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平成耳袋-本当にあった怖い話し-コミュの【怪談】豆腐屋

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アポカリプティックサウンドを御存じだろうか。どこからともなく聞こえる謎の音で、一節ではヨハネの黙示録に登場する、終末を告げるラッパの音、などとも言われている。
そんなアポカリプティックサウンドを思わせる話しをSNSで知り合った柳田君(仮)から伺った。

彼は高校生まで神奈川県に住んでいた。神奈川と言っても、華やかな場所ではなく、内陸の田舎だったそうなのだが、高校卒業を間近に控えた2月、夕暮れ時だったという。自室でごろ寝しながら携帯をいじっていた彼の耳に、ある音が響いた。

ファーフー

どこか懐かしさを感じるその音に、どことなく聞き覚えがあった。
(珍しいな、いまどき豆腐屋なんてまだいるのかよ)
とは思いつつも、体を起こして確認するのも面倒だ。
さほど気にも留めず、通り過ぎていく豆腐屋のラッパの音を聞いていた。

その翌日、学校から帰宅した直後、またあのラッパの音が聞こえた。

ファーフー

なんとなく興味を引かれた柳田君は、玄関に戻り、隙間からどんな豆腐屋が来るのだろうと覗くことにした。
(いまどきリヤカーでなんて商売やらないだろうし、大方軽トラでスピーカーでラッパの音でも流しているのかな?)
ラッパの音が近づいてくる。
そして、遠ざかって行く。
柳田君は首を捻った。おかしい、明らかに目の前を通り過ぎる聞こえ方だったのに。
普通なら一本向こうの道を通った、とも考えられるが、生憎、柳田君の家の前は雑木林だ。一本向こうともなれば相当な距離がある。

数週間が経ち、なんとなく豆腐屋のラッパの傾向がわかってきた。
ラッパの音がしても、豆腐屋の姿は見えない。
ラッパの音はいつも夕方の17時頃に鳴りはじめ、柳田君の家を通り過ぎるとラッパの音は止む。
もちろんその時間に家の近所にでもいないと音は聞こえない。
ラッパの音が聞こえるタイミングで近所を探してみたりもしたが、やはりどこにも豆腐屋らしきものはいない。

気にしなければ別段気になるものでもない為、柳田君はラッパの音を環境音の一部として、豆腐屋探しを諦めた。
4月、ラッパの音が聞こえ始めて、2ヶ月が経った。
柳田君はあの日と同じように、部屋でごろ寝をして携帯を見ていた。
聞こえるラッパの音。

「昔は親切に家の前で止まってくれてね、すぐ豆腐が買えたんだよ」

柳田君は飛び起きたという。
今、耳元で聞こえた声は、亡くなった祖母の声だったのだ。

その日以来、豆腐屋のラッパの音は聞こえなくなったという。

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