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俳諧師:近江不忍コミュの發句による莫差特(モオツアルト) その一

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  發句による莫差特(モオツアルト)

              第一囘

 莫差特(モオツアルト)の音樂を、それ程多く知つてゐる譯ではない。
 けれども、日本人の好みとしては、彼の作品の中では長調よりも短調の方が肌に合ふ。


 十九歳の作品である「交響曲(シンホニー)二十五番ト短調」も、あの年頃の青年の一抹のあえかな光と影が屈折してゐるかのやうであり、未(いま)だ嘗(かつ)て誰も足を踏み入れなかつた處(ところ)へ、十九歳の青年がもう既に其處(そこ)にゐたといふ事に、ある驚きを感じる。


 古今の作曲家を通じて、長調の莫差特が現れる可能性は、今でもなくはないだらうが、短調の莫差特は――特に長調からの轉調による短調の莫差特は、死後二百年經(た)つた今日も、以前として、その「悲しみ」の中の彼に「追ひつく」ものはゐない。


 僅かに貝多芬(ベートーヴエン)の數曲が、莫差特の名殘りを留めてゐる而己(のみ)である。


 それ以前には、巴哈(バッハ)や韓徳爾(ヘンデル)や、更に、毘跋留的(ヴィヴァルディ)などと言つた『歪んだ眞珠(バロック)』の音樂家達が、あの莫差特の悲しみが理解出來さうな曲を殘してゐるばかりである。


 今日に到つて、世界により多くの悲しみが廣がつてゐるにも拘らず、誰もそれを表現した音樂を世に問ふてはゐない。
 布刺謨茲(ブラームス)は、希臙(ギリシア)の悲劇の主人公のやうな顔をして、音樂を悲劇的に仕立て、柴可夫斯基(チヤイコフスキイ)は、近代の神經衰弱の典型で、音樂を希代の神祕の迷路の中へ追ひ込んだ。


 莫差特唯ひとりが、人生の純粹な悲しみを音樂に表現し得たのである。
彼の鎮魂歌(レクイエム)を聽いた者には、何も言はなくてもいいだらう。
この死の影を、誰が表現し得るといふのであらうか。


 莫差特の音樂は、長調の曲と雖(いへど)も、貝多芬の如く人生に欺瞞的な喜びなどを表現せず、子供のやうな天眞爛漫さを見せ、就中(なかんづく)短調に於いても、布刺謨茲の短調の最大の悲劇的どころではなく、柴可夫斯基のやうに短調にのみに終る、憂愁(メランコリック)な神經衰弱でもない。その特徴は、それらの長調、短調入り亂(みだ)れた悲劇性と神經衰弱の性質さへ持ち、誰もその足元に寄せつける交響曲はない。

   死ぬ死ぬと字をつらねれば秋の風




莫差特(モオツアルト) 第二囘
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=47630861&comm_id=4637715

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