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2020年10月28日22:00

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大飢饉の真の原因

1943年に当時のイギリス領インドのベンガルで大飢饉があった。300万人以上が餓死したという。アマルティア・センという1998年にノーベル経済学賞を受賞した学者が、10歳のころこの大飢饉を体験した。セン自身はカースト社会の最高位の家庭の出身だったが、この経験が彼の将来の方向を決めた。当時、日本軍がカルカッタの港湾を爆撃したので、ビルマからの輸入米がインドの内陸部に輸送できなくなった。それが飢饉の一因ではあったが、コメの保有量・絶対量が完璧に不足していたわけではなかった。この大飢饉では餓死者が多くて、たくさんの村が消滅したというが、しかしセンの家庭のような上流階層や中流階層の人々でさえも飢餓を体験するような状況にはなかったという。餓死するような状況になったのは、土地を持たない農業労働者など貧困階層の人々であったという。飢饉は特定の階層を襲うという特徴をもっていたという。センは、従来の経済学のように福祉を扱う際に食料問題で言えば、食料の総受給量ばかりを焦点化するのではなく、人々が食料にアクセスする権限を十分に持っているかどうかということに注目した。そういう見方は、人が「健康で文化的な生活」=福祉へどの程度到達しているか、またそうでない原因は何かを判断するうえで重要だと思う。だから、生活保護受給者が当事者として自分の「生活実態」を述べる上でも重要な視点だろう。
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