牧草地は雨で薄暗いが、気分は大変に良い。それにしても外は寒い。17時頃には、気温は13℃まで下がってしまった。当然の如く、食堂にはストーブが焚かれている。東京に、少しはこの涼しさがあればと思う。

 夕食後部屋に戻ると、外の風が強まっていたようで、森のざわざわ鳴る音がしていた。こちらは大好きな宿の暖かい部屋で、柔らかい布団で寝ている。一旦楽しむことができれば何てことはない、なんて贅沢で有り難い旅なんだろう。

■■■2019/2/25
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北海道Tour18#9 2018/8/17(金) 仁宇布→大村


 4時半過ぎも、裏手の森の風の音は鳴り止んでいなかった。部屋はやや冷えていて寒い。ヒーターを点け、なんとなくぼうっとして身体を起こし、目を覚ます。
 5時過ぎに下に降りてみた。牧草地に凄い雨が降っているのが見えた。明日はようやく晴れるらしい。今日はもう出発せず、今日明日連泊予定の美瑛ポテトの丘YHを一晩キャンセルして、ファームイントントに連泊してみたらどうなのか、とも思う。まあYHは当日のキャンセル料金100%だし、人の道としてそういうことはしたくないという気持ちがある。
 等と妄想していたら、ニュースでJR北海道の運休情報が出た。特急スーパー北斗・スーパーおおぞら・とかちに運休が出ている。スーパー宗谷とサロベツは幸い何ともない、今のところは。
 朝食まであと1時間ちょっと、昨日荷物をあまり広げていないので出発準備はほぼ終わっているし、バスが来るまで2時間以上。こういう風にぼうっとできることこそ、夏休みの贅沢な時間の使い方だ。

 7:40、デマンドバスでファームイントントを出発、8:10美深着。9:04のスーパー宗谷に乗る気満々で美深に着いてみれば、8:21に名寄行きの普通列車が出るではないか。よく考えたら普通列車で充分なのだ、今日の行程は美瑛まで全輪行なのだから。いや、しかし折角宗谷本線に来たのだ。ここでしか乗れない無印261系には、今乗らねばならない。
 というわけで初心貫徹で9:04、スーパー宗谷で美深発。
 美深から名寄でもぐいぐい力強く走る261系は、名寄から旭川の高速化改良済み区間で、何かに取り付かれたように更にスピードを上げる。スーパー宗谷では毎回、この走りが楽しみだ。本当はこの区間は130km/h対応であり、無印261系はもともと最高運転速度130km/hなので更に凄い筈なんだが、いやいや速度制限状態の最高110km/hで充分魅せてくれる。

 10:14、早々に旭川に着いてしまった。
 旭川では雨はすっかり止んでいた。しかし、空は薄暗く辺りは肌寒い。美瑛方面の空(見えている辺りが美瑛上空じゃないことはわかってます)は更にますます薄暗い。そして美瑛手前の西神楽辺りまで、街中〜郊外が続くことはよくわかっている。チャンスを惜しんで走るような状況ではない。
 荷物をコインロッカーに入れ、街中のラーメン屋「蜂屋」へ向かうとする。蜂屋でまず1杯、文句無しに美味しい。もう1杯は駅方面に戻って目に付いたお店に入ってみたものの、実は以前入ったことがあって次回は蜂屋で2杯にしようと思ったお店だった。そして今回も、蜂屋で2杯食べた方が良かったかもしれないと思った。
 富良野線までまだあと1時間強。もうおとなしく旭川駅へ。南口というのか駅の裏手側広場に、自転車を組立始めている人が見えた。そうだよな、雨が降ってないんだから走ろうと思っても不思議じゃない。しかし美瑛方面の空は何だかゲリラ豪雨っぽく霞んでいた。美瑛は20数kmも先なので、あれがゲリラ豪雨だとしても美瑛の大分手前だろう。しかし、やはり走り始めるような状況じゃない。

 12:30、旭川発。あっという間に13:10美瑛着。
 駅前広場は強風が吹いていて、あの暑い美瑛が震えるほど寒い。そしてこんなに寒くても、昨年と同じく農業祭りが着々と準備中なのであった。そりゃあ1時間42mmの豪雨にも負けない祭りなのだ、この程度の寒さと風ぐらいじゃ何ともないんだろう。
 YHのチェックイン開始は15時。自転車を組み立ててYHまで走る時間はあるが、寒くてやる気が全く出ない。少し時間を潰した後、13:45分前におもむろにタクシー輪行でYHへ。
 運転手さんによると、今日は地元基準でも寒いらしい。何と大雪山系の黒岳が、8月中旬にして初冠雪とのことだった。そういう年もあるという程度のできごとらしいが、何だか道東からここまで続いている今年の異常気象にとどめを刺され、完全に諦めが付いたような気がした。

 美瑛ポテトの丘YHには14時に到着。まだYHには入れない。こちらも晴れる予定の明日のために、輪行袋から自転車を出して組み立てる用事を残している。ゆっくりだらだらやってちょうど1時間ぐらいだろう。
 お陰でゆっくり自転車を組み立てた後、ちょうど15:00にチェックインすることができた。

 お風呂の後、またもや食堂でビールとする。いい気分で時々外に出てみると、空が晴れ始めていた。天気予報通り、やっと明日は晴れるのだろう。しかし、やはり外は寒い。
 そんな寒さを余所に、夕食は毎度の美味しさとボリュームなのがしみじみ幸せである。

■■■2019/2/28
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北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-1


大村→美馬牛→上富良野→東中→麓郷→老節布→西達布→幾寅→北落合→幾寅 100km
ルートラボ>https://yahoo.jp/cU-oYr

 晴れ予報の最終日、今日はここ美瑛から北落合へ行き、幾寅から輪行で美瑛に出戻りだ。このため、置ける荷物はYHに置いておくことができる。しかし、自転車写真を北落合始め各私的名所で撮るために、4サイドは装備したい。という理由から、今日の荷物は4サイドだが着替えは入っていない、なんちゃって4サイドだ。まあ、とはいえ省略できるのは着替えだけなので、やはりバッグ丸ごと減らさないと、荷物を省略したほどの軽量化はできていないのが実情ではあると思う。つくづく自転車の積載というものは効率が悪いと思う。まあただ、サイクリングを旅として楽しめるかどうかは、自転車の重さとは全く別の問題ではないかと思うようにもなってきた。荷物が多いから楽しい、というのもどうかとは思うが。軽いから楽しい、のは確かにその通りかもしれない。

 5:20、美瑛ポテトの丘YH発。
 走り始めると、空気に肌寒さが感じられる。いつもはこの時間でもむっとするように暑くて、さすが道北とは違うのだよ、などと思う程なのに。そして、昨日夕方晴れ始めていたのに、空は雲に完全に覆われていた。
 ただ方角によっては雲が切れ始めているような気がする。毎回美瑛発の最終日は、朝はどんより曇りでも麓郷辺りから晴れるのだし、今日も麓郷で晴れなくても、幾寅辺りでは晴れてくれるだろう。今日こそは晴れ予報なのだから。希望を持って脚を進めよう。
 一旦美瑛に降り、町外れから新栄の丘へ登り返す。新栄は美瑛・美馬牛の中間にあり、お手軽に登れて充分に美瑛らしい風景が楽しめる、美瑛の丘めぐりとしても上富良野方面へ向かう私の経路としても一等地なのだ、ということを近年私は再認識しつつある。それに多少は登り返しがあっても、せっかく美瑛に来たのだから少しは美瑛っぽい場所を通らないと、美馬牛〜上富良野辺りで後悔することになることも近年私は学習している。
 谷底から、辺りが開け始める丘の上手まで一登りして、やっと汗ばむぐらいに身体が温まってきた。雲は高く比較的軽く、さっきより切れ始めて青空まで見え始めていて、日差しが時々辺りを照らしては雲に隠れている。雲の下の遠景が良く見渡せるのだけでも、近年の美瑛では目新しい。

北海道上川郡美瑛町憩
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 新栄の丘の手前、過去何回か写真を撮った場所で、2018年のカメラで写真を撮っておく。こういうのを面倒がってはいけないのだ。空は青空が見えていて、見渡す畑に明るい日差しが当たっているものの、未だ雲は多い。肌寒くても、今ひとつすかっと爽やかではない。しかし、これが今年の美瑛だ。今日天気が冴えなくても、まめに何度も訪れてみよう。

 6:05、美馬牛通過。相変わらず肌寒いのみならず、霧が漂い始め、晴れるどころか辺りは薄暗くなってしまった。
 美馬牛から上富良野へは、いつもはすぐ谷に降りてしまう最短経路を使っていた。この道はしつこい登り返しが少なく、静かな落ちついた田舎道である。しかし、あまりに普通に田舎道っぽい道であり、この道を通る度、せっかくの美馬牛〜上富良野なんだからもう少しそれっぽい風景の中を経由してもいいのに、という気もしていた。
 このため、今回はもう少し目新しく回り道気味のコースを狙い定めてみた。工夫の甲斐あって、多少の登り返しはあるもものの、毎度のコースより明らかに美瑛・美馬牛っぽい風景や丘の畑が眺められ、富良野盆地への降下区間では美馬牛の霧が去って、一気に盆地の景色が拡がった。

北海道空知郡上富良野町草分
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 その時点では盆地は雲の影の中だったが、あっという間に上空の雲はどんどん消え、上富良野の外れでは辺りに陽が差し始めた。景色のニュアンスは俄然明るいものに変わり、なんとなく今日も朝が来た、という気分になった。気分は朝でも、上富良野の道道291沿いのお店群はまだ閉まっていて、まだ街中は静かだ。
北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-2


 6:25、上富良野通過。富良野線を渡って市街の南側へ。セイコーマートがある筈の通りを探していたのだが、それっぽい辺りにセイコーマートが見当たらない。確か私の追加手入力が悪いせいで、GPSに表示される店の位置が違っていたかもしれない。等と思っている内に自衛隊宿舎の脇を通過してしまった。ここだと完全にセイコーマートは通過してしまっているという確信はある。まあ、今日はそのまま東中へ向かってしまえ。特に休憩する必要も無いのだし。
 等と、いつも上富良野で小休止したくて仕方無いのに、今日は休憩しようと思わないことに気が付いた。この間空は劇的に晴れ始め、東中への町道では十勝岳の裾が全部見えた。青空と、日差しに照らされた辺りの明るさで、俄然気分が良くなってきた。これで曇っていたら、気分もあまり冴えないのかもしれない。

北海道空知郡上富良野町丘町 斜線道路
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 気温はまだ低く、北風が強い。北風というより、美瑛を出てからずっと追い風なのである。しかし3日前、浜鬼志別とか宗谷丘陵手前で、かなり強い追い風でもあまり有難さを感じなかった時とは気分が全く違い、終日追い風だといいななどと考えることができている。
 そして、この天気だとベベルイ基線はかなりいい感じじゃないのかと思い始めた。そうに違いない。流石の晴れ予報、最終日で最高の展開になろうとしている。

 6:55、東中着。5時代前半出発で上富良野で休憩しなければ、これだけのんびり進んでも東中に6時台に着けるのだ。
 ベベルイ基線へ登り始める集落外れ、元商店の前の自販機で、缶コーヒーを飲んでおく。まだボトルの水は充分残っているし、水だけなら少し上にベベルイの湧き水があるし、別に今ここでコーヒーを飲む必然性は無い。しかし、ベベルイ基線に最初に訪れた1990年にここで確かお茶系飲料か何かを飲んだので、それ以来毎回表敬訪問というか、何となくここで飲んでおきたい気分になってしまうのだ。因みに当時は、確かこの辺に商店が2軒あったような気がする。
 自転車を停め、ここまで着てきたフリースを脱ぐと、毎度この辺で感じるむっとした湿気に照りつける日差しの、たまらない暑さの予感とは異なる肌寒さが感じられた。しかし肌寒いというより、このきりっとした空気はむしろ、これが朝の爽やかさというやつではないのか。長年忘れていた、北海道らしい夏の朝は、確かこんな感じだったんじゃないのか。そして今日の天気予報は晴れだから、もしこのままなら、晴れているのにあまり暑くない、爽やかな1日になってくれるんじゃないのか。
 晴れている上に、ここ数年会えなかった富良野の爽やかな夏。いつのまにか諦めてしまっていた、大変嬉しい展開になっていることに、私はようやく気付きつつあった。しかも毎日雨に悩まされ続けた今回の最後の最後で。

 本幸までベベルイ基線はほぼ直登である。本幸まで登り総量は約200mということと、どうせ速く登れないことがよくわかっている。一直線に見通せる坂は視覚的にめげるが、淡々とこなせばいいのだ。

北海道空知郡上富良野町東中 ベベルイ基線
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 今日は涼しいので汗が噴き出るということも無い。等と思っていると、途中で日差しが射し始めて辺りが一気に暑くなり、すぐ雲に隠れてまた暑さが収まったりもした。先入観よりは涼しくても、やはり夏なのだ。
北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-3


北海道空知郡上富良野町本幸 ベベルイ基線
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 7:25、本幸着。直登区間の一番上、畑の道端に高いポプラが立っている場所が私的定点撮影場所であり、ここ数年の北海道Tour最終日の名所第一ポイントである。
 東中から十勝岳裾へと近づいて標高も上がったせいか、空の東側には細かい雲が増えて日差しを隠していたりまた日差しが出てきたりしていた。ただそれは、これから再び曇りに向かうようなものではなく、朝方の雲がまだ山裾に溜まっている程度の現象だろう。西側の空には雲は少なく、青空と言っていい。まあ近年の本幸訪問中、いい天気な方であることに間違いは無い。
 いつも自転車を立てかける積雪時道端表示の赤白標識ポールは、昨年目出度く復旧されたというのに早くも再び傾いていた。前回と違い、今回は道路の方向だけではなく道巾方向にもやや傾いている。私としては是非とも早めに補修していただきたい。しかし、またすぐ誰かがぶつかってしまうのかもしれないし、むしろ今日はポールが立っているだけありがたいのかもしれない。
 ここで満を持して、7月下旬に発売になったばかりのD FA★50mm1.4で写真を撮ることにする。中学一年生の時から親しんでいて大好きな50mmなのに、デジ一を導入した2011年以来、私のデジ一には50mmというレンズが不在だった。画角が似ていても画面サイズによるボケ量が違うと、空間感覚は全く違う。ようやく導入したフルサイズ機K-1でも、FA43mmLtdは43mmであって、50mmの世界とはまた違う。どうせ撮る写真は毎度同じなのだが、大好きなこの場所で、再び50mm1.4の空間がファインダーの中にあることが大変嬉しい。というわけで、時々日差しが翳ってはいても全体的に満足できた本幸訪問となった。

 7:40、本幸発。引き続きベベルイ基線を八幡丘上手の水平区間へ進む。
 空の雲は急に消え始めていた。もう少し本幸にいるんだったな、などと思う。でもまあ、進めば進んだ先の風景に出会えるのだ。今は時間なりに脚を進め、その場所なりの今回の風景に出会うことが、旅のリアリティというものだろう。気分が良いので、何事も前向きに捉えてくよくよせずにいられる。

北海道空知郡上富良野町本幸南一線 ベベルイ基線
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 向かって左側、斜面の上手は自衛隊の演習林。右側は普通の森。両方とも背の高いカラマツの森で、路上は未だ空気がひんやり、木陰の中だ。カラマツ林は近年ブロックまるごと伐採された場所が増えていて、そういう場所では右側下手に八幡丘の畑、左側上手に旭岳の見晴らしが絶好調である。道を日差しが直接照らしているので、森の中の区間とは全く違った広々と明るい開放感が感じられる。木々が伐採された後は幼木が植林されているので、20年ぐらい経つとまた大木がこの道を囲むのだろう。

 ベベルイ基線終盤、布礼別への100m下りでも、富良野岳裾野の眺めが素晴らしい。

北海道富良野市北布礼別 ベベルイ基線
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 布礼別を過ぎて麓郷手前でも、大麓岳裾野の畑の拡がりがまた格別である。

北海道富良野市布礼別 ベベルイ基線
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 この間ずっと、空気は相変わらず涼しいものの、日なたではやはり日差しが肌にちりちり感じる程厳しい。そうそう、こういうのこそ北海道らしい夏の感覚である。

北海道富良野市布礼別 道道253
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 そして改めて、晴れさえすれば木立も周囲の眺めも最強のコースだと、毎年好んで訪れているはずなのに改めて気付いた。あまり急がずてれてれのんびり、走っているだけで最高に良い気分だ。
北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-4


 8:05、麓郷着。麓郷の交差点はまだ静かだ。

北海道富良野市麓郷 道道253・道道544
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 元A-COOPの建物はもうすっかりシャッターが閉まりっ放しなのか、何だか放置感が漂っている。ゆでトウキビ自体を売っている藤崎商店は、隣の木造家屋に移っていることを、去年訪れて知っている。折角麓郷までやって来たのだから、藤里商店のゆでトウキビを食べておきたいようにも思われるものの、今日まで毎日のように、私は各地のセイコーマートで甘くてぷちぷち美味しいゆでトウキビを食べている。それ以上に今日は、何だかこの空気と景色の中をどんどん進んでおきたい。自販機でコーヒーだけ飲んでそのまま出発することにした。

 大麓岳裾野に畑が拡がる麓郷の盆地の南端で蛍橋を渡り、平沢への小さい峠へ。毎回10時前頃通ると暑さが堪えるこの道も、今日は意外な程楽々登れる。時間が早くて木陰が涼しかったりもともと涼しい日だったり、昨日までの2連休で疲れが回復していたり、いろいろ理由はあるのだろう。
 平沢へ降り、森の中から再び周囲に夏らしく明るい風景が拡がった。真っ青な空、白い雲、丘に拡がる畑を眺めたり見回したり、脚を停めて振り返ったり、元展望ポイントに何年か前建ってしまった防風フェンスを恨めしく思ったり。

北海道富良野市平沢 道道253
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 9:15、老節布着。交差点でまたもやコーヒー休憩とする。
 開けた盆地の中、畑の真ん中の集落に直線の道が直角に交わる交差点と小さな商店、ガソリンスタンド。初回訪問時から何か心に残る場所であり、暑い日にはここの自販機がたまらなく有り難く、この道のいい休憩ポイントになっている。何とはない休憩ポイントも旅の思い出であり、再訪してみたい場所になっていゆくのだ。

北海道富良野市老節布
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北海道富良野市老節布
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 西達布への下りも畑の中の道が続く。この道を最終日のコースにした、最終日に眺めたいイメージ、いや、希望通りの風景が次々現れる。丘に展開する畑の開放感、畑に規則正しく植えられた各種作物の鮮やかな緑、背景の小山、盆地に点在する農家や木立。山をバックに地形が緩やかに起伏していて、時々木がぽつんと立っていたり農家があったりするだけなのだが、どこを見ても絵になり、ついつい脚が停まる。脚を停めて風が止んで、かなり暑くなっていることに気が付いた。

北海道富良野市老節布あやめ
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 今日もそろそろ暑くなり始める時間帯に入りつつある。これだけ暑いからこの辺の畑は野菜畑で一杯なのだ、などと思う。折角の晴れ、ゆでトウキビも悪くないがこういう所で脚を停めねば、とつくづく思う。そうでなくても行程が早まる要素は私の脚に無く、遅れる要因は山ほどある。

 9:35、西達布着。そのまま国道38へ。幅の広い路上は大型車がやや多く、やはり国道独特の埃っぽさが漂っている。それに路面が平滑なのか路盤が安定しているのか、とにかく路面からの振動が少ないし、路上に気流が車の通行通りに流れているというか。要するに何もかもフォーマルで慌ただしいのである。やはりツーリングには、もう少し全てがいい加減な田舎道の方が望ましい。
 しかし、相変わらず夏らしい日差しで景色は明るく、それでいて適度に雲が出て、暑いながらもそこそこ快適だ。峠区間に移行しても、登っていてさすがに汗は出ても、立ち止まらずにいられない、などということが無い。

北海道富良野市西達布地内 国道38
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 峠手前の大樹海展望ポイントでやはり脚を停め、三の山峠を通過。

北海道富良野市西達布地内 樹海の展望 国道38
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 一気に下りきり、10:35、道の駅南ふらの着。かなり快調な進行だ。上富良野や麓郷で寄り道しすぎず、途中でもあまりうだうだしなければ、これだけ早い展開で幾寅に行けるのである。
北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-5


 北落合経由で幾寅に戻る予定の今日の行程中では、ここ幾寅が最後の食料補給ポイントということになる。しかし行動食はしっかり持っているし、今幾寅でこの時間なら、北落合でゆっくりして、幾寅に戻ってきてから確実になんぷカレーを食べられるスケジュールが見えてきた。ここで必要以上に休み込まず、北落合へ粛々と進んでしまえ。

 幾寅の盆地を横断、2016年秋の増水で川原の風景が変わってしまった幾寅川を渡り、幾寅側の谷間へ。まだ畑が続く久住までは盆地の範囲であり、道があまり登り始めることは無い。谷間が狭くなるとともに谷底の森は茂みに変わり、茂みの範囲も谷間を進むに連れ狭くなってゆく。段階的に少しづつ上がっていた登り斜度は、東幾寅への分岐が現れる辺りで登りと呼べるぐらいに変わった。この辺で、幾寅から北落合まで半分以上来ていることになる。
 やや雲が増え始めた。やはり今日も山間では曇りやすいのかもしれない。北落合まではまだ少し登る必要があるので、幾寅より空は曇るかもしれない。まあ、登っている間はこの方が涼しくて都合が良いことは確かだ。

 カーブの奥、切り通しの上端が防風林っぽくなった。北落合端っこの、畑を囲む防風林である。ちょうど良い具合に空は再び雲が少なくなり始めている。なかなか都合のいい展開である。

 道は谷底から丘へ乗り上げ、開けた畑の中へ。1本道の正面には林と元小中学校の集会場がある北落合中央、周囲には見渡す緩やかな丘、畑に立つ1本の樹、防風林、遠くに狩勝の山々。エゾゼミとキリギリスの声が今日もやかましい。畑から農道の路上に、泥の付いた車輪の跡がカーブしている。

北海道空知郡南富良野町北落合中央 農免農道落合線
https://theta360.com/s/oTreOmpFYwxyWuPirJ5kHBU8a

 再び太陽の廻りには雲が消えていた。ほぼ真上からの日差しで北落合全体のコントラストが高く、彩度色相とも濃厚で落ちついて安定し、どこを見ても絵になる。日差しは厳しいものの今日は風が涼しい。雲の動きは速く高さもやや低く、もくもくと元気そうだが、今日の雲は真っ白で、真っ青な空の中をただ通り過ぎてゆくだけだ。雲の速さと低さに、なんだかんだでもう標高は500mを越えているということを思い出す。

 11:15、北落合中央着。11時台ともなると、さすがにそろそろ腹が減っている。今日は前回より45分早着で進行しているから、いろいろな場所で相当うだうだしても、幾寅のなんぷ亭で落ちついてなんぷカレーを食べることができるだろう。体調次第では、もしかしたら2杯食べることができるかもしれない。ならば、カレー2杯に向けて、着々と腹を空かしておかねばならない。そして今、一番時間を過ごすべき場所は、北落合最高地点の680m地点である。

 標高が高くて開けていて、雲が速いだけあって風は強い。途中、カラマツ防風林の向こうの牧草地へ立ち寄るのを楽しみにしていた。防風林の中短いダートの向こうに牧草地が拡がり、牛糞を避けて自転車を停めるのも楽しみだったその場所には、昨年無かったフェンスが設けられていて、今日はそのフェンスが閉まっていた。
 最後は680m地点まで一直線の直登区間。農免農道が北向きとなり、強い風がもろに向かい風となった。向かい風もさることながら、開けた畑の中なので登り斜度が視覚的にわかりにくいのは毎度の事。どうせ登りで遅いのだ、いつも通りの登り負荷で淡々と進めばいい。雨続きの旅程を経て、遂にここまで来たのだ。しかも様々な作物の畑が防風林を区切りにして次から次と入れ替わり、脚を停める口実に不足は無い。
 680m地点の背後に建つ農免農道の看板と最後の最後で斜度が更にがくんと上がる登り坂が近づいてくる。農家のログハウス、牛舎、最後の最後短い激登り。またここまで来ることができたという実感、歩みはゆっくりゆっくりでもその時が確実に近づいてくるという実感がとても嬉しい。
北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-6


 12:00、680m地点着。

北海道空知郡南富良野町北落合 680m地点 農免農道落合線
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 登ってきたためか、風はさっきよりますます強い。青空の中、真っ白な雲が意外な程近い高さと速さで、背後の稜線の向こうから次々やってきて通り過ぎ、時々少しの間日差しを隠したり、再び日差しが牧草地を明るく照らしていた。平地で雲がこの動きだとかなり風雲急を告げる天気なのだが、今は晴天から何か劇的に変わる気配は全く無く、至って平和なお昼時だ。
 雲の速さに改めてここの標高が狩勝峠より高いことを思い出す。680m地点としては近年出色の晴れだ。2015年の秋は雲一つない程の晴れだったものの、あれは秋だし夕方も暮れ始めていたし。
 農免農道の外周にぶつかって舗装路面が途切れる、北落合中央からの1本道の最上端。舗装端部の砂利も埃も無いところにあぐらをかき、少しのんびりすることにした。補給食のパンを食べ、近くの草むらで鳴くキリギリスなど探してみたり、遠景を望遠ズームで眺めてみたり。ぼんやり眺める牧草地下手は、狩勝の山々から遠くの日高山脈へ、山影が段階的に青いシルエットになっている。ここはこれぐらいの拡がりが下っているから開放感があって、その向こうに日高山脈の山影が見えるのがいいのだ、などと改めて気付かされた。
 10分も続けるとすっかり厭きてしまうこういう時間は、しかしとても贅沢な旅先の時間なのだと、雨続きだった故に気付けたな、等と今回の旅を思い出す。残りのパンはもう2切れある。今の腹の減りなら、こいつらを全部食べてもカレーには全く影響は無いだろう。補給食を残さず、過不足無く食べ終えられることは気分が良い。

北海道空知郡南富良野町北落合 680m地点 農免農道落合線
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 長居した。いや、これぐらいが必要充分。またいつか可能なら、この風景に会いに来よう。
 12:25、680m地点発。1本道を逆戻り、北落合中央下手の日進でいつもの畑へ。今年は柵が開いていたので、畑には絶対踏み込まないようにして畦道から丘の写真を撮らせていただく。★50mmを一番使いたかった場所の一つがここなのである。

北海道空知郡南富良野町北落合日進
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 1998年に最初来たときは麦畑で、その後は時々カルビーポテトの生産契約地となっていた他はずっとニンジン畑だったこの丘の畑は、今年なんとトウキビ畑になっていた。トウキビは高さ1.5m以上。他の作物に比べて背が高いため、デスクトップ写真でよく眺めるかつてのここの写真と比べて、丘全体のボリュームがいつもと違う。丘の上のポプラの背も、いつも写真で眺めるより高くなっている。考えてみれば、ここへ来始めてからもう20年も経ってしまったな。
 日進からの帰路は、北落合中央に戻らず、長い間目を付けていた北落合の下手へ。

北海道空知郡南富良野町北落合日進 農免農道落合線
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 丘の畑を越えてゆく道は、エゾゼミやキリギリスの声が響くのんびりと好ましい田舎道ではあったものの、丘を見渡す開放感、人里っぽさという点では北落合中央の方が楽しめるように思えた。まあ、後悔はしない道ではあったし、次回以降は自信を持って好きな方を通ることができる。

 13:25、幾寅着。日進でのんびり時間を取って、のんびり下って680m地点から1時間。大変わかりやすい。今後の目安である。
 幾寅出発予定の14:50まで1時間半。普通に輪行作業してカレーを2杯、順調なら時間に何の不安も無い。ただ、手際よく物事を進めるに越したことはない。
 まずは幾寅駅前「幾寅ハイヤー」でタクシーを14:50に予約。その後粛々と輪行作業と荷造りを進めてゆく。もうこの後、東京まで自転車を組み立てることは無い。「幾寅ハイヤー」の方が地元ロードバイク乗りとのことで、輪行作業中この辺のコースに話が弾んだ。こういうとき、トマム奥の双珠別林道に行っておいてよかったと思う。いや、今はもう熊が怖くて行けないんですが。

北海道空知郡南富良野町幾寅 幾寅ハイヤー前
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 14:00に輪行完了。「幾寅ハイヤー」の前に自転車を置かせていただき、さあ!いよいよなんぷカレーだ!
北海道Tour18#10 2018/8/18(土) 大村→幾寅-7

 去年と違って時間は45分もある。去年は15分強で1杯食べたから、今日はまず確実に2杯行けるぜ!腹を適度に減らしておいて良かった。
 果たして14:25、1杯目完了。過去2杯食べたときの記憶により、1杯目を食べ始めて5分後にはもう2杯目を注文しておいたので、1杯目完食からあまり空かずに2杯目を開始することができた。そして14:40、余裕で2杯目を完了。こう書くとあたふたと焦って食べているようだが、ちゃんと落ちついてじっくり味わって食べることができているのだ。
 それにしてもなんぷカレーは美味しい。やっぱり幾寅で、最後にこれを食べないとね。

 そういうわけで14:45にタクシーで無事出発、14:55分前には東幾寅到着。
 タクシーが去って行った後、落合からの代行バスが来るまであと10分。木造の小さい駅舎から、砂利敷のプラットホームへ荷物を動かすと、あとはもうぼうっとするしかない。

北海道空知郡南富良野町東幾寅 根室本線東幾寅駅
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 どこをどう見ても完全に根室本線終着駅になってしまった山間の無人駅。あちこちで賑やかなキリギリスの声、茂みの向こうの森ではエゾゼミが鳴いている。いつの間にか少し赤くなっている日差しが雲で翳ったり、また現れたり。富良野方面の森の中から静かにやってきた単行のキハ40が静かにホームに停まる。そんな時間が意外に心に残るのだ。
 10分後。わかっていたことではあるが、新得からの代行バスが到着してその静けさは破壊された。いや、乗客はたった10人強程度だし彼らはそこそこ静かなんだが、やはり人が増えたというだけで無人駅が無人じゃなくなるのである。

 15:13東鹿越発。かなやま湖岸の森、空知トンネルを抜け、南富良野の谷底を、金山、山部。次第に谷間が拡がって畑が拡がり、民家が増えてゆく。
 15:53、富良野着。順調に事が進んだお陰で、今年もノロッコ号に乗れる。まあノロッコ号に乗らなくても定期列車で美瑛には着けるんだが、去年乗ったノロッコ号の感動的な乗車体験が心に残っていた。
 普通列車であるノロッコ号には指定席も自由席もあり、自由席なら乗車券だけで乗れるのだが、JR北海道支持者の私としてはここは断固指定席だ。ノロッコ号の指定券とともに、無人駅の東鹿越で買えなかった美瑛までの乗車券も買わなければならない。富良野駅の窓口では、若手の駅員さんが東鹿越から美瑛までの乗車券を買うのに、富良野分割・通しのどちらが安いかをすぐ計算してくれた。苦境のJR北海道には、こういう真面目で一生懸命な社員さんが一杯いて頑張っているのだ。私もとある事情から、苦しい会社とはそういうものだということをよく知っている。どんな夜もいつかきっと、再び朝はやって来るのだ。どうか頑張って欲しいと心から思う。

 1号車の西側窓向きベンチはお一人様向けで、私のような乗客にはぴったりだ。16:20、富良野発。
 中富良野、上富良野まで、富良野線は富良野盆地の平地まっただ中に続く。赤くなり始めてはいても、未だ日差しそのものはかなり眩しく強く、暑いというより熱い。しかし列車が走っている間は風が窓から入り、風はもう涼しくなり始めていることがよくわかる。上富良野から美馬牛は富良野線の丘越え区間。森の谷底から丘を見渡す美馬牛へと、日差しはますます眩しく赤く、森や木立から吹いてくる風がますます涼しい。
 夕方の明るい風景と涼しい風、名残惜しい北海道の夏そのものが一杯だ。盆地周囲の青くなり始めた山影も、今日1日の行程がいよいよ大詰めであることを実感させてくれる。朝渡った踏切など渡る時、今日はどんな1日になるのだろうという朝の気持ちを思い出してちょっと感傷的になったりする。
 こういうところが外の空気や景色を充分に感じられる、ノロッコ号の良さだ。そして今日は、旅程の最後の最後にそういう事を感じられた1日だった。

 17:21、美瑛着。昨日準備していた農業祭りの大音響が、列車まで聞こえていた。美瑛の駅前も町がすっかり赤く染まって暑すぎず寒すぎず、いい夏の夕方である。
 タクシー輪行でYHに向かう途中、新栄にちょっと寄っていただき、朝に立ち寄った丘をもう一度眺めることにした。毎年美瑛にやってきてもなかなか晴れの風景に出会えないのだ。今、この夕陽の中の風景を見逃してはいけない。

 翌朝もタク輪で旭川空港へ。最後の一日で前代未聞の雨続きを挽回してしまった、2018年夏の北海道Tourだった。

■■■2019/2/28
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■■■高地 大輔
北海道Tour18#11 2018/10/6(土)再び中標津へ-1


 2018年夏の道東は雨続きだった。しかし、まだ夏のツーリング中には、今年も秋に道東に行くとは考えていなかった。北海道Tour#17秋が素晴らしすぎたせいだ。あの余韻がまだ残っていた。もっと言えば、台風も怖かった。そしてどうせ秋に行くんなら、十勝や女満別、或いは旭川でもいいとは妄想のつもりで考えてはいた。
 しかし東京に帰ってみると、マイルは再び嘘のように貯まってしまっていた。というより、そもそも夏の切符を買ったのが6月初旬。航空券を買うためにマイルを使ったというのに、その段階で既に9000マイルぐらいの残高があった。これに本来夏の切符に使いたかったメトロポイント変換マイルが目論見より遅れて加算され、9月の頭には20000マイル(航空券¥26000分相当)が貯まってしまっていたのだった。手持ちの株優との合わせ技では、中標津空港往復(株優適用で往復約\46000)でも約\20000で行けるのだ。
 それなら航空券はいつ予約してもいい。去年みたいに台風で帰れなくなりそうな事態は避けたいので、前の週に天気予報を見て、晴れそうな場所を予約すればいい。

 と思っていたら、9月5日は台風が来た。6日には胆振で地震、トラベルチャンスと思われる年間晴天特異日の9/22〜24をダメ元で調べてみると、その時点でやはり早々に予約が埋まってしまっていた。しかしダメ元で、というよりほんの気分で更にマイル特典航空券を調べてみたら、10月頭の3連休の中標津往復が、何と空いていた。他空港の便は行きか帰りか或いは両方ともダメなのに。そもそも特典航空券は、私が見るときはいつも常に埋まっているというのに。それに羽田・中標津の特典航空券は、たったの15000マイル。キャンセルは5000マイルも取られるし便の変更も利かないものの、約¥20000相当で中標津往復できてしまうということになる。
 こいつは運がいい。タダで北海道、しかも中標津に行けるぞ。中標津便は1日1本なので、欠航したらアウトだが、それ以外には全く困ることは無いだろう。
 というわけで、日程10/6〜8、目的地中標津が一気に決まったのであった。

 ところが出発の前の週、台風25号が急に発生しやがった。去年もこんな感じだった。いや、速度はゆっくりだし。と思ってたら、コースはどうも北海道直撃である。通過時期は7〜8日っぽい。何だか去年と似た感じになってきた。
 出発の週になって、通過時期はもう少し早まりそうな雰囲気になってきた。悩んで解決するもんじゃないんだから、大切なのは適切な判断だ。とは思いつつ私なりにいろいろ思い悩んで時は過ぎ、結局出発直前5日金曜夜の段階で天気予報は、
・6日晴れ時々曇り
・7日午前中に青森か秋田の日本海上で温帯低気圧に変わった台風が北海道通過、天気予報は午前中雨で15時には曇り
・8日は曇りのち晴れ
ということになった。最悪でも、これなら帰りに去年のように欠航になることは無いだろうと思うことはできた。
 天気予報通りなら、7日は民宿地平線で籠城になるだろう。ならば籠城のネタが必要だ。こういう時にノートPCのRZ6が滅茶苦茶に頼りになる。つくづく旅に役立つ「使える」ノートPCを買ってよかった。できることが拡がるもんね。

 6日の出発は地元駅朝8時発、京急で羽田空港駅着9時20分過ぎ、荷物を預け終わって9時40分。中標津便の出発は12:15なので、あと1時間出発が遅くても大丈夫だったかもしれない。いやいや、この安心感が大切なのだ。
 ゲートは去年の北ウイングじゃなくて、バスゲートの507番。まあ、バス好きだよ。慣れてるし。

 13:50、中標津空港着。
 中標津の天気は、薄日一歩手前ぐらいの曇りだ。雲の中にぼんやり太陽の形は見えてはいる、その程度。青空とか日差しぐらい見えると嬉しかったとは思うもの、気が滅入る程でもない。
 手荷物受取所では荷物受け取りに思ったより時間が掛かって、やっと荷物が出てきたのが14:20。これだと自転車を組んで荷物を積むと、14:45ぐらいにはなるだろう。去年より早く出発したいと思っていたのに。これぐらいにはなってしまう、ということなのかもしれない。
北海道Tour18#11 2018/10/6(土)中標津空港→開陽


中標津空港→俣落→開陽台→開陽 20.6km
ルートラボ https://yahoo.jp/QFsMl9

 14:50、中標津空港発。ジェットエンジンの音が高く鳴り始めていた。乗ってきたANA便が、羽田へ戻るために滑走路を動き始めていたところだった。
 羽田便の離陸を見送り撮影ぐらいはしたいと思っていたが、道道から見上げると、目論見とは逆の、私とは別の方向へ飛んでいってしまった。去年は確かにこっち方向だと思ったのだが。もしかして毎回出発方向は違うのか。後で民宿地平線の石川さんに伺うと、風向きによって離陸する向きは変わる、とのことだった。

 北上する道道150から西へ向かう農道で俣落へ。地形図で解ってはいた、少しづつ高度が上がる様子が、脚の重さでわかる。
 日差しが出ていないためか、空気にはきりっとした涼しさがある。防風林やミズナラの森が、何となくそろそろ黄色みを帯びていて、茂みや低木のところどころ色づいた葉が目立つ。去年の秋よりより2週間ぐらい時期が遅いと、秋はこれだけ進行中まっただ中であることを実感。

 俣落から共和の東端を経由して、道道897で開陽台へ。曇りではあるが、夏に130kmコースを走ったときより、山裾の風景が明らかに澄んでいて、空気が落ちついている。開陽台に行っても損は無いだろう。

北海道標津郡中標津町俣落 道道150
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 町道北19の最高地点から少し根釧台地を見渡してみる。空が曇ってはいても期待通りに空気はなかなか澄んでいて、森や牧草地がかなり明瞭に見える。東頸城の深坂峠でも、晴れの日より曇りの日の方がむしろ遠景が済んでいることは珍しくない。

北海道標津郡中標津町開陽 町道北19号
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 東の空は東側なのに夕焼けになりつつある。空の中に、北方領土がの青いシルエットがかなりくっきり見えている。その手前にはオホーツク海が、陸地のシルエットと対照的に輝くように白い。北方領土もオホーツク海も、冬の朝夕の雲のように明るく、いかにもどこか知らない国の風景らしく見える。
 ただでさえ冷たくなり始めた夕方の風がますます薄ら寒い。早く開陽台に登らねば。陽がどんどん傾いている。

北海道標津郡中標津町開陽 開陽台への登り
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 16:00、開陽台着。自転車を駐車場の私的定位置に停め、とにかく展望台へ。
 期待していた国後島もオホーツク海も、標高が上がったなりに期待通りに見える。尾岱沼の向こう、トドワラの陸地部分までくっきり明瞭に見えるのにはびっくり。こういう形でトドワラと手前の湾を意識できた記憶は無い。更に遠く、風蓮湖辺りまで、風蓮湖の海側とわかるぐらいに見渡すことができる。夏の訪問では、こういう見え方はしない。
 手前の森も、まだ葉は落ちている雰囲気ではないものの全体的に緑の濃さは薄れていて、黄色い色が目立つ。さすが10月の開陽台。そしてやはり流石の開陽台、四季折々にいいこと、何度でも訪れる価値があることが改めて実感できた。たとえ明日の天気がどうだろうと、これで何となく満足できてしまった。

 16時半に近づき、辺りはどんどん暗くなり始め、流石に寒くなってきた。売店へ向かうと、営業は16時半までだがドッグ類は16時までとのこと。ローストビーフドッグを食べたかったのに、と少し残念。ソフトは流石に寒いし。
 まあ、また温泉で何か乳製品系のネタはあるだろう。何もここで食べ急がないでもいいのだ。それにその気なら、最低限明後日、中標津空港で中標津っぽいものが食べられるだろうし。

北海道標津郡中標津町開陽 開陽台からの下り
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北海道標津郡中標津町開陽 開陽台への下り
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 17:00、「民宿地平線着」。やはり葉は落ちているのか、宿周囲の森が明るい。またもや秋を感じる。
 温泉、夕食後、20時就寝。夜はやはり寒い。もう8〜10℃まで下がっているらしい。晴れた日の明け方は、3℃ぐらいまで下がるとのこと。それなら木々も色づき始めて然るべきだ。内地の1500mぐらいと同じ感覚とのことで、そういえば2週間前に行った福島県檜枝岐の御池辺りと似た感覚なのかもしれない。

北海道Tour18#12 2018/10/7(日) 大雨の民宿地平線


 4時に目覚ましが鳴ったが、迷うこと無く2度寝し、次に目が覚めたのは6時過ぎ。10時間寝てまだ眠い。間違い無く一昨日までの激務のせいだ。働き方改革により定時退社ではあるものの、こんなに疲れている自分が可哀想になってきた。
 外では音が聞こえるほど雨が降っている。

 7時前から朝食開始。天気予報では道内全域が既に雨だ。JR北海道は特急を始めあちこちで運休となっている。中標津の雨が上がるのは18時過ぎらしい。今日の自転車行程はかなり望み薄だと思われる。まあ、希望を持って推移を観察し、行けるときには最大限できることをせねば。
 8時頃から雨も風もかなり強くなってきた。常にざーっ、ざーっという音が聞こえている。もはや当面自転車行程は絶望的かもしれない。お母さんが「真っ白になって降っている」と教えてくれたので、駄目押しで外を見ると、牧草地には波状に霞んだ大雨が降っていた。
 しかしこういう自体も想定して履いたので、籠城対策でネタは持ってきた。モバイルPCのRZ6で、何と夏のツーレポ書きである(笑)。おまけにリモートを使って、自宅PCも動員できるのである。どうせ雨なのだ、ここが中標津である嬉しさ以外に何も怖いものは無い。

北海道標津郡中標津町開陽 民宿地平線
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 13時頃、辺りはかなり明るくなってきた。何と陽が射し始めているのだ。まだかなり風は強く、強い雨が降っているというより無数の水滴が空気中に吹き荒れている。しかし、雲はかなり低空をかなり早く動いていて、意外にも薄く、時々雲の隙間に青空すら見える。薄い雲のすぐ上がもう青空なのだ。このまま低い雲がなくなって、風雨が収まって晴れてしまうのかもしれない。台風一過の時には、天気予報より遙かに早く雨風が収まってしまうのはよくある現象だ。ということは、午後少しでも自転車でその辺をふらついて、開陽大ぐらいには行けるのかもしれないと思わされた。
 しかしその後結局、再び厚い雲が空を覆い尽くして辺りは薄暗くなり、風雨は収まらなかった。この間ずっと、天気予報は18時台まで雨が続くことになっていたので、現実が予報通りの展開であって何も不思議なことも無い。不安的な天気に惑わされた、ただそれだけのことなのだった。

 こちらは早々に16時に温泉へ、17時40分帰着、19時半に寝室に戻り、たとえ雨でも窓の外は中標津だと思いつつ、21時までPC作業を続けた。

■■■2019/3/5
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■■■高地 大輔
北海道Tour18#13 2018/10/8(月)開陽→中標津空港-1


開陽→武佐→川北→上春別→豊原→当幌→俣落→開陽 93km
ルートラボ>https://yahoo.jp/iKn36t

 4時半起床。屋根から雨音はするものの、窓を開けると雨音は全く聞こえない。雨は上がっているようだ。外にかざした手に感じる空気が、想像以上に冷たい。最低限、走るのは明るくなってからだ。

 明るくなってきたので外を眺めると、未だにかなり低く厚そうない雲が牧草地の上に垂れ込めている。もはや今日の晴れは望み薄だが、根釧台地130kmコースへ向かうとすれば、雨が降らないのは夏よりはいい条件だとも考えられる。薄暗い曇りもまた根釧台地らしいのだし、そもそも3連休にかなりの格安で中標津で過ごせたんだから最低限それで充分じゃあないか。今日は希望を持って出発しよう。

 6時から自転車荷積みを開始し、6時半から朝食、民宿地平線出発は7時半前。夏と同じ根釧台地130kmコース、違うのは終着が中標津空港であり、輪行時間や手荷物預かりの時間を考えると、13時半には空港に着いていたい。空港で昼食を食べるなら、更にもう少し早い方がいい。

当初2日目予定 民宿地平線の根釧台地130kmコース
ルートラボ>https://yahoo.jp/MROO5F

 夏は民宿地平線を9時半発で16時帰着だった。途中セイコーマートで立ち寄ったり、雨具を着たり脱いだりの時間を含めて6時間半。同じペースだとすると、全部回ると中標津空港で14時到着となる。出発時刻は14:30なので、14時到着だと全く余裕が無い。しかし、途中豊岡のコース交叉地点で、中盤の南下周回を端折れば充分可能だとも思われる。順調なら全部回れるかもしれないし、端折ったら端折ったでも充分楽しめるから、交叉地点で考えればいい。
 まだ道は濡れている。しかし遠景は雨上がり独特の、意外な澄み方である。これなら夏のように雨に見舞われることは無いだろう、と安心できた。まあしかし、先へ進むと少しは雨が残っているかもしれない。雲は相変わらず低いし。

 8時半、川北着。例によってコーヒーを飲んで出発。
 次は標津の低地を南下してゆく。終始雲は低く、路面はついさっき雨が上がったばかりのように濡れていたり、かと思うと乾いていたりした。平地なのにこういうムラがあるのが、流石の根釧台地である。

北海道標津郡標津町茶志骨
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北海道標津郡標津町茶志骨
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 9:50、中春別セイコーマート到着。店の前の道道8は交通量が多い。オホーツク沿岸の国道244より余程混んでいるのではないかと思われる。そう言えば、あっちには近年行ってないな、とふと気付く。あまり先入観でものを考えてはいけない。
 とりあえず道道8の交通量を眺めていても、何も面白くはないことだけは確かだ。まだ全然腹は減っていないし、補給食にも不足は無い。今日の所はちゃちゃっと先へ進んでしまえ。

 10:05、中春別発。
 やはり雲の低い牧草地の中、直線基調の道が時々大きく方向を変えつつ、全体的には西側の内陸へと向かってゆく。

 10:40、豊原着。7時半出発で13:30空港着とすると、ここでちょうど持ち時間の半分が過ぎたことになる。
 立ち止まって地図を見て、この先の方針を少し検討することにした。
 メーターの距離は今ここで55km。全体的には順調だが、130km全部を回るとするとちょうどぴったりのぎりぎりで余裕が無い。もう30分早かったら、気持ちに余裕を持って回れたかもしれない、等と思う。夏も来ているコースであり、今日はあまり欲張るような天気じゃない。平地とは言え根釧台地内陸まっただ中、この低い雲がいつ一気に落ちてきたって不思議じゃないのだ。中標津空港に早めに着けば、何か中標津っぽいものも食べられるだろうし。
 というわけで、もう少し先にあるコース交叉地点で折り返すことにした。
北海道Tour18#13 2018/10/8(月)開陽→中標津空港-2


 10:50、豊岡発。急に雲が切れ始め、一瞬青空すら見え始めた。ん、これは先に進むべきか、等と思っているうちにすぐに再び曇ってしまい、その後はもう晴れることは無かった。
 コース交叉地点から北上区間へ。途中、コースはしばしばのんびりした細道に変わる。道が通れることを知っていないと、この辺でこういう道には絶対に入り込まない。何故かというと、こういう細道は、牧草地のまっただ中で途切れたり、草ぼうぼうのダートに変わることが多いからだ。

 牧草地のグリッドを袈裟懸けに横切ってゆく国道272、通称宗男道路では、斜めの国道を全く無視して、牧草地グリッドに従ってコースが組まれているのが楽しい。このため、国道をジグザグに3回横断してゆく。
 国道272を越えると、それまでほぼ平坦だった地形にやや起伏が現れ始めた。突如北側の西別岳、武佐岳の裾まで拡がる台地が眺められるようになり、展望に脚を停まる。晴れていれば本当は山まで見えるはず。北上するにつれて次第に地形の掘りは深くなり、これまで無かったような谷間横断と直登の急坂が現れた。コースの後半でこういうアップダウンが始まるのが、130kmコースの罠だ。

北海道標津郡中標津町豊岡
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北海道標津郡中標津町豊岡
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 11:35、当幌で小休止、11:50出発。あと1時間で中標津空港に着けばいい。
 到着時刻調整のため、俣落辺りで130kmコースの北側へ、予定よりやや大回りしてみた。とはいえ大部分は既済経路であり、折り返しの判断を多少早まったかもしれないという気もした。いやしかし、やはり130kmコース全部は厳しかったかもしれない。
 まあしかし、雨ばかりだったが、中標津で3日間過ごせて悪くない休日だったな。
 などと思いながら中標津空港に向かう途中、最後に回った空港手前の町道が、思わぬ発見だった。武佐岳裾が、この辺りにしちゃ想像したことが無かった程開けたのだ。正面には開陽台も見えた。遂に晴れなかった今回の、中標津の神様からの贈り物をいただいたような気分になれた。そして、やはり通っていない道には何か発見があるのだと思った。

北海道標津郡中標津町俣落 町道北11
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北海道標津郡中標津町南開陽 町道北11
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 12:55、中標津空港着。自転車を片付け、空港で昼食とする。地元の業者さんのレストランで、「ああ、3時間後にはもう羽田なんだ」と思いながら食べるのはそれでもカレーである。でも、やはり最終日に焦らずに走れて、なかなか悪くない気分である。いい休日だった。
 今回は無事に飛行機は飛んでくれた。AMC特典航空券のお陰で、地元駅・羽田間以外の交通費がタダという、過去最高に安上がりの北海道ツーリングとなった。雨続きでも文句は言えない。

中標津空港 搭乗待合室
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■■■2019/3/9
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