「自分の勝てる環境に移動しろ」とは言われるものの、大部分の人の脳は現状から抜け出せないようにできている。
だから自分の持ち味が生かせない場所に置かれても、不満を抱えつつ、一生、底辺として生きて行く。
だから身分を固定しなくても、身分は固定され、社会のさまざまな仕事が成り立つ。
ただ脳のこの機能が麻痺している人がおり、彼らは「なぜ行動しないのか?」と言う。
でもみんながみんな彼らのように行動できたのなら、社会は今でも身分制をとっていたことだろう。
福祉の仕事に携わり、分かったことがある。
生活保護者は一般の人が思っているよりかなり少ないのと、危険、危険と言われる起業で失敗して生活保護を受けた人はいないこと。
生活保護者には大きく分けて2つのタイプの人がいる。
1)年金を積み立てられずに高齢になった独居老人と独居の障害者
2)逃げることができるのに逃げることができないと思いつめ精神を崩壊させた人
彼らは自分の勝てない環境で低い評価を受け苦しみ続け、それでも逃げられないと思い込み逃げずにいたため、精神が崩壊し、生きる気力を失っている。
なぜ彼らは逃げなかったのか?
口で言うのは簡単だが、もし自分がその環境にいたら逃げることができたかどうかは分からない。
人間の脳は逃げられないようにできているからだ。
動物園のゾウの話がある。
小さい頃、鎖につながれ、いくら逃げようともがいても逃げられないと知ったゾウは、大きくなり、どんな鎖でも簡単に引きちぎれるようになっても、鎖につながれたら「逃げられない」とあきらめる。
起業するような人は、もともと脳のこの機能に障害を負っている。
だから2)のようになるケースはなく、生活保護を受けずとも、なんとかやってしまうものだ。
でもそれを普通の人に求めることはできない。
「ああ俺はなんて理不尽な環境で生きているんだ」と感じても、酒や風俗、ギャンブルで気をまぎらわせるだけ。
子供の頃は「こんな大人にはなりたくない」と願っても、みんなそんな大人になっていく。
それは本人の心ばえの問題ではなく、脳がそういう風にできているからだ。
そんなんじゃ、人の幸不幸は運じゃないの?自分では左右できないじゃん。
自分で選択できる権限があるのに、脳の段階でそれが使えないなんて、ひどい。
確かにそう思う。
でもそれが社会を形成するために人間の脳に埋め込まれたプログラム。
このことを考えると精神的に病むから、あまり考えないようにしている。
でも考えてしまった時は、脳に障害を負った人間でありたいと願ったり、神が自分に幸福な人生を割り振ってくれると信じたりしている。
金銭的にも能力的にも逃げられるのに、心の呪縛で逃げられないため、精神が壊れ働けなくなる。
生活保護者は他人事ではない。
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