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カナダの歴史と政治コミュのトルドー内閣発足

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コミュ内全体

 ジャスティン・トルドー氏は11月4日、総督公邸リドー・ホールで総理大臣として宣誓し、トルドー内閣の閣僚を発表した。
 彼は公約通り、自身を除く閣僚を男女同数に15人ずつ任命した。記者会見で、閣僚を男女同数にすることがなぜそれほど重要なのかについて尋ねられると、彼は「2015年だから」と笑顔で答えた。
 トルドー首相は、新政権にとって開放性と透明度が重要であり、政策決定は証拠と情報に基づくと述べた。また今年終わりまでに2万5000人のシリア難民をカナダに受け容れるという公約については、目標達成のためのチームを編成し「大きなステップ」を踏み出すと語った。
 10年前まで政権に就いていた自由党は、閣僚経験者も少なくないが、新政権に入閣した閣僚経験者は6人だけとなった。それはグッデイル元財務大臣、マッコーレイ元労働大臣・元法務長官、ディオン元政府間関係大臣・元環境大臣(元党首)、ブライソン元公共事業大臣、ベネット元厚生大臣、マッコーラム元国防大臣・復員軍人大臣である。いったんトルドー首相に何かあった場合、臨時代理首相はグッデイル氏、マッコーレイ氏、ディオン氏の順に継承される。

●トルドー内閣閣僚名簿(括弧内は選挙区)
総理大臣 兼 政府間関係大臣 兼 青年担当大臣:ジャスティン・トルドー(ケベック)
公安・非常時対応準備大臣:ラルフ・グッデイル(サスカチュワン)
農務・農産食品大臣:ローレンス・マッコーレイ(プリンスエドワード島)
外務大臣:ステファン・ディオン(ケベック)
移民・難民・市民権大臣:ジョン・マッコーラム(オンタリオ)
先住民および北方問題担当大臣:キャロリン・ベネット(オンタリオ)
予算庁長官:スコット・ブライソン(ノバスコシア)
下院院内総務:ドミニク・ルブラン(ニューブランズウィック)
技術革新・科学・経済発展大臣:ナブディープ・ベインズ(オンタリオ)
財務大臣:ビル・モルノー(オンタリオ)
法務大臣 兼 司法長官:ジョディ・ウィルソン=レイブルド(ブリティッシュコロンビア)
公共事業・政府業務大臣:ジュディ・フート(ニューファンドランド&ラブラドル)
国際貿易大臣:クリスティア・フリーランド(オンタリオ)
厚生大臣:ジェーン・フィルポット(オンタリオ)
家庭・児童および社会開発大臣:ジャン=イブ・デュクロ(ケベック)
運輸大臣:マルク・ガルノー(ケベック)
国際開発 兼 フランコフォニー担当大臣:マリー=クロード・ビボー(ケベック)
天然資源大臣:ジム・カー(マニトバ)
文化遺産大臣:メラニー・ジョリー(ケベック)
歳入大臣:ディアンヌ・ルブティリエ(ケベック)
復員軍人大臣 兼 国防副大臣:ケント・ヘーア(アルバータ)
環境および気候変動担当大臣:キャサリン・マッケナ(オンタリオ)
国防大臣:ハルジット・サジャン(ブリティッシュコロンビア)
雇用・労働力開発・労働大臣:メリーアン・ミハイチャック(マニトバ)
インフラおよびコミュニティ担当大臣:アマルジート・ソーヒ(アルバータ)
民主機関担当大臣:メリヤム・モンセフ(オンタリオ)
スポーツおよび障害者担当大臣:カーラ・クワルトロー(ブリティッシュコロンビア)
漁業・海洋・沿岸警備隊担当大臣:ハンター・トゥートゥー(ヌナブート)
科学大臣:カースティ・ダンカン(オンタリオ)
女性の地位担当大臣:パティー・ハイドゥ(オンタリオ)
中小企業・観光担当大臣:バーディシュ・チャッガー(オンタリオ)

コメント(19)

 トルドー首相は、小規模な内閣改造を行った。バーディシュ・チャッガー中小企業・観光担当大臣が8月19日、下院院内総務に就任した。女性の下院院内総務は史上初であり、36歳の新人議員がこの重職に任じられるのは、極めて異例なことである。
 彼女は以前、フランス語の質問に英語で回答したことで、その会話力を問題視された。彼女はこれについて、フランス語を聞いて理解できるが、話すことにはまだ自信がなく、今後訓練していくと述べた。

 異例なのは、これだけではない。当選6回のベテラン、ドミニク・ルブラン下院院内総務がこの職務から外れ、漁業・海洋・沿岸警備隊担当大臣の職務に専念する。なお彼は、近いうち別の任務を与えられるという。
 トルドー内閣のトラブルの始まりは、ハンター・トゥートゥー漁業・海洋・沿岸警備隊担当大臣が5月31日、アルコール中毒の治療に専念するという理由で突如大臣を辞職し、幹部会からも離脱したのが端緒だった。彼は8月、部下の女性と「合意ではあるが不適切な関係」を持っていたと告白した。
 そのとき漁業・海洋・沿岸警備隊担当大臣のポストは、ルブラン下院院内総務のものとなった。実は彼は、ピエール・トルドー内閣で漁業・海洋大臣を務めたロメオ・ルブランの息子に当たる。それゆえこのポジションは彼にとって、なじみのあるものだった。
 だが彼は、安楽死幇助法案を巡る対応でつまずいた。最高裁が要請した6月6日までの法案成立に、間に合わなくなったのだ。彼は、審議を一方的に打ち切ることができ、それを妨害した場合厳罰に処する「6号動議」を上程した。これが強権的で議会軽視だとして、野党の不況をかったのである。彼は5月19日にこれを取り下げ、法案は期限を過ぎた6月17日に成立した。
 ルブラン氏はジャスティン・トルドー首相の幼馴染であり、親子2代に渡る親しい関係にあることから、この人事がいかに異常であるかがわかるだろう。このころ、トルドー内閣の閣僚には能力のない者がいるとして、近日中の改造が噂されていた。
 トルドー首相が、年明けに内閣改造するという噂が流れている。
 政権発足当初から、閣僚の中には能力の劣る者がいると噂されてきた。マリヤム・モンセフ民主改革大臣は、出生地を誤って申告した過去を暴かれたり、数式を使って議員を侮辱した発言について謝罪するなど個人的トラブルが多く、肝心の選挙制度改革は暗礁に乗り上げている。またステファン・ディオン外務大臣は、更迭され註仏大使に転進するという噂が根強い。
 そのいっぽうでは、良い働きぶりを見せているフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ財務政務次官を大臣に昇格させるべきだとか、クリスティア・フリーランド国際貿易大臣にもっと重要なポストを与えるべきだという意見も聞かれる。
 トルドー首相は昨年12月、35人の政務次官を任命したとき、その任期は1年だと語っていた。彼らは1年間懸命に働き、あわよくば大臣に昇格したいと望んでいることだろう。
 ケイト・パーチェス首席報道官は、「政務次官の任期は、連邦議会が召集される1月まで延長される。内閣改造については、何も俎上に上げられていない」とコメントした。
 ハフィントン・ポストは12月29日、ピーター・ドノロ氏(元クレチエン内閣首席報道官)、トム・パーキン氏(新民主党元スタッフ)、ジェニー・バーン氏(ハーパー前首相の元相談役)の三氏を招き、2015年暮れに発足したトルドー内閣の2016年における働きぶりについて、評価させた。
 ドノロ氏とパーキン氏は、内閣で最も活躍した人物として、トルドー首相その人を挙げた。首相について、ドノロ氏は「トルドーは興奮と国際的称賛の到来を告げた」、パーキン氏は「カナダ人は彼に期待し、彼はそれを象徴している」と評価した。
 バーン氏は、変革は国民の最大のニーズだったと認めたが、トルドー政権が上半期輝いていたのに対し、下半期はカストロ氏への弔辞が物議を醸したことや、ヤジディ虐殺に対する援助の遅れ、政治資金問題などが影をさしたと指摘した。

 バーン氏は、カナダとEUの自由貿易CETA締結に尽力したクリスティア・フリーランド国際貿易大臣を、「際立って活躍した」閣僚として挙げた。ドノロ氏も、フリーランド大臣はCETAへの反対者が間違っているということを証明し、自身が有能な交渉者であることを示したと述べた。
 パーキン氏は、最も活躍しなかった閣僚としてマリヤム・モンセフ民主改革大臣を挙げた。彼は、自由党政権は本心では選挙制度を改革したくないので、モンセフ氏にとって大臣就任は災難としか言いようがないと語った。
「彼女は、失敗するために用意された。経験に乏しい人物をわざわざ選び、危険な任務に放り込んだのだ。トルドー首相は本気で彼女の成功を望んでいるのか、疑問に思う。」
 またバーン氏は保守党支持の立場から、モンセフ大臣とステファン・ディオン外務大臣とバーディシュ・チャッガー下院院内総務を「最も貢献した大臣」に挙げた。
 トランプ大統領就任に先立ち、トルドー首相は1月10日に小規模な内閣改造を行うと、メディアが報じた。
 トルドー内閣が発足しておよそ1年が経過したが、閣僚の中には能力に問題のある人がいるという指摘があり、かねてから内閣改造が噂されてきた。キャメロン・アーメド首相報道官は「首相官邸は噂についてコメントしない」という声明を発表したが、メディアは政府筋から匿名を条件に情報を入手しており、少なくとも6人が異動すると報じている。
 トランプ氏はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)はおろか、NAFTA(北米自由貿易協定)さえ破棄しかねない勢いである。そこで、破談の危機さえあったCETA(カナダ・EU自由貿易協定)を昨年まとめあげたクリスティア・フリーランド国際貿易大臣を、外務大臣に据えるのだという。
 ステファン・ディオン外務大臣は、150億ドルにのぼるサウジアラビアとの武器協定に合意したことで非難された。彼は註仏大使に転進すると噂されてきたが、本人はこれを否定している。
 ジョン・マッコーラム移民・難民・市民権大臣も、異動するという。ディオン氏とマッコーラム氏は、現閣僚では数少ない閣僚経験のある古参で、ディオン氏はクレチエン内閣の枢密院議長・政府間関係大臣とマーチン内閣の環境大臣のほか党首を務めた。マッコーラム氏は、クレチエン内閣の国防大臣とマーチン内閣の退役軍人大臣を務めた。
 選挙制度改革の当事者でありながら、様々な個人的トラブルを起こしたマリヤム・モンセフ民主機関大臣は、当然ながらその職から外されることになるが、閣内には残ると言われている。女性閣僚のパティー・ハイドゥ女性の地位担当大臣は、有能だと評価され、より重要な職務に異動するという。同じく女性閣僚のメリーアン・ミハイチャック雇用・労働力開発・労働大臣も、異動するという。
 初入閣は少なくとも一人いる見込みで、フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ財務政務次官は際立って有能だというので、大臣に昇格すると言われている。
 今回の内閣改造は小規模なものになる見込みだが、夏には4年の任期がちょうど折り返し地点に達することから、大規模な改造があると予想されている。
 トルドー首相は1月10日、小規模な内閣改造を行った。新入閣が3名、閣外に去った人が3名、閣内の異動が3名で、その他は留任した。閣僚の男女比は、男性15名・女性15名と同数のままである。

 (1) トランプ・プーチンへの最強の「切り札」
 最も注目されるのは、クリスティア・フリーランド前国際貿易大臣の外務大臣昇格である。トランプ次期大統領がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)破棄・NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を叫ぶ中、困難なCETA(カナダ・EU自由貿易協定)を昨年まとめあげ評価された彼女に、重要な職務が引き継がれることになった。
 彼女はウクライナ系で、英語・フランス語・ウクライナ語・ロシア語・ポーランド語・イタリア語の6か国語を話す。ハーバード大学でロシア史を、オックスフォード大学セントアントニーズカレッジでスラブ語を学び、ローズ奨学金も受け取った。ジャーナリストとしてのキャリアをワシントンポスト紙とエコノミスト紙のウクライナ特派員から始め、フィナンシャル・タイムズ紙編集長・ロイター通信編集者としてイギリスとアメリカで働き、グローブ&メイル紙副編集長も務めている。アメリカ滞在時には「金権政治家:新しいグローバル・スーパー・リッチの勃興とその他大勢の没落」という著書がベストセラーにもなるなど、トランプ氏の取り巻きにも詳しい。
 グローブ&メイル紙時代の2000年、ロシアでプーチン大統領とロシア語で会談しているが、ウクライナ系の彼女はプーチン氏とその取り巻きを批判したことから、その後ロシアへの入国を禁止されている。外務大臣となった彼女が今後も入国を禁止されることはないだろうが、今回の外務大臣起用は、トランプ氏及び彼と親密なプーチン氏への強烈な牽制であることは言うまでもない。なお女性外務大臣は、1979年のフローラ・マクドナルドと1991年のバーバラ・マクドゥーガルに続き3人目となる。

 (2) 冷遇されるベテラン:ディオン氏、政界引退か
 マルク・ガルノー運輸大臣は評価が高く、より重要なポジションへ昇格するものと見られていたが、そうはならなかった。今回の改造では若い人々が起用される一方、ベテランは尊重されなかったようだ。それは、36歳で当選1回のバーディシュ・チャッガー下院院内総務が政権の中枢にいることと関係あるかもしれない。クレチエン内閣の国防大臣とマーチン内閣の退役軍人大臣を務めた当選6回のベテラン、ジョン・マッカーラム移民・難民・市民権大臣(65歳)は、中国大使に転身する。
 同じくベテランのステファン・ディオン前外務大臣(61歳)は、人権侵害国と見られていたサウジアラビアに150億ドルの戦車を売却する契約に合意したことについて、保守党前政権からの合意だったためどうすることもできなかったと抗弁したが、強い批判を受けた。またカナダを訪問した中国の王毅外務大臣が、中国の人権問題について尋ねたカナダ人記者に激昂した際、ディオン氏は抗議せず、事態を傍観した。後にトルドー首相が、抗議した。
 ディオン氏は政治学者出身で、閣僚や党首まで務めたベテランだが、無愛想で、英会話力にも難点があり、外務大臣としては適任でないと言われてきた。ボブ・レイ元暫定党首は、トランプ政権の国務長官が石油大手エクソンモービルの経営者である以上、エコロジストのディオン氏が外務大臣では都合が悪いだろうと指摘した。
 また、クレチエン内閣で首席報道官を務めたピーター・ドノロ氏は、彼をこう評した。
「政治的に成功するための最も重要な要素がEQ(感情指数)だとすれば、それは彼に欠けている一つの要素である。しかし彼は知識と決断力によって、それを補ってきた。」
 匿名の自由党議員は、ディオン氏には人の心を洞察する能力が欠けていると評した。
「彼には多くの強さがある。ただ外務大臣のポストは、彼には似合わない。」
 ディオン氏は、カナダの政治史で何度か重要な役割を演じ、何度か人々を驚かせた。著名な政治学者だった彼は、ケベック独立を問う住民投票が終わった直後、事態を収拾させるためクレチエン首相に請われて、政界に入った。ドノロ氏は、ディオン氏が政治家になったのは、分裂の危機にあるカナダを救いたいという純粋な心からだったという。
 政府間関係大臣(連邦政府と州政府の外交を担当)となった彼は、明確化法を制定した。これには2つの特徴があり、一つは、州が独立するには「明確な多数」の賛成(それが何%なのか明記されていないという点において明確化されていないのだが)を要することと、もう一つは、州の一方的な意思だけで独立はできないということである。このような法律は、いったん沈静化した独立論者の火に油を注ぎ、新たな問題を生むのではないかと警告されたが、大きな反対や暴動はなく、最高裁もこの法律を支持した。
 クレチエン首相を引きずり降ろして首相になったマーチンは、クレチエン派を徹底的に冷遇したが、ディオン氏は環境大臣に任命され、京都議定書に署名した。飼い犬に「キョウト」と名づけ、緑の党のメイ党首にすら「とてもよい環境大臣」と言われた。
 2006年党首選では、本命視されたトロント大学の同級生イグナティエフとレイが意地の張り合いを演じる中、3位・4位連合を結んだディオン氏が決戦投票で逆転勝利を収め、人々を驚かせた。
 党首となった彼は、2008年総選挙を「グリーンシフト」を掲げて戦ったが、景気の足を引っ張るものと敬遠され、大敗を喫した。彼は次の党大会で辞任すると発表したが、自由党党首がレイムダックになったのを見たハーパー首相は、政党助成金の廃止を提唱し野党にとどめを刺そうとした。これに反発した野党3党は、ディオン氏を首班とする連立協定に調印した。野党3党は議会で過半数を占めていたので、彼は惨めな敗北から一転首相の地位を約束されることになったが、誰もが予想しなかった議会の停会により、議会での首班指名を阻止される。革新政党との連立に激怒した党内右派は、この隙にディオン降ろしに着手した。彼は即時の辞任を余儀なくされ、議会が再開されたときにはもはや党首ではなくなっていた。
 彼は平議員になったその後も政治活動を続け、クレチエン・マーチン・グレアム(暫定党首)・彼自身・イグナティエフ・レイ(暫定党首)・トルドーと、7人の党首の下で働き続けたが、それは彼の党派心のなさを示すものである。
 彼はトルドー首相から、EUもしくはその加盟国の大使の地位を提示されたと噂されたが、応じていない。首相は引き続き、彼にふさわしいポストを提示するというが、彼は外交官になって政界を引退するのか、それとも一介の平議員として政治活動を続けるのか、その去就は定かではない。もし彼が外交官になるなら、彼の上司はフリーランド外務大臣となる。
 (3) 新人3名を起用:注目の民主機構大臣は?
 初入閣の一人は、財務政務次官から昇格したフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ国際貿易大臣である。ディカプリオ似の三か国語を話す46歳の弁護士は、2009年世界経済フォーラムからヤング・グローバルリーダー賞を授与されている。
 新しく移民・難民・市民権大臣に就任したアーメド・ハッセン氏は、16歳のときソマリアから逃れて来た難民で、トルドー政権では初の黒人閣僚である。
 トロント市内リージェントパークの市営住宅に暮らし、高校時代は陸上選手として注目され、ヨーク大学で学ぶためガソリンスタンドで働いた苦労人でもある。彼は後にリージェントパーク評議会を設立し、この地域の再開発に尽力した。
 選挙制度改革は、もはや誰にも収拾不可能なほどにこじれてしまったが、マリヤム・モンセフ前民主機構大臣の経験不足は、混乱に拍車をかけた。今やトルドー首相は、選挙制度改革を本気で成し遂げる意欲があるのか疑問視されているが、この困難なポストに新たに割り当てられた「生贄」は、彼女よりさらに若い女性カリナ・グールド国際開発政務次官(29歳)だった。彼女は、カナダ史上最も若い女性閣僚である(最も若い閣僚はジャン・シャレーの28歳)。
 彼女はオックスフォード大学で国際関係学を学び、選挙制度改革についての論文を書いた。その後は貿易と投資のコンサルタントとして働き、メキシコの孤児院で1年間ボランティアも経験している。彼女と親しいオンタリオ州のエレノア・マクマホン観光大臣は、グールド大臣を「党派心のない人」と言う。
 トルドー首相は記者会見で、モンセフ大臣をなぜ異動させたのかという質問には答えず、選挙制度改革への意欲を語った。
「私は引き続き、選挙制度改革に邁進する。それには疑問の余地はない。マリヤムがこれまで行ってきた、我々の民主主義を促進するベストな方法について国民と対話するという並外れた任務を、カリーナとともに続けていく。」
 選挙管理委員会は、2019年秋までに実施される次の総選挙を新しい選挙制度で行うためには、関連法案が夏までに上程される必要があると答申している。
 モンセフ前民主機構大臣には、女性の地位担当大臣という「ふさわしいポスト」が与えられた。
 女性の地位担当大臣だったパティー・ハイデュ氏は、雇用・労働力開発・労働大臣に異動する。このポストに就いていたメリーアン・ミハイチャック前大臣には、新しいポストは与えられず、閣外に去ることになる。
「私はもちろん、失望しています」と、彼女は語った。
「私は人として、女性として、雇用のために常に戦ってきました。そしてこれからも、そうし続けていきます。」
 彼女は労働大臣として、自分のリーダーシップの下で、児童労働を禁止する国際的合意に加わり、臨時雇いの外国人労働者の権利を擁護し賃金の平等を実現するための骨格を作ったと、誇らしげに語った。
「最終的には、40年後に、女性労働者は男性と同じ賃金を得るでしょう。」


写真:左からフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ国際貿易大臣、アーメド・ハッセン移民・難民・市民権大臣、カリナ・グールド民主機構大臣。
ステファン・ディオン前外務大臣は、EUおよびドイツ大使の任務を受諾した。
 トルドー首相は4月6日、ジュディ・フット公共サービス・調達大臣が家庭内の事情により休養すると発表した。彼女の職務は当分の間、ジム・カー天然資源大臣が代行する。
 彼女には乳がんの病歴があるが、彼女をよく知る人々は、今回の決定は健康とは無関係だと語った。
 フット大臣はニューファンドランド・メモリアル大学を卒業後、クライド・ウェルズ首相(ニューファンドランド&ラブラドル州)のスタッフを務め、1996年ニューファンドランド&ラブラドル州議に当選して政界入りし、2008年には連邦議会議員に転身した。州議時代の2000年に乳がんを患っていることを公表し、2014年には再度乳がんに罹ったことを公表した。
 トルドー首相は、声明で次のように述べた。
「議員として、家族は常に我々のプライオリティでなければならない。そして私は、彼女が愛するもののために時間をとることを賞賛する。」
「彼女がオタワに復帰するのを、楽しみにしている。」
 休養中のジュディ・フット公共サービス・調達大臣は8月24日、大臣を即時辞任し、議員も9月に辞職し引退すると発表した。
 乳癌を2度克服した彼女は、現在は癌に罹っていないものの、発癌性のBRCA2遺伝子のキャリアであり、検査の結果2人の子と4人の孫にそれを引き継いだことを明らかにした。そして彼女は、仕事以上に家族が第一であり、家族のそばにいてあげたいと語った。
「BRCA2遺伝子が意味することは、あらゆる種類の癌に罹りやすいということである。」
「仕事よりも命よりも、私は家族を愛している。私の決定は、家族とともに過ごすことだ。それは私がそうしたいと望んでいることであり、そして家族がそうしてほしいと望んでいることである。」
 連邦議会は9月18日に召集される。彼女は毎週木曜日か金曜日にニューファンドランド&ラブラドル州の家に戻り、日曜日にオタワに行く生活を考えていたが、それでは家族が第一にならないという結論に達したという。
 彼女の休養中はジム・カー天然資源大臣が臨時代理を務めていたが、トルドー首相は後任をすぐに任命しないつもりだ。フェニックス・ペイ制度は、公務員への給与支払いが過多だったり過少だったり、全く支払われていないケースさえあり、このポストは経験豊富な人物でないと勤まらないと言われている。
 いっぽう、フット大臣辞任によってニューファンドランド&ラブラドル州は大臣がいなくなるため、首相は同州選出のシーマス・オリーガン議員を大臣にすることを考えているが、閣僚の男女が同数でなくなるため、新たに1人女性を大臣に任命する必要が生じる。首相は結局、9月に小規模な内閣改造に踏み切るものとみられる。
 ドミニク・ルブラン漁業海洋大臣・カナダ沿岸警備隊大臣(49歳)は12月6日、慢性リンパ性白血病を患っており、来週から治療を開始すると発表した。病気を知ったのは、今年4月だという。
彼は「慢性の病気を抱えている何万人ものカナダ人と同様、私は働き続ける」と語り、大臣の職務を続けることを明らかにした。
 ルブラン大臣は、下院議員として当選7回。ピエール・トルドー内閣で漁業海洋大臣などを歴任したロメオ・ルブラン氏の息子であり、ジャスティン・トルドー首相とは幼馴染で側近。ジャスティン・トルドー内閣では当初下院院内総務の重職に就いたが、安楽死幇助法案の質疑を一方的に打ち切ろうとして野党の非難を浴び、昨年8月に漁業海洋大臣・カナダ沿岸警備隊大臣に移動していた。
 トルドー首相は7月18日、内閣を改造した。これはケント・ヘア前スポーツ・障害者大臣が、セクハラ疑惑で1月に辞任し、カースティ・ダンカン科学大臣が一時的に兼務していた状態を受けたものである。
 閣外に去った大臣はなく、新入閣の大臣が5人いる。閣僚数は30人から35人に拡大し、トルドー首相を別にすれば男女とも17人の同数のままである。クリスティア・フリーランド外務大臣、ビル・モルノー財務大臣、ハルジット・シン・サジャン国防大臣ら、重要閣僚には変動がなかった。だが今回の改造では、注目すべき3人がいる。

 (1) 注目の人事
 次の総選挙まで、長くても1年あまりの期間しか残されていないが、与党自由党の支持率は保守党と拮抗している。トルドー首相がマリファナを合法化したことや、トランプ大統領に対抗し「難民を歓迎する」と発言したことは、少なからずカナダ国民を動揺させた。保守党は治安悪化を訴え、支持を拡大している。自由党が総選挙に勝利するには、都市部でできるだけ多くの議席を獲ること、特に自由党が強く議席の多いオンタリオとケベックは鍵となる。
 オンタリオでは6月、自由党政権が倒れ、保守党のダグ・フォード政権に替わった。また、2月に発足した保守系サスカチュワン党のスコット・モウ政権も、トルドー首相が推進する炭素税に、フォード首相とともに反対することを表明している。そこでトルドー首相は、親子2代に渡るつきあいで幼馴染の腹心ドミニク・ルブラン漁業海洋大臣を、政府間関係大臣(連邦政府と州政府を調整する)に任命した。彼はさらに、北方問題大臣と国内貿易大臣も兼務する。
 なおケベックでは今年秋、アルバータでは来年春までには州議会総選挙がある。前者は自由党政権、後者は新民主党政権で、トルドー政権との関係は良好だが、いずれも保守系政党に大きなリードを許している。
 ルブラン氏は、次のように抱負を述べた。
「我々は、フォード首相や他の州首相らとともに建設的に働くことを楽しみにしている。カナダ国民は最終的には、それぞれの政府が協力するものと考えていると思う。」
 次に注目すべきは、ジム・カー国際貿易多様化大臣である。トランプ大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉を主張し、関税報復合戦に発展している事態の収拾、さらにはカナダ・EU自由貿易協定の促進や、中国との貿易協定、ラテンアメリカ諸国との経済統合に努めることになるだろう。
 もう一人注目すべきは、ビル・ブレア国境警備及び組織犯罪低減担当大臣である。これは本来なら公安大臣の職務であるように思われるが、トルドー首相はブレア大臣の任務について「保守党の筋書きと戦うことになる」と説明した。首相によると、保守党は国民の間に恐れを生じさせ、分断させようとしているのだという。
 フォード首相の弟ロブ・フォード氏は、コカイン使用を暴露されトロント市長を辞任した。ブレア氏はこのときトロント警察署長で、フォード兄弟について調査していたという。このことから、トルドー首相はフォード首相と交渉するにあたり、ブレア氏の持つ情報を利用しようとしているのではないかという憶測もある。

 (2) 初入閣の顔ぶれ
 次に、初入閣の顔ぶれを見る。ビル・ブレア大臣については前述した。パブロ・ロドリゲス文化遺産及び多文化大臣は、当選5回のベテランで、下院幹事長を務めた。
 フィロメナ・タッシ高齢者大臣は、企業の顧問弁護士、高校のチャプレン、オンタリオ州議を務め、2015年総選挙で初当選した新人議員で、下院副幹事長を務めた。トルドー政権は、新たに「高齢者省」を設置することになっている。
 メアリー・ン中小企業・輸出促進担当大臣は、オンタリオ州文部省やライアソン大学に勤め、2017年3月の補選で初当選した新人議員である。
 ジョナサン・ウィルキンソン漁業海洋大臣兼カナダ沿岸警備隊大臣は、環境政務次官から昇進した。2015年総選挙で初当選した新人議員で、かつてサスカチュワン州のロマノウ首相のブレーンを務めた。
 (3) その他の変動
 アマルジート・ソーヒ天然資源大臣は、インフラ・地域社会大臣からの横滑りである。自由党では珍しいアルバータ州選出議員で、2015年総選挙で初当選した新人議員だがいきなり閣僚ポストを与えられた。彼の最も重要な任務は、トランスマウンテン・パイプラインを巡る交渉である。
 バーディッシュ・チャッガー下院院内総務は留任し、中小企業・観光大臣の任務から離れた。
 キャロリン・ベネット政府=先住民関係大臣は留任し、北方問題大臣の任務から離れた。
 カースティ・ダンカン科学大臣兼スポーツ大臣は留任し、障害者大臣の任務から離れた。
 マリー=クロード・ビボー国際開発大臣は留任し、フランコフォニー担当大臣の任務から離れた。
 スコット・ブライソン予算庁長官は留任し、デジタル政府担当大臣を兼務する。
 メラニー・ジョリー観光・公用語・フランコフォニー担当大臣は、文化遺産大臣からの横滑りである。
 フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ インフラ・地域社会大臣は、国際貿易大臣からの横滑りである。
 カーラ・クワルトロー公共サービス・調達・アクセシビリティ担当大臣は、アクセシビリティ担当を新たに加えた。

 新民主党のダニエル・ブレイキー議員は、多数の無任所大臣任命を皮肉った。
「彼らが特にいい仕事をしていない問題について、解決するつもりがあるよう見せかけるため、新たな閣僚ポストを設置しただけだ。」
 保守党のリサ・レイト副党首も、今回の内閣改造を酷評した。
「この政権が言っていることは、州と戦う用意ができているということだと思う。」


 【トルドー内閣閣僚】
総理大臣:ジャスティン・トルドー
公安・非常時対応準備大臣:ラルフ・グッデイル
農務・農産食品大臣:ローレンス・マッコーレー
政府=先住民関係大臣:キャロリン・ベネット
予算庁長官兼デジタル政府担当大臣:スコット・ブライソン
政府間関係大臣兼北方問題大臣兼国内貿易大臣:ドミニク・ルブラン
イノベーション・科学・経済開発大臣:ナブディープ・シン・ベインズ
財務大臣:ビル・モルノー
法務大臣兼司法長官:ジョディー・ウィルソン=レイボールド
外務大臣:クリスティア・フリーランド
先住民サービス大臣:ジェーン・フィルポット
家庭・子供・社会開発大臣:ジャン=イブ・デュクロ
運輸大臣:マルク・ガルノー
国際開発大臣:マリー=クロード・ビボー
国際貿易多様化大臣:ジム・カー
観光・公用語・フランコフォニー担当大臣:メラニー・ジョリー
歳入大臣:ディアーヌ・ルブティリエ
環境・気候変動大臣:キャサリン・マッケナ
国防大臣:ハルジット・シン・サージャン
天然資源大臣:アマルジート・ソーヒ
女性の地位担当大臣:マリアム・モンセフ
公共サービス・調達・アクセシビリティ担当大臣:カーラ・クワルトロー
科学大臣兼スポーツ大臣:カースティ・ダンカン大臣
雇用・労働力開発・労働大臣:パトリシア・ハイデュ
与党下院院内総務:バーディッシュ・チャッガー
インフラ・地域社会大臣:フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ
民主機構大臣:カリナ・グールド
移民・難民・市民権大臣:アハメド・フッセン
厚生大臣:ジネット・プチパ・テイラー
退役軍人大臣兼国防副大臣:シームス・オリーガン
文化遺産及び多文化大臣:パブロ・ロドリゲス
国境警備及び組織犯罪低減担当大臣:ビル・ブレア
中小企業・輸出促進担当大臣:メアリー・ン
高齢者大臣:フィロメナ・タッシ
漁業海洋大臣兼カナダ沿岸警備隊大臣:ジョナサン・ウィルキンソン
 スコット・ブライソン予算庁長官兼デジタル政府大臣は1月10日、次の総選挙に出馬せず引退し、また閣僚を即時辞任すると発表した。これを受けてトルドー首相は、14日に内閣改造を行うと語った。内閣改造は大規模なものか小規模なものかを問われると、首相は回答を拒否した。
 ブライソン氏はノバスコシア州ウィンザーに生まれ、1997年進歩保守党から出馬して初当選。次代を担うニューリーダー「青年トルコ党」の一人として注目された。2003年党首選に立候補して敗れ、同年カナダ同盟による進歩保守党の吸収合併が決まると、自由党に移籍し、マーチン内閣の公共サービス大臣に任命され、カナダ初の公表されたゲイの大臣となった。2006年には自由党党首選に出馬して落選、2015年から予算庁長官とデジタル政府大臣を務めている。
 私生活では2007年、マクシム・サン=ピエール氏と下院議員初の同性婚を行った。2014年には、代理母によって双子の娘を授かった。政界引退は、家族とともに過ごす時間を大切にしたいからであり、閣僚辞任は、今年秋の総選挙を控え、閣僚は再選を目指すメンバーだけで構成されるべきだという考えに基づいているという。

 だが彼はまだ51歳であり、その説明を真に受ける人は少ない。海軍がケベック州レビのデイビー造船所と6億6800万ドルのリース契約を結ぼうとした際、ブライソン氏が圧力をかけ、ノバスコシア州ハリファックスのアービング造船所との契約に差し替えようとした疑惑を持たれている。この事件は、マーク・ノーマン中将が内閣の機密情報をデイビー造船所に漏洩するという結果を招き、ノーマン氏の裁判が8月に始まる。ブライソン氏の証言・尋問は不可避と見られ、総選挙が10月に実施されることから、与党へのダメージを軽減する狙いがあると見られている。
 スコット・ブライソン予算庁長官兼デジタル政府大臣の辞任を受け、トルドー首相は1月14日、小規模な内閣改造を行った。
 新入閣は、デビッド・ラメッティ法務大臣兼司法長官とバーナデット・ジョーダン地方経済開発担当大臣の2名である。ラメッティ大臣はイノベーション政務次官からの昇格で、かつてマギル大学で法学を教えていた。ジョーダン大臣は、民主機構政務次官からの昇格である。
 異動は3名で、ジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府大臣は、先住民サービス大臣から昇格し、辞任したブライソン前予算庁長官の後を継いだ。シーマス・オリーガン先住民サービス大臣は、復員軍人大臣からの異動で、フィルポット大臣が異動した後任となった。ジョディ・ウィルソン=レイボールド復員軍人大臣兼国防副大臣は、法務大臣からの異動で、シーマス・オリーガン大臣が異動した後任となった。

 法務大臣から復員軍人大臣への異動は、通常降格と見なされる。だがトルドー首相はこれを否定し、復員軍人に奉仕することは重大な任務以外の何物でもないと説明した。ウィルソン=レイボールド大臣もホームページで、法務大臣としての業績を2000語以上にも及ぶ文書で自讃した。
「我々の働きの結果、この政府が発足したころより、カナダの司法制度はより強化されたと私は信じている。」
「最も重要なのは、カナダ人の基本的人権と自由を保護する作業が促進されたことだ。」
 そして彼女は、法務大臣のポストから外された理由については一切触れず「我々の制度では、閣僚の指名に関する決定は総理の専権事項である」とだけ述べた。
 だが何名かの閣僚やスタッフは、彼女が妥協点を探ることなくすぐ対決的になる性格を挙げ、ともに仕事をするのが困難だとメディアに語った。ブライソン長官の辞任は、内閣を改造し彼女を法務大臣のポストから外す絶好の口実となった。先週始めには早くも彼女の更迭が噂され、先住民サービス大臣のポストを提示されたが断ったという情報が流れた。
 オタワ大学で法学を教えるアミル・アッタラン教授は、ウィルソン=レイボールド前法相は自殺幇助の法制化において致命的なミスを犯したと指摘する。裁判所が定めた期限までに法案成立させられず、自殺幇助が合法でも非合法でもないグレーゾーン期間が生じてしまい、法案審議に十分な時間をかけられなかった。そしてオードリー・パーカーさんが2018年11月、まだ余命が残っているにもかかわらず医師の幇助による早期の自殺を余儀なくされたのは、法律が明確な意思表示を必要とするため、鎮痛剤によって意識不明に陥る前に決行しなければならなかったからであり、法律の不備を指摘する声が挙がった。
 だがトロント大学で法学を教えるトルド・レメンス教授は、ウィルソン=レイボールド前法相を評価した。
「国民の間の批判や、自由党内からですら批判の声が上がるなか、彼女は安楽死幇助、大麻合法化、刑法改正などの難しい局面において、個人の権利と公共の利益のバランスを巧妙に保ったと思う。」

 ジョーダン地方経済開発担当大臣には所轄の省庁がなく、無任所大臣である。自由党は今年実施される総選挙で、東部の議席を相当に失うことが予想されているが、彼女の無任所大臣就任は選挙のための箔付けではないかという疑いを、彼女は否定した。
「私の役割は、地方の経済開発を支援し、地方が発展することを確かなものにすることである。」
 だが保守党のピエール・ポワリーブル議員は、トルドー首相が炭素税を課すことで地方経済の発展を阻害しておきながら、自ら担当大臣を任命してその解決に当たらせていると皮肉った。またエリン・オツール議員は、フィルポット大臣とラメッティ大臣は手堅い仕事をするが、その他の閣僚は頭痛の種だと評した。


写真:左からジョディ・ウィルソン=レイボールド復員軍人大臣兼国防副大臣、ジェーン・フィルポット予算庁長官兼デジタル政府大臣、シーマス・オリーガン先住民サービス大臣、デビッド・ラメッティ法務大臣兼司法長官、バーナデット・ジョーダン地方経済開発担当大臣。
孟晩舟(ファーウェイ社)副会長の逮捕に関する失言で、ジョン・マッカラム駐中国大使が解任された件については、日本のメディアで報じられているため、私の方からは特に言及していません。
ただ日本のメディアが報じていない事実として、彼の妻ナンシー・リム(林秀英)がマレーシア生まれの華人であるということには言及しておきます。
 ジョディ・ウィルソン=レイボールド復員軍人大臣は2月12日、大臣と国防副大臣を辞任した。復員軍人大臣のポストは当面、ハルジット・サジャン国防大臣が代理を務める。
 グローブ&メイル紙は8日、彼女にまつわる疑惑を報道した。記事によると、ケベックのエンジニアリング企業SNC-ラバラン社が贈収賄と詐欺の容疑で刑事告発されそうになっているとき、ジャスティン・トルドー首相が当時司法長官だったウィルソン=レイボールド氏に、これを阻止するよう要請したという。さらに1月の内閣改造で彼女が法務大臣兼司法長官から外されたのは、首相の要請を拒否したからではないかという噂も流れている。同社は告発された場合、公共事業を10年間請け負えなくなる可能性がある。

 トルドー首相は11日に、ウィルソン=レイボールド大臣の内閣での継続した存在ははっきりしていると語った。だが「彼女が司法長官として行った任務の全ては、彼女一人の判断であり彼女の責任である」と述べてから1日も経たないうちに、彼女は辞任した。彼女は声明で、スタッフと国民と復員軍人とその家族に感謝の意を表明しているが、奇妙なことに首相に関する言及はなかった。
 彼女が法務大臣のポストから外されると、彼女はチームプレーヤーでなかった、ともに仕事をするのは困難で、政界に友だちもいなかったなどの噂が流れた。だがメリーアン・ミハイチャック前雇用・労働力開発・労働大臣は、それを否定する。
「私は彼女を友人で、卓越したリーダーだと思っています。彼女が健康でいてくれたらいいと願っています。」
 彼女はウィルソン=レイボールド氏が、安楽死幇助法案などでジェーン・フィルポット厚生大臣と協力して働いた事実を指摘した。

 ウィルソン=レイボールド氏は、クワキュートル族インディアンとして生まれた。父ビル・ウィルソンはインディアンの活動家で、ピエール・トルドー首相に娘を首相にしたいと語ったという。彼女はビクトリア大学とブリティッシュコロンビア大学で学び、弁護士、先住民団体代表を経て下院議員となり、先住民初の法務大臣となった。彼女は総理の座を目指していたとも言われているが、今回のスキャンダルで平議員となり、失脚した。
図左:「カナダでは行政は司法に介入しない」と建前を述べつつ、中国に譲歩し、法務大臣の口を封じるカナダ首相。
図中:司法長官としての守秘義務を押し付け、口を封じて圧勝するカナダ首相。
図右:首相の「全面的に信頼する」「内閣に存在し続けるのがその証拠だ」発言の直後に辞任するウィルソン=レイボールド大臣。
 SNC-ラバラン社に関する疑惑と、ジョディ・ウィルソン=レイボールド前復員軍人大臣の辞任について、多くの漫画家が女性への暴力を描写した諷刺漫画を描いたことへの批判が高まっている。

 マイケル・デ=アダー氏は、ザ・クロニクル・ヘラルド紙に漫画を描いた。それは、リングの上で口にテープを貼られ両手を縛られたウィルソン=レイボールド氏に対し、ユニフォームを着て準備万端のトルドー首相に側近のジェラルド・バッツ氏が「殴り続けろ、彼女は検察官の特権に縛られている」と囁いているものである。
 ジョアン・バーナード元州議は、漫画の取り下げを要求した。
「ジョディの背景を考えたら、彼女は先住民の女性である。この国で行方不明になり、また殺される先住民の女性については繊細な感情があり、いかなる方法・いかなる形状においてもこのような冗談は許されない。」
 2017年の政府統計によると、先住民の女性はそうでない女性に比べ、肉体的または性的暴行に3倍、殺人事件に7倍遭っている。なおカナダでは、非実在の漫画に描かれた人物に対してであっても、暴行は刑事罰の対象たりえる。トルドー首相をボクサーにたとえるのは、彼がパトリック・ブラゾー上院議員(この人も先住民)とボクシングをやって勝ったからだろう。
 ネット上では、彼の漫画を「女性に対する暴力を軽視している」「賢明でない」「おもしろくない」「ただぞっとするだけ」と評する声が挙がり、デ=アダー氏は謝罪した。
「漫画の意図は、自由党を攻撃することであり、ウィルソン=レイボールド氏を攻撃することではなかった。それは女性を怒らせたり、家庭内暴力や先住民の問題を矮小化したりするのが目的ではなかった。私は人間であり、間違いも犯す。今後は改善するよう努める。」
 彼は、ウィルソン=レイボールド氏とSNC-ラバラン社に関する漫画は描き続けるが、今後の作品は「意図しない第二の意味」を持つことはないと述べた。

 いっぽうグレアム・マッケイ氏は、ハミルトン・スペクテイター紙に漫画を描いた。それは「SNC-ラバラン問題」のリングの上で、両手を縛られ「検察官の特権」という足枷をつけられ猿轡で口封じされたウィルソン=レイボールド氏に、トルドー首相が圧勝するものである。こちらの漫画は試合終了後のように見え、口と手足を封じられたウィルソン=レイボールド氏は勝負にならず、暴行された形跡は見当たらないが、マッケイ氏もまた「これがおもしろいと思うなら漫画家を辞めろ」「新聞社にマッケイ氏の謝罪を要求するメールを送った」「このような漫画家たちは、暴力と憎悪を促進しているので逮捕されるべき」という批判を浴びた。だが彼は「諷刺漫画は常に笑えるものとは限らない」と反論し、批判者たちは諷刺を理解していないと語った。

 アンディ・ドネイト氏は、トロント・サン紙に漫画を描いた。それは、トルドー首相が手拭いでウィルソン=レイボールド氏の口を封じながら「ジョディ、何が言いたいんだい、話してくれよ」と迫るものである。統一保守党のジェイソン・ケニー党首はツイッターに「漫画は時に1000語の文章より雄弁に語る。今日のサン紙のアンディ・ドネイトがそうだ」と書いたが、そのあと彼を諷刺した漫画を多数貼られた。


図左:マイケル・デ=アダー氏がザ・クロニクル・ヘラルド紙に掲載した漫画。
図中:アンディ・ドネイト氏がトロント・サン紙に掲載した漫画。
図右:グレアム・マッケイ氏がハミルトン・スペクテイター紙に掲載した漫画。「私は指示していない」と言うトルドー首相が、周囲をSNC-ラバランを含む取り巻きで固め、ウィルソン=レイボールド氏は蚊帳の外。

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