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草太郎クラブコミュの草太郎 第四章

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一方の外堀家ではお爺さんとお婆さんが
夕食を一緒にとっていた。
いつもと変わらない豪華な食事。
アランが最近執心して栽培している
自家製のオーガニックの野菜のサラダにスープ、
ローストビーフ、旗付きネコムライス。
草太郎抜きの夕食なんて何年ぶりだろう・・・。
「お婆さん、今日のイブニングドレス似合っているじゃないか」
お婆さんはぽっと顔を赤らめた。
「嫌だわ、お爺さんたら」
「お婆さんは赤色が良く似合うなあ。」
お婆さんは声を潜めて恥ずかしそうに言った。

スミエと 呼んで。

「ファーストネームなんて、
しばらく呼んでなかったなあスミエ」
お爺さんはスミエと結婚した後、
外で女をつくり息子作りに励んでいたし、
草太郎が物心ついたときは、
今度はスミエが
草太郎の成長に夢中になっていた。
「スミエは赤色のドレスがとても似合う」
「お爺さんはいくつになっても、
子供みたいで素敵よ」
「スミエの臭いだっていくつになっても
素敵な臭いだよ」
「お爺さんの頭だって輝いていて
部屋が明るくなるわ」

老夫婦は褒めあううちに
なんだかいい雰囲気になってきた。
言葉もなく見つめあう。
(今夜 いいのかね?)
(今夜は いいのよ)
ナイフとフォークを置くと
二人は二十年ぶりに同じ寝室へと入っていった。
薄暗がりの中、二人の重なった影は月の光に照らされて
まるで悪魔のような影を落とす。

昔の情熱を取り戻そうとしている二人にまさか悲劇が襲うことになろうとは・・・・!

「今日のお婆さんはイイ・・・・・!」
「お爺さん」
「アアっ、この胸が締め付けられる!」
「お爺さんたらっ」
ドクドクドク・・・・!ドッキーーン!!!

お婆さんはお爺さんが褒めようとリップサービスしているのかと思っていた。
ところが久しぶりなことが続いたため、お爺さんは心筋梗塞を起こしていたのだった。
「逝クーーーっ」

外堀草左衛門 享年85歳  お婆さんの腹上にて 死す


その頃草太郎は
ミレコの首にしがみ付いて眠っていた。
本当は大地に転がって眠るのが楽なのだが、ミレコは所詮は獣。
理性が勝っている時は
「ホヒホヒ」と尻尾を振るが、本能が勝っている時は草太郎を食料だと思って狙っていた。
大食らいのミレコはもしかしたら、
姨捨山に捨てられている人たちを食べてきたかもしれない。
姨捨山という名前にもかかわらず、
人間と出くわすことが一度も無かった。
ミレコの首にしがみ付いて眠るのは大変だったが、
新しい仲間との出会いがあった。

ミレコの耳の穴付近に小猿が住んでいて、
ミレコの耳の穴の掃除をして暮らしていたのであった。
もちろんミレコはアホなので、
小猿の存在に気づいていない。
猿「キャッキャッ」
草太郎は猿に秀吉と名づけて、
ペットにすることにした。
「秀吉、お前はしわしわなとこがお爺さんに似ているな」
お爺さんの顔を見ずに過ごして
5日が経とうとしている。
たった5日なのに少し寂しかった。


続く

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