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2021年02月12日08:35

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「北田克己展」・・・名都美術館

2月11日

去年の年末から楽しみにしていた「北田克己展」を観てきた。

北田氏は院展の同人で、毎回 院展で観てきた。
愛知県立芸術大学の教授もなさっていて、今年退官されるというので、画業45年の区切りの展覧会になった。

2月11日の午後2時から 北田氏のギャラリートークが限定20名で行われることを知り、そのことを知ってすぐに美術館に予約の電話を入れた。それが去年の12月末のことだった。
ギャラリートークを予約したのは、生まれて初めてだ。
これまでは、そういう予約なしに、いろんなギャラリートークに参加してきたが、コロナ禍では密を避けるために 20名限定ということになったのだろう。
展示室の1室に 間隔を空けて 椅子を並べていた。
映像を見ながら、北田氏が 丁寧に説明をした。
まず、「日本画とは何か」という話から始まり、岡倉天心の話が出てくるのは院展の作家のギャラリートークではありがちだ。

平山郁夫氏の話が出てきた。
平山氏は、北田氏が東京芸術大学の助手をしている時に 影響を受けたというのか そういうふうだった。奈良に毎年出かけて、ひたすら仏像をスケッチしていた。
平山氏といえば、シルクロードの絵を描いた人で、バーミアンの仏像の絵も残している。
文化財保護の活動をしていたり、自分が 広島で被爆しているのもあって、平和を望む絵も残している。

北田氏は、仏像の本画は 描いてないが、女性像を描くときに 仏像のスケッチをひたすら描いていたことからにじみ出てくるものがあると思った。
北田氏が描く女性像は、仏像のように慈悲深いような悟ったような表情をしている。
生身の女性を描いたものではない。それがこのギャラリートークを聴いて 分かったことである。
北田氏の出世作である「夜明けの地」(2003年)は、真ん中に女性が描かれているが、「アジアのおおらかな大地を託そうと描き始めた女性像は、慈悲の力で世界を救世しようとする菩薩像のイメージに変わってゆく。」と、図録の北田氏の言葉に書いてあった。

また、桂離宮の踏み石の話になり、そこからイメージを膨らませて、絵を描いたものが
あったり、平家納経の研究をしていた時に 装飾紙の美しさにひかれて、装飾性の高い作品を描いたりしていた。
作品が生まれる過程を見せていただけて、とても勉強になった。
そういうことから作品は 生まれたのか。と、思った。
北田氏のこれまでのいろんな経験が 全部 作品に込められていた。
その時には 作品になるとは思ってもいなかったが、ある時に ふと出てくるものらしい。平和への強い願いも 作品に込められていた。
外国に行った時には 風景や 人物など いろんなものをスケッチしていて、それをそのまま本画にするのではなくて、熟成させて それが いつの間にか絵になっていくんだな。と、思った。
最近では馬を描いていて、それは昔からいろんな博物館で 馬のスケッチをし続けていて、生の馬にも興味があり、乗馬もするということであるが、それが今、作品になっている。

1時間くらいのギャラリートークは、とても中身の濃いものであった。
北田氏の風景画を この展覧会で 初めて観たが、大学を退官して、自由に絵を描ける身分にもなったことで、まだまだいろんな絵が描ける人ではないかな。と、思った。
院展の同人になった時に、「これから自由に絵が描ける」と、思ったそうだが、展覧会に入選しようとすると、大変なことがあるんだろうな。と、思った。

ギャラリートークの後、図録を購入した人向けに サイン会があり、せっかくなので サインをもらってきた。
私は どなたにサインをもらう時に 「今日の日付を書いてください。」と、お願いするのだが、いつサインをもらったのか忘れてしまうので、そうしている。

北田氏の展覧会&ギャラリートーク&サイン会に参加ということで、2月11日は 忘れられない日になった。サイン会の時に、「毎回 院展を楽しみにしています。」と、お声がけさせていただいて、良かった。
素晴らしい展覧会だった。


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