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名作を読みませんかコミュの源氏物語  123

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 源氏はあながちにあせって結婚がしたいのではなかったが、恋人の冷淡なのに負けてしまうのが残念でならなかった。

 今日の源氏は最上の運に恵まれてはいるが、昔よりはいろいろなことに経験を積んできていて、今さら恋愛に没頭することの不可なことも、世間から受ける批難も知っていながらしていることで、これが成功しなければいよいよ不名誉であると信じて、二条の院に寝ない夜も多くなったのを夫人は恨めしがっていた。

 悲しみをおさえる力も尽きることがあるわけである。

 源氏の前で涙のこぼれることもあった。

 「なぜ機嫌きげんを悪くしているのですか、理由わけがわからない」

 と言いながら、額髪ひたいがみを手で払ってやり、憐あわれんだ表情で夫人の顔を源氏がながめている様子などは、絵に描かきたいほど美しい夫婦と見えた。

「女院がお崩かくれになってから、
  陛下が寂しそうにばかりしておいでになるのが心苦しいことだし、
  太政大臣が現在では欠けているのだから、政務は皆私が見なければならなくて、

  多忙なために家うちへ帰らない時の多いのを、あなたから言えば例のなかったことで、
  寂しく思うのももっともだけれど、
  ほんとうはもうあなたの不安がることは何もありませんよ。

  安心しておいでなさい。
  大人になったけれどまだ少女のように思いやりもできず、私を信じることもできない、
  可憐かれんなばかりのあなたなのだろう」

 などと言いながら、優しく妻の髪を直したりして源氏はいるのであったが、夫人はいよいよ顔を向こうへやってしまって何も言わない。

「若々しい我儘わがままをあなたがするのも私のつけた癖なのだ」

 歎息たんそくをして、短い人生に愛する人からこんなにまで恨まれているのも苦しいことであると源氏は思った。

「斎院との交際で何かあなたは疑っているのではないのですか。
  それはまったく恋愛などではないのですよ。
  自然わかってくるでしょうがね。

  昔からあの人はそんな気のないいっぷう変わった女性なのですよ。
  私の寂しい時などに手紙を書いてあげると、
  あちらはひまな方だから時々は返事をくださるのです。

  忠実に相手になってもくださらないと、
  そんなことをあなたにこぼすほどのことでもないから、いちいち話さないだけです。
  気がかりなことではないと思い直してください」

 などと言って、源氏は終日夫人をなだめ暮らした。

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