って、思ただけなんですけどね〜(笑)
江戸時代中ごろ、京都に「神沢杜口（かんざわ とこう）」という「京都東町奉行所」の「与力（よりき）」を勤める武士が住んでおりました。
この神沢さん、かなり長生きで８６歳まで生きたのでした。
しかし、２０代で養父の後を継いで与力となったものの、４０代ソコソコで「早期退職？」してしまい、残りの４０数年間は、隠居として、いわばアソんで暮らしたのでした。
その４０数年間に「翁草（おきなぐさ）」という、歴史・地理・文学・芸能・有職故実・芸術・工芸・宗教など、あらゆる方面に渡る２００巻（原稿用紙換算で１万枚超）にも及ぶ随筆を残したのでした。
終生、洛中に暮らし、非常に健脚で８０歳まで１日２０�劼瞰况砲掘�京都の事件や風俗についても記述しました。翁草は１８世紀の代表的随筆とされています。
その内容は、現代のＳＮＳの日記、またはブログに近いものがあり、さしずめ江戸時代の「ブロガー (blogger)」とも言えるでしょう。
また最近、何かと話題になる「長〜い老後の生き方」にも示唆を与えてくれます。
もっと脚光を浴びても良い人物だと思います。
このトピックでは、そんな神沢さんと、代表作：翁草のアレコレについて取り上げたいと思っています。
+---------------------------------------------------------+
● 神沢さんの基礎知識
神沢杜口 本 名：神澤輿兵衛貞幹（かんざわ-よへい-さだもと）
生 年：宝永7年 月日不明（西暦1710年）
没 年：寛政7年2月11日（西暦1795年3月11日）
墓 所：京都市上京区出水通七本松東入七番町358 慈眼寺
※ 杜口は貞幹の号。俳号などに使用していた。
神沢さんは、代々、京都西町奉行所の与力を勤める入江家に生まれたと推定され、１１歳の時、生家と同格の、代々、京都東町奉行所の与力を勤める神沢家の養子となりました。
享保１９年（西暦1734年）、杜口が満２４歳の時、養父「神澤彌十郎貞宜」が亡くなり、その後を継いで京都東町奉行所の与力に就任しました。
京都町奉行所は、東町・西町に分かれており、東西１ヶ月ごとの月番制を取っていました。それぞれ与力２０騎（与力は騎乗できる格式を有するので「騎」と称する）、同心５０人が配されていました。
与力といえば、テレビの時代劇によく出てくる「江戸町奉行」の「大岡越前」「遠山の金さん（遠山景元）」や「火付盗賊改方頭」の「鬼平こと長谷川平蔵」達の部下として、ドラマでも必ずと言ってイイほど活躍する、現代の我々にも比較的なじみ深い役柄です。
「同心（どうしん）」というのも時代劇によく出てきますが、与力は同心の上司、奉行の部下という中間管理職的立場にあり、禄高は２００石、現在にすると年収１千万円位ですが、「付け届け（役得）」も多く、正規年収の何倍にもなっていたそうです（現在の公務員は「付け届け厳禁」ですが、当時は、役得として黙認されていた）。そのため、神沢さんもけっこう裕福だったそうです。
町奉行所の職制：奉行 − 与力 − 同心 − 岡っ引き − 下っ引き（岡・下っ引きは正規職員ではありません）
しかし、江戸から赴任する奉行に対して、与力は「現地採用職員・実質代々世襲制」で、神沢さんも退職するまで京都東町奉行所与力から異動することはありませんでした。
宝暦３年（西暦1753年）、杜口が満４３歳の時、本人の希望（病弱を理由に）で京都東町奉行所を退職。自分のあとを養子の彌十郎（杜口の養父と同名）に継がせました。
退職した年に妻に死なれますが、その後、養子一家とは同居せず、家禄の一部を現代の年金のように受け取り、京都市中の借家を（本人の弁では１８回）転々としながら、市中渉猟や文筆活動に専念しました。
代表作「翁草」２００巻は杜口の主著と言えますが、初めの１００巻は安永元年（西暦1772年）一応完成。さらに１００巻を加えたところ、天明８年（西暦1788年）の「天明の大火」でその大半を焼失、なんと再度編述し直して、寛政３年（西暦1791年）死の４年前８２歳の時、完成しました。
友人に、俳人：与謝蕪村、医師・文人：橘南谿がいます。
この神沢さん、かなり長生きで８６歳まで生きたのでした。
しかし、２０代で養父の後を継いで与力となったものの、４０代ソコソコで「早期退職？」してしまい、残りの４０数年間は、隠居として、いわばアソんで暮らしたのでした。
その４０数年間に「翁草（おきなぐさ）」という、歴史・地理・文学・芸能・有職故実・芸術・工芸・宗教など、あらゆる方面に渡る２００巻（原稿用紙換算で１万枚超）にも及ぶ随筆を残したのでした。
終生、洛中に暮らし、非常に健脚で８０歳まで１日２０�劼瞰况砲掘�京都の事件や風俗についても記述しました。翁草は１８世紀の代表的随筆とされています。
その内容は、現代のＳＮＳの日記、またはブログに近いものがあり、さしずめ江戸時代の「ブロガー (blogger)」とも言えるでしょう。
また最近、何かと話題になる「長〜い老後の生き方」にも示唆を与えてくれます。
もっと脚光を浴びても良い人物だと思います。
このトピックでは、そんな神沢さんと、代表作：翁草のアレコレについて取り上げたいと思っています。
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● 神沢さんの基礎知識
神沢杜口 本 名：神澤輿兵衛貞幹（かんざわ-よへい-さだもと）
生 年：宝永7年 月日不明（西暦1710年）
没 年：寛政7年2月11日（西暦1795年3月11日）
墓 所：京都市上京区出水通七本松東入七番町358 慈眼寺
※ 杜口は貞幹の号。俳号などに使用していた。
神沢さんは、代々、京都西町奉行所の与力を勤める入江家に生まれたと推定され、１１歳の時、生家と同格の、代々、京都東町奉行所の与力を勤める神沢家の養子となりました。
享保１９年（西暦1734年）、杜口が満２４歳の時、養父「神澤彌十郎貞宜」が亡くなり、その後を継いで京都東町奉行所の与力に就任しました。
京都町奉行所は、東町・西町に分かれており、東西１ヶ月ごとの月番制を取っていました。それぞれ与力２０騎（与力は騎乗できる格式を有するので「騎」と称する）、同心５０人が配されていました。
与力といえば、テレビの時代劇によく出てくる「江戸町奉行」の「大岡越前」「遠山の金さん（遠山景元）」や「火付盗賊改方頭」の「鬼平こと長谷川平蔵」達の部下として、ドラマでも必ずと言ってイイほど活躍する、現代の我々にも比較的なじみ深い役柄です。
「同心（どうしん）」というのも時代劇によく出てきますが、与力は同心の上司、奉行の部下という中間管理職的立場にあり、禄高は２００石、現在にすると年収１千万円位ですが、「付け届け（役得）」も多く、正規年収の何倍にもなっていたそうです（現在の公務員は「付け届け厳禁」ですが、当時は、役得として黙認されていた）。そのため、神沢さんもけっこう裕福だったそうです。
町奉行所の職制：奉行 − 与力 − 同心 − 岡っ引き − 下っ引き（岡・下っ引きは正規職員ではありません）
しかし、江戸から赴任する奉行に対して、与力は「現地採用職員・実質代々世襲制」で、神沢さんも退職するまで京都東町奉行所与力から異動することはありませんでした。
宝暦３年（西暦1753年）、杜口が満４３歳の時、本人の希望（病弱を理由に）で京都東町奉行所を退職。自分のあとを養子の彌十郎（杜口の養父と同名）に継がせました。
退職した年に妻に死なれますが、その後、養子一家とは同居せず、家禄の一部を現代の年金のように受け取り、京都市中の借家を（本人の弁では１８回）転々としながら、市中渉猟や文筆活動に専念しました。
代表作「翁草」２００巻は杜口の主著と言えますが、初めの１００巻は安永元年（西暦1772年）一応完成。さらに１００巻を加えたところ、天明８年（西暦1788年）の「天明の大火」でその大半を焼失、なんと再度編述し直して、寛政３年（西暦1791年）死の４年前８２歳の時、完成しました。
友人に、俳人：与謝蕪村、医師・文人：橘南谿がいます。
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コメント(231)
>>[146]
>>[156]
「本阿弥光正」とは「本阿弥光二」の誤記ではないか？
との推論ですが、コレと極めて類似した例を見付けました！
それは・・・
昨年、京博で見た「三条宗近」と同じ「天下五剣」のひとつに、「鬼丸国綱」という「御物」があります（たぶんこれも京博で見た）。
天下五剣の一つだけあって詳細な履歴が残っており、「豊臣秀吉」は本阿弥家９代当主「本阿弥光徳」に鬼丸国綱を預けたのですが、翁草「巻三十八、鬼丸の太刀の事」では「本阿弥光徳」を「本阿弥光成」と、またもや存在しない名前を誤記しているのです。この件は、記録が残っている（本阿弥行状記と思われる）ので「本阿弥光徳」に、まずマチガイありません。
-----------------------------------------------
鬼丸国綱 信長・秀吉（本阿弥預かり）
後に足利義昭から織田信長に贈られ、更に豊臣秀吉に渡るが、秀吉は鬼門よけの意味を込めて京都の本阿弥光徳に預けた。
光徳は後に家康に献上したが、やはり家康も「太閤深き考ありて其方へ預たる太刀なれば、其儘預るべし」と本阿弥家に戻し、同家で保管していた。
------------------------------------------------
https://meitou.info/index.php/%E9%AC%BC%E4%B8%B8%E5%9B%BD%E7%B6%B1
杜口は、本阿弥家の人間は、ダレでも「コーセイ（光正、光成）」にしてしまうのか
？と思ってしまうほどですが・・・
確かに人間は繰り返し似た過ちをし易いものですが、どの段階で誤記が発生したのでしょう？
現在、我々が見ている翁草は、明治３８年に活字化された本ですが、
�� 写本から活字化する時に誤植したのか？
�� 杜口の原本から、写本を手書きしたときに誤記したのか？
�� 最初から杜口自身が誤記したのか？
いづれにしろ、「光二を光正と誤記した」という推論の正しさを補強する有力な材料ではありますね！
>>[156]
「本阿弥光正」とは「本阿弥光二」の誤記ではないか？
との推論ですが、コレと極めて類似した例を見付けました！
それは・・・
昨年、京博で見た「三条宗近」と同じ「天下五剣」のひとつに、「鬼丸国綱」という「御物」があります（たぶんこれも京博で見た）。
天下五剣の一つだけあって詳細な履歴が残っており、「豊臣秀吉」は本阿弥家９代当主「本阿弥光徳」に鬼丸国綱を預けたのですが、翁草「巻三十八、鬼丸の太刀の事」では「本阿弥光徳」を「本阿弥光成」と、またもや存在しない名前を誤記しているのです。この件は、記録が残っている（本阿弥行状記と思われる）ので「本阿弥光徳」に、まずマチガイありません。
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鬼丸国綱 信長・秀吉（本阿弥預かり）
後に足利義昭から織田信長に贈られ、更に豊臣秀吉に渡るが、秀吉は鬼門よけの意味を込めて京都の本阿弥光徳に預けた。
光徳は後に家康に献上したが、やはり家康も「太閤深き考ありて其方へ預たる太刀なれば、其儘預るべし」と本阿弥家に戻し、同家で保管していた。
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https://meitou.info/index.php/%E9%AC%BC%E4%B8%B8%E5%9B%BD%E7%B6%B1
杜口は、本阿弥家の人間は、ダレでも「コーセイ（光正、光成）」にしてしまうのか
？と思ってしまうほどですが・・・
確かに人間は繰り返し似た過ちをし易いものですが、どの段階で誤記が発生したのでしょう？
現在、我々が見ている翁草は、明治３８年に活字化された本ですが、
�� 写本から活字化する時に誤植したのか？
�� 杜口の原本から、写本を手書きしたときに誤記したのか？
�� 最初から杜口自身が誤記したのか？
いづれにしろ、「光二を光正と誤記した」という推論の正しさを補強する有力な材料ではありますね！
ウッカリしていたのですが・・・
ずいぶん昔から「光秀は、若狭国小浜の刀鍛冶・藤原冬広の次男（『若州観光跡録』」という俗説がありました。
---------------------------------------------
光秀の謎 出自
光秀は美濃の明智氏の出身とされるが、前半生が不透明なこともあって、以下の出自説が存在する。
●進士信周の次男（『明智一族宮城家相伝系図書』）
●美濃の明智から信長への使者御門重兵衛を気に入り、明智を名乗らせ仕えさせた（『塩尻』]）
●若狭国小浜の刀鍛冶・藤原冬広の次男（『若州観光跡録』）
●土岐元頼の息子（『稿本美濃誌』）
●進士晴舎の息子
--------------------------------------------
確かに「光秀と刀剣」は、いろいろ関係深いものがあります。
�‥畄�マニアの足利１３代将軍「足利義輝」に近侍していた可能性がある。
��右腕であり、親戚と云われる「斎藤利三」の家系は、利永・利安など刀剣研究家である。
�Ｅ畄�研究の第一人者である「得能一男」さんは、斎藤利永に伝えられた「古今鍛冶銘（別名：簗氏正長銘尽 写）」の奥書に書き込まれた「天文十四年(1545) 卯月五日 本阿弥 花押」は「後世のイタズラではないか」との見解ですが、杜口の記述「明智光秀を信長公へ吹挙せしは本阿弥光正なり」を知らずに、即決した可能性も大きいと思いました。
�ぬ醒匏�三郎さんによると、明智家は斎藤利安・利良の代には、彼らとタッグを組んで「土岐頼武」派として、「土岐頼芸」派と抗争を続けていた。
�ジ�秀は若狭国小浜の刀鍛冶・藤原冬広の次男、という出自説もある。この次男が、明智家に養子に入ったことも考えられなくはない。
ずいぶん昔から「光秀は、若狭国小浜の刀鍛冶・藤原冬広の次男（『若州観光跡録』」という俗説がありました。
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光秀の謎 出自
光秀は美濃の明智氏の出身とされるが、前半生が不透明なこともあって、以下の出自説が存在する。
●進士信周の次男（『明智一族宮城家相伝系図書』）
●美濃の明智から信長への使者御門重兵衛を気に入り、明智を名乗らせ仕えさせた（『塩尻』]）
●若狭国小浜の刀鍛冶・藤原冬広の次男（『若州観光跡録』）
●土岐元頼の息子（『稿本美濃誌』）
●進士晴舎の息子
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確かに「光秀と刀剣」は、いろいろ関係深いものがあります。
�‥畄�マニアの足利１３代将軍「足利義輝」に近侍していた可能性がある。
��右腕であり、親戚と云われる「斎藤利三」の家系は、利永・利安など刀剣研究家である。
�Ｅ畄�研究の第一人者である「得能一男」さんは、斎藤利永に伝えられた「古今鍛冶銘（別名：簗氏正長銘尽 写）」の奥書に書き込まれた「天文十四年(1545) 卯月五日 本阿弥 花押」は「後世のイタズラではないか」との見解ですが、杜口の記述「明智光秀を信長公へ吹挙せしは本阿弥光正なり」を知らずに、即決した可能性も大きいと思いました。
�ぬ醒匏�三郎さんによると、明智家は斎藤利安・利良の代には、彼らとタッグを組んで「土岐頼武」派として、「土岐頼芸」派と抗争を続けていた。
�ジ�秀は若狭国小浜の刀鍛冶・藤原冬広の次男、という出自説もある。この次男が、明智家に養子に入ったことも考えられなくはない。
去る３月１７日（日）午後１時３５分〜２時５５分、神奈川歴史研究会 第３４０会例会において、「神沢杜口と翁草」という演題で口演を行い、好評のうちに終わることができました。
---------------------------------------------------------------
演題：神沢杜口と翁草
演者：高橋
発表：2019/3/17 PM 1:35〜2:55
口演内容抄録：↓
江戸時代中期の京都人「神沢杜口」の主著である「翁草」は、大著（２００巻＝約１３００話超＝原稿用紙１万枚超）であるにもかかわらず（あるいは、それゆえ）、研究者・研究書も少なく、記載内容の正・誤を始めとして、考察・検証が十分になされているとは言えません。
それはウィキペディア（インターネットのフリー百科事典）で「翁草」と検索しても、掲載されていないことからも窺い知ることができます（翁草と同時代・同類・同規模の「耳嚢」「甲子夜話」などは掲載されている。ただし、検索語「神沢杜口」の中では言及されている）。
しかし翁草は、江戸時代を理解するうえに有益な史料であり、所載の話の中には、たいへん興味深い話も多く、ライフワークとして可能な限り考察・検証を深めたいと考えています。
今回は、その研究の一端をご紹介したいと思っています。
---------------------------------------------------------------
●配布レジュメ（Ａ４版１２枚）↓
http://shb.main.jp//kanzawa/okinagusa3.htm
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演題：神沢杜口と翁草
演者：高橋
発表：2019/3/17 PM 1:35〜2:55
口演内容抄録：↓
江戸時代中期の京都人「神沢杜口」の主著である「翁草」は、大著（２００巻＝約１３００話超＝原稿用紙１万枚超）であるにもかかわらず（あるいは、それゆえ）、研究者・研究書も少なく、記載内容の正・誤を始めとして、考察・検証が十分になされているとは言えません。
それはウィキペディア（インターネットのフリー百科事典）で「翁草」と検索しても、掲載されていないことからも窺い知ることができます（翁草と同時代・同類・同規模の「耳嚢」「甲子夜話」などは掲載されている。ただし、検索語「神沢杜口」の中では言及されている）。
しかし翁草は、江戸時代を理解するうえに有益な史料であり、所載の話の中には、たいへん興味深い話も多く、ライフワークとして可能な限り考察・検証を深めたいと考えています。
今回は、その研究の一端をご紹介したいと思っています。
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●配布レジュメ（Ａ４版１２枚）↓
http://shb.main.jp//kanzawa/okinagusa3.htm
>>[87]で数軒の店舗を有していました。
この井筒薬品(株)が、翁草に書かれている薬屋「井筒屋」の流れを組む会社ではないかと、当然、考えたワケです。
そこでネットで調べてみたところ、フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E7%AD%92%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A4%E4%B8%89%E6%98%9F%E5%A0%82』に、
・1988年4月：嶋路株式会社、半井株式会社、中川薬品株式会社の三社の企業合同により井筒薬品株式会社に商号変更。
・2000年6月：東京都のクラヤ三星堂と業務・資本提携。
・2006年4月：井筒クラヤ三星堂に商号変更。
・2009年10月 - クラヤ三星堂を存続会社として「クラヤ三星堂」「千秋薬品」「潮田クラヤ三星堂」「やまひろクラヤ三星堂」「平成薬品」「井筒クラヤ三星堂」が合併し「株式会社メディセオ」に社名変更
と載っていました。
これをさらに調べたところ、創業三社(嶋路株式会社、半井株式会社、中川薬品株式会社)の中のでは、「半井株式会社」が中心的存在らしく、下記のように書かれていました。
半井株式会社（なからい）は、京都府京都市中京区堀川通三条上ルに本社を置く主に医薬品・医療機器の卸売りを扱う企業であった。「井筒屋」の号を称する暖簾集団に属する半井萬紹商店を前身としている。「中川安」「中川薬品」「嶋路」は暖簾分けされた分家にあたる。
-(出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』)-
さらに、井筒屋について下記のように書かれていました。
・井筒屋
殿村一統がつけた屋号であり、半井萬紹商店(井萬)は別家したものであり井筒屋を称した。井筒屋は井長(殿村勝三郎・明治30年廃家)が本家で井安(半井半兵衛・明治後期廃業)と井政(山本政平・明治4年別家)に別れ井政は戸田繁・井源・西村寅一・田中大作へと別家していく。井安は井萬(半井萬紹・弦化4年分家)・近藤誠助(明治後期別家)・植木余一(大正初期別家)に別家した。
-(出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E4%BA%95)-
これに寄ると、井筒屋は「殿村家」の屋号で、本家(殿村勝三郎)は明治３０年に廃家となっていることが判りました。
井筒屋は、江戸時代から、盛んに別家を立て(のれん分け)、明治時代初期まで続いた「薬種仲買仲間」という一種の同業組合的な存在であることが判りました。
この井筒屋(殿村家)が、翁草に記載されている井筒屋であると推定できるのではないでしょうか？
この井筒薬品(株)が、翁草に書かれている薬屋「井筒屋」の流れを組む会社ではないかと、当然、考えたワケです。
そこでネットで調べてみたところ、フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E7%AD%92%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A4%E4%B8%89%E6%98%9F%E5%A0%82』に、
・1988年4月：嶋路株式会社、半井株式会社、中川薬品株式会社の三社の企業合同により井筒薬品株式会社に商号変更。
・2000年6月：東京都のクラヤ三星堂と業務・資本提携。
・2006年4月：井筒クラヤ三星堂に商号変更。
・2009年10月 - クラヤ三星堂を存続会社として「クラヤ三星堂」「千秋薬品」「潮田クラヤ三星堂」「やまひろクラヤ三星堂」「平成薬品」「井筒クラヤ三星堂」が合併し「株式会社メディセオ」に社名変更
と載っていました。
これをさらに調べたところ、創業三社(嶋路株式会社、半井株式会社、中川薬品株式会社)の中のでは、「半井株式会社」が中心的存在らしく、下記のように書かれていました。
半井株式会社（なからい）は、京都府京都市中京区堀川通三条上ルに本社を置く主に医薬品・医療機器の卸売りを扱う企業であった。「井筒屋」の号を称する暖簾集団に属する半井萬紹商店を前身としている。「中川安」「中川薬品」「嶋路」は暖簾分けされた分家にあたる。
-(出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』)-
さらに、井筒屋について下記のように書かれていました。
・井筒屋
殿村一統がつけた屋号であり、半井萬紹商店(井萬)は別家したものであり井筒屋を称した。井筒屋は井長(殿村勝三郎・明治30年廃家)が本家で井安(半井半兵衛・明治後期廃業)と井政(山本政平・明治4年別家)に別れ井政は戸田繁・井源・西村寅一・田中大作へと別家していく。井安は井萬(半井萬紹・弦化4年分家)・近藤誠助(明治後期別家)・植木余一(大正初期別家)に別家した。
-(出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E4%BA%95)-
これに寄ると、井筒屋は「殿村家」の屋号で、本家(殿村勝三郎)は明治３０年に廃家となっていることが判りました。
井筒屋は、江戸時代から、盛んに別家を立て(のれん分け)、明治時代初期まで続いた「薬種仲買仲間」という一種の同業組合的な存在であることが判りました。
この井筒屋(殿村家)が、翁草に記載されている井筒屋であると推定できるのではないでしょうか？
>>[198] 二条通の主に、高倉通〜室町通に掛けて、江戸時代、幕府が公認した「薬種仲間」という寄合に属する「薬種問屋」が数多く軒を並べていました。
ネットで調べてみましたところ、京都の薬種仲間には「二条組」を中心とし、他に「脇庖組」「八日組」の、計三つの仲間があったとのこと。
「井筒屋」は二条組に属し、二条組では、ほかに松属、小西屋、木屋、小田原屋、近江屋、万屋、楽屋、析屋、池田屋などの屋号を名乗る２０〜３０程度の家(一つの屋号に複数軒か)が役職を持ち回りで務め、各家の下に分家や別家が存在したそうです。
幕末(禁門の変以前)、二条組の総数（株数)は、１７３軒あったとのことです。
ネットで調べてみましたところ、京都の薬種仲間には「二条組」を中心とし、他に「脇庖組」「八日組」の、計三つの仲間があったとのこと。
「井筒屋」は二条組に属し、二条組では、ほかに松属、小西屋、木屋、小田原屋、近江屋、万屋、楽屋、析屋、池田屋などの屋号を名乗る２０〜３０程度の家(一つの屋号に複数軒か)が役職を持ち回りで務め、各家の下に分家や別家が存在したそうです。
幕末(禁門の変以前)、二条組の総数（株数)は、１７３軒あったとのことです。
>>[197]）」さんと「二条通」を歩いていて、「井筒屋の後継井筒薬品が仁王門町にあったことを、歴彩館の資料で見付けた」と話したところ、命人さんは「確かこの辺に大丸の地所があったと思う」と言ったのでした。
それで気になって、また歴彩館に行き「京都市町名変遷史 その４ 御所周辺�供蔽羌�区）」を調べていたら、ナルホド、井筒薬品があった仁王門町からほど近い「西小路町」に大丸の創業家「下村家」の地所があることを発見しました。
さらに西小路町と背中合わせの「船屋町」にも下村家の大きな地所（現：ハートン・ホテル周辺）があり、「近世（江戸時代）、船屋町には江戸呉服店の大丸屋彦衛門」の店舗があったことが「京羽二重織留大全」という古文書に書かれていることが判りました。
これにて、井筒屋と大丸（屋）は、極めて近い場所に店舗があったことが判明しました。「大丸屋が井筒屋のロゴ・マークを借りた」という、翁草の記述ですが、「借りることができたのは近所で懇意」だったこともあったのではないか？と考えられます。 これは、杜口の記述の（この件に関する）正しさを補強する材料ではないかと考えます。
※ 写真の黒塗の部分が、大丸（下村家）の地所
それで気になって、また歴彩館に行き「京都市町名変遷史 その４ 御所周辺�供蔽羌�区）」を調べていたら、ナルホド、井筒薬品があった仁王門町からほど近い「西小路町」に大丸の創業家「下村家」の地所があることを発見しました。
さらに西小路町と背中合わせの「船屋町」にも下村家の大きな地所（現：ハートン・ホテル周辺）があり、「近世（江戸時代）、船屋町には江戸呉服店の大丸屋彦衛門」の店舗があったことが「京羽二重織留大全」という古文書に書かれていることが判りました。
これにて、井筒屋と大丸（屋）は、極めて近い場所に店舗があったことが判明しました。「大丸屋が井筒屋のロゴ・マークを借りた」という、翁草の記述ですが、「借りることができたのは近所で懇意」だったこともあったのではないか？と考えられます。 これは、杜口の記述の（この件に関する）正しさを補強する材料ではないかと考えます。
※ 写真の黒塗の部分が、大丸（下村家）の地所
>>[146]
去る１１月４日（月）午後１時１０分〜２時１０分、横浜歴史研究会 平成３１年度11月例会において、上記、>>[146] から始まる翁草巻百十七「本阿弥の話」に関するコメントを整理して、「明智光秀を織田信長に推挙した人物」という演題で口演を行い、好評をいただきました。
●平成３１年度11月例会発表レジュメ：https://www.yokoreki.com/?page_id=21
横浜歴史研究会は、活動がたいへん活発で、主に「横浜市開港記念館（国重文）」で開催される月例会は、遅く行くと空いている席を探すのに苦労するほどです（毎回、会員総数約１７０名中１１０名以上が出席）！
●横浜歴史研究会 公式サイト：https://www.yokoreki.com/
※ 写真：横浜市開港記念館
去る１１月４日（月）午後１時１０分〜２時１０分、横浜歴史研究会 平成３１年度11月例会において、上記、>>[146] から始まる翁草巻百十七「本阿弥の話」に関するコメントを整理して、「明智光秀を織田信長に推挙した人物」という演題で口演を行い、好評をいただきました。
●平成３１年度11月例会発表レジュメ：https://www.yokoreki.com/?page_id=21
横浜歴史研究会は、活動がたいへん活発で、主に「横浜市開港記念館（国重文）」で開催される月例会は、遅く行くと空いている席を探すのに苦労するほどです（毎回、会員総数約１７０名中１１０名以上が出席）！
●横浜歴史研究会 公式サイト：https://www.yokoreki.com/
※ 写真：横浜市開港記念館
さて、このトピックでは「>>[76] 翁草：京都の大商人（一）」以来、 翁草の個々の話（タイトル別）の記載内容の考察・検討をしてきましたが、ここで矛先を変えて、翁草の全体的な課題について考えたいと思います。
「オンライン参加型百科事典」である「ウィキペディア」は、多くの人が頻繁に利用しています。何かを検索すれば、たいていの事項は項目としてウィキペディアに載っています。
しかし『翁草』という単独項目は、今日現在、ウィキペディアには載っていません（「神沢杜口」など、他の項目の中では言及されている）。
下の写真の通り、１冊が六法全書並みの厚さのリッパな本４冊という構成で活字化、出版されているにもかかわらずです（前編100巻、後編100巻、全200巻）。
同時代、同ジャンル、同規模である旗本・南町奉行の根岸鎮衛が、天明から文化にかけて30余年間に書きついだ随筆「耳嚢（全10巻1000編）」や、肥前国平戸藩第9代藩主の松浦静山により、1821年12月11日（文政4年11月17日）から、静山が没する1841年（天保12年）まで20年間にわたり随時書き続けられた随筆「甲子夜話（正篇100巻、続篇100巻、第三篇78巻）」などは、単独項目としてウィキペディアに載っています。
これはつまり「翁草の研究者が少ない」ということを如実に顕していると、考えられます。
その理由としては「翁草は他書の一部をそのまま写した部分が多い」ということもあると思います。
しかし、杜口の関心の赴くままに、歴史・地理・文学・芸能・有職故実・芸術・工芸・宗教・京都の事件や風俗、等々、百般に渡る直接・間接の見聞も少なからず記録していて、江戸時代を理解する上で有益な史料となっています。
写真：歴史図書社 昭和４５年１１月３０日発行 『翁草』 全四冊
前記>>[209] で、翁草は「前編100巻、後編100巻、全200巻」と書きました。
現在、翁草について書かれたメディア（書籍・雑誌・ネット情報など）は少ないですが、ホボその全てに「翁草は200巻」と書かれています。しかし、この記述はかねがね問題だと思っていました。
実は、200という数字にはあまり意味がありません。便宜上、200分冊にしたというだけであって、実際は約1300の題名（タイトル）がついた「お話」の集積となっています（「200巻＝200話」ではありません。無意識にそう思いがちですが・・・）。
しかもこれらのお話が、前後の話の内容と何の関連性もなく、無秩序に並んでいます。
そして「1300」という数字は、どのメディアでもまず見たことがありません。僭越ながら私が言い出したようなものです。
「200巻（約1300タイトル）」と表記するほうが適切かと考えます。
さらに言えば、１タイトルに１話とは限りません。１タイトルの中に、全然、関連性のないお話がいくつか入っていることもあるので、話の内容別総数としては更に増えます。
こういったカオスな構成のためか？
明治38年、書写本の翁草を現代の活字本にする時に、編者「池邉義識（いけべよしかた）」氏は、各話を２６の内容別に分類した「項目索引」を作成しています。この項目索引の各話タイトルを数えたら1280（２〜３の誤差もあり）あり、実際には、活字化の際、掲載しなかった話もあるので約1300としたワケです。
この項目索引は、ある程度便利ですが、正確・完全ではありません。
典型例を挙げれば・・・
杜口は、明智光秀に関する逸話に興味があったようで、いくつかのそれを翁草に書いています。それらの多くは、この項目索引では第三「武将」という項目内にまとめられています（下写真参照）。
しかし、前記>>[146] からの「本阿弥の話」は、「本阿弥（茶坊主）ノ話」として、第十六「囲碁及び茶道」の項目に分類してしまっています（下写真参照）。
この話の主軸は明智光秀だと思うので、やはり第三「武将」に分類すべきではなかったかと考えます。また、本阿弥家を茶道の家元とカン違いしていると思われます。
そういうこともあって、光秀研究家の方々には、まず気付かれることなく１００年以上過ぎてきてしまった可能性も考えられます（しかも光正→光二と主人公の名前にも過誤があったので）。
以上のように、翁草は分類上でもあまり研究が進んでいるとは言えません。話の内容別にもっと正確に整理・再分類したいところです！ （一人でできるような作業ではありませんが・・・）
●最初の写真：歴史図書社 昭和４５年１１月３０日発行 『翁草』 の付録「項目索引」表紙
●真中の写真：「項目索引」のうち、第三「武将」明智光秀関連（赤枠内）
●最後の写真：「項目索引」のうち、第十六「囲碁及び茶道」、「本阿弥（茶坊主）ノ話」（赤枠内）
現在、翁草について書かれたメディア（書籍・雑誌・ネット情報など）は少ないですが、ホボその全てに「翁草は200巻」と書かれています。しかし、この記述はかねがね問題だと思っていました。
実は、200という数字にはあまり意味がありません。便宜上、200分冊にしたというだけであって、実際は約1300の題名（タイトル）がついた「お話」の集積となっています（「200巻＝200話」ではありません。無意識にそう思いがちですが・・・）。
しかもこれらのお話が、前後の話の内容と何の関連性もなく、無秩序に並んでいます。
そして「1300」という数字は、どのメディアでもまず見たことがありません。僭越ながら私が言い出したようなものです。
「200巻（約1300タイトル）」と表記するほうが適切かと考えます。
さらに言えば、１タイトルに１話とは限りません。１タイトルの中に、全然、関連性のないお話がいくつか入っていることもあるので、話の内容別総数としては更に増えます。
こういったカオスな構成のためか？
明治38年、書写本の翁草を現代の活字本にする時に、編者「池邉義識（いけべよしかた）」氏は、各話を２６の内容別に分類した「項目索引」を作成しています。この項目索引の各話タイトルを数えたら1280（２〜３の誤差もあり）あり、実際には、活字化の際、掲載しなかった話もあるので約1300としたワケです。
この項目索引は、ある程度便利ですが、正確・完全ではありません。
典型例を挙げれば・・・
杜口は、明智光秀に関する逸話に興味があったようで、いくつかのそれを翁草に書いています。それらの多くは、この項目索引では第三「武将」という項目内にまとめられています（下写真参照）。
しかし、前記>>[146] からの「本阿弥の話」は、「本阿弥（茶坊主）ノ話」として、第十六「囲碁及び茶道」の項目に分類してしまっています（下写真参照）。
この話の主軸は明智光秀だと思うので、やはり第三「武将」に分類すべきではなかったかと考えます。また、本阿弥家を茶道の家元とカン違いしていると思われます。
そういうこともあって、光秀研究家の方々には、まず気付かれることなく１００年以上過ぎてきてしまった可能性も考えられます（しかも光正→光二と主人公の名前にも過誤があったので）。
以上のように、翁草は分類上でもあまり研究が進んでいるとは言えません。話の内容別にもっと正確に整理・再分類したいところです！ （一人でできるような作業ではありませんが・・・）
●最初の写真：歴史図書社 昭和４５年１１月３０日発行 『翁草』 の付録「項目索引」表紙
●真中の写真：「項目索引」のうち、第三「武将」明智光秀関連（赤枠内）
●最後の写真：「項目索引」のうち、第十六「囲碁及び茶道」、「本阿弥（茶坊主）ノ話」（赤枠内）
>>[146]
昨年２月１１日、杜口の命日に菩提寺「慈眼寺に」墓参したところ、折柄、杜口の子孫の縁者と、杜口の俳句を研究している研究者に逢うことができました。
この研究者は「奥野照夫」さんと言い、杜口の俳句集「其蜩庵（きちょうあん）杜口発句集」を天理大学図書館で見い出され、これを調査読解、平成３０年末「其蜩庵杜口発句集詳解」を自費出版されました（後日、寄贈いただいた）。
そして奥野さんは、昨年、入江家のご子孫を東京武蔵野市で見つけられ（さらに入江家で翁草の杜口自筆本［原本］も再発見され）、昨年１２月２２日、慈眼寺で神沢家、入江家、両家のご子孫を対面させるというドラマチックな企画を実行されました（私と本コミュニティの管理人「仙ちゃん」さんも同席を許された）。
神沢家・入江家の両家は、幕末以前の約１５０年間に計４人が相互に姻戚関係にあったことが過去帳・墓石で明らかになりましたが、近年、両家は全く互いを知らなかったのでした。
実は、再発見された原本は、すでに昭和６３年に入江家で発見されておりました。
しかしこの杜口自筆本（原本）は、その後、誰も研究する者もなく、入江家にそのまま置かれていたような状態で、今回は、いわば奥野さんにより「再発見」されたという感じです。
昭和６３年に入江家で発見された時の京都新聞記事には、龍谷大の宗政教授（故人）が、杜口自筆本（原本）と認定した理由が書かれています。
そして、この時すでに宗政教授により、杜口の筆跡にはクセがあり、その後、転写の際、誤写がかなり生じた、との見解が示されています。
私は、活字本に記されている「本阿弥光正」は、原本では「本阿弥光二」ではないか？との推測をしましたが、どうやらそうである確率は益々高まりました。
再発見された原本を確認したかったのですが、入江さんの記憶では、入江家に蔵されていた翁草杜口自筆本には、やはり欠本があり、その部分（巻117）は、残念ながら欠本しているとのこと・・・
しかし、両家対面の席に同席されていた関西大学文学部のF 名誉教授が、関西大学にある翁草の写本数種を閲覧させて下さるとのことで、ある程度の確認はできそうな感じで救われました。なるべく早々に確認したいと思っています。
昨年２月１１日、杜口の命日に菩提寺「慈眼寺に」墓参したところ、折柄、杜口の子孫の縁者と、杜口の俳句を研究している研究者に逢うことができました。
この研究者は「奥野照夫」さんと言い、杜口の俳句集「其蜩庵（きちょうあん）杜口発句集」を天理大学図書館で見い出され、これを調査読解、平成３０年末「其蜩庵杜口発句集詳解」を自費出版されました（後日、寄贈いただいた）。
そして奥野さんは、昨年、入江家のご子孫を東京武蔵野市で見つけられ（さらに入江家で翁草の杜口自筆本［原本］も再発見され）、昨年１２月２２日、慈眼寺で神沢家、入江家、両家のご子孫を対面させるというドラマチックな企画を実行されました（私と本コミュニティの管理人「仙ちゃん」さんも同席を許された）。
神沢家・入江家の両家は、幕末以前の約１５０年間に計４人が相互に姻戚関係にあったことが過去帳・墓石で明らかになりましたが、近年、両家は全く互いを知らなかったのでした。
実は、再発見された原本は、すでに昭和６３年に入江家で発見されておりました。
しかしこの杜口自筆本（原本）は、その後、誰も研究する者もなく、入江家にそのまま置かれていたような状態で、今回は、いわば奥野さんにより「再発見」されたという感じです。
昭和６３年に入江家で発見された時の京都新聞記事には、龍谷大の宗政教授（故人）が、杜口自筆本（原本）と認定した理由が書かれています。
そして、この時すでに宗政教授により、杜口の筆跡にはクセがあり、その後、転写の際、誤写がかなり生じた、との見解が示されています。
私は、活字本に記されている「本阿弥光正」は、原本では「本阿弥光二」ではないか？との推測をしましたが、どうやらそうである確率は益々高まりました。
再発見された原本を確認したかったのですが、入江さんの記憶では、入江家に蔵されていた翁草杜口自筆本には、やはり欠本があり、その部分（巻117）は、残念ながら欠本しているとのこと・・・
しかし、両家対面の席に同席されていた関西大学文学部のF 名誉教授が、関西大学にある翁草の写本数種を閲覧させて下さるとのことで、ある程度の確認はできそうな感じで救われました。なるべく早々に確認したいと思っています。
>>[212]により再発見された入江家に蔵されていた手書き翁草の「巻１１７」は、欠本（散佚）していると書きましたが、最近、間違いであることが判明しました（欠本していたのは巻１０６〜１１０巻とのこと）。
その巻１１７「本阿弥の話」を奥野さんに見ていただいたところ、「本阿弥光□」の部分は間違いなく「光二」となっていました。
私もその部分の写真（奥野氏撮影）をいただき、確実に「光二」と読めることを確認しました。
杜口の筆跡は、なるほどクセがありますが、けっこう流麗な感じで、少なくとも「二」の字は、「二本の横棒」で、誰が見ても「二」と読めるものでした（写真の掲載は控えます）。
我が推測が命中？した瞬間で、正直ウレシかったでした。
しかし（これも>>[212] に書きましたが）、関西大学に所蔵されている翁草の写本も見てきましたが、この写本は「光正」でした。
この「関大本」写本だけでなく、現在、私も所有している昭和４５年歴史図書社刊「翁草」も「光正」です。
この活字本は明治３８年、池邉義象博士が「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」「京都府立図書館本」を底本としたとのことですが、おそらく、それらの写本の巻１１７も「本阿弥光正」となっていたのだと推測できます。
つまり原本は「光二」なのに、多くの写本が「光正」となっているのです。「光二」の文字は明瞭であり、しかも「本阿弥の話」の中に３ヶ所も出てきます。すべて明瞭な「光二」です。間違えるのも難しいほどです。
今は、このナゾを解きたいと思っています。
その巻１１７「本阿弥の話」を奥野さんに見ていただいたところ、「本阿弥光□」の部分は間違いなく「光二」となっていました。
私もその部分の写真（奥野氏撮影）をいただき、確実に「光二」と読めることを確認しました。
杜口の筆跡は、なるほどクセがありますが、けっこう流麗な感じで、少なくとも「二」の字は、「二本の横棒」で、誰が見ても「二」と読めるものでした（写真の掲載は控えます）。
我が推測が命中？した瞬間で、正直ウレシかったでした。
しかし（これも>>[212] に書きましたが）、関西大学に所蔵されている翁草の写本も見てきましたが、この写本は「光正」でした。
この「関大本」写本だけでなく、現在、私も所有している昭和４５年歴史図書社刊「翁草」も「光正」です。
この活字本は明治３８年、池邉義象博士が「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」「京都府立図書館本」を底本としたとのことですが、おそらく、それらの写本の巻１１７も「本阿弥光正」となっていたのだと推測できます。
つまり原本は「光二」なのに、多くの写本が「光正」となっているのです。「光二」の文字は明瞭であり、しかも「本阿弥の話」の中に３ヶ所も出てきます。すべて明瞭な「光二」です。間違えるのも難しいほどです。
今は、このナゾを解きたいと思っています。
>>[212]
>>[216]
ここ一年半ほど、書き込みしなかったのは、いろいろ非公開情報が増えてしまったので書けなくなってしまったのでした。
一昨年、奥野さんは、龍谷大学文学部「宗政五十緒」教授（故人）により昭和６３年、杜口実家の入江家において一度発見され、その後、行方不明になっていた翁草の杜口自筆原本（以下、入江家本）を再発見されたのですが・・・
宗政教授は、入江家本の公式な調査報告、あるいは論考・考察などを残していなかったのでした。また、宗政教授以外でも、誰も入江家本を研究する者がなく、入江家にそのまま置かれていたような状態でした。
そこで 奥野氏さんは入江家を度々訪問し、入江家本を再調査し、その結果「出所、筆跡、押印、構成（序・跋など）、使用用紙」などの考察から、入江家本は神沢杜口自筆原本で間違いないという結論を得たのでした。
その再調査結果は、昨年から逐次お聞きしていたのですが、奥野さんご本人が公表されるまで、このトピックに掲載することは控えておりました。
しかし、先々月、奥野さんは、NPO法人京都観光文化を考える会・都草「第115回研究発表会」で報告されましたので、このトピックでも順次公開していきたいと思います。。
●『翁草』自筆原本の確認作業： http://www.miyakogusa.com/activity/happyo/31908/
>>[216]
ここ一年半ほど、書き込みしなかったのは、いろいろ非公開情報が増えてしまったので書けなくなってしまったのでした。
一昨年、奥野さんは、龍谷大学文学部「宗政五十緒」教授（故人）により昭和６３年、杜口実家の入江家において一度発見され、その後、行方不明になっていた翁草の杜口自筆原本（以下、入江家本）を再発見されたのですが・・・
宗政教授は、入江家本の公式な調査報告、あるいは論考・考察などを残していなかったのでした。また、宗政教授以外でも、誰も入江家本を研究する者がなく、入江家にそのまま置かれていたような状態でした。
そこで 奥野氏さんは入江家を度々訪問し、入江家本を再調査し、その結果「出所、筆跡、押印、構成（序・跋など）、使用用紙」などの考察から、入江家本は神沢杜口自筆原本で間違いないという結論を得たのでした。
その再調査結果は、昨年から逐次お聞きしていたのですが、奥野さんご本人が公表されるまで、このトピックに掲載することは控えておりました。
しかし、先々月、奥野さんは、NPO法人京都観光文化を考える会・都草「第115回研究発表会」で報告されましたので、このトピックでも順次公開していきたいと思います。。
●『翁草』自筆原本の確認作業： http://www.miyakogusa.com/activity/happyo/31908/
>>[87]
[87]の「● 翁草：京都の大商人（四）」にある下記のお話ですが・・・
--- 彦右衛門も大阪出店の後、名古屋に出店を考え、まず名古屋に支店がある「京都二条通」の薬屋「井筒屋九兵衛」の運送用目印荷札今でいう「ロゴ・マーク」を貸してもらいました。---
つまり「現在、誰でもご存じの大丸のロゴ・マークは、元は他店（社）のものであった」ということになりますが、この話、最近、大丸の大丸史に詳しい元重役の方に確かめることができました。
その方によれば「初めて聞いた話で、大丸にはそういう伝承はない」とのことでした。
そう言われてしまえば「杜口の記述はマチガイ」ということなってしまいますが、もし、薬屋「井筒屋」に「丸の中に大の文字」を使用していた記録が残っていたとしたら？、あるいは見つかったとしたら、全くの否定もできないと考えます。
[87]の「● 翁草：京都の大商人（四）」にある下記のお話ですが・・・
--- 彦右衛門も大阪出店の後、名古屋に出店を考え、まず名古屋に支店がある「京都二条通」の薬屋「井筒屋九兵衛」の運送用目印荷札今でいう「ロゴ・マーク」を貸してもらいました。---
つまり「現在、誰でもご存じの大丸のロゴ・マークは、元は他店（社）のものであった」ということになりますが、この話、最近、大丸の大丸史に詳しい元重役の方に確かめることができました。
その方によれば「初めて聞いた話で、大丸にはそういう伝承はない」とのことでした。
そう言われてしまえば「杜口の記述はマチガイ」ということなってしまいますが、もし、薬屋「井筒屋」に「丸の中に大の文字」を使用していた記録が残っていたとしたら？、あるいは見つかったとしたら、全くの否定もできないと考えます。
>>[216] において・・・
>この活字本は明治３８年、池邉義象博士が「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」「京都府立図書館本」を底本としたとのことですが、おそらく、それらの写本の巻１１７も「本阿弥光正」となっていたのだと推測できます。
と書きましたが、「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」「京都府立図書館本」のうち、所在が判明しているのは、現在「京都府立図書館本（以下、府立本）」のみです。
この府立本は、現在、京都府立京都学歴彩館デジタル・アーカイブに収録されていて、誰でも自分のスマホ・パソコンにて閲覧できます。
さて、府立本の巻１１７「本阿弥の咄」では「光正」ではなく「光二」と、正しく書かれておりました。
そうなると「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」（少なくともどちらか）に「光正」と書いてあったことになります。
ナゼ、池邉義象博士は「光二」ではなく「光正」を採用されたのでしょうか？
●府立本「本阿弥の咄」↓
http://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaOriginal?cls=152_old_books_catalog&pkey=0000001457&lCls=150_media_old_books&lPkey=0000254046
※「京都府立図書館本」が、上記、京都府立京都学歴彩館デジタル・アーカイブに収録されているデータであると、確実には言えないが、購入日付からそうであると推定できる。
>この活字本は明治３８年、池邉義象博士が「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」「京都府立図書館本」を底本としたとのことですが、おそらく、それらの写本の巻１１７も「本阿弥光正」となっていたのだと推測できます。
と書きましたが、「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」「京都府立図書館本」のうち、所在が判明しているのは、現在「京都府立図書館本（以下、府立本）」のみです。
この府立本は、現在、京都府立京都学歴彩館デジタル・アーカイブに収録されていて、誰でも自分のスマホ・パソコンにて閲覧できます。
さて、府立本の巻１１７「本阿弥の咄」では「光正」ではなく「光二」と、正しく書かれておりました。
そうなると「藤井五車楼本」「富岡鉄斎所蔵本」（少なくともどちらか）に「光正」と書いてあったことになります。
ナゼ、池邉義象博士は「光二」ではなく「光正」を採用されたのでしょうか？
●府立本「本阿弥の咄」↓
http://www.archives.kyoto.jp/websearchpe/mediaOriginal?cls=152_old_books_catalog&pkey=0000001457&lCls=150_media_old_books&lPkey=0000254046
※「京都府立図書館本」が、上記、京都府立京都学歴彩館デジタル・アーカイブに収録されているデータであると、確実には言えないが、購入日付からそうであると推定できる。
>>[209] に書きましたように、ウィキペディアに単独項目「翁草」が無いので、自らアップしようかと考えたこともありましたが、最近、どなたかの手により、単独項目「翁草」が作成されました。
ウィキペディアは世界中のボランティアの共同作業によって執筆されるフリーの多言語インターネット百科事典であり、執筆者の実名は不明です。
●ウィキペディア【翁草】：https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%81%E8%8D%89
なお、上記は良質な解説だと判断し、「注釈２」として、下記を追記しました↓
昭和63年（1988年）、龍谷大学文学部宗政五十�匐擬�は、杜口の実家の入江家子孫宅（杜口は10歳の時、京都西町奉行所与力入江家から京都東町奉行所与力神沢家に養子に入った）で、『翁草』の杜口自筆原本（一部他筆含む）を発見した（京都新聞 昭和63年3月26日夕刊記事「宗政龍大教授 著者自筆の原本と確認 枚方の子孫保存」を参照）。しかしその後、宗政教授はこの原本（以下、入江家蔵本）の研究を特に進めることもなく（この件に関する研究論文を残していない）、入江家蔵本はそのまま入江家に置き忘れられた形になっていた。2019年、関西大学（院聴講生）奥野照夫氏は、転居して所在が判らなくなっていた上記入江家を苦労の末に探し出し、入江家蔵本を再発見した。さらに奥野氏は、入江家蔵本が翁草の自筆原本であることを再検証し、自筆原本に間違いないことを発表した（日本近世文学会2020年度秋季大会発表「奥野照夫：『翁草』自筆原本の書誌学的考察」を参照）。
ウィキペディアは世界中のボランティアの共同作業によって執筆されるフリーの多言語インターネット百科事典であり、執筆者の実名は不明です。
●ウィキペディア【翁草】：https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%81%E8%8D%89
なお、上記は良質な解説だと判断し、「注釈２」として、下記を追記しました↓
昭和63年（1988年）、龍谷大学文学部宗政五十�匐擬�は、杜口の実家の入江家子孫宅（杜口は10歳の時、京都西町奉行所与力入江家から京都東町奉行所与力神沢家に養子に入った）で、『翁草』の杜口自筆原本（一部他筆含む）を発見した（京都新聞 昭和63年3月26日夕刊記事「宗政龍大教授 著者自筆の原本と確認 枚方の子孫保存」を参照）。しかしその後、宗政教授はこの原本（以下、入江家蔵本）の研究を特に進めることもなく（この件に関する研究論文を残していない）、入江家蔵本はそのまま入江家に置き忘れられた形になっていた。2019年、関西大学（院聴講生）奥野照夫氏は、転居して所在が判らなくなっていた上記入江家を苦労の末に探し出し、入江家蔵本を再発見した。さらに奥野氏は、入江家蔵本が翁草の自筆原本であることを再検証し、自筆原本に間違いないことを発表した（日本近世文学会2020年度秋季大会発表「奥野照夫：『翁草』自筆原本の書誌学的考察」を参照）。
播磨地方の文化において、将来性が期待される文化活動に対し贈られる賞として「黒川録朗賞」があります。
本年、第３９回黒川録朗賞に、姫路市在住、瀬川健二郎さん著、論考「游筆（ゆうひつ）の朋（とも）翁草」が受賞されました［下の写真参照］。
●神戸新聞記事：https://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/202111/sp/0014845063.shtml
先頃、瀬川さんご本人よりご連絡、及び受賞作をご寄贈いただきまして、本トピックでも紹介すべき業績と考え、ここに掲載致します。
瀬川さんは、近年、奥様に先立たれ、やはり妻に早く先立たれた杜口と心情的に共通性を感じられ、翁草を読み始めたのでした。
そしてなんと３年掛けて、膨大な翁草を全て通読され、本書「游筆の朋 翁草」を執筆された次第です。
執筆に当たっては、本トピックも参考になったとのこと、光栄に思うところです。
さて、本書を読み始めて最初に感じたのは、京都の時代小説家「澤田ふじ子」により読売新聞に連載された記事を１９９５年（杜口没後２００年）、単行本として刊行した『京都知の情景（読売新聞社）』（改題後『京都知恵に生きる』中公文庫）が、思い浮かんだことでした。
この本の解説に「江戸時代中期を生きた神沢杜口の『翁草』の世界を基調に据えながら、人間がよく生きるためのヒントを提示している」とあるように、『翁草』の記述を現代の日常生活に即して論考（随筆的要素も多分に含んでいる）していますが、本書においても、序で「杜口の作品群は、毎日の指針を与えてくれる」、あとがきで「（翁草から）多くの啓発があったことは、本書で著したとおりである」と述べていらっしゃるように、両書に共通するものを感じました。
しかも、本書では多くの原文を引用しており、筆者と共に我々読者も、より直接的に杜口の心理を探ることが可能なのではないか？と思いました。
更なるご活躍・ご発展を期待したいところであります。
ところで、「黒川録朗賞」は「将来性が期待される文化活動に対し贈られる賞」とのことで、瀬川さんご本人の将来性が期待されるのは勿論のことですが、『翁草』研究の将来性も期待されて受賞となったのか？興味深く思いました。
※黒川録朗
https://www.facebook.com/712005065498697/posts/2551664851532700/
※澤田ふじ子
今年、歴史小説『星落ちて、なお』で直木賞を受賞した「澤田瞳子」の実母。杜口を彷彿とさせる人物が登場する捕物小説「公事宿事件書留帳」シリーズ全２２冊（幻冬舎文庫）を書いている。
本年、第３９回黒川録朗賞に、姫路市在住、瀬川健二郎さん著、論考「游筆（ゆうひつ）の朋（とも）翁草」が受賞されました［下の写真参照］。
●神戸新聞記事：https://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/202111/sp/0014845063.shtml
先頃、瀬川さんご本人よりご連絡、及び受賞作をご寄贈いただきまして、本トピックでも紹介すべき業績と考え、ここに掲載致します。
瀬川さんは、近年、奥様に先立たれ、やはり妻に早く先立たれた杜口と心情的に共通性を感じられ、翁草を読み始めたのでした。
そしてなんと３年掛けて、膨大な翁草を全て通読され、本書「游筆の朋 翁草」を執筆された次第です。
執筆に当たっては、本トピックも参考になったとのこと、光栄に思うところです。
さて、本書を読み始めて最初に感じたのは、京都の時代小説家「澤田ふじ子」により読売新聞に連載された記事を１９９５年（杜口没後２００年）、単行本として刊行した『京都知の情景（読売新聞社）』（改題後『京都知恵に生きる』中公文庫）が、思い浮かんだことでした。
この本の解説に「江戸時代中期を生きた神沢杜口の『翁草』の世界を基調に据えながら、人間がよく生きるためのヒントを提示している」とあるように、『翁草』の記述を現代の日常生活に即して論考（随筆的要素も多分に含んでいる）していますが、本書においても、序で「杜口の作品群は、毎日の指針を与えてくれる」、あとがきで「（翁草から）多くの啓発があったことは、本書で著したとおりである」と述べていらっしゃるように、両書に共通するものを感じました。
しかも、本書では多くの原文を引用しており、筆者と共に我々読者も、より直接的に杜口の心理を探ることが可能なのではないか？と思いました。
更なるご活躍・ご発展を期待したいところであります。
ところで、「黒川録朗賞」は「将来性が期待される文化活動に対し贈られる賞」とのことで、瀬川さんご本人の将来性が期待されるのは勿論のことですが、『翁草』研究の将来性も期待されて受賞となったのか？興味深く思いました。
※黒川録朗
https://www.facebook.com/712005065498697/posts/2551664851532700/
※澤田ふじ子
今年、歴史小説『星落ちて、なお』で直木賞を受賞した「澤田瞳子」の実母。杜口を彷彿とさせる人物が登場する捕物小説「公事宿事件書留帳」シリーズ全２２冊（幻冬舎文庫）を書いている。
先日、１２月９日・１０日、奥野さんと入江家を訪れ、『翁草』自筆原本の写真撮影をしてきました。
１０月７日にも訪問、写真撮影したのでした。
これで、２００巻中、巻９１から巻１３５まで（巻１０６〜巻１１０は散佚）、4896✕3672ピクセルの画像１１７４枚を撮影しました。
しかし、まだ全体の５分の１かと思うと、遠い道のりに、やや疲労感を覚えます。
奥野さんは、この原本の写真と、現在、印刷公刊されている「校訂翁草」とを突合しています。両書は、小さな相違は多いですが、概ね合致していると言えるのではないでしょうか？
私も突合を手伝うことにしました。この作業により、現存する「写本の系統」が判明するのではないかと考えています。
杜口自筆ではなく、他筆の巻が何巻あるか？も調べているのですが、この中では１巻だけ、他筆と判断しました。
１０月７日にも訪問、写真撮影したのでした。
これで、２００巻中、巻９１から巻１３５まで（巻１０６〜巻１１０は散佚）、4896✕3672ピクセルの画像１１７４枚を撮影しました。
しかし、まだ全体の５分の１かと思うと、遠い道のりに、やや疲労感を覚えます。
奥野さんは、この原本の写真と、現在、印刷公刊されている「校訂翁草」とを突合しています。両書は、小さな相違は多いですが、概ね合致していると言えるのではないでしょうか？
私も突合を手伝うことにしました。この作業により、現存する「写本の系統」が判明するのではないかと考えています。
杜口自筆ではなく、他筆の巻が何巻あるか？も調べているのですが、この中では１巻だけ、他筆と判断しました。
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