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短編小説 「ダメのススメ」コミュの「ダメのススメ」第一章 ?

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指導係に任命された田中はさっきのリアクションはどこへやら。初めての指導係に意外にもやる気満々。
「えーと、営業というのは真似から始まります。中西さんも僕らの営業をよく聞いて必要なことをメモしながら・・」
指導係田中は意気揚々と語り続ける。
がっ!そのころ中西さんはなんと、携帯をいじくっているではないかっ!
田中は気付いていない。意気揚々と語り続ける。
がっ!そのころ中西さんはなんと、半ばしゃくれた顔で携帯をいじくり続ける。
その瞬間、田中は中西さんを方に視線を向けた!ヤバいっ!私は思った!見つかっちゃうよー!
だが、私の心配をよそに神のタイミングで携帯をいじくる不届き行為をやめていたのだ!
私は全身に鳥肌が立つのを感じた。
(この男・・・できる!)   
さらに衝撃!
田中は中西に問う。
「だいたいこういう流れですね。わかりました?」
「はい。わかったです!」
はい!元気がいいですねー。・・じゃなくて、携帯いじくってたじゃん!途中から夢中になってちょっとしゃくれてたじゃん!
田中はなーにも気付いてないし、むしろやり遂げた感にひたってるし・・・。
 そうこうしてる間に社内は営業開始。いっせいに社内には顧客からの電話が鳴り響き、従業員達の声はマシンガンの如く鳴り響く。NO,2と私に限っては電話機を二台操り、さしずめ宮本武蔵顔負けの二刀流。そんな戦場のような場所でただ一人、オアシスにいるかの如くくつろいでいる奴がいるではないか・・
「わいー、すごかー。おー、すごかー。あらっ、二台も使いよらっしゃる。やっぱあん二人はすごかねー。」
完全に雑音だね。メモなんて取ってないし。まぁ、大好きな携帯ちゃんをいじくってたから知る分けないよねー。
もう我慢できない!
「さっきから変な声がうるさいんすよっ!だいたいメモなんて全く取ってないでしょう?!さっき田中が話してた時、携帯いじってたから聞いてないでしょうけどね?!」
言ってやったよ。責任者だもん。携帯いじくってるの見てたもんねー。そう、責任者たる者全体がみえてなきゃね。
表情を見るとさすがにヘコんでいるみたいだ。顔全体に反省の色を浮かべ、静かに口を開いた・・・
「すいません!自分の不注意でした!・・・でも携帯ば機種変したばっかりで、画面の変え方がわからんとですよぉ・・」
そうか反省して・・・ないよねっ!なんちゅう言い訳だ、そりゃ!なぜ今待ち受けを変える必要があるんだっ!「でも」ってなんじゃーい!
まだ昼前。忙しさのピークを迎える前にもうクタクタだよ・・
なぜダメな奴って「でも」って好きなんでしょうか。そういうときにアイフルチワワちゃんみたいに目をウルウルさせて、ただただ人の怒りが沈むのを待つ。いつの間にか自分を守るために進化した最先端の人類。選ばれし者。
それからクタクタの私は完全に指導を田中に任せ、自分の業務に集中した。昼食時、彼は生き返ったようにカツどん大盛り。聞いてもいないのに「ラーメン論」。定時になると、残業知らず。いの一番にご帰宅さ。
 その後、私は誰もいなくなった事務所で一人、一日の日報をつける。戸締まりをし、電気を消そうと事務所内を見渡したその時、中西デスク上の一冊のノートに気がついた。おもむろにそのノートを手に取り、開いてみる。すると、わずか3行だけのメモ。
○月○日
?株式会社○○(うちの会社名)
?標準語でしゃべる
?大きな声でしゃべる
・・・これだけかよっ!!!一日中聞いててこれだけっ!!!
しかも?はクリアしてるよ、あんた!!!

そう、伝説の男の記念すべき出勤初日はこうして終わっていった・・・。
                  続く


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