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2021年11月30日22:22

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社会人の野球2021〜3〜会社の運動会があった頃

ボクが中学生の頃、父親が務めていた銀行の運動会があった。名古屋の鶴舞公園の広場を貸し切って行われた支店対抗の運動会は行員はもちろん家族も参加できる競技もあり、さらには模擬店も多く出店し子供ながらも楽しいひと時を過ごした記憶がある。おそらくこの運動会で活躍した若手行員やずっこけた中年行員はそのあとの飲み会では話題にされ大いにネタにされたことだろうと大人になってからは思ったものだ。

しかし、もう会社の運動会などは今はない。若い人たちはそんなことをしていたのかと不思議に思うかもしれない。しかし入社したら出世の差はあれど定年まで勤めあげるのが基本で転職などというのは何らかの問題を起こしたか特別な理由がない限りありえない時代だったのだ。つまり高校と同じだ。いい大学に進む生徒も就職する生徒も野球でプロ入りする生徒もいる。その先の行く末は違えどみんなこの高校を卒業していく。当時の会社はそのようなものだった。

だから当然運動会もあれば学芸会もある。もちろん部活もある。しかし試験ではあからさまに学力順位が発表される。そんな時代、つまり戦後の高度経済成長期を支えた企業は同じような雰囲気があった。

だからその頃の都市対抗野球の盛り上がりはすごかった。社員は愛社精神にあふれ家族一同もお父さんの会社を応援した。古き良き時代の話だ。



今日の都市対抗野球の第2試合はヤマハ対日立製作所だった。試合開始前には社歌が演奏された。もちろん応援に来ている人たちは声を出しては歌えないのだが、それでも手拍子がこだました。そういえばボクが大学を出て就職した金融会社にも社歌はあったなあと思いだした。もう忘れてしまったし、そもそもその会社はバブルの崩壊とともになくなってしまった。

古い歴史を持つ両チーム。過去41回の出場で3度の優勝を誇るヤマハ。今年で39回目の出場ながら意外にもまだ黒獅子旗を手にしていない日立。しかもこのカードは昨年の1回戦と同じだ。昨年はヤマハが9−0で圧勝した。

今日の先発はヤマハが久谷君、日立は岡君。初回は先攻の日立が無死1・2塁、ヤマハは無死満塁のチャンスを互いに逃し2回以降は投手が立ち直っていく。しかしその均衡を破ったのは4回表の先頭打者大塚君だった。ライトスタンドへ流し打って本塁打。日立が1点を先制した。

そして5回には豊田君の2ランで日立は3−0とリードする。

ヤマハはさすがに楽器を扱う会社だ。ブラスバンドはその力をいかんなく発揮した。特にパーカッションの迫力はすごかった。

そして日立は5回終了時のグランド整備時に「この木、なんの木」の演奏。日立を言えばこの曲。多くの国民が知っている名曲だ。企業色を出しての応援。名門企業同士の対決だったが、「この木、なんの木」に押されたのか、6回表の先頭大塚君は2打席連続の本塁打で日立は4−0とリードした。

だがその裏、ヤマハの先頭で主将の網谷君は安打で出塁。続く前野君の打球は左中間フェンスまで届く長打。網谷君は判断良く走塁し一気に本塁を突いた。しかし、日立は中継に入ったショートの野中君の絶妙のバックホームで本塁封殺。このヤマハは責められない。4点リードされた6回、勝負をかけることに異論はない。わずかでも返球が逸れていれば1点だったのだから。

それでも日立は2死後、岡君が四球を出した段階で投手を田川君に替えた。もう1点もやれないヤマハも7回から昨年の勝利投手のフェリペ・ナテル君が登板。3イニングを被安打1、奪三振7で抑えた。ナテル君を観たのはこれが初めて。選手紹介を見れば32歳になる。

それでも150キロ近いボールを中心に投げ込んでくる彼の投球に7三振のうちの最初の4人は見逃しの三振だった。昨年の先発で6イニングを投げて勝利投手となったナテル君。しかし今日の先発は久谷君だった。だが彼も同じ32歳だ。それぞれの思いがあってのこの試合だったのだろうと思う。



最近のビジネスマンは上司と一緒に飲みに行くことを嫌うという。ボクはその気持ちがわかる部分もある。一生安泰と思われていた大企業。運動会があって家族みんなが参加してこの会社と一緒に生きていくと確信したあの時代。だが今は違う。

若い社員から見れば高齢社員はITについていけない時代遅れの能無しだ。しかし高齢社員からすれば今の若い社員は学力レベルも低く社会性もない自己中世代だ。このような世代格差は進化のスピードが速い現代にこそ大きくなっている。そしてそれはボクも理解できる。

しかし・・・・

野球に行こうよ。自分の会社の野球チームがあるのならば・・・

みんなが好きな野球。そこで変化球勝負するか、あの場面でバントはないだろう、いやそれなら敬遠だよ・・・・

デブで剥げのアナログ上司もイケメンだけど気がきかない常識なしの若手も一緒になって応援できるじゃないか。それが社会人野球だ。

都市対抗野球の良さ。もちろん野球の面白さ、質の高さもある。だが今日のこの試合を見て思った。昨年にはなかったことだ。

それは自分の会社に誇りを持ち応援すること。まさに高校野球や大学野球と同じではないか。日立の応援団には小学生と思われるチアが2人いた。ダンスの振り付けは本物と同じようにできていた。おそらく社員の娘さんなのだろう。そしてこの大会の出場が決まってからチアチームと一緒に練習してきたに違いない。

選手だけじゃない。社員も家族も一丸となって応援する都市対抗。高校野球や大学野球と何ら変わらない。だからボクはこの野球が好きだ。



2021年11月30日 第92回都市対抗野球 1回戦(於 東京ドーム)
日立製作所
000 121 000 = 4
000 000 000 = 0
ヤマハ

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