嗚呼神風特別攻撃隊コミュの海に眠る特攻機を捜せ　喜界島「戦争知る機会に」

海に眠る特攻機を捜せ　喜界島「戦争知る機会に」
海底調査で見つかった戦闘機のエンジンの一部とプロペラらしきもの＝７月、鹿児島県・喜界島沖（ヨネモリダイビングサービス提供）

　大東亜戦争中、特攻機の中継基地があり、日米の空中戦が行われた鹿児島県・喜界島で、海底に沈む軍用機を捜す活動を地元ダイバーや喜界町観光協会などが始めた。戦争遺跡として後世に伝え、観光にも一役買ってもらおうという取り組みだ。

　奄美大島東の太平洋に位置する喜界島には旧海軍の飛行場があった。戦争末期、沖縄に向かう特攻機と米軍機が島の付近で空中戦を繰り広げ、多くの軍用機が墜落したり不時着したりした。機体を隠すための日本軍のシェルターや、レーダー基地など多くの戦跡もある。

　島には目撃証言や墜落場所の記録が残っており、地元ダイバーの情報なども合わせて位置を推定し、７月に海中を捜索。ダイバーら１２人が１時間ほど調査した結果、島の沖合数十メートル、深さ２０メートルの海底で、岩の間に挟まった日本軍機のエンジンとプロペラの一部とみられる物体を発見した。

　風化が進みサンゴなどが付着しているため機体は特定できていないが、同町観光協会の原田尚二さん（６２）は「砂を掘っていけば全体像が見えるのではないか」と話す。

　予算の関係で引き揚げは難しいものの、１０月には別の海域を捜索する予定。原田さんは「子供たちに戦争を伝えるとともに、喜界島自体を皆さんに知ってもらうきっかけになれば」と話している。